アイテム番号: SCP-4428-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-4428-JPの発生防止は困難であるため、発生後の対応に重点が置かれます。エージェントネットワークA-4("友の会")を組織し、全国各地で開催されるクラシックコンサートを把握・監視します。SCP-4428-JPが発生した場合には観客退出前に楽堂を封じ込め、観客の楽曲に対する反応を調査した後、Aクラス記憶処理剤の散布を行ってください。映像・音声記録は押収の上、SCP-4428-JP-Aの記録部分を改竄してください。発生したSCP-4428-JP-Bはすべて回収し、10部を保管の上、残りは廃棄してください。
クローラーを用いてインターネット上を巡回し、SCP-4428-JPの発生について情報収集を行ってください。SCP-4428-JPに関連する記録を発見した場合には速やかに検閲を行ってください。
説明: SCP-4428-JPはクラシック音楽のコンサートで稀に発生する、未知の楽曲が披露される異常現象です。平均して3ヶ月に1回の頻度で不定期に発生しています。発生するコンサートの会場・規模は様々であり、日本国内である以外の共通項は発見されていません。SCP-4428-JPは、201█年█月██日にプライベートで演奏会を訪れた財団職員がイベントに遭遇したことで財団に発見されました。
SCP-4428-JPイベントは以下の順序で発生します。
- アンコールを含め、本来の演目通りの曲順で楽曲が演奏される。
- 演者の一人が「サプライズで、この公演のために作られた曲を初演する」といった旨と、曲名をアナウンスする。その他の演者は再び演奏準備を始める。演奏に必要な楽器等が存在する場合、舞台袖から運び込まれる。
- 未知の楽曲(SCP-4428-JP-A)の演奏が開始される。
- 観客が拍手をする。拍手は5~10秒ほど続き、その後通常通りにコンサートが終了する。
- 観客の手元に、出所不明のコピー用紙(SCP-4428-JP-B)が発生する。1発生の瞬間は記録されていない。
アナウンス開始から演奏終了までがSCP-4428-JPイベントの主要部分であると見なされており、この間、楽堂に出入りすることは不可能となります。エージェントが観客として潜入しイベントの妨害を試行しましたが、すべて失敗に終わりました。
SCP-4428-JP-Aは未知の新曲であり、イベントごとに新たなSCP-4428-JP-Aが発生します。演奏時間は通常5分以内で、現代的な音楽表現が用いられる傾向にあります。演奏に一般的でない楽器が使用されるケースでは、これらの楽器はイベント直前に発生し、終了後に消失します。SCP-4428-JP-Aの詳細については別表を参照してください。
演者はイベント発生時のみSCP-4428-JP-Aの演奏能力を得ると推定されており、イベント終了後、演奏時の記憶を失います。また、殆どの場合、観客はSCP-4428-JP-Aに対して特別な反応を示さず、曖昧な感想2のみを抱くに留まります。このことから、SCP-4428-JP-Aが反ミーム性を帯びている可能性が指摘されていますが、実証はされていません。イベント発生時の記憶はAクラス記憶処理で除去が可能です。
SCP-4428-JP-Bには "來飛"3を名乗る存在によるメッセージが印刷されています。"來飛"がイベントを発生させる主体、およびSCP-4428-JP-Aの制作者であると考えられており、PoI-4428-JPに指定されています。SCP-4428-JP-Bの内容は、楽曲の内容や制作動機、またPoI-4428-JPの近況です。PoI-4428-JPに関する情報・言及記録は皆無であり、SCP-4428-JPの発生理由および機序は解明されていません。
以下のSCP-4428-JP-Bは、SCP-4428-JPの発生理由と関連があると考えられています。
SCP-4428-JP-B-3
飽食の時代、現代音楽は「食わず嫌い」されがちです。しかし小生、少々(?)古い人間であるからして、先ずは一口食べてみよ、さすれば、やがて現代音楽の魅力も伝わり、來飛の名も「現代音楽オヤジ」として大いに轟くだろうと、このような精神で一時皆様のお時間を頂いております。さて此度は、小生の悲しい過去に着想を得て曲にしました。え?どんな過去かって?それは……すべて曲に込めましたので、是非一口、食べてみてくださいネッ - 來飛
別表: SCP-4428-JP-A例
注釈: ほとんどのSCP-4428-JP-AにはRnp.4という作品番号が付与されていますが、何を意味するかは不明です。
| 番号 | 曲名 | 概要(大木研究員による) |
|---|---|---|
| SCP-4428-JP-A-3 | Rnp.7 公孫樹 | 管弦楽編成。4分27秒。管楽器による叙情的なソナタから始まり、中盤に入ると打楽器奏者が銀杏の実を潰し悪臭が立ち込める。次第に弦楽器による不協和音が支配的になり終了。 |
| SCP-4428-JP-A-5 | Rnp.51 日本 | 管弦楽+和楽器編成。3分28秒。およそ2秒に1回の間隔で108回釣鐘が鳴らされる。楽隊は6つの小編成に分かれ、「ジングル・ベル」「Deck The Halls」「春の海」「越天楽」「██」「██████」「████・█████」「████████」5などの楽曲が小編成ごとに無秩序に演奏される。 |
| SCP-4428-JP-A-11 | Rnp.15 実験4 | ピアノ・ソロ。指揮者が演奏時間を決め、ストップウォッチで計測を開始。ピアノ奏者が指定の演奏時間で終了するように即興演奏を行い、指揮者が実際の演奏時間を発表して終了。初演時の記録は85秒+差異2.3秒。 |
| SCP-4428-JP-A-14 | Rnp.88 社会 | 管弦楽、3分33秒。弦楽器がピッツィカートによるリズムを反復、その上に木管奏者は舌打ち、金管奏者は咳払いと椅子を引きずる音、打楽器奏者はPC用キーボードのタイピング音とマウスのクリック音を奏する。 |
| SCP-4428-JP-A-23 | Rnp.46 円環 | 金管8重奏。ミニマル・ミュージック。変拍子で構成されており、解析により、曲の拍子は円周率の十進数表記の冒頭部分と関連が示された。初演においては5分00秒で曲は唐突に中断された。 |
| SCP-4428-JP-A-28 | BATTLE FOR MY DEAR | 管弦楽+エレキギター・キーボード・デジタルサックス。3分30秒。打楽器の8ビートのリズムの上に、電子楽器が日本の伝統的な音階で構成されたメロディを奏し、管弦楽はポップスの「王道」とされるコード進行を奏する。 |
補遺: SCP-4428-JP-28の収容にあたったエージェントが、封じ込め準備の間MCに偽装し、観客の反応を調査しました。その結果、典型的なSCP-4428-JP発生後と異なり、「かっこいい曲だ」「感動した」「懐かしさを感じる」「この人の他の曲も気になる」等、称賛の感想が多く確認されました。このことから、観客のSCP-4428-JP-Aに対する無反応は反ミーム由来の異常ではなく、通常の反応の結果であるという説が有力視されています。
特筆すべき点として、SCP-4428-JP-A-28は他のSCP-4428-JP-Aと大幅に異なる大衆音楽寄りの作風であり、また作品番号が付与されていません。これには同時に発生したSCP-4428-JP-Bとの関連が考えられます。
SCP-4428-JP-B-28
小生の目指すところは「現代音楽オヤジ・來飛」であります。しかし私事で恐縮ですが最近スランプでして、インスピレーションがとんと降ってこないのです。仕方がないので五線譜に落書きをしていたら、いつの間にか(←そんな訳あるか)できていた曲です。これではただの流行後追いオヤジでありますが、継続が何より大事、此度は「外伝」ということで……どうかご笑覧ください。 - 來飛
追記: SCP-4428-JP-28イベント以降、9ヶ月にわたりイベントの発生が途絶えました。一時、イベントの発生は消滅したと考えられていましたが、202█年█月██日にSCP-4428-JP-29が発生し、その後イベントの発生が再開しました。
SCP-4428-JP-A詳細例(29以降)
| 番号 | 曲名 | 概要(大木研究員による) |
|---|---|---|
| SCP-4428-JP-A-29 | Rnp.114 きらめき | 管弦楽編成。4分24秒。無調の短いフレーズが反復され、その上に各楽器が主題となるメロディを各々奏でる。フレーズは反復の中で音量を増し、やがて全楽器により激情的な主題が演奏される。終結部では楽曲の勢いを緩め、グロッケンシュピールにより最初のフレーズが静かに演奏され終了。 |
| SCP-4428-JP-A-31 | Rnp.126 TPO | 4分12秒。スローテンポのバラード調の楽曲。短調を基調とし、難解な和音と陰鬱さを感じさせるメロディが、木琴・鉄琴・ピアニカ・リコーダー・アコーディオン・ハンドベル・カスタネット・タンバリンなどの楽器を用いて演奏される。 |
| SCP-4428-JP-A-32 | Rnp.131 F.B. | 3分42秒。弦楽器奏者が足踏みの音を激しく鳴らし、金管・木管・打楽器はアメリカ民謡である「もりのくまさん」を複調と変拍子を用いてプログレッシブ風に演奏する。間奏ではファゴット奏者とテューバ奏者がソロ演奏を行う。 |
SCP-4428-JP-29以降のSCP-4428-JP-Aは、以前の楽曲と比較して大衆的要素を取り入れる傾向が観察されます。これには以下のSCP-4428-JP-Bとの関連が考えられます。
SCP-4428-JP-B-29
バトディア6の望外の好評以来、手がいうことを聞かないのです。來飛の名を残すための唯一の道は、世の流れに棹さすことかもしれぬ。しかし、しかし小生はまだ、現代音楽オヤジを諦めきれない。矜持といえば聞こえはいいが、その実は唯の意固地であります。全く歳は取りたくないもので。此度の曲は老体に鞭打って書き上げた小生の渾身であります。どうかお付き合いを。- 來飛
これらのSCP-4428-JP-Aの観客による評価は、いずれもSCP-4428-JP-A-28以前の楽曲に対する評価と同程度であり、有意差はありませんでした。
追記2: SCP-4428-JP-35イベントにおいて、SCP-4428-JP-Aとして「BATTLE FOR MY DEAR(REFINE)」が演奏されました。分析の結果、SCP-4428-JP-A-28との十分な類似性が認められたため、SCP-4428-JP-A-28のアレンジとして分類されました。既存楽曲のアレンジが演奏されたのは、財団による発見以降初めての事例です。SCP-4428-JP-A-35はSCP-4428-JP-A-28と同様に、観客から肯定的な評価を獲得しました。
追記3: SCP-4428-JP-36イベント以降、新たなSCP-4428-JP-Aの初演は確認されていません。現在まで全てのイベントで、SCP-4428-JP-A-28原曲またはそのアレンジ7の再演のみが行われています。収容を行うエージェントによる調査では、客層に依らずこれらの楽曲は一定の評価を獲得しています。
以下はSCP-4428-JP-B-36の内容です。これ以降のSCP-4428-JP-Bには一貫して「どうぞお楽しみください。- 來飛」とだけ記載されており、PoI-4428-JPに関する新たな情報は得られていません。
SCP-4428-JP-B-36
人の心に響かぬ音楽が何になるか。理想を掲げ崇高に死ぬよりも、意地汚く爪痕を遺すべきか。 - 來飛



