クレジット
翻訳責任者: Yukth
翻訳協力者: ccle
翻訳年: 2024
著作権者: RJB_R
原題: StreamSavers
作成年: 2019
初訳時参照リビジョン: 10
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-4484

SCP-4484の "ズーム" 命令開始前のSCP-4484-1。
アイテム番号: SCP-4484
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 監督官の裁量により、ストリーミングメディアへの関心を持つ次席研究員がSCP-4484に割り当てられることがあります。指導担当のレベル3研究調整官からの要請がない限り、この人員割り当ては必須ではありません。
SCP-4484の担当職員はその配信を監視し、配信元の在処を示唆しうる目印やその他要素の全てを記録しなければなりません。SCP-4484に関係するチャットルームは参加ユーザーの情報を集積するアルゴリズムを介して分析されます。SCP-4484を担当する全職員はインターネットストリーミングの利用に関するペペリーノ次席研究員製マニュアルを閲覧可能です。
当該プロセスにより特定されたSCP-4484のユーザー全員の身柄を拘束したうえで事情聴取を行います。カバーストーリー (ASPCA1による取り調べ) が十分に効果的と判明している場合においては当該人物への記憶処理は不要と判断されています。
収容プロトコルの施行以来、当該のストリーミング配信は招待制に変更されました。これによるチャットルームの活発度の減退やSCP-4484の異常性の衰微は目に見える形では生じていません。
倫理委員会からのガイドラインに従い、動物虐待の傾向持ちと記録された職員がSCP-4484に割り当てられることはありません。
説明: SCP-4484はウェブアドレス不定のインターネットストリーミングサイトです。チャットルームに参加したユーザーたちはサイトを通じてイヌ1匹1匹の習性・行動を直接的にコントロールすることが可能です。いずれかのセッションでコントロールされるイヌをSCP-4484-1に指定します。当該の現象は北アメリカ・ヨーロッパ・東部アフリカ・オセアニアの一部地域に生息するイヌ科動物を対象に影響することが記録されています。
当該のウェブサイトのインターフェースは至極単純なものであり、メタデータへのアクセスでは以下に示す簡素な説明が表示されます。
集団的コントロール下のイヌたちCollectively Controlled Canines、たくさんの愛される存在はここに。
チャンネルのルール:
ユーザーは、ストリーミング配信を通じて、どのイヌにも危害を加えてはならず、またどのイヌも危険な目に合わせてはなりません。
1つ目のルールに違背しない限り、イヌたちはユーザーからの命令に従います。
1つ目及び2つ目のルールを違反しない限り、ストリーミング配信はその存在を維持・継続します。
映像は8時間の経過ごとに異なるイヌの視点から配信されます。このイヌの選定条件は明らかとなっていません。映像には色調補正などの編集が施されており、視聴者はあたかもライブストリーミング用ヘッドセットカメラ越しのような映像を目にします。当該の表示映像は32768色2に構成が制限されています。
前述したチャットルームによりコントロールは成立します。イヌが実行できることに関して、チャットルームのユーザーはキーボード入力による命令・提案が可能です。これらの内容はチャットルーム内の集団的合意の閾値に到達した段階でSCP-4484-1により実行に移されます。チャットルームには1分間に平均600個のコメントが投稿され、テキスト・絵文字・数種類のカスタムアイコンがコメントとして入力可能です。SCP-4484-1実例のコントロールが新たに確立されるたびに、直前のSCP-4484-1実例の見た目をしたアイコンが保存されます。
頻繁に使用されるアイコンの例として以下が挙げられます。
- ゴールデン・レトリーバー: 大抵の場合において、何か嬉しいことがあった時やSCP-4484-1が注目の的となっている時のリアクションとして投稿される。
- バセット・ハウンド: 飼い主や居合わせた人物にSCP-4484-1が叱られる、または注意された際に投稿される。
- コーギー: 現在のSCP-4484-1がイギリス国内にいる場合に、次のイヌが選ばれるまでの間絶えず投稿される。頻度は落ちるがイギリス国外にあるウィンザー朝の統治領にいる場合にも投稿される。
- ムーディ3: 一目瞭然なモデレーションミス4があった場合、そのミスが訂正されるまでユーザー総出で投稿される。
ユーザーはモデレーターからの直接的コンタクトを通じて特典の購入が可能です。5 支払いを行ったユーザーは集団的合意を必要とせずにイヌへ命令することが可能であり、購入ユーザーのチャットメッセージは色つきのテキストで表示されます。SCP-4484と紐づく返信用の電子メールアドレスは一度限りの '匿名' バーナーサービスにより提供されています。無価値なメタデータが付加された.txtファイルとして、いずれのメッセージにも以下のファイルが添付されていました。
有料サブスクリプションの特典
有料会員はワンちゃんを思うままにすることが可能ですがルールに違反した場合にはキックされます。配信時点のワンちゃんに実行できない内容の場合、次回のワンちゃんに命令が適用されます。
5$ - 自分のおしりを盛んにペロペロ
20$ - しっぽ/おはなで何かひっくりかえしちゃえ
50$ - ワンちゃんを吠えさせる、大きな声で
45$ - クッションに埋もれたお宝探し
80$ - 1匹でダンス・パーティー!!!
150$ - おしっこ開始 (どこでも) (ルールに違反しない限り)
200+$ - 宙返り。
収益金の全てがワンちゃんのためのチャリティーに活用されます!
おおよそ週に1回程度、危険な環境に置かれたイヌが選ばれることがあります。この場合、視点変更後の数秒間に渡り、配信画面上に "SAVE HIM" の文言が表示されます。最初に財団が記録した当該SCP-4484-1は小さなポメラニアンであり、ある地下室の壁に鎖で繋がれていた様子でした。
以降4時間に渡り、SCP-4484のユーザーたちがSCP-4484-1を解放するべく協力し合いました。複数ユーザーにより並行してSCP-4484-1が閉じ込められている家屋の特定がなされ、その近隣に住むユーザーと連携して当該の動物の救出にあたりました。剥き出しで取り付けられた配管設備に擦り付けることで鎖を断ち切り、積まれたゴミの山を乗り越えて窓に到達し、折れた物差しをテコ代わりにして窓を開けることでSCP-4484-1は地下室から脱出することができました。その後、当該実例はチャットルームの匿名ユーザーにより救助されました。そのイヌは匿名ユーザーに飼われることになり "マーベリック" と名付けられたことが報告されています。