SCP-4430
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“無貌はエヴァンホリーに生きる”の第6版カバーイラスト (28×28cm)

特別収容プロトコル: SCP-4430の対象年齢層(3~7歳)の児童を養育している人物の家庭で、SCP-4430実例が無いかを定期的に確認し、発見時には押収します。潜在的なミーム汚染を除去するため、これらの家庭の児童には記憶処理治療を施す方針が取られていますが、この治療の有効性と必要性は不確実です。

説明: SCP-4430はクライド・ヒラーの短編小説“無貌はエヴァンホリーに生きる”の指定名称です。書籍のカバーは版ごとに異なることが判明していますが、タイトルと著者名は常に一貫しているため、唯一の識別手段として利用されています。SCP-4430に関する情報の大部分はインターネット上から回収されています — 詳細は補遺4430.2を参照してください。

SCP-4430は概して、物語の中に様々な挿絵が含まれている幼い子供向けのペーパーバック本として現れます。本には第1版が1968年に出版されたと記載されていますが、これを裏付ける記録は他にありません — RAISAのタイトル検索では、行方不明者の事件記録以外の結果は得られません。

SCP-4430はその影響に脆弱なごく少数の人物を失踪させる異常特性を帯びているようです — 当初、これはミーム効果だと考えられていました。SCP-4430が被害者を失踪させるメカニズム、被害者の選択基準、被害者の移動先はいずれも不明です。SCP-4430やその読者に対する徹底的なミームスクリーニング試験の結果は全て陰性でした。SCP-4430の異常性は実験室条件下では発現しません。

親はSCP-4430を購入したことを滅多に否定しない反面、購入時の明確な記憶が無いとも主張します。SCP-4430実例の大半は子供から読まれずに放置され、思春期以降に再発見されます。SCP-4430実例を発見した者のうち、失踪するのはごく僅かです。現在まで、他に説明の付かない形式で失踪したと断定されている児童は5名のみです — 詳細は補遺4430.1を参照してください。


補遺4430.1 — 被害者疑いの人物たち


人物 通報日時 注記
ダイアナ・イネス 2015/01/16
ソフィー・チャディー 2006/07/05 双子の妹。両親は最近多数の本を購入しており、SCP-4430はその中に含まれていた。
ケイティ・チャディー 2006/07/05 双子の姉。両親は最近多数の本を購入しており、SCP-4430はその中に含まれていた。
ダニー・マグワイア 1975/12/12
身元不明の男児 1971/03/18 通行人による匿名の通報。SCP-4430と特定された本を握りしめていた。顔面に軽度の火炎状母斑1あり。


補遺4430.2 — パラウォッチのフォーラム投稿


Fyres 15/03/29 (土) 03:19:19 #8737463


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“無貌はエヴァンホリーに生きる”のマスカレード。



多くの人々は“ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち”や“疫病犬と呼ばれて”が思い出に根強く残る子供向けの本だと知っている。表面上は甘ったるいが、この2冊の小説には成熟したテーマと内容が込められている。三位一体の最後の枠を占めるのは、しばしば見過ごされがちな影の薄い“無貌はエヴァンホリーに生きる”だ。

社会の影響と同調圧力を興味深い形で描き出した知る人ぞ知る古典 “無貌はエヴァンホリーに生きる”は、1968年の出版以来、多くの人々の心を射止めた。お互いの結束が強い文学コミュニティ以外からこの本が注目を浴びたことは一度も無かった。なので、“無貌はエヴァンホリーに生きる”は慈善団体のリサイクルショップやヤードセールで、誰も欲しがらないビニール盤レコードやカビ臭い未読のロマンス小説の山に埋もれた状態でしか発見されない。

面白いことに、売上の貧弱さにもかかわらず、“無貌はエヴァンホリーに生きる”は過去何度も重版されていて、しかも毎回カバーイラストを新調している。この本の熱心なファンたちは全ての版を集めようと頑張っている。第4版と第6版が特に見つけにくい。

  • (第1版 — 1968年) タイトルと著者名だけが表記された標準的なハードカバー本。
  • (第2版 — 1971年) 赤い塗料の斑点模様がある小さな磁器の仮面1枚が、タイトル下に印刷されている。
  • (第3版 — 1975年) 2枚の小さな磁器の仮面が、表紙の枠外にいる人物の手で掲げられている。赤い模様のある仮面は右側。
  • (第4版) 記録無し。
  • (第5版 — 2006年) 池の中に4つの磁器の仮面が沈んでいる。左側2枚の見た目は同一で、右側2枚は第3版に描かれたイラストの仮面に似ている。1本の手が赤い模様の仮面に向かって差し伸べられている。
  • (第6版 — 2015年?) 未確認 — この版の書籍は見つかっていない。

無貌はエヴァンホリーに生きる”は1960年代のアメリカを舞台に、年齢や人種が明記されていない1人の少年、レオンの行動を追う内容だ — レオンは“グラス1杯の濃い赤ワインのように、彼の顔を横切っている”大きな痣を両親から厳しく咎められて家出する。彼は両親の警告を無視して家の近くにある森に走り込み、自給自足の生活を送ろうとする。

レオンはそこそこ住み心地の良い隠れ家を作り、ブラックベリーを探し、新鮮な水を見つける。しかし、どんなに頑張っても、レオンは自分を暖めるための火の熾し方を思い付かない。夕暮れが急速に近付き、レオンの身体はますます冷えていく。自分の抱えた問題を解決せずに帰宅したくないレオンは、池の水面に映る自分の顔を見て、尖った石を準備する。

レオンが自分を傷つけ始める前に、仮面を付けた女性が川底から現れて彼に加わる。彼女は名乗らず、“マスカレード”(仮面舞踏会/仮装)と呼んでほしいとレオンに告げる。レオンは最初のうちマスカレードに不安を抱いているが、それでも彼女が行動を思い留まる様子は無い。

マスカレードは、両親が容姿を非難したのは正しいと考えているかどうかをレオンに訊ねる。彼女の無神経さに腹を立てたレオンは、両親の批判を受け入れると叫ぶ — 自分は怪物じみた、呪われた顔をしているのだから、分相応の居場所を受け入れるべきなのだと。

レオンが状況を受容しているのに興味を覚えたマスカレードは、何故自分の顔を嫌っているのかと彼に訊ねる。レオンは憤慨した様子でマスカレードを見つめ、この顔のせいで皆に嫌われるからだと簡潔に語る。

夕暮れが森を包み込む中で、レオンが自分の顔を嫌っている唯一の理由は、周囲の人々がそれを基に彼を怪物扱いするからだとマスカレードは説明する。彼女はレオンが憎むべきは顔ではなく、彼をのけ者にする全ての人々なのだと指摘する。

マスカレードは、顔さえ無ければレオンはもっと幸せになれると告げる — 顔さえ無ければ、レオンが仲間外れにされる理由は無い。顔を彼女に譲り渡してエヴァンホリーで生きたくはないかと彼女は訊ねる。レオンが了承すると、マスカレードはレオンの顎をつまんで上に引っ張り、磁器の仮面のように顔を取り外してしまう。レオンは、まるで肩から重荷が取れたような、魂が深々と溜息を吐くような安堵を感じると語る。

最後の挿絵は、マスカレードが一人きりで森の空き地に立ち、磁器の仮面を井戸に投げ捨てる姿だ。

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