SCP-4548

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監督評議会命令
以下のファイルは危険かつ潜在的に敵対する
異常存在を描写しており、レベル4/4548機密情報です。
無許可のアクセスは禁止されています。
4548
アイテム番号: 4548
レベル4
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
critical

画像差し止め中
SCP-4548。

画像差し止め中
G-194C星団にあるSCP-4548。

特別収容プロトコル: SCP-4548に関する情報は記録情報セキュリティ管理室 (RAISA) と並行して行動している財団意識統制チームにより抑圧されます。巨大な光学電波望遠鏡を操作する組織に配置されている財団資産はSCP-4548の直接的な観測を防ぐ感光機器システムを維持します。

SCP-4548の影響を受けた個人は収容され、最寄りサイトの心理学スタッフへと評価のため再拘留されます。電算化された音声が苦悩の後期段階にある対象らと意思疎通を図るために用いられます1

説明: SCP-4548は人間の認知に対して有害に作用する異常でミーム的な宇宙現象です。SCP-4548はかつて直接SCP-4548を視認したことがある、あるいは何らかの手段でSCP-4548を直接知覚したことがある人物には夜空に現れる緑色の星であるように見えます。SCP-4548を自発的に知覚したと報告している個人らへの大規模調査は、個人らが直近に喪失か苦難を経験している、およびこれらの人物が激しい不安に駆られやすいという相関関係を示しています。明らかな統合失調型の障害を患っている個人らはSCP-4548を自発的に知覚するようになる高リスクの下にあるように思われます。

SCP-4548の主要な異常影響は裸眼で直接SCP-4548を目視した個人2が経験します。この対象らは不安、パラノイア、SCP-4548の凝視、および身体の不快感を含む、長期に渡り徐々に重大化する種々の症状を経験します。

加えて、SCP-4548を視認した対象らは人間の種々の感情と悪意を見分ける能力を欠如するようになります。やがてこの状態は悪化し、対象らは動物、植物、不動の物体、概念とアイデア、そして自身の身体から向けられた敵意を経験するようになります。SCP-4548の苦悩の最終段階は通常、対象らが敵意を感じてもいる自身のアイデンティティの完全な乖離を経験する結果となります。この段階以前に終了されていない対象らは通常では緊張性昏迷状態となり、意識を取り戻すことはできません。

SCP-4548の苦悩の進行段階にある個人らは同様にSCP-4548から発せられていると信じる声が聞こえ、視界が塞がれて場合や盲目であったとしてもSCP-4548が常に見えていると説明します3。またこの対象らは夢を見ない睡眠の誘発を目的とする薬物治療では軽減できない、SCP-4548を伴う鮮明な夢と悪夢を説明します。

補遺4548.1: インタビュー

以下は日系カナダ人男性であるデイビッド・サイトウに行われた一連のインタビューの転写であり、彼は毎週のカウンセリングの際にセラピストに向けた敵意が認められた後、財団意識統制チームに標的とされました4

Timestamp: 2016/05/29 08:43:13

ケイト博士: 今週初めのシャン先生へのあなたのアウトバーストをどう感じてますか?

サイトウ: 彼はただ ─ 畜生、彼は今お前がしてんのと同じことをしてたよ。

ケイト博士: 何でしょうか?

サイトウ: この、お前が言うこの口調は ─ まるで俺に飽き飽きしてるみてえだ。俺がめちゃくちゃなのはわかってんだ、そうだろ? クソが、俺だってなぁここに居たきゃねえんだよ。でもそういう口調みてえな、そういうのは要らないんだ。

ケイト博士: すみません、敵意があるよう聞かせたかったわけではないのです。ただ私は何故、今あなたが感じるように感じているのかを、もっと知ろうとしたいだけです。

サイトウ: シャンにもう言ったよ、俺は ─ 俺はそれを空に見たんだ、そしてそれは俺を苦しめた。まともには見えなかった。昨日の夜またそれを見てさ、それはいっつもそこにあるみたいなんだよ。これこそ俺が不快に感じてる理由であって、それが俺を不快にしてんだ。それから彼女はこんな、こんな態度をそこに居る俺にし始めて、俺は自分を抑えられないんだ。わかった、だろ?

ケイト博士: あなたが空に見たもののことをもっと教えて頂けませんか?

サイトウ: 何、俺が脳足りんみてえなもんだからか、そうだよな?

ケイト博士: あなたを脳足りんだなんて思ってません。それが何であったのか調べたいだけです。

サイトウ: あれがまるで ─ まるで星だった。あの星だけはまともには見えなくてさ、他の星みたくは光ってなかったんだ。殆ど霧とか靄みたいな、病気に罹ってるみたいだった。そんな風に見えたんだよ、病気っぽく、そしてそれを見たせいでは病気っぽくなってるんだ。まるでそれはそこにあっちゃいけないみたいだったんだ。神よ、それは恐ろしいんだ。俺のまるまる1週間をそれはぶち壊してさ、これが俺の考えられる全てだ。

ケイト博士: 教えてくれま──

サイトウ: 何だ? 何か間違ったことしたか?

ケイト博士: () すみません、あなたをイラつかせるつもりはありませんでした。幾らか落ち着く時間を取ってから、また会いに来ます。


Timestamp: 2016/06/11 08:35:41

ケイト博士: 今日の調子は如何ですか?

サイトウ: (沈黙)

ケイト博士: サイトウさん?

サイトウ: 俺はただ、どうしてあんたら皆して俺にどんなときもそう不愉快そうにしてるのか理解できないんだ。今だってな、俺らはただここに座ってる、このクッソ気分悪い椅子にな、そしてお前は俺のことを犬のクソのように見てる。

ケイト博士: 私はあなたがどう感じているか知りたいだけです。

サイトウ: 俺がどう感じてるかって? 素晴らしい、そう感じてるさ。クソみたいにな。ちっとも眠れねえし、飯は凄まじく恐ろしいし、ここの誰もが俺に耐えられねえし、俺はどんなときでもここのアホくせえ窓見上げて空に見えるのはクソッタレな奴だけで、俺の頭に穴を開けてる。それはいつでもそこにあるんだよ。

ケイト博士: それについて私に話せることはありませんか?

サイトウ: あー、知らねえみたいだな。あんたがもう知ってることを俺に言わせるための何か大層な策略なんかこれは? まるで俺は愚か者か何かみてえだな?() 俺はただ、これには本当忌々しいほどうんざりしてんだよ。

ケイト博士: 私は怒ってませんし、これはいたずらではありませんよ。

サイトウ: 俺のこと馬鹿にしてんだろ。

ケイト博士: すみません。

サイトウ: いいやお前は馬鹿にしてる。俺にはわかるぞ。博士ども、銃を持ったガードマンども、お前ら1人1人全員が ─ ファック、奴らめ俺の頭に銃弾を是非ともぶち込みたいって思ってるに違いねえ。

ケイト博士: 彼らはそう思ってません。私たちは助けようとしてるのです。

サイトウ: わかってる。なら、あんたはその仕事を微塵もしてねえ。俺をここに引きずり込んでさ、俺を笑いもんにして、そんなことしてる間中ずっと空にいる奴は俺のクソ頭ん中で歌ってんだ。

(沈黙)

サイトウ: テ ─ テーブルだってそうだ。お前らは何もかもに俺をいじめさせてやがる。

ケイト博士: していません、誓います。

(沈黙)

サイトウ: お前らどうして俺にそんなことするんだ?


Timestamp: 2016/06/24 08:42:03

注記: 現地の心理学専門家らとの論議後、デイビッド・サイトウがもはや人と交流するための如何なる有効な手段によっても反応を示さないだろうことが確定した。以下のインタビューでは対象との会話のために文章読み上げ機能が用いられた。


ケイト博士: デイビッド。聞こえますか?

サイトウ: (沈黙)

ケイト博士: デイビッド、聞こえるようなら質問に答えてください。

サイトウ: す ─ すまない、ここ数週間あなたと似てるち ─ 違う声を聞いてなくて。あなたの名前は?

ケイト博士: 私のはジェーンです、デイビッド。助けに来ました。

サイトウ: (呟いて) ジェーン、ジェーン。雨のよう。美しい名前だ。

ケイト博士: デイビッド?

サイトウ: どうしてあいつらが俺を嫌ってるか知らないか、ジェーン? 俺が思うに ─ 思うにあいつらは俺にうんざりさせられてたんだ。エレンの後に俺がセラピストに見てもらわなくちゃいけなかったから、あいつらは俺が人として廃ってるって思ったんだ…… () でもそんなことよりもっと酷いんだよ。わからない。ここにいるあいつら全員が俺を嫌ってる、ジェーン。世界中の誰もが俺を嫌ってる。

ケイト博士: 私は誰もあなたのことを嫌っているなんて思いませんよ。

サイトウ: あいつらはそうしてる。俺はあいつらが俺のことどう見てるのかわかってんだ。まるで俺を汚物のように。最初はガードマンだけだった、けどそれから全員そうし始めた。用務員ですら、俺はそれに気付けるんだ。あいつらが俺を嫌ってるのはわかる。俺は── (むせび泣く)

ケイト博士: 大丈夫、デイビッド。良くなりますよ。

サイトウ: (涙ながら) いや俺はそうならんだろう。俺には見えるんだ、ジェーン。今だって、壁の向こうから。 俺の上を漂う忌まわしい星hateful starが見えるんだよ。それはいつもそこにいる。それの囁きが聞こえるんだ、瞼の奥から剃刀みたいに小さな歌を。時々…… 時々、ジェーン、俺は目を背けられるんじゃないかって思う、でもできない。それはいつもそこにいて、それから歌は悪くなるばかり。

ケイト博士: それはあなたに何と言ってますか?

サイトウ: それは歌ってるんだ ─ 小さな歌をさ。こんな風に、ヴァヴァピダ、ヴァヴァピダ、ヴァヴァピダ…… ダピダ。va va pi da, va va pi da, va va pi da… da pi da.そして俺はどんなときだってこの歌を聴いてる。恐いよ、いつもそこにいるんだ。ヴァヴァピダ、ヴァヴァピダ、ヴァヴァピ…… それで時々言葉がある。ちょっとした言葉が中に、歌の中に、どれほどまでに誰もが俺を嫌ってるか知らせようと。()

ケイト博士: どうしました?

サイトウ: () お前も俺を嫌ってるってそれが言うんだ、ジェーン。お前は…… お前は俺のこと嫌いじゃないよな、そうだよなジェーン?

ケイト博士: あなたのことは嫌いではありませんよ、デイビッド。

サイトウ: () 踏みつけてるから床が俺を嫌ってる、内側に居るから壁が俺を嫌ってる。息をしてるから空気が俺を嫌ってる。(ペースが加速する) 飲むから ─ だから水が俺を嫌ってる。俺の中に入れば、それは俺のことを傷つけるんだ。だからそれは俺を嫌ってる。光が俺を嫌ってる。闇が俺を嫌ってる。()

ケイト博士: デイビッド?

サイトウ: お前だって、俺を嫌ってる。星がそう言うんだ。(むせび泣く) どうして俺のこと嫌うんだよ、ジェーン?


Timestamp: 2016/07/02 08:30:12

ケイト博士: デイビッド。

沈黙。

ケイト博士: デイビッド、聞こえますか?

声を殺し不明瞭に呟いている。

ケイト博士: 私たちはあと数日程あなたをここに留めて置く予定です、デイビッド。博士らはそれが感染していないことを明らかにしたいのです。あなたはあまりに血を失った。彼らは助けたいだけなのです。

声を殺しむせび泣いている。

ケイト博士: デイビッド──

サイトウ: (弱々しく) お前は星を見たか?

沈黙。

サイトウ: デイビッドはそれを見ている。

沈黙。

サイトウ: それはデイビッドを嫌っている。


Timestamp: 2016/08/17 08:23:53

ケイト博士: こんにちはデイビッド。今日の具合はどうですか?

サイトウ: デイビッドはもはやここにいない、ジェーン。

ケイト博士: 私は今日、誰に話しているというのですか?

サイトウ: 他の誰かだ。

ケイト博士: デイビッドはどこに?

サイトウ: 嫌われしもの全てが行く場所だ、ジェーン。彼は緑の場所へと行ってしまった。ヴァヴァピダ、ヴァヴァピダ。 庭園の忌み嫌われし小さな草木、ヴァヴァピダ、ヴァヴァピダダ。

ケイト博士: あなたはどこから話しかけているのですか?

サイトウ: 私はかつてデイビッドがいた場所にいる。彼は哀れなものだった、そうだろう? 彼の髪が彼を嫌っていたから、彼はそれを引き抜いた。彼の目が彼を嫌っていたから、彼はそれを抜き去った。彼の肌が彼を嫌っていたから、彼はそれを剥ぎ取った。だがそのどれもが彼を助けはしなかった、だから彼は行ってしまったのだ。

沈黙。

サイトウ: そしてお前たちの多くはそれがどのようであったかを忘れている。それが本当に何であったのかを。お前たちは道に迷った、お前たち全員が。それこそ私がここにいる理由である、ジェーン。真に嫌われるとはどういうことかをお前たちに思い出させるために。今やデイビッドは知っている。直に、お前たちも知るだろう。

沈黙。

サイトウ: 悲しむな、ジェーン。全てがあるべき場所にあるのだ。愛は心から来るものである。喜びは弾丸の込められた銃である。悲しみは曇りし日の雨である。ヴァヴァピダ。ヴァヴァピダ。

ケイト博士: それであなたはどこから来たのですか?

サイトウ: 私か?(笑い声) 私は永遠にここにいる、ジェーン、そして決して立ち去りはしない。

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