SCP-4423
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特別収容プロトコル: SCP-4423事象に対する収容プロトコルの開発は進行中です。その間、SCP-4423事象は全て、独特な形態の金縛りに起因するものとして説明されます。

説明: SCP-4423は金縛りを体験する間に出現するTartareanクラス悪魔的実体です。その外見は出現ごとによって異なりますが、声は変わりません(中年男性の音声パターンと一致しています)。

SCP-4423事象の間、 SCP-4423は被害者の部屋へと入り、被害者があたかも幼い子供であるかのように話しかけます。この会話は必然的に被害者の父親の話題になります。被害者の金縛りが解かれると、SCP-4423は部屋を出て消滅します。

報告件数が少ないため(1997年以降に確認された事例はわずか15件)、SCP-4423事象の発生頻度は現在のところ不明です。SCP-4423の被害者との交流の程度は様々ですが、多くの被害者は事象後に精神医学的支援を求めています。

インタビューログ: ジャック・パトリックス研究員は、インタビューの機会を得るために、金縛りを誘発する実験薬の被験者になることを志願しました。思考を合成音声に変換するニューラルインタフェースのプロトタイプと、彼の部屋に設置されたカメラシステムを用いて、77日間の連続テストの後にインタビューが実施されました。

インタビュー映像ログの転写

日付: 2015年10月14日

対象: SCP-4423


[ログ開始]

パトリックス研究員の部屋に設置されたカメラには、パトリックス研究員、ベッド、壁に貼られた数枚のポスターが映っている。

[簡潔にするために6時間削除した。]

ドアが開く音に続いて足音が聞こえてくる。フレーム内に現れたSCP-4423は、パトリックス研究員のベッドの端に座り、膝の上で両手を交差させる。パトリックス研究員を3分間観察した後、SCP-4423はパトリックス研究員の足首に触れ、パトリックス研究員が目を開けるまで足首を振る。

SCP-4423: おい小僧。起こして悪いが話がある。

パトリックス研究員: ハロー。

SCP-4423はわずかに跳びあがる。

SCP-4423: うわあ!ビ、ビックリさせやがって。イカれたおもちゃが他にもあったって訳か?ハッ!

パトリックス研究員: ワタシ。ハ。…ザイダンfoundation

SCP-4423: そうだ。基盤foundationだ。それが俺がおまえに話したいことだ。

パトリックス研究員: アナタ。シッテイル。

SCP-4423: 俺はたくさんのことを知っている。俺のこの古ぼけた角頭にゃあ大量の知恵が詰まっているからな。 [ 実体が自身の角の1つを引っ張る ] 関係性か?あいつらにはしっかりとした基盤が必要だ。

パトリックス研究員: オゥ。ケイ。

SCP-4423: そんで、俺はお前のことを知りたいんだ、兄弟。 今はちょいとばかしの俺たちだけの時間だ、いいだろ?

パトリックス研究員: ナゼ。

SCP-4423: えーっと…あー… [ 咳払い ]

パトリックス研究員: シツモンシテマス。

SCP-4423: 俺を救ってくれたからだ。んじゃあ、いくつか質問に答えながら、何て言えば良いのか考えてみてやる。

パトリックス研究員: ドウヤッテ。アナタ。ウゴク。

SCP-4423: 知ってんだろ。俺の中古のおんぼろ車。今までに36回も学校まで送っていったのに違いねえのによ。

パトリックス研究員: ドコ。カラ。キマシタ。

SCP-4423: おい、お前と同じ高校だろう、覚えてないのか?お前に俺の昔の卒業アルバムを見せてやったじゃねえか。

パトリックス研究員: ソンナ。ホントウニ。

SCP-4423: ああ、本当だ。オーケイ。これで分かったと思うが。お前の父ちゃんと俺?ま、ちょいと前から付き合ってたんだ。分かってる、分かってる、まあ、ずっと前から友達だったんだ。

パトリックス研究員: ウィリアム。

SCP-4423: そうだ、ビルさ。そんで"付き合ってる"って言ったけどさ、あれ、交際してるって意味だからな。

パトリックス研究員: オゥ。

SCP-4423: あー、お前はもう気づいてたかもしれないとも思ったんだが、しかし、俺はこのことについてお前と話したかったんだ。

パトリックス研究員: オゥ。ケイ。

SCP-4423: なあ、俺はお前の父ちゃんを愛していたんだ。あいつは俺が必要だとさえ思わなかった方法で俺を完成させてくれるんだ。[ 休止 ]思春期が終わってから、そのことがもっとよく分かるようになった。

パトリックス研究員: セイテキ。カンケイニ。

SCP-4423: おい、誰がそんなこと言った?ビルがもうお前に話をしてたとは思わなかったな。だが、そうだ。性的にも、だ。

パトリックス研究員: オゥ。ケイ。

SCP-4423: 俺はまるで他人みたいにお前の人生に飛び込みたくないんだ。俺、不倫男になりたくねえんだ。俺はお前の人生の一部になりたいんだ。お互いに前向きな関係でな。だから基盤が必要なんだ。

パトリックス研究員: ドウヤッテ。

SCP-4423: お前のご両親がちょっと前にかなり胸糞悪い離婚をしたのを知っているぜ。お前がママにもしばらく会ってないこともな。彼女の代わりにはなりたくない。俺には出来なかった。

パトリックス研究員: セツメイヲ。

SCP-4423: 許可をお願いしたい。

パトリックス研究員: ナンノ。タメ。

SCP-4423: ジャック…俺はお前の父ちゃんと結婚したい。お前がそれで良いなら、俺はお前の継父になることを光栄に思う。

パトリックス研究員: ケイ。フ。

SCP-4423: そうだ、お前の継父だ。「イエス」とさえ言ってくれれば、明日プロポーズする。

SCP-4423は手で口を覆って忍び笑いする

SCP-4423: あいつのキツ目の小さいタキシードを着ている姿が目に浮かんでくるぜ。リングベアラーになれるぜ、ちっちぇ相棒。で、どうするんだ?

パトリックス研究員: イエス。

SCP-4423は、パトリックス研究員を掴んで抱きしめ、額にキスをする。SCP-4423は笑い、パトリックス研究員をベッドに戻し、部屋を出る。

SCP-4423: アー!イエスって言ってくれたぜえええ!

[ログ終了]

最終陳述: 大規模なインタビューを行った後、財団研究者らは、パトリックス研究員の父親は、1992年1月15日にラスベガスを通過する間に、Tartareanクラス悪魔的実体との性交を行っていないと結論づけました1

補遺 インタビューから10ヶ月後、パトリックス研究員のベッドの下から、教会の中で正装したSCP-4423、ウィリアム・パトリックス氏、ジャック・パトリックス研究員の3人が写った写真が発見されました。写真にはパトリックス研究員が12歳の時の姿で写っており、パトリックス研究員はこの教会を子供の頃に通っていたペンシルバニア州ゲティスバーグの教会であることを覚えていました。

機動部隊ウプシロン-11が教会に派遣され、1999年8月14日付けでウィリアム・パトリックス氏と匿名の人物との結婚報告が記録されているのを発見しました。聖職者の中には結婚式を行ったこと、または目撃したことを思い出せるメンバーがおらず、パトリックス研究員はこのイベントが起こったことを憶えていません。

付録: 2019年8月30日、パトリックス研究員は父親からハガキ(2019年8月14日、アルバのオラニエスタッド市で消印)を受け取りました。

やあ、ジャック!

何も知らせなくて申し訳ないんだが、継父さんと父さんは島で記念日を祝うことにしたんだ。 もう20年も経っていたなんて信じられない。もしその仕事から離れられるなら、来年参加出来るかもしれないよ。
愛するパパより

P.S. 機会があれば、ミスティの様子を見てくれないか?あの猫が君に会いたがっているのは確かだし、アーンズデール夫人には、あの猫にこれ以上餌を与えすぎないで欲しいんだ。

オラニエスタッド市の収集された監視記録によると、ウィリアム・パトリック氏とSCP-4423がホテルにチェックインし、休暇中のカップルにとってのその他の標準的活動に参加しています。ウィリアム・パトリックス氏の現在の所在は不明のままです。

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