SCP-440探査記録B
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探査#440-B: サイト-██、大規模原野観察ドーム (LSWOD)
探査員: B-63351 (班長)、D-58243
日時: ████年10月2日

████年9月30日、被験者D-24573は探索中に失踪しました。彼との最後の通信は「見つけた!」という言葉でした。B-6335とD-58243はD-24573の末路を確認するためにLSWODに送り込まれました。D-24573のスーツからの信号を辿り、2名はこの時点まで無事に旅を続けていました。

B-6335: 近くにいろよ、坊主。何かがおかしい。

D-58243: '坊主'は止めてくれよ、ベータ。空気は澄んでるし、岩タコ2の一つも見えないじゃないか。

B-6335: お前が注意を払うようになったら'坊主'は止めてやるよ。440-2は好奇心の強いやつだ。彼らは攻撃的じゃないが、俺達の後ろをずっと付いてくる。よく考えろ。岩タコの群れが付いてこない理由はただ一つ。彼らの嫌う何者かがこの辺りにいるってことだ。

D-58243: そうか。あのバカなデルタはきっと塵虫3の巣に小便を引っ掛けようとして死んだんだろうさ。[ビープ音] 奴はこの砂の流れの向こうにいるようだな。来いよ。

B-6335: 落ち着け、デルタ。これは気に食わない。あの雲の流れを見ろ。あんな流れ4を見たことがあるか? 速すぎるし幅も広すぎる。

D-58243: [嘲り] いや、知ったことじゃない。24573の死体を見つければ恩赦が与えられるんだ。それがルールだろ。

B-6335: 違う。ルールは、俺がちゃんと教えるまでお前がとんでもないことをしないことだ。分かったか?[揉み合う音]

D-58243: 離せよ! 何でお前の言うことなんて聞かなきゃならないんだ?

B-6335: [溜め息] 気づいていないようだから言うが、俺達はもう砂の流れに完全に取り囲まれているぞ。[財団の観察者へ] 本部、聞こえているか?

██████博士: 大きく明瞭に。

B-6335: これは岩タコじゃない、[氏名編集済]。あのデルタを捕まえたものが何であるにせよ、それは俺とこの坊主を狩ろうとしているみたいだな。

D-58243: [自分自身に] ああっ、畜生、畜生、畜生……

B-6335: [D-58243へ] 静かに。[財団の観察者へ] 本部、俺はまだこの砂の流れを引き起こすものの正体を見てはいないが、もし賭けるとしたらこうだ。あれは俺達の周りを回って、SCP-440を掻き立てて煙幕にしているのさ。即席の待ち伏せ攻撃のためにな。[笑い] 獲物を追い詰める必要はない。落ちてこない砂で取り囲めば、獲物は自ら罠にはまるというわけだ。賢い子だ……おい、どこへ行く――

D-58243: [大きく喘ぐ] 糞ったれ! 糞ったれ! 糞ったれ![砂がD-58243のスーツを打ち付ける音の後に切削音が聞こえる。D-58243がもがく音が聞こえ、叫び声が響く]

B-6335: [深呼吸し静かに話す] 本部、デルタ-24573を殺しただろうものをこの目で見た。3匹だ。坊主を助けられなかったことを許してくれ。彼は……あれは彼を見ていただけだったのに、彼はそれを殴りつけた。本能的に。馬鹿な坊主だよ。['馬鹿だ、馬鹿だ'と呟く]

██████博士: 了解した、ベータ。見たものを説明できるか?

B-6335: 大きな奴だ。円筒形で、2匹の全長はおそらくこのくらい[1m]。3匹目はもっと大きくて2mくらいだ。蛇のような形で、胴体は [唸り声] 石でできたT.レックスの骨格の背骨みたいだった。互いに噛み合っていてとても滑らかな動きをしていた。頭は ['馬鹿な坊主だ'と溜息をつく] 頭は普通の浮岩5のように見えた。坊主が殴りつけるまで口の中はよく見えなかったが、木材粉砕機の投入口を思わせるようなものだった。[深呼吸する] 今、小さい方は坊主と遊んでいて、大きい方はただ見ている。推測するに、あれはアルファ個体と未成熟の2個体なんだろう。多分狩りの練習をさせてるんだ。俺が介入する余地は――ああ、何と。

██████博士: ベータ? 報告せよ!

B-6335: [深呼吸する] 大きいやつが俺の上を飛び越えた。本部。腕一本分くらいの距離だったと思う。口は間違いなく木材粉砕機の投入口みたいだった。目は確認できなかった。[身震い] この子は何て滑らかな動きをするんだろう。回転する'歯'以外は完全に無音だった。これが発音手段なんだと思う。先生、俺は……俺はこの美しい奴らが積極的に敵対しているとは思わない。坊主は逃走から闘争に切り替えた……小さい方の1匹もそうしている。[笑い] 彼らを責めることはできない。俺は――[格闘音] うぅっ![衝突音]

██████博士: ベータ?

B-6335: [笑い] 大丈夫だ。大きいやつが尾を戻すときに俺を打ちのめしただけだ。多分 [沈黙] ああ、そうだ。あれが見えるか? あれは多分デルタ-24573の死体だな、先生。[口笛] 思うに、大きな岩蛇は俺に興味を失ったんだな。俺は移動していない。

██████博士: 彼の状態は?

B-6335: 死んでいる。ヘルメットが割れて、漂ってる440で窒息したに違いない。だが身体に傷はない。スーツは完全に駄目になっている。死体は何かの上に覆いかぶさっている。死体をどけてみよう――[囁き声で] ああ、馬鹿な。信じられない馬鹿野郎だ。俺達は観察に送られたのであって、侵害するためでは……

██████博士: 何を見つけた?

B-6335: デルタ-24573はあの蛇の小さいやつを抱え込んでいるように見える。この馬鹿は、子供が捕まえられるところを親が黙って見ているだろうと思っていたに違いない。とんだ間抜けだ。群れで狩りをする……この蛇は集団性動物なんだ、本部。財団はこんなことを許可したのか?

██████博士: すまない、ベータ。君はまだスタッフじゃない。だがオフレコでいえば、それは疑わしい6

B-6335: まあいいさ。これで十分か? 蛇がまた攻撃してくるとは思わないが、もう用が済んだのならば奴らの縄張りから離れたい。この可愛い奴らに俺達類人猿が脅威だと教えることに興味はないんでね……俺達がもう与えてしまった脅威以上は、ということだが。そういうことだ。
……

B-6335は帰還の許可を受け、SCP-440-3の4実体を観察したが妨害は受けなかったことを報告した。エアロックから5mの地点で、彼は這って逃げようとしている姿勢のD-58243の死体を発見した。標準プロトコルに従い、B-6335とD-58243は脱衣し全てのSCP-440粒子の除染を受けた。

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