SCP-4357
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アイテム番号: SCP-4357

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-4357の周辺には、鋼鉄で補強した標準的な3 x 3 x 1 x 1 mの4次元戸口を超空間的に設置します。SCP-4357を通過してSCP-4357-‎אに進入する職員には、有毒な硫黄化合物のろ過に適した人工呼吸器が渡されます。遠征チームのうち少なくとも1名はSCP-4357-‎א側の書記言語に精通していなければならず、可能であれば現地のSCP-4357-0個体群との接触を最小限にするよう注意するべきです。

SCP-4357のא側には、SCP-4357-אの象形文字で書かれた "進入禁止" 標識を取り付けます。SCP-4357-0個体がSCP-4357の状態について問い合わせてきた場合は、当建物は新しい管理体制の下にあり、賃貸部屋は利用不可能である旨を知らせてください。

SCP-4357が所在するアパートは財団が買収し、現在は秘密サイト-102と指定しています。サイト-102の各部屋は、SCP-4357の研究スタッフなどの財団職員が割引料金で借ります。来客や研究員の家族が当建造物に進入することは固く禁じられます。サイト-102アパートの賃貸に関して問い合わせる場合は、リチャード・ジョルダーノ主任研究員に連絡を取ってください。

説明: SCP-4357は、マサチューセッツ州ボストンのアパートの4階廊下に位置する空間の裂け目です。SCP-4357の3次元体積は、アメリカの一般的な6フィート8インチの木製室内ドアフレームをほぼ占める程度であるものの、その異常な超空間構造により、4次元に短い距離拡張しています。SCP-4357を通過すると、分岐したミンコフスキー時空間 (SCP-4357-אと指定) に出入りすることができます。この時空間はベースラインの地球から4次元の左方に約37 cm離れた場所に存在します。

SCP-4357-אの支配種 (SCP-4357-0と指定) は大型かつ知性を有した蠕虫状の生物であり、この生物は初期の水生脊索動物の系統であると考えられています。SCP-4357-0の文明と文化は人類と酷似した発展を遂げており、過去1万年の間に高度な冶金術を発見し、技術革命を経ています。SCP-4357ポータルの起源は不明ですが、2009年以前にא側で科学的もしくは形而上学的な作用があったことで生じたと推定されています。

財団がSCP-4357を獲得したのは、2015年9月に、当時の家主であったヒュー・デネヒーが脱税と資金洗浄の罪で逮捕された後のことです。逮捕に携わった警察官の何名かが "廊下の怪物" の報告に続いて精神的な休暇を取ったことで、財団はデネヒーに注目するようになりました。連邦捜査員を装った機動部隊エータ-4 ("メン・イン・ブラック") が、捜査の指揮を執るために直ちに現場に向かいました。

SCP-4357ポータルはそれから間もなく発見、確保されました。この過程で数体のSCP-4357-0個体と遭遇し、どの個体も多少の非暴力的かつ非攻撃的な敵意を機動部隊に向けました。建物内に人間の居住者は発見されませんでした。廊下では微量の硫黄含有ガスが検出され、後にSCP-4357-אから採取された大気サンプルと一致しました。高湿度と高温は暖房システムの故障によるものと判明しました。

警官から身柄を引き渡されたデネヒーは財団の科学者に協力的でした。デネヒーの供述によれば、SCP-4357を発見したのは2009年初頭であり、それから数か月かけて近くのSCP-4357-0個体群と相互に理解可能な通信を確立したようです。最終的にデネヒーは残っていた人間の賃貸者を立ち退かせ、アパート全体をSCP-4357-אの住人に貸し出しました。デネヒーは米国国税庁の目を逃れやすい貴金属や宝石などの資源で家賃の支払いに応じていました。

この建物 (秘密サイト-102と指定) には現在、SCP-4357-אとその住民の研究に従事する財団の研究員が居住しています。特筆すべき点として、デネヒーのアパートの元住人はほとんどが今も同じ地域に住んでおり、地球への興味を示し続けています。SCP-4357-0の一個体 (SCP-4357-0-Aと指定) は人間との交流を一際望んでいます。当個体へのインタビューのログを以下に一部添付します。

インタビューログ4357-0-A_2015-10-02

インタビュアー: リチャード・ジョルダーノ主任研究員

SCP-4357-0-Aに電子式のテキスト読み上げキーボードインターフェースが渡される。

ジョルダーノ博士: ハロー。私のことが分かりますか?

SCP-4357-0-Aが触手の束を上下に振り、人間の "うなずき" の動きを模倣する。

ジョルダーノ博士: いいですね。私が何者か分かりますか?

SCP-4357-0-A: 人間ノ 科学者

ジョルダーノ博士: ええ、その通りです。貴方に名前はありますか?

SCP-4357-0-A: スラッギー

ジョルダーノ博士: 分かりました。スラッギー。貴方の家主が名前を与えたのですか? ヒュー・デネヒーが?

SCP-4357-0-A: ソウ。君ノ 名ハ

ジョルダーノ博士: 私の名前はリチャードです。

SCP-4357-0-A: 綴リ ドウ 書ク

ジョルダーノ博士: R - I - C - H - A - R - D。

SCP-4357-0-A: 文字数ガ 多スギル。リチャード ノ 短縮版ハ アルカ?

ジョルダーノ博士: た…… 短縮版?

SCP-4357-0-A: ソウ。私ノ 小サナ 脳味噌デハ 一度ニ 沢山ノ 文字ヲ 覚エラレナイ。

ジョルダーノ博士: つまり?

SCP-4357-0-A: 明瞭 カツ シンプルニ、人間ノ 子供ニ 話シカケル ヨウニ 会話シテ クレルト アリカダイ。ソノホウガ 君モ 理解 シヤスク ナル。ディック ト 呼ンデモ イイカ。

ジョルダーノ博士: リックと呼んでください。R - I - C - K。

SCP-4357-0-A: ソレハ 違ウ ヨウニ 思エル。私ニ トッテ 君ハ ディック トイウ 感ジダ。

ジョルダーノ博士: 意味がよく分かりません。

SCP-4357-0-A: 君ガ 部屋ニ イナイトキ 他ノ 研究員ガ ソウ 言ッテイル。彼ラハ ソウ 言ッテハ 笑ッテイル。ナゼ? 私ニハ 分カラナイ。

ジョルダーノ博士: それは…… えっ?

SCP-4357-0-A: ソウ、彼ラハ ソノコトデ ヨク 笑ッテイル。誰カガ 君ニ 言及スル トキハ ダイタイ ソウダ。

ジョルダーノ博士: うーむ、このインタビューの続きはまた今度にしましょう。

SCP-4357-0-A: ソレハイイ。ドノミチ 遅刻 シソウ ナンダ。サヨウナラ、ディック。

リチャード・ジョルダーノ主任研究員が友好関係を事前に確立した後、ルドルフ・ハーラン次席研究員にSCP-4357-0-Aとのインタビューを実施する主権が与えられました。ハーラン研究員の財団での雇用期間が満了するまで、インタビューは週に1回実施されます。インタビューの抜粋を以下に添付します。

ハーラン次席研究員は、SCP-4357に今後割り当てられる研究員に対し、秘密サイト-102への再配置を希望する前にこれらのインタビューログを閲覧することを推奨しています。

インタビューログ4357-0-A_2015-11-28

インタビュアー: ルドルフ・ハーラン次席研究員

ハーラン博士: やあ、スラッギー。調子はどうだい?

SCP-4357-0-A: 元気。アパートハ ドウダ? 引越シハ 全員 完了シタカ?

ハーラン博士: いいや、まだ箱がたくさん残っていてね。けどいい感じさ! ただ、君の前の部屋を使わせてもらうというのは悪い気がするね。

SCP-4357-0-A: 気ニシナクテ イイ、分カッテイル。ラジエーターニハ 気ヲ付ケテ、漏レ出シテイル カラ。壁ニモ カビガ 生エテイル カモ。

ハーラン博士: おっと、そのことで疑問を感じてたんだ。ラジエーターのほとんどが詰まっていて、建物全体の熱を遮断しないと温度が下げられない。私が思うに、デネヒーはそれほどメンテナンスをしなかったんじゃないかな?

SCP-4357-0-A: ソノトオリ。ソッチノ 地球ハ 我々ニトッテ 寒スギル、ダカラ 熱ト 湿度ハ 最高ダ。彼ハ 二酸化硫黄ノ 中デモ 平気ダッタ。カビモ 取リ除キタガッテ イタガ カビハ 我々 ナメクジニハ 悩ミノ種デハ ナイ。

ハーラン博士: ははあ、なるほどね。知らせてくれてありがとう。少なくとも硫黄の匂いはこれから消えるだろうさ。

SCP-4357-0-A: トコロデ モウ 本ハ 読ンダカ? コレカラ デンマーク語ヲ 学ブノデ アレバ 私ノ 写本ヲ 貸シテ アゲヨウ。難カシクハ ナイ。

ハーラン博士: やってみてはいるけど、キェルケゴールは翻訳版でもかなり難しくてね。

SCP-4357-0-A: マズハ カント カラ 始メルト イイ。

ハーラン博士: そっちのほうが読みやすかったり?

SCP-4357-0-A: イイヤ、タダ 彼ハ トテモ 阿呆 ナノデ 悪意カラ 読ミ ツヅケラレル ダロウ。

ハーラン博士: そうかい。実を言うと、ジョルダーノ博士が本を地球に返却させてほしいって言ってきたんだ。こっちの地球にね。

SCP-4357-0-A: ヒュー ハ 贈リ物 トシテ 私ニ 本ヲ 送ッテ クレタガ 私ハ マダ 読ミ終エテ イナイ。読ミ終エタラ ディック ガ 持ッテイッテモ イイ。

ハーラン博士: それはいつになる?

SCP-4357-0-A: 分カラナイ、私ハ タダノ ナメクジダ。彼ハ アト ドノクライ 長ク 生キル?

ハーラン博士: そうだねえ、今が50前後だから、あと40年は生きるんじゃないかな?

SCP-4357-0-A: 41年 経テバ 持ッテイッテモ イイ。

インタビューログ4357-0-A_2015-12-27

インタビュアー: ルドルフ・ハーラン次席研究員

SCP-4357-0-A: ヒドク 疲レテイル ヨウダ。

ハーラン博士: 私も会えて嬉しいよ、スラッギー。

SCP-4357-0-A: ウム。ネズミノ 話ハ モウ シタ ダロウカ?

ハーラン博士: いや、初耳のはずだ。

SCP-4357-0-A: コノ 建物ハ カツテ ネズミノ 問題ヲ 抱エテイタ。私ノ 故郷ニハ 哺乳類ガ イナイカラ、誰カガ 家主ニ 指摘スル マデ ソレガ 普通ダト 思ッテイタ。

ハーラン博士: それでどうした?

SCP-4357-0-A: 気持チ悪イト オモウナ、我々ガ 食ベタノデハ ナイ。ヒューガ 罠ヲ 仕掛ケタ。

ハーラン博士: 食べ — そんなこと一言も言ってないさ!

SCP-4357-0-A: ソウ 思ッテイタ ダロウ。

ハーラン博士: 何だ、つまり君はテレパシーが使えると?

SCP-4357-0-A: ソウ。

ハーラン博士: 待って、本当に? 君の種族にはテレパシー能力があるのか? 実験をしなければ、ちょっと待っててくれ。プロトコルも全体を……

SCP-4357-0-A: アア イヤ 違ウ、ルディ、皮肉ヲ 読ミ取ッテクレ。私ハ カラカッタ ダケダ。

ハーラン博士: そうだったのか。それはすまなかった。

SCP-4357-0-A: 申シ訳ナイ。

ハーラン博士: とにかく、デネヒーが罠を仕掛けたんだね? どういう種類の罠なんだい? 粘着性のなら無視され続けてるし、私は殺すタイプの罠は好きじゃない。

SCP-4357-0-A: アア ナント ネズミハ 戻ッテ クルノカ?

ハーラン博士: そうだね。

SCP-4357-0-A: ディック ニ 対処スル ヨウ 頼メナイカ?

ハーラン博士: あー、いや、その、予算に余裕がなくてね、それに彼が駆除業者を呼べるとは限らない。

SCP-4357-0-A: ラジエーターハ ドウナンダ? ココハ 今モ 私ニ トッテ 心地ヨクテ 暖カイ。

ハーラン博士: 配管工を呼べるとも限らないんだ。窓も閉めておかなきゃならない。理由は分かるだろ。秘密サイトだからさ。

SCP-4357-0-A: ツマリ 君ノ 家主ハ ネズミガ ハビコル カビノ サウナニ 君ヲ 住マワセテ イルノカ。ダカラ イツモ 疲レキッテ イルノダナ?

ハーラン博士: えっと。これでインタビューは終わりかな。

インタビューログ4357-0-A_2016-01-19

インタビュアー: ルドルフ・ハーラン次席研究員

ハーラン博士: すまないが、今日のインタビューは短くしないといけないんだ。君の種族の孵化と成長のサイクルをもう少し教えてもらえるとありがたい。

SCP-4357-0-A: ナンテコトダ、ルディ、ヒドイ 姿ダ。

ハーラン博士: ああ、平気さ。

SCP-4357-0-A: イヤ 私ハ 真剣ダ、何ガ アッタ?

ハーラン博士: 私は…… いや、そうだ、君の幼生期は水生なのだろう? 乾いた土地に移った瞬間に性成熟に達するのかい? それとももっと成長してから?

SCP-4357-0-A: ルディ、私ニ 話シテ。

ハーラン博士: あー。その、ね。ここでの仕事は忙しいんだ。楽しくもある! ただ私にはあまり、えっと、他の事に割く時間がない。特に "面会禁止" の方針で難しいのは…… あー、いや、君の種族はよく長期的な交配ペアを形成するだろう。それは繁殖が成功する可能性を最適化するためかい? それとも何か社会的な理由が?

SCP-4357-0-A: 我々ハ 死ヌマデ ツガイト ナルノガ 普通ダ。理由ハ タクサン アル。人間モ ソウ ナノダロウ?

ハーラン博士: まあね。ああいや、必ずしもそうとは限らない。つまり、予測上はそうだけど、実際にはもっと複雑なんだ。色々と…… まあ、とにかく、君の種族はオスよりもメスのほうが大きい傾向にあるよね。それが社会での役割の違いに影響しているのかい?

SCP-4357-0-A: 君タチ 人間ハ 性的二型ヲ 真面目ニ 受ケ止メ スギテイル。人間ノ 恋愛ハ トテモ 面白イ。『高慢 ト 偏見』ヲ 読ンダ コトハ アルカ? 今マデ 見タ中デ 一番 面白イゾ。

ハーラン博士: その本なら好きだ。

SCP-4357-0-A: ソウ 私ハ 人間ノ 心理学ヲ タクサン 学ベルホド 十分 長ク 君タチヲ 研究シテ キタ。実際ニ コノテーマノ 会議デ 何回カ 講演シタ コトモ アル。

ハーラン博士: 君は我々を研究しているのか?

SCP-4357-0-A: 言ウマデモ ナイ。ナゼ 私ガ コノ場ニ 何度モ 戻ッテ クルト 思ウ?

ハーラン博士: それは…… いや、何でもない。この話に何の関係が?

SCP-4357-0-A: 人間ノ 心理学ニ 対スル 私ノ 深ク 徹底シタ 洞察力ガ 教エテ クレルノダ。君ガ 決シテ 科学的 好奇心 ダケ カラ 我々ノ ツガイノ 習慣ニ ツイテ 尋ネテ イルノデハ ナイ、ト。

ハーラン博士: それはその、えっと。ここでは来客を迎えるのも、家族で暮らすのも許されていない。それに、忙しくて外出する時間もあまり取れやしない。そして私の妻には、いや、彼女には……

ハーラン博士が額を両手に乗せ、18秒間沈黙する。

ハーラン博士: 彼女には無理だった。さて、そっちの地球のアカデミアについてもう少し話そうか。つまり、君は科学者なんだね?

SCP-4357-0-A: オオ、ソレハ スマナカッタ。引越シハ デキナイノカ?

ハーラン博士: 一応はできる。けどディックが — あー、ジョルダーノ博士がここにスタッフを必要としているんだ。

SCP-4357-0-A: アア。マア デモ 少ナクトモ 彼カラ 無料デ 家ヲ 借リテ イルノダロウ。

ハーラン博士: その。

SCP-4357-0-A: アア マサカ、ルディ、本当ハ コンナ 劣悪ナ アパートノ 家賃ヲ 払ッテ イルノカ?

ハーラン博士: 安くはしてもらっているさ! あの、まあ、とても安いんだよ。

SCP-4357-0-A: 君ノ 上司ハ 君ガ カビダラケノ 最悪ナ アパートデ 離婚スル トイウ 特権ノ タメニ 金ヲ 払ワセテ イルノカ。

ハーラン博士: 何か、君のそういう言い方は、その、聞こえが…… 悪いんだ。とても。

SCP-4357-0-A: ルディ、私ハ 君ヲ 気ニイッテイル。君ガ 私ヲ 家カラ 追イ出サズ、匂イガ 消エル 前ニ 引越シテ クレテイタ ナラ、私ハ 君ヲ 友達 ト 呼ンデイタ ダロウ。ダガ 理解シテクレ、私ニ 言ワセレバ ソンナ 光景ハ 端カラ 見テ 滑稽デシカナイ。

ハーラン博士: それは…… ああ。そうだね、分かった。

SCP-4357-0-A: サア。友ヨ。家ニ 帰ッテ 少シ 考エテ ミテクレ。

ハーラン博士: ここが家だよ。私はこの廊下の2軒先に住んでいる。

SCP-4357-0-A: ハハ ソウダナ、承知ノ 上サ。

2016/1/20にハーラン次席研究員が財団を離脱し、市民生活に戻って以降、インタビューは実施されていません。インタビューは秘密サイト-102に新規スタッフを十分に配置してから再開する予定です。

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