SCP-4363
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アイテム番号: SCP-4363

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-4363およびその複製3件(2件はビニール盤に、1件はDVDにデジタル化済)は標準Safeクラス収容ロッカーに保管されなければなりません。対象をSCP-4363-A状態にすることや、SCP-4363を他の情報媒体に移すことを含むあらゆる実験は、オブジェクト担当者の事前の同意を得なければなりません。

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試験中のチャンバー内に置かれた、SCP-4363を収容しているビニール盤。

財団管理下のボット(I/O-INSOMNIAC)はウェブ上を走査し、SCP-4363の複製や関連する異常な影響を監視しなければなりません。機動部隊オメガ-31("スティッキー・フィンガーズ")はさらなる拡散を防ぐべく受信レポートの調査やSCP-4363を収容するメディアの除去を行い、同様にこのアノマリーの潜在的な犠牲者や配布者を確保する任務を負います。

SCP-4363の影響を受けた人物はサイト-224の医療棟に置かれ、生命維持装置に接続されなければなりません。人物の健康状態はサイトの医療班によって監視され、その脳活動は特殊装置を使用して分析されなければなりません。

説明: SCP-4363は、主に風音や反響する足音で構成される認識災害性の録音記録です。時折、他の音声も聞き取れます。例として、遠距離からの声、炎の燃える音、およびカラスの鳴き声が含まれます。これらの音声の量やタイムスタンプは実例によって異なり、SCP-4363の内容は各視聴ごとに少しずつ変化していると結論付けられました。SCP-4363は特定の作用時間を有しておらず、手動で停止されるまでループ再生されます。SCP-4363から再生されるものに合致する音声をサウンドエフェクトライブラリより発見する試みは失敗の結果に終わりました。

SCP-4363を聴きながら入眠した場合、その人物は昏睡状態に類似した状態(以下SCP-4363-Aと呼称)に入ります。この状態の間、その人物は特筆すべきほどに鮮明な明晰夢を経験します。この明晰夢の内容は様々ですが、全事例1で細部が多く共通しています。同期間に異常な影響下にある人物たちは、SCP-4363-A中に相互認識と交流が可能です。

影響された対象を外部から除去する試みは必ず失敗に終わります。しかし、SCP-4363の作用時間は被影響者自身によって決定されているように思われます。試験対象はSCP-4363-Aから離れようと考え、その思考に集中することで覚醒したと陳述しました。現時点で理由は不明ですが、SCP-4363-Aに入ったごく一部の人物2は離脱できず、無期限にSCP-4363の影響下にあります。

補遺4363.1.発見ログ: SCP-4363はイリノイ州の███████の街に位置する五つ星ホテルにて最初に発見されました。宿泊客の一部が要注意団体「マーシャル・カーター・アンド・ダーク」に関連しており1件以上の異常物品を所持しているという予測によって、財団エージェントらが調査のため事前配備されていました。

2019/06/24、財団は前述の宿泊客が無意識状態でホテルの従業員に発見されたことに気が付きました。この従業員は、長時間にわたって宿泊客らからの行動がなかったために彼らの状態を確認しに来た人物でした。全人物は、自身の部屋内のベッドに寝ている状態で発見されました。加えて、SCP-4363を再生しているビニール盤も同様にそれぞれの部屋より発見されました。SCP-4363影響下の対象は合計5名発見され、うち3名は上院議員██████・███、大司教████████・████・██、および██████████████・███社のCEOであるとその後に特定されています。またその全員が、「マーシャル・カーター・アンド・ダーク」の顧客であることが確認されました。別々の部屋に宿泊していた残りの対象2名は、同要注意団体の販売員と推定されました。

財団エージェントらが現場に到着して数分後、人数と火力両面において彼らを上回る集団がホテルに進入しました。彼らはMC&Dに資金提供を受けている民間軍事会社「コヴェナント」のメンバーらであると特定されました。部隊はかろうじて戦闘を回避し、「SCP-4363影響下の対象の返還と引き換えに、現場の財団職員はSCP-4363入りのビニール盤を保持する」という内容の協定を締結しました。そのホテルの従業員および周辺地域の住民には後にBクラス記憶処理が施されました。

補遺4363.2.実験ログ: SCP-4363の異常性の発見に続き、SCP-4363-Aのさらなる調査のための実験が行われました。予備試験の結果に基づき、明晰夢および高位記憶保持を訓練した経歴のある4名のDクラス職員(D-4363-1から-4に指定)が選出されました。記憶を最大限に高質化するため、試験に先立って全対象者はYクラス記憶補強薬を投与され脳活動の分析を目的とする装置が置かれた特殊チャンバー内に配置されました。数分後、SCP-4363は再生開始し対象者らは入眠するように指示されました。

対象者らの覚醒と事後インタビューに続き、彼らの経験についてのそれぞれ著しく異なる説明が記録されました。

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D-4363-1によって観測された地点のコンセプトアート。

対象者らは暗いオフィスルームで意識を取り戻す。旧式のタイプライター、古風な書類棚、および広域にわたる空気圧式郵便システムが観測される。D-4363-1は、外部が見える小窓から外を見て、外は夜間であり大雨が降っていると結論付ける。視界はガラスに流れ落ちる水の流れによって遮られているが、街の灯りがそのオフィスが高層ビルに位置していることを示唆している。

対象者らはさらにその場所を調査する。窓から消えゆく光以外に光源はない。部屋の中にはランプがあるが、対象者らスイッチを見つけることができない。D-4363-1は周りの全てが灰色で色を失っているようだと言及する。

彼らはテーブルに着く人物に気が付く。対象者たちは近づくと、顔のない女性に類似する白い人間型の死体が、椅子にもたれかかっているのを発見する。顔中に鮮やかな赤の口紅が塗りつけられ、突き立てられた鉛筆が喉の傷から突き出ている。古風な格子柄のドレスが、胸の辺りで破けて大きく開いている。テーブルの近くにて、対象者らはビジネススーツを着た人間型の死体が床に倒れているのに気が付く。頭部はひび割れており、複数の負傷が身体に観察される。死体は血まみれのタイプライターの横に置かれている。

対象者らは前進して「部長室」と書かれた扉に近づく。半透明の曇りガラスにはヒビと衝撃の痕跡がある。窓の反対側は血にまみれている。

対象者らは、扉の向こうに別の女性の人間型存在がテーブルに倒れているのを見つける。その服は引き裂かれており、身体に多くの傷が観察され、恐らく鉛筆やコンパス、ペーパーナイフなどの文房具で突き刺されて苦しんでいたと思われる。臀部にはベルトで叩かれた跡がある。部屋の窓は割られている。対象者らは前進し、D-4363-1は誤って床の目立たないワイヤーにつまづく。そのワイヤーは椅子に取り付けられたレコードプレイヤーに繋がっている。機器が起動して再生を開始し、対象者らは女性の叫び声や叩かれる音、そして男性が罵倒して叫ぶ声を聞く。

突然、大きな雑音と共にカプセル空気供給管を通ってやってくる。D-4363-1はそれを開き、タイプ入力された上から鉛筆で取り消し線を引かれたメモを発見する。

> ジェーンへ、私は君に、弁護士たちはスタージス社の中身を全部引きずり出すことが出来たと話したい。だから君はこんなことに関与しなくてもよくなるだろう。融資は完全返済されたが、私たちはこれ以上歩合から何も得られないだろう。会計部門からの確認文書を待て、そして確保したら私に折り返してくれ。今は非常に忙しいから構っていられないだろう。既にゴードンに今そのミーティングに向かっていると伝えてある

部長

対象者らは、重い足音と速い呼吸音が合わさった走る音声を聞き始める。その音声は部屋に反響しておりその発生源は不明だが、D-4363-1は発生源が遠くから近づいてきていることに気づく。対象者らはホールへと走って出ていき、部屋の反対側から階段を上ってくる男に出会う。その不明人物は血まみれのビジネススーツを着用しており、千枚通しを持っている。何枚かのプリントされた紙で作られた原始的な仮面が頭部に貼り付けられているためにその顔は隠れており、その仮面には笑顔を象った目の穴と切り込みがある。

不明人物は静かに対象者らに近づき始める。彼らはホールの反対側に向かって逃げ出したものの、その先には端が見えない。相当な時間の追跡が続き、D-4363-1はテーブルの列があるオフィスルームに端がないように感じる。不明人物は徐々に近づき、特筆すべきほど遅いスピードで歩いていたにもかかわらず対象者たちに追いつく。オフィスホールの端が目立つようになり、彼らは壁に多くのエレベーターの扉があるのに気づく。D-4363-1は自分たちが追い詰められたことに気づき、そのドアのうち1つを開けようと試み、しかし失敗する。仮面の人物はすぐに対象者らに近づき、D-4363-4の襟を掴んで千枚通しでその腹部を何度も突き刺す。D-4363-4は崩れ落ち、その傷から血があふれ出ると共に叫び始める。

まもなくいくつかのエレベーターが到着し、扉が開いて中から出る光が部屋を照らす。黒い帽子と外套を着用した集団が、ピストルやショットガンを装備してそれぞれのエレベーターから走り出てくる。彼らはそれぞれ金色の三角形の警察バッジをベルトにぶら下げている。

警官隊は銃器を仮面の人物に向けて発砲する。オフィスの物品と紙が銃撃によって宙を舞い、タイプライターとランプがバラバラに砕け散る。不明人物はテーブルの間に隠れてリボルバーで撃ち返し始める。2名の警官が殺害されてより多くが負傷し、同僚によってエレベーターに引きずられ下の階へ送られる。彼らの内の1人がD-4363-4を掴んで何かを叫び(D-4363-1は全く聞き取れなかった)、エレベーターに投げ入れて他の試験対象者らを呼ぶ。D-4363-1は他の人物と共に入って、扉を閉めレバーを下ろす。叫び声が響き渡る中、エレベーターは暗闇の中へと下って行く。

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