アイテム番号: SCP-4373 | レベル4/4373 |
オブジェクトクラス: Euclid | 機密指定 |

SCP-4373-1実例が発見された外洋域。
特別収容プロトコル: 特別収容プロトコルは2020/08/25以降に更新されました(補遺4373-2を参照)。クジラ下目1の全世界における個体数は、7000万頭未満に抑制されています。財団は、個体数水準がこの閾値に近づくするのを防ぐために、これらの種の商業捕鯨の継続を支援します。海洋系機動部隊に発見されたSCP-4373-1実例は、回遊パターンの研究のためにGPS追跡装置を取付けられるか、実験のために財団の管理下に置かれます。全てのSCP-4373-1実例は実験後に終了されます。

SCP-4373-1実例。
説明: SCP-4373はクジラ下目の生物が意思疎通する、もしくはエコーロケーションを行うことによって発する鳴き声に見られる特定のパターンです。全てのクジラ下目の生物は、実験でSCP-4373を利用していることが観察された一方で、管理外においてそのようなことを行っていることが判明しているのはその内の22%です。SCP-4373はそれを聞くサメ上目2の生物を麻痺させ、通常窒息や捕食によって死に至ります。SCP-4373の影響は、音の発生源から遠ざかるほど減少し、約100mを過ぎるとほぼ効果は無くなります。SCP-4373による麻痺は永久ではありませんが、殆どのサメは可動性を取り戻す前に死亡します。
野生においてSCP-4373の使用が発見された、もしくは実験で使用するために訓練されたクジラ下目はSCP-4373-1実例として指定されました。これらのクジラ下目は、主に獲物としてサメを狩ったり、捕食性のサメを撃退するためにSCP-4373を利用します。ミンククジラなどのサメを捕食せず、サメに捕食されないクジラ下目は、同じ食糧源のための競争においてサメを無力化するためにSCP-4373を使用することが観測されています。
ハクジラ亜目であるSCP-4373-1実例の解剖を行ったところ、メロン3における音の伝達速度が測定密度から許容される値を超えていることが発見されました。他の種を対象とした研究は十分に行われていないため、SCP-4373がクジラ下目の各種に与える生理学的な影響は未判明です。
SCP-4373は急速に拡散し、SCP-4373-1実例の総数が増加するにつれて加速的にクジラ下目に影響を与えます。SCP-4373-1実例が世界個体数水準の7000万頭以上に到達した場合、SCP-4373は非異常のクジラ下目とでさえ共鳴するのに十分なほど拡散することになります。これにより影響を受けたクジラ目の群れから500km以内に存在する、クジラ目以外の全ての海洋生物に致命的なカスケード効果を引き起こします。
補遺4373-1: 発見 SCP-4373はシロイルカの群れにおいてGOI-18135'サメ殴りセンター'によって最初に発見されました。発見以来、GOI-18153は'鮫科殴打'と呼ばれる戦闘の儀式的形式でサメと戦闘するという主な目的に使用するため、SCP-4373-1実例を雇用しました。正確な発見日時はSPC諜報員が"鮫科脅威に対する数十年に亘る共通鈍力的正義を越える、素晴らしいノイズを学んだ"(原文ママ)とのみ述べ、日時を明確にしていないため不明です。
2018/02/14、SCP-4373実例で見られたSPC構成員が捕縛され、尋問のためにサイト-1894に移送されました。以下はSPCエージェントの捕縛前、サイト-189に向かう途中の財団潜水艦で記録されました。
インタビュー記録4373-1:
インタビュー対象: コーチ・ベイ・ラッセル、確保されたサメ殴りセンター構成員。
インタビュアー: マイケル・グルームズ研究員
前書き: コーチ・ベイ・ラッセルは、SCP-4373とその制作物の中のGOI-18153関連物品と考えられるものに関する尋問のために連行されました。
<記録開始>
グルームズ: あなたは何時気が付くようになりましたか、この……音に。
ラッセル: は?
グルームズ: サメを麻痺させるもの、あなたを連行する際、あなたはそれを利用するネズミイルカを持っていました。
ラッセル: ああ、SPC-3930のことか?
グルームズ: それがあなたの組織での呼び方ですか?
ラッセル: そう思うが……あんたはそいつについて知りたいのか?えーとだな……ある日俺は忌々しいハンマーヘッドどもに対抗するミッションから戻ってきたばかりで、あいつらはネズミイルカの赤ちゃんでいっぱいの水槽を持ってたんだ。あいつらが言うには、ネズミイルカは試験目前の新しい反サメ兵器だと。だから俺はそん中の1匹を選んでジョージィって名付けてな、訓練を始めたわけだ。
グルームズ: つまりこれはネズミイルカ、ジョージィを連れていたときと。
ラッセル: ああ、そん時のあいつはただの子犬だったが、あいつの両親も計画に参加したってのも聞いたな。
グルームズ: つまりあなたの組織は少なくとも2世代のネズミイルカを使っていた……ジョージィはすぐにSCP-4373を使用しましたか?
ラッセル: そうだ。数か月かかったが、最終的にジョージィが命令通りSPC-3930を出せるようにできた。その後は……俺の仕事がグッと楽になったと言っておこう。ジョージィに会う前はオオメジロザメに苦戦していたが、会った後は突然ホオジロのクソ野郎と戦えるようになったんだ。
グルームズ: しかし……それに意味はありますか?
ラッセル: なんだって?
グルームズ: あなた……あなた達はもうほとんど死にかけのサメを殴っているのでしょう?
ラッセル: つまり?
グルームズ: どうしてあなた達が'鮫科殴打'として機能停止したサメを殴っていると考えているのかと困惑しているのです。
ラッセルは困惑しているように見える。
ラッセル: 先生……俺達はサメ殴りセンターだ。サメレスリングセンターじゃない。どうやってサメの顔に拳がたどり着くかなんて気にしない、ただそれだけさ……昔ほど楽しいもんじゃないけどな。
グルームズ: どうしてですか?
ラッセル: と言うか、あんたが言ったような通りさ。サメでさえもう反撃しない。昔は毎日生きるか死ぬかだった、迸るアドレナリンはあんたが信じられないほどだったろう。だが、その後SPC-3930がやって来る、サメはまるで……そこに浮いて殴られるのを待っているようだ。その顔に不気味な表情を浮かべ、座っているアヒルのような演技をしているようなもんさ。
グルームズ: 表情?
ラッセル: そうだ、こう……あいつらがSPC-3930を聞くたびにこの表情をする、それは……説明しにくいが、気味が悪い。そんな顔は全く見たことがない。ま、人間に殺す気でぶん殴られて突然動けなくなったら、俺だってびっくりするか。
ラッセルは笑い、後ろを振り返る。
グルームズ: 興味深い……あなたが気づいた他の影響はありませんか?
ラッセル: あー……麻痺以外はマジでないな。だが……
ラッセルは話し続けるのを少しためらう。
ラッセル: 先生、今までにパターン・スクリーマーって呼ばれてるやつのことを聞いたことはないか?
グルームズ: お答えできません。
ラッセル: ああ、わかった。時々担当のやつらが言ってるのを聞いただけなんだ。なんて意味なのかはマジでわからないな。
ラッセルは肩をすくめる。
グルームズ: 他に何かこれら……"パターン・スクリーマーズ"、もしくはこれと……SPC-3930との関係について何かご存知ですか?
ラッセル: あー……知らない。
グルームズ: わかりました、ではジョージィについてもっと話してください。
ラッセル: ジョージィ?俺はジョージィを愛しているよ!あいつはまるで……そう、あいつはかわいくてちっちゃいネズミイルカの顔をしているんだ。例えば、俺がサメ殴りや他のことで落ち込むときはいつでもあいつを見る、するとあいつは俺をいい気分にしてくれるんだ。あいつは最高だ!
グルームズ: 他のネズミイルカとは異なる行動について気が付いたことはありませんか?
ラッセル: わからない。海洋生物のエキスパートじゃ全くないんだ。センターで働き始める前はコンピューター・エンジニアリングの学位を取ったもんだ。あんたは俺たちの研究者の誰かに聞くべきだ。俺達は海洋生物学者をたくさん雇ってるから、そん中の1人なら多分答えられるだろうよ。
グルームズ: 他に私達へ話したいことは?
ラッセル: 特にないかな……もう出てってもいいのか?
グルームズ: もしもあなたが何も言わないのならそうです、しかし私達はあなたの上司にコンタクトを取る予定です。
<記録終了>
完了報告書: この事案以降コーチ・ラッセルは記憶処理を施され、サメ殴りセンターに戻りました。SCP-4373-1実例は終了されました。
補遺4373-2: 共鳴カスケードイベント(事案-4373-A)
2019年、海洋保護団体の努力によってクジラ下目の総数は7000万頭を越えました。2020年6月24日、サイト-189は400km離れたザトウクジラの群れから発せられたソナー信号を検出し、その後群れ周辺地域で非クジラ下目の海洋生物が大量死しました。機動部隊シータ-5("大船")の船舶が群れの地点に派遣されましたが、到着しませんでした。短期調査の後、船舶は財団の航空機によって乗組員の存在しない状態で発見されましたが、それ以外は損傷を受けていませんでした。乗組員は回収されませんでした。
影響を受けた海洋生物を部分的に補充するために、クローン作成補充計画が大量死に応じて実行されました。産業公害を死因とするカバーストーリーが流布され、影響を受けた市民団体にAクラス記憶処理が施されました。SCP-4373の収容プロトコルは、再収容の確認後に現在の状態に更新されました。
イベント直前に記録されたクジラの鳴き声の記録は以下の通りです:
補遺4373-3: GOI-18153"サメ殴りセンター"との往復書簡
インタビュー4373-1及び事案-4373-Aに続き、複数の海洋アノマリーに関係する主任研究員のボリス・ヴィラコヴァはコーチ・ラッセルが提供した情報を確認するためにGOI-18153に連絡しました。その電子メールの応答は以下に転写します。
宛: ボリス・ヴィラコヴァ博士
送: チャールズ・プリンス
確保・収容・保護財団の名誉ある構成員へ、
我々の2つの組織は過去に対立していたが、それでも我々は君たちと君たちが我々のためにしたことに対して強く敬意を表す。我々がどのように秘密の核攻撃能力を持っているのか、高リスクの鮫科殴打実験のために隠された月面基地を持っていること、もしくは大いなる殴打者は実はヒヨコであることのような本来語るはずのないセンターの秘密が存在する。しかし、私はこれに関して君たちに説明する義務がある。だから私は外に出て、それを打ち込もう。SPC-3930、それはパターン・スクリーマーズだ。
君たちは我々に幾つか質問があると思うので、私はできる限り答えようと思う。SPC-3930を発明したのではなく、発見しただけである。それを使用することができる最初のクジラは、丁度ロシア北部のベルーガの群れだった、しかし当時サメだけでなくあらゆるものに影響を与えていた。ご存知の通り、これらパターン・スクリーマーは古めかくて恐ろしい触手の怪物ではない、それよりももっと抽象的である。それらはパターンを含むものに存在することができ、歌、クジラの歌でさえただの音のパターンである。スクリーマーがどのようにクジラになったのかわからないが、我々は常により発達した秘術的殴打技術を探し求めているため、言うまでもなく魅了された。
我々は幾つかの実験を行い、不思議なほどに効果があった。あー……数人のエージェント以外の人員は十分な防音をしていなかったため、彼らはそれを聞いて、大海に沈んで溺死した。我々は結果に驚いたが、我々の仲間を多く失いすぎないように機能させる方法が必要であることをわかっていた。簡単な解決策はないように思える大きな問題だったが、我々は最終的に打開策を発見した。我々はパターン・スクリーマーズと交流する方法を見つけた。我々は彼らが交流しようとするためにSPC-3930を使用していたことに気づき、我々はメッセージを復号する方法を解明する必要があった。
我々は取り掛かるとすぐに、これらパターン・スクリーマーたちに問題があることを理解した。まあ、私は実際に彼らをある種気の毒に感じた。彼らは存在しないか、あるいは我々と同じ方法で存在しないだけかもしれず、我々の存在は彼らにとって非常に苦痛である。彼らは君たち財団も嫌っている、とても。しかし、我々はSPCであるため、あることを知っていた。パターン・スクリーマーズがどれほど悪い存在だったとしても、サメはもっと、もっとずっと悪いことを。もしも我々が彼らの'絶え間ない苦痛'全体について緩和させられれば、彼らは我々を殺そうとしなくなるだろうと考えた。更に、我々は鮫科殴打よりも人々とエルドリッチホラーたちを幸せにするものはないと気づいた。だから、パターン・スクリーマーズにサメを殴る方法を教えた。彼らの存在しない、ニュートリノよりも小さな拳は本当に効果的な反鮫科兵器である。
そうやって、数年の交流の後に我々はサメだけを攻撃するようにどうにか説得した。そう、我々は潜在的な黙示録を止めたのだ。どういたしまして、確保・収容・保護財団。
- チャールズ・プリンス、すんばらしい議会
補遺4373-4: GoI-18153: "サメ殴りセンター"脅威レベル評価
サイト-189はSCP-4373収容手順の更新以降、将来における全てのSPC活動物のための監視基地として再指定されました。GoI-18153を"抑制考慮"状態に上げる要求はO5審査後に拒否されました。
補遺4373-5: GoI-18153音声ファイル
添付の音声ファイルは、北極海グリーンランド西海岸沖でSPC作戦に関する偵察任務中に、サイト-189によって録音されたものです。