SCP-4331
評価: +14+x
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アイテム番号: 4331
レベル3
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
vlam
リスククラス:
danger

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死亡し、異常性を発現させる前のSCP-4331-3。

特別収容プロトコル: 暫定収容サイト (サイトBNF-1からBNF-4) が各SCP-4331実例の周囲に設けられています。1 各実例はサイト中心の施錠された収容室に保管され、収容室のドアをいかなる状況でも施錠状態に保つ三重の保安対策が施されています。SCP-4331実例群の奪取を試みるエルクが急速に増加しているため、移転は実行不可能だと見做されています。

各暫定サイトに勤務する全ての職員は個人用銃器の所持を義務付けられます。職員はシカ科に属する生物との交流を認められず、そのような行為は降格及び/またはSCP-4331収容業務解任の根拠となります。エルクやその他のシカ科生物に愛着を抱いている職員はSCP-4331への配属を厳密に禁じられます。


サイトBNF-2への所属を確認しました。付帯情報を表示しています。

SATET防衛措置: SATETイベントにおいて、保安部隊はSCP-4331-Mによるサイト境界の突破を阻止するために必要なあらゆる手段を用いることを許可されます。SCP-4331-Mが無力化のために代替手段を必要とする特性を示さない限りは、周辺の生態系を害する恐れが少ないと判定された武器が採用されます。非異常なエルクは鎮静させるものとし、致死的な武力の行使は最終手段としてのみ認められます。

SATETイベントの発生中、収容室は封鎖され、バンフ国立公園外の財団サイトが管理するコードでのみ解除可能になります。4ヶ所の収容サイト全てから警報解除信号が伝えられた時点で、コードが送信されます。

カナダ国立公園管理局 (パークス・カナダ) は、これらの出来事を適切に隠蔽するため、財団との協力体制を結んでいます。アノマリーの性質に関する完全な詳細は選択された一部職員と政府関係者にのみ開示されており、関与する労働者にはSCP-4331関連業務の遂行に必要最小限の情報が提供されます。


サイトBNF-1からBNF-4は公園の立入制限区域に所在するため、民間人に発見される可能性はごく限られていますが、新たなSCP-4331実例やSCP-4331-M個体との遭遇は起こり得ます。パークス・カナダの警備員は侵入者を呼び止め、制限区域が野生動物の研究に利用されているというカバーストーリーを提示します。侵入者の拘留は許可されています。アノマリーや財団の活動に関する情報漏洩は全て陰謀論として扱い、信憑性を毀損します。

いかなる状況でも、人間がSCP-4331実例に物理的に接触することは認められません。

説明: SCP-4331実例は、バンフ国立公園2に存在する4頭のロッキーマウンテンエルク3の死骸 (SCP-4331-1からSCP-4331-4) であり、自我・知性を有する実体との物理的接触によって生きたエルクを生み出します。複製の際、その死骸は余分な質量を生成し、やがて5秒から1分程度で新しいエルクが形成され、分離します。これらのエルクはSCP-4331-Lと指定され、いずれも完全な成獣として出現します。

SCP-4331-L個体の解剖学的構造は、SCP-4331実例と接触したのがどのような実体かによって異なります。ヒトが触れた場合、SCP-4331-L個体は人体の特徴を帯びた深刻な奇形のエルクとして生成されます。このような個体の体制の例としては、次のようなものがあります。

  • 機能しない腕が生えたヒトの胴体が、エルクの身体から横方向に突出し、内部骨格構造や臓器と交錯している。
  • ヒトの頭蓋の集塊が後肢を形成し、奇形の脊柱を取り巻くように並んでいる。頭蓋の中には脳があり、脊柱を介して完全な神経系に連結されていた。それぞれの脳は一般的なヒトの快楽反応に類似する神経活動を示していた。このエルクは前肢で身体を引きずらなければ移動できなかった。
  • 身体全体と同程度の質量を有する球形の頭部。問題の個体は生成後も身動きできずに身悶えしていたが、やがて頭蓋が自発的加圧とそれに続く爆発的減圧を起こした。頭部の残骸からは肥大したヒト胎児が発見された。

解剖学的構造の矛盾から予想される通り、SCP-4331-L個体は生成されると速やかに死亡します。ヒト以外の生物がSCP-4331実例と物理的に接触した場合も、やはり同様の結果となります。4

間接的な形の物理的相互作用も同じく生成の原因となります。車両、機械、ドローン等の自律装置は、それが知性・自我を有する存在によって作られたものである限り、一貫して接触による複製現象を引き起こします。間接的な接触として分類されるものの全範囲は判明していません。

SCP-4331実例群は腐敗しません。SCP-4331-3は野生動物調査の一環としてパークス・カナダに追跡され、死後に異常性を示し始めましたが、それ以外の実例が死亡した時期は不明です。


付帯情報を表示しています。


概要: SATETイベント


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SATETイベント中にサイトBNF-4へ向かう3頭のエルク。右端には1頭のSCP-4331-M個体が立っているが、第2の頭部は身体の陰に隠れている。

イベント詳細: SATETイベントは、バンフ国立公園内や遠隔地に生息するエルクが、サイトBNF-1からBNF-4までの所在地へと移動し、敷地内に侵入しようとする月例5事象であり、数日間続く傾向があります。侵入を試みるエルクは、自身に及ぶ危害を度外視してサイト周囲の防御策を強引に突破し、サイトの壁に突進を繰り返し、警備員を攻撃します。サイト内への侵入に成功すると、エルクはSCP-4331まで直行します。この挙動の原因は不明確ですが、恐らくSCP-4331-M1と関連しています。

SCP-4331-M個体は奇形の、そしてしばしば異常な性質の解剖学的構造を有するロッキーマウンテンエルクです。SCP-4331-Lと同様に、その解剖学的形態は往々にして早期の死に繋がりますが、SCP-4331-Mの身体構造はより長期間の安定性を保ち、別種動物の特徴ではなく変形したエルクの身体部位のみから成っています。財団職員に対する行動には高度な知能を発揮するものの、知性体だとは考えられていません。

以下は特筆すべきSCP-4331-M個体のタイプです。

タイプ: M1

説明: SCP-4331-M1の角は頭部を包み込むように湾曲し、分岐とループによって頭部と首のあらゆる特徴を完全に覆い隠しています。SCP-4331-M1はサイトに侵入しようとせず、代わりに施設を直接目視できる最も遠い地点に立ちます。SATETイベントが終了するとSCP-4331-M1はその場を去り、それ以降は発見されません。

タイプ: M2

説明: 角が頭部の内側に伸び、口から突き出て外向きに広がっています。この角の内部には関節と筋肉組織があるため、把持能力を持つ器官として機能し、通常は施錠機構、ドアノブ、職員から奪った銃器の引き金の操作に用いられます。SCP-4331-M2は概して飢餓、窒息、または角が成長して脳を穿刺することによって死亡します。

タイプ: M3

説明: SCP-4331-M3は長さ10mに及ぶ2組の後肢で立ち、頭部は横方向に拡大しています。SCP-4331-M3は他のエルクやSCP-4331-M個体を口で拾い上げ、サイトの屋根に投下する行動を取ります。肢は数分で折れ曲がる傾向があります。

タイプ: M5

説明: 六角形の体制を有し、胴体にある腫瘍の塊から細長いエルクの頭部が複数突き出ています。頭部は金属を腐食させる強酸性の液体を噴出する“砲身”の役割を果たしており、通常はサイトの壁を溶解するために用いられます。全ての事例で、SATETイベントに現れてから間もなく、自らの酸で身体が溶解するか、或いは意図的に保安部隊の至近距離で自爆して死亡しています。

タイプ: M8

説明: 前半身が化学ロケットエンジンを模した生物学的構造に置換されています。高速衝突によって12名の職員が死亡し、サイトに深刻な損傷が及んでいます。

タイプ: M10

説明: ヒト型に融合した12頭のエルクの胎児。

この個体はサイトBNF-3に影響を及ぼしたSATETイベントで一度だけ観察されており、別なエルクの頭蓋内部から出現して施設に接近し、警備員に入場を看過されました。SCP-4331-M10は強引にSCP-4331-3収容室ドアの隙間に身体をねじ込もうと試みた後、液化しました。後ほどインタビューを受けた警備員たちは、この個体は“ごく普通のエルク人”だったと回想しました。

SATETイベントはSCP-4331の収容確立後から始まりました。初期の事案には10~20頭のエルクと僅か1頭のSCP-4331-M個体が現れていましたが、その後の年月でエルクの頭数は劇的に増加し、直近のSATETイベントには100頭以上のエルクと25頭のSCP-4331-M個体が関与しました。SCP-4331-Mが呈する脅威もまた増大し、更なる兵器化、奇形化、財団職員に危害を加える意図を示し始めています。

SCP-4331-Mの追跡が試みられていますが、共通の起源は見つかっておらず、正確な出現地点は不明です。これらの生物がSCP-4331実例と同様のアノマリーに起因するものか否かは調査中です。


奇形を伴なわないSCP-4331生成物は、別なロッキーマウンテンエルクとの接触でのみ得られます。この場合、SCP-4331は1~9頭の身体的に健康なエルクを生成します。これらのエルクの継続的な観察で、異常な現象や挙動の兆候は確認されていません。

SCP-4331実例群の収容以降、バンフ国立公園や遠隔地におけるロッキーマウンテンエルクの生息数が着実に減少していることは特筆に値します。

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