SCP-440探査記録A
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探査#440-A: 動物収容室#42
探査員: D-23467
日時: ████年6月7日

浮遊性のSCP-440の密度の増加によって外部観察が困難になったため、D-23467が動物収容室#42に送られました。D-23467は財団標準化学防護服を着用し、防毒マスク、懐中電灯、圧縮空気キャニスターを装備しています。

自動放送: 外部環境ドアは封鎖されました。収容室ドアを開きます。収容室へ進入可。安全で良き一日を。

D-23467: 本部? 聞こえるか?

█████████博士: はっきり聞こえる、デルタ。エアロックから何が見える?

D-23467: えーと、よく見えない、本部。ドアが開いた時に酷い砂煙が立った。[圧縮空気の発射音] 本部、岩の群れが浮いてるのが見える。大量の砂が吹き回ってる。でも近くには岩はない。

█████████博士: 収容室に入れ、デルタ。何が見えるか報告しろ。

D-23467: やっぱり入るのか、本部。嫌というわけでは……ああっ!

█████████博士: 報告しろ、デルタ!

D-23467: ああ、すまない。何も問題ない。ここは、ゆっくり注意して[唸り声]、歩かないと。1歩ごとにこの物質が巻き上がるから、放っておけばこれはほとんど砂の上に落ちることになるんだと思う。この屑を蹴立てないように、何というか、ガチョウみたいな歩き方をしなきゃならない。[沈黙] ここは安全だと保証できるのか、本部?

█████████博士: 完璧に安全だ、デルタ。自由に進め。何メートルか前に静止した物体が幾つか見えるな。それを調べて貰えたら嬉しいのだが。

D-23467: 承知した、本部。[唸り声が続く] あんた等は排気口かどっかから空気を送り込んでるのか?

█████████博士: いや、デルタ。なぜそんなことを?

D-23467: あー、この物質が周りに浮かんでるだろ? それに流れがあるんだよ、本部。浮かんだ小川みたいだ。何か可愛らしくもあるが、いくぶん……いや、分からん。雲か何かみたいに散ってるんだろうか?

█████████博士: 分からない。静止した物体は見えないのか?

D-23467: [微かな摩擦音]……と、川の一つを通り抜けた。とてもゆっくりした砂吹きの中を歩いてるみたいだ。[沈黙] あ、何か見えた。おお……あれは奇妙だ。

█████████博士: 報告しろ。

D-23467: ええと……家の近くの砂漠にある、大きな蟻塚の一つみたいなものが、空中に浮かんでる。[沈黙] 本部、これは太い砂の紐で地面と繋がってる。その、えーと、大きな岩は周囲がこのくらい[30cm]で幅がこのくらい[45cm]だ。その上を虫みたいなもの[SCP-440-1]が走り回ってる。それは……少し回転してるし、上下運動もしてるみたいだ。[沈黙] あんたはこの物質は浮かんでるって言ったと思うが、本部。一体何であれは飛んでかないんだ?

█████████博士: それこそお前がそこにいる理由だ、デルタ。

D-23467: [呻き声] 仰せの通りに、本部。紐の根本に近づいてみる。

D-23467は20分間、物体の基部に近づこうと試みる。物体が不規則に動きまわるため、D-23467は立ち止まってうつ伏せになり、その基部に向けて這い進む。 大量のSCP-440が視界を妨げるため、D-23467は何度もSCP-440が分散するのを待つ必要があった。

D-23467: よし、終に。おお、すごい……

█████████博士: 報告しろ、デルタ。

D-23467: 俺は間違ってた、本部。岩は砂で地面に繋がってるんじゃない。███の山みたいな量の塵虫が、あの全体が飛んでくのを抑えてるんだ。砂の中にはこいつらが何十匹もいて、そいつらが1匹の上に掴まって、またその上に掴まって、ちょうどジャングルのアリが塊になって橋を作るようなことをしてるんだ。[沈黙] おお、これは面白い……虫が岩のてっぺんをあの砂の流れに差し込んでるみたいだ。多分あれは食事を――[大きな衝突音] 畜生、████!

█████████博士: デルタ! 何が起きた!

D-23467: 浮かんでる岩が虫の鎖にぶつかったんだと思う、本部。糞、見えない! 砂しか見えない! 何かがこの████なスノードームにぶつかった! ここから出せ! ████なエアロックはどこだ?

█████████博士: 否だ、デルタ。方向感覚を取り戻して周囲の440を除去するんだ。報告しろ、デルタ。

D-23467: [荒い呼吸] 俺は虫の鎖を見てた、本部。するとどこからともなく拳くらいの岩が飛んできて、その真ん中にぶつかった。虫はぶち抜かれて、その全体が飛び散った。俺が急いでここを出るのは無理そうだ![神経質な笑い] 本部、あれは浮いてる岩の一つじゃない。何かが投げたんだ。ここにはまだ何かあるって言うのか!? あんたは虫のことしか言わなかったよな、他に何がいるんだ?

█████████博士: それこそお前がそこにいる理由だ、デルタ。何か見えるか?

D-23467: [圧縮空気の噴出] ああ、本部。少しだけ。何か雲のような……ああ、本部、もうここに虫以上のものを飼ってるのか。3匹の、何だ、岩のイカみたいなものが見える。投げた犯人を見つけたみたいだな。触手みたいなものを塵虫の岩に巻き付けてる。ち……近づかないといけないか? ここからではあの████は見えないけど……

█████████博士: ああ、デルタ。できるだけ近づけ。

D-23467: 俺は砂でできたイカを見ているただ一人の男だって言うんだろ? 本部。分かったよ。████な話だが近づきたいだけ近づくつもりだ。[唸り声] あのイカ共は虫の住む岩を粉砕してるように見える、本部。俺は近くに手をついてるわけじゃないが、奴らはあれを食べてるんだと思う。粉砕機に岩を放り込んだ時みたいな音が聞こえる。虫は抵抗しようとしてるように見えるが、無意味みたいだな。俺は科学者じゃないが、イカが岩を投げつけたのは、仕事をするのに十分に長く虫を脅かしておくためだろうと思う。[沈黙] おお、あれは、本部……他にもこういうものがある。

█████████博士: 何だ、デルタ?

D-23467: あの岩の鎖だよ。さっきまでは塵が山程漂ってて見えなかったんだ。塵虫の巣か何かだと思う。ここからは最低でも6個見えるが、ここにある何本かの砂の流れを越えてもっと歩かなきゃならんと思う。別の岩イカがいくつか周りを飛び回ってるのも見える。[沈黙] ああっ、イカが虫の岩を片付けちまった![喘ぎ] 奴らは俺を見てるぞ、本部! 撤退の許可は?

█████████博士: 否だ、デルタ。そいつらが何を求めているのか確かめろ。

D-23467: ああ、言うのは簡単だがな、糞ったれめ。お前はこんなものに直面しようとしてるただ一人の男じゃないから――[沈黙] 奴らはただ……見ている。俺の周りのいくつかの岩を使って周囲を回ってる。奴らに目はない。少なくとも俺が見ている奴らには。奴らの全長はこのくらい[70cm]みたいだ。誰かが砂で作り上げたタコみたいだ、本部。だけど……一体どうしてあんな液体みたいに? 岩はあんな……岩はあんな風に――[罵倒] ████が俺に砂を吹き付けやがった、本部。今は████ほども何も見えない。イカが墨で████をするみたいに、奴らは砂で████をやったんだ。[圧縮空気の音] ああ、よかった。前が見える、本部。エアロックに戻る許可をくれ。今ので空気を使い切っちまったし、圧縮空気なしで砂嵐に突っ込むつもりはない。

D-23467は無事にエアロックに帰還しました。標準プロトコルに従って、D-23467はエアロック内で服を脱ぎ、全てのSCP-440の粒子を除染した後でDクラス宿舎に戻されました。

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