SCP-4506
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失踪以前のSCP-4506。

アイテム番号: SCP-4506

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: 学習コンピュータ ベータ-9 ("アレキサンダー") が現在制作中の映像メディアを精査し、SCP-4506の容貌と一致する人物がいないか確認します。SCP-4506の存在が認められた場合、可能な限り映像から消去するよう細工します。問題のメディアにおいて、多少の編集では不十分なほどにSCP-4506の存在が重要である場合、より広範囲にわたる修正を円滑に進めるべく、隠密機動部隊ゼータ-9 ("プロデューサーズ") を制作現場に配属します。

インシデント4506-1以降、以上の収容プロトコルは不必要と見なされています。

説明: SCP-4506は1995/10/12付で失踪を宣告された10歳の子役であるトーマス・センダーです。失踪から数年にわたり、SCP-4506は映画やテレビ番組といった、様々な視覚媒体作品に主役や端役として出演し続けています。SCP-4506が失踪以降に出演したメディアは全て、融資などの形式でGoI-1783 ("ウェストヘッド・メディア") による影響を受けています。特記事項として、SCP-4506は失踪以降に老化が確認されていません。(SCP-4506の具体的かつ特筆すべき出演例の詳細については、出演ログ4506-1を参照してください。)

作品の関係者は、完成品にSCP-4506が出演したことについて質問されても、その存在に違和感を抱きません。具体的に述べるよう促されて初めて、実際の撮影中にSCP-4506が出演した覚えがないと気付きます。

SCP-4506は元々、連続ホームコメディ『ハートはどこだWhere The Hart Is』で登場人物のジェイコブ・ハート役1を担っており、撮影の翌日に失踪しました。目撃者の証言によれば、SCP-4506のタレント・エージェントを名乗るスーツ姿の男性が、SCP-4506を近くの車に呼び入れ、まもなくして走り去ったのを見たとのことです。

出演ログ4506-1:

以下はSCP-4506が出演した映像メディア作品のうち、特筆すべきものの記録です。全ての事例で、SCP-4506は発見次第、放映されるメディアから除去されています。SCP-4506の出演記録の一覧は、要請すればサイト-22のメディアアーカイブから閲覧できます。

メディア 出演内容
『フレンズ』第34話、"二人のロス" (1996) 最初に記録された出演。SCP-4506は当エピソードがセントラルパークでエンディングを迎える場面でエキストラとして出演する。この出演において、SCP-4506は目に見えて混乱しており、辺りを見回しつつ、見たところあてどなくよろめいている。
『スタートレック:エンタープライズ』第1話、"夢への旅立ち (前編)" (2001) SCP-4506は困惑したクリンゴン人と話の冒頭で遭遇し、のちに当局に報告する子供という重大な役を担って出演する。この出演は重要な役回りであったために、公開前にオリジナルのエピソードの大規模編集が必要となった。
『トランスフォーマー』(2007) SCP-4506はクライマックスの戦闘シーン中でエキストラとして出演する。このシーン中の多数のリアクション・ショットから、SCP-4506が周囲に対して非常に恐怖している様子が分かる。
『ドクター・フー』第69話、"ゴッホとドクター" (2010) SCP-4506はオーヴェル=シュル=オワーズで最近起こっている殺人事件についてドクター (本作のキャラクター) に質問される子供として出演する。2人の会話中、SCP-4506はセリフのほとんどを読み間違える。
『ゲーム・オブ・スローンズ』第60話、"冬の狂風" (2016) SCP-4506はジョン・スノウが北の王を宣言されるシーンに出演し、"幼き君主クロウソン" と呼称されるキャラクターを演じる。顔にははっきりとした打撲痕があり、明らかに足を引きずって歩いている。

インタビューログ4506-1:

2017/04/11、SCP-4506の両親であるアイリーン・センダーとサイモン・センダーが、異常コミュニティのメンバーに何度も接触を図っていたことが財団の注意を引きました。調査を進めた結果、接触を図っていた理由は、SCP-4506がテレビや映画で端役として何度も出演しているのを両者が目撃し2、息子の失踪に関連する異常存在を明らかにしようとしたためであると判明しました。

両者はその後、インタビューを実施するために拘留されました。

<ログ開始>

(ジェイド博士が部屋に入室し、席に着く。サイモン・センダー氏はジェイド博士の向かい側で、腕を組んで座っている。)

ジェイド博士: こんにちは、センダーさん。私はジェイド博士と申します。ご気分はいかがですか?

サイモン・センダー氏: 息子はどこだ?

ジェイド博士: それは分かりません。

センダー氏: 嘘つきが。アンタは…… アンタは大嘘つきだ。知ってんだろ、その薄汚い顔で分かる。くたばれってんだ。

(沈黙。)

ジェイド博士: もう少々落ち着いていただけないでしょうか。でないと私もここから退出して、貴方が冷静になるまで待たなければなりません。そうなるのがお望みで?

(沈黙。)

センダー氏: しょうがねえな。OK、一旦頭を冷やすよ。でもアンタは知ってるだろ。そうに決まってる。

ジェイド博士: なぜ私が息子さんの居場所を知っているとお考えなのですか?

センダー氏: アンタは…… アンタらはそういう奴らだろ、妻が全部教えてくれたんだよ3。俺を見るアンタの — そういう顔を。少なくとも何か知ってるだろ。

(沈黙。)

ジェイド博士: 貴方の息子さんは22年間ずっと行方不明なのですよ、センダーさん。私は32歳です。私が10歳の頃に貴方の息子さんの誘拐に関わったと本気でお考えなのですか?

センダー氏: そうは言ってない。ただアンタが知ってると言っただけだ。俺は — 俺はアイツを見たんだ。

ジェイド博士: 見た?

センダー氏: TVでだ。そう…… 見たんだよ。誓ってもいい。だから、何を言ってんだか分からないみたいなフリはやめろ。『ロー&オーダー』の群衆の中にいた。

ジェイド博士: ……なるほど。それでその子が息子さんだと確信したので?

センダー氏: 見れば息子だって分かるよ。両目が真っ赤になってた、まるで…… まるでずっと泣いてたみたいに。腕の組み方もまるでおかしかったが、間違いなくアイツだったんだ。アイツは…… アイツは1日も歳を取ってない。頼む、アイツの居場所を教えてくれ、知ってるんなら、俺は……「すまない」って言わないと。

ジェイド博士: 「すまない」と言う、とは?

センダー氏: アイツをあんなに追い詰めたことにだ。それがきっと…… いや、そうすればきっと労働意欲が高まるって思ってたんだ。でもアイツはそのせいで俺を嫌ってた。最初は逃げ出したと思ったよ、分かるだろ? 追い詰めたせいでさ。それでどっかでのたれ死んだと思った、それか…… もっとひどい目に遭ったんだと。でもそうじゃなかった、死んでもいなかった、俺はアイツを見たんだ。頼むよ、知ってることを教えてくれ。お願いだ。

(沈黙。)

ジェイド博士: 私は何も知らないのです。本当に申し訳ありません。

(センダー氏が椅子の上で前のめりになり、両腕をだらりと脇に落とす。)

センダー氏: そんな…… ホントに知らないのか? 畜生。畜生

<ログ終了>

アイリーン・センダー夫人はインタビューに呼び出されたものの、質問の試みに対して返答を全て拒否しました。そのため、センダー夫人へのインタビューは実施できませんでした。

その後、センダー夫妻はクラスA記憶処理を施されて解放されました。しかし、以後の軽微な収容違反でまたしてもSCP-4506を目撃すると、センダー夫妻は最初の一連のイベントと同様の推論を辿った末に、再び異常コミュニティとの接触を図りました。

同様に進行したもう2回の記憶処理サイクルを経て、これ以上の適用は資源の無駄であると断定され、代替策として両者ともに監視下に置かれました。


インシデントログ4506-1:

2017/4/22、財団の監視担当員は、アイリーン・センダーとサイモン・センダーが一夜にして自宅から失踪したことを報告しました。監視映像の再調査により、両者は監視職員がシフトを交代する間のわずかなインターバル中4に自宅から車で走り去ったと判明しました。両者は退出前にこのインターバルを意図して待ったと考えられています。

2日後、センダー夫妻の車がニューメキシコ州ダーンハムの郊外に位置するテレビスタジオ跡地の脇に発見されました。付近に争った形跡は確認されなかったものの、以下の音声記録が車内に残されていました。

<ログ開始>

(カサカサという音から、記録装置が何かの上に置かれている最中と思われる。サイモン・センダー氏のため息が聞こえる。)

サイモン・センダー氏: 記録を始めるぞ。で、この伝言だが、これは俺らが万が一…… 万が一しくじって…… 後は分かるよな。

アイリーン・センダー夫人: ええ。

(沈黙。)

センダー氏: えっと…… 弾は込めたか?

センダー夫人: ええ。込めた。

センダー氏: OK。いいぞ。あ、いや、その、別によくはないがな、まあ…… (笑い、次第に小さくなる) すまん。

センダー夫人: いいって。言いたいことは分かるから。

センダー氏: そうか。それでさ…… 何を言ったらいいかな?

センダー夫人: 伝言のこと?

センダー氏: ああ、何を言い遺そうか。

(沈黙。)

センダー夫人: まず説明をしたほうがいいんじゃない。その、今の状況について。

センダー氏: ああ。そうだな。そっちから先に言うか? それとも俺からか……?

センダー夫人: 貴方からで。

センダー氏: OK。

(センダー氏が咳払いをする。)

センダー氏: あー、俺らの伝手の1人が…… 伝手って、何言ってんだろな俺? 俺らが接触した奴らの1人から連絡があったんだ。曰く、ウェストヘッドの連中について耳にしたことがある上に、奴らの活動場所も知ってるって。それと情報を教えてやるとも言っていた…… あー、大金と引き換えに。

センダー夫人: 私は詐欺かと思った。

センダー氏: 俺も半分そう思った。その可能性はまだ残ってる…… それが良いことなのか、悪いことなのかも分からんが。それでも知らなくちゃならなかった、だってそうだろ? チャンスがあったなら…… チャンスがあったならさ……

(沈黙。)

センダー夫人: チャンスがあったなら、それに挑まざるをえない。大丈夫。

センダー氏: ありがとう。

センダー夫人: それで、私たちは銃を調達した。それに弾も。どれだけ効果があるのかは分からないけど、とにかくここにある。これからトミーを助け出しに行くの。つまり…… つまり、これ以上あの子を傷付けられないようにする。

(沈黙。)

センダー氏: 準備はいいか?

センダー夫人: ええ。準備万端。

センダー氏: 愛してるよ。

(沈黙。)

センダー夫人: 私も愛してる。

<ログ終了>

当音声記録の発見、ならびにサイモン・センダーとアイリーン・センダーの失踪以降、 SCP-4506の出演事例は記録されていません。そのため、SCP-4506はNeutralizedに再分類されています。

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