SCP-433-KO

クレジット

タイトル: よくあること
著者: Didic
原題: 흔히 일어나는 일
作成年: 2021
翻訳責任者: Amplifier does not match any existing user name
翻訳年: 2024
初訳時参照リビジョン: 18
元記事リンク: http://scpko.wikidot.com/scp-433-ko

財団記録情報セキュリティ管理室(RAISA)通知

サイト-01K、サイト管理部の要請により、本文書は20██/██/██に再作成される予定です。

— 韓国司令部RAISA連絡部長、チョン・ドンギュン

アイテム番号: SCP-433-KO

オブジェクトクラス: Pending

特別収容プロトコル: SCP-433-KOは標準人型収容室に収容します。

説明: SCP-433-KOは韓国国籍の女性で、年齢は18歳、名前はイ・ヨンヒです。現在サイト-72Kで収容しており、対象の異常性を研究中です。

対象の体内に約300匹の虫が生息していることが確認されました。

対象は原因不明の伝染病や虫が発生していたアパートで発見されました。この現象がSCP-433-KOの異常性によるものと判断され、対象はサイトに移送されました。対象の家族には記憶処理が施されました。

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[メール送信履歴41/42]

タイトル: 月末サイト総合報告書が未提出です。
送信日: 2021/1/1 18:00
発信者: サイト-01K、サイト管理部
受信者: サイト-72K理事官、サ・セヨン

このメールは、月末サイト総合報告書が未提出のサイトへ自動的に送信されるものです。提出が確認され次第、自動的に削除されます。

サイト-72K理事官、サ・セヨン様

月末サイト総合報告書を規定フォーマットに沿って作成し、提出してください。提出に必要な手順や内容はすべてフォームに記載されていますので、ご確認ください。30分以内に返信がない場合、当該サイトがSCPオブジェクトまたは要注意団体によって無力化されたものとみなし、機動部隊β-2K("空き巣泥棒")が突入します。万が一返信ができない状態の場合、理事官権限でC、Dランクの緊急信号を発信することが可能ですので、ご確認ください。この内容は、サイト理事官オリエンテーションの際にもお伝えした通りです。

サイト-01K、サイト管理部

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[メール送信履歴42/42]

タイトル: サイト-72Kの無力化
送信日: 2021/1/1 18:26
発信者: サイト-72K理事官、サ・セヨン
受信者: サイト-01K、サイト管理部

結論から申し上げますと、サイト-72Kは完全に無力化されました。私以外の全員が死亡し、生き残ったのは私だけです。しかしながら、これは要注意集団の襲撃でもなく、SCPオブジェクトの収容違反でもありませんでした。

私がこの事件の兆候を感じたのは、クリアランス3を持つある博士の皮膚に虫が這うのを見た時でした。その博士は最近シャワーを浴びていないから、大したことはないと言っていました。しかし、私が見たところ、それは単なる清潔さの問題ではありませんでした。虫が皮膚の中に入り込み、卵を産んでいたのです。それにもかかわらず、博士はくすぐったいと言って掻くだけで、何の対処もしなかったのです。

その後、博士は病欠し、一週間が過ぎても出勤しませんでした。彼を心配した一人の研究員が博士の家を訪れ、彼を運んできましたが、彼はすでに自分の腹をナイフで刺して死亡していました。しかし、他の職員はその死体を生きている人間として扱い、診療室に運んで治療していました。刺された腹から糞尿が流れ出て、虫がその糞尿の近くを飛んでいても、それを生きている人間だと思って治療していました。その数日後、死体から虫が湧き出るようになってやっと、治療をやめました。財団職員にとって死体などよくあるものだったのでしょう。

そして、段々とその博士と同じような職員が増えてきました。廊下に数十匹の虫が飛んでいるのはよくあることになり、朝のコーヒーに虫が一匹だけ入っているのが幸運なくらいになりました。廊下を歩いていた人が突然倒れても誰も気にしませんでした。それでも不幸中の幸いだったのは、このよくあることが我々だけに当てはまるわけではなかったということです。

つまり、このよくあることがSCPオブジェクトにも適用されたということです。Euclid、KeterクラスのSCPオブジェクトは特別な管理をしていなくても、これが財団の一般的な収容プロトコルであると考え、自ら収容されることを望みました。よくあることだと考える現象のせいでサイト-72Kは完全に無力化されましたが、むしろこの現象のおかげで他のサイトよりも安全に収容できるという可笑しなことが起こりました。

あ、別にこの事件の原因を探そうとしなかったわけではありません。しかし、よくあることでも疑わなければならないと思うと、ある瞬間から呼吸の仕方まで疑っている自分がいました。それ以来、私は正気を保つことができませんでした。どこからが日常でどこからが非日常なのか分からなくなりました。完全に正気を失う前に日常と非日常を区別するための手帳を作ったことで、とりあえず虫に目玉をくり抜かれることは防げましたが、それ以上の進歩はありませんでした。

私は現在、自分のオフィスに座って、日常と非日常を区別するための手帳を見ながら、せめてでも普通に生きようと努力しています。手帳に書かれているような非日常的なことが起こったらその都度、手直しをしながらです。もちろん、サイトの全員が死んだ今、こんなことをする意味はないのですが。しかし、このままでは虫が耳から入り込んで脳を食べられても、気付くことなく愚かな死を迎えるかもしれないという恐れから、この仕事をしています。

ああ、こうしてメールを送っても、このメールさえもよくあるメールだと思って無視されないか心配です。いや、むしろそうなった方が良いかもしれませんね。このよくあることの地獄はサイト-72Kで止まり、疑問の余地もなく、このまま埋もれてしまうのが今のところ一番良い結末でしょう。皆さんはただ、高潔で完璧に収容を行っているサイト-72Kを見て満足すれば良いのです。

それでは、良い一日をお過ごしください。

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通話履歴#1561R

記録日: 2021/01/03 12:30-12:33
発信者: サイト-01K、サイト管理部所属、シン・ハナ研究員
受信者: サイト-72K理事官、サ・セヨン

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[記録開始]

サ・セヨン博士: どうしたんですか？

シン・ハナ研究員: 理事官様が作成されたメールを確認いたしました-

サ・セヨン博士: もしかして、私を助けてくれるんですか？

シン・ハナ研究員: いいえ、最後までお聞きください。理事官様のメールに基づき、サイト-72Kは無力化されたと見なされました。理事官様が提案されたサイト閉鎖と従来の手順であるサイト移転のどちらを選択するかについて会議が行われましたが、会議では当該サイトが正確にどのような異常性に影響を受けているのかを確認しなければ、正確な結論を出すのは難しいという意見が優勢となり、結論を出せずに終了しました。このため、我々は実験のためにDクラス職員と研究員を数名派遣する予定です。この内容はメールでお伝えすることも可能でしたが、安否を確認するため、電話でご連絡いたしました。

サ・セヨン博士: (沈黙) そうですか。

シン・ハナ研究員: 異常性について調査された資料がありましたら、すべてご提供ください。実験の結果によっては、理事官様も治療が可能かもしれません。また、現在のサイトを維持するためには理事官様が必要ですので、あまり悲観的にならないでください。

サ・セヨン博士: 分かりました。ではお待ちしています。

[記録終了]

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[データ削除済]

記録日: 2021/04/02 12:30-12:41
発信者: サイト-01K、サイト管理部所属、シン・ハナ研究員
受信者: サイト-72K理事官、サ・セヨン

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[記録開始]

シン・ハナ研究員: サ・セヨン様、こんにちは。

サ・セヨン博士: はい。こんにちは。

シン・ハナ研究員: 前置きはさておき、現在までの3ヶ月間、サイト-72Kで行われた研究の結果をお伝えします。まず、サイト-72Kに異常性を曝露させたのはSCP-433-KOと推定され、異常性については周囲で起こっていることを当たり前のこと、つまり理事官様がおっしゃったようによくあることとして認識させることが確認されています。SCP-433-KOは昨年の9月に死亡しましたが、その死をよくあることだと考えたアパートの住人が対象を放置したため、アパートに伝染病が広がり、それが原因で財団に収容されました。

シン・ハナ研究員: その後、そのSCPオブジェクトをよくあるものだと放置していた財団に再び病気や伝染病が蔓延し、現在の状態になったというのが最も合理的な仮説です。なお、理事官様が異常性を客観的に認識できたのは、理事官様が高い精神力を持っていたからだと推測していますが、さらなる研究をしなければ正確には分からないようです。

サ・セヨン博士: なるほど、分かりました。

シン・ハナ研究員: また、対象の伝染性に関する研究も行いましたが、サイト-72Kに存在しているSCP-433-KOの影響範囲から離れると、異常性の影響が徐々に減少し、消滅することを確認しました。この性質を利用して72K-1付属サイトを建設し、定期的に研究員を休ませながら曝露された対象物を除去しました。

サ・セヨン博士: それでは、私も付属サイトに移動しても大丈夫ということでしょうか？

シン・ハナ研究員: いいえ。申し訳ございませんが、理事官様はサイト72Kに留まらなければなりません。理性を保ってはいますが、体内から様々な虫が発見されているため、外部に移動した場合、死亡する可能性があります。また最近、理事官様から観察されている異常現象がSCP-433-KOにも現れていることが確認されており、異常性を感染させる可能性も懸念されるため、サイト外に出ることはできません。また、これ以上の人材投入は無駄だと上層部から判断され、すべての研究を中止するよう指令が下りました。誠に残念ですが、すべて財団のためだとお考えいただければ幸いです。

サ・セヨン博士: (沈黙)

シン・ハナ研究員: あ、それとこの異常性を利用してサイト72KにSCPオブジェクトを追加収容する議案が現在進行中です。もし可決されれば、SCP-████-KOが試験的に移送される予定であり、1ヶ月ほど安定した様子が見られた場合には、6種類のSCPオブジェクトが追加収容される予定です。そして、状況次第ではさらに多くのSCPオブジェクトが収容される可能性があります。このプロセスは我々がすべて処理しますので、近日中にお送りするサイト管理権限移管同意書に同意の上、提出をお願いします。

サ・セヨン博士: 私は、(沈黙)私は助けてもらえると思っていました。財団は優れた技術力を持っていて、私は、私のことは少なくとも、そうです、少なくとも重要な人材だと思っていたはずなので、(沈黙)助けてもらえると思っていました。

シン・ハナ研究員: 我々はこれまでたくさん理事官様に助けていただきました。

サ・セヨン博士: え？いや、そんなことしてませんよ。

シン・ハナ研究員: これまで理事官様は把握されたすべての情報を我々に伝え、サイト-72Kの異常性を理解するのに大きく貢献してくださいました。しかし、最近ではSCP-433-KOの異常性の影響からか、頻繁に理性を失い、まるで獣のような姿を見せるようになりました。その点については我々も残念に思っておりますので、もしご要望があれば精神安定剤を支給することも可能です。

サ・セヨン博士: そうですか。

シン・ハナ研究員: この精神安定剤は少量でも驚異的な効果がありますが、過剰に投与すると死に至る可能性があるため、投与量には十分ご注意ください。これは最後の慈悲であり、これまでの努力に対する報いです。また、理事官様は有能なお方ですので、この言葉の意味をよくご理解いただけると思います。

サ・セヨン博士: (沈黙) 本当に冷酷ですね。

シン・ハナ研究員: 効率的な行動をしているだけです。 (沈黙) それでは、お時間がないのでご挨拶だけさせていただきます。さようなら。

サ・セヨン博士: はい、では失礼します。

[記録終了]

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事件記録#1610R

2021年4月3日、サイト-72Kの理事官であるサ・セヨン博士が精神安定剤を投与後、約10日間にわたり個人オフィスから出てこない状態が続きました。サイト管理権限移管同意書を事前に受領していたため、サイト運営に支障は生じませんでしたが、サ・セヨン博士を心配した数名の職員が博士の個人オフィスへのアクセス許可を要請しました。この要請はいくつかの条件付きで承認され、該当職員は条件に従い、サイト01Kサイト管理部職員一名¹と共にサ・セヨン博士のオフィスを確認しました。サ・セヨン博士は椅子に座ったまま動かず、目を閉じている状態でした。ほとんどの職員は博士に対し「お元気そうですね」と発言し、その後それぞれの研究室に戻りました。シン・ハナ研究員は約10分後にオフィスを退出し、サ・セヨン博士の体調を確認していたと供述しました。また、シン・ハナ研究員はサ・セヨン博士の身体に約300匹の虫が生息していたと述べましたが、この事実は確認されていません。

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Footnotes

1. シン・ハナ研究員。