SCP-4576
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アイテム番号: SCP-4576

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-4576は天井にUVランプが設置された人型収容室に収容されています。収容室内の温度は28~35℃に保たれています。

説明: SCP-4576は高さ約2mの弁慶柱(Carnegiea gigantiea)です。オレンジ色の陶器の鉢に植えられた中央の幹から2本の腕が伸びています。主な移動手段は標高約30cmの空中浮遊です。

SCP-4576は知性があり会話可能な生物です。その会話方法は精神感応が主ですが、音声録音技術はその音声を録音することができます。

SCP-4576の他の異常特性には人間の二の腕の使い方や長さ、強さの目安を模した念動力、浮遊する高さを増減させる能力などがあります。

没収する前に、異常性のあるコルト・パターソン・リボルバー(SCP-4576-1)を所持していたのが目撃されています。このリボルバーは異常性のない弾薬を発射することができますがその異常な特性は弾薬が無限にあるように見えることと、爆発性のある弾と爆発性のない弾を発射する能力があることです。

発見: SCP-4576は当初テキサス州ホリスターのスプルーセルード・エーカーズの近隣で民間人の女性がフードを被った加害者に誘拐され、車に押し込まれた後に発見されました。SCP-4576は家から飛び出して追いかけようとしましたが失敗しました。その後6kmの距離を移動し、後にラナ・リングルと確認された被害者を追跡しようとしました。

SCP-4576との遭遇は以下の補遺で文書化されています。

補遺-4576:

動画ログ


日付: 4/20/2018

備考: SCP-4576はラナ・リングルの居場所を聞くためにスターバックスに入りました。


[ログ開始]

<ドアが勢いよく内側に開きます。客は明るい日射しから目を遮ります。SCP-4576はスターバックス内に移動して咳払いする人の音を発し、腕の間の体の一部から正体不明の液体を排出しました。この液体は売り物のスターバックスブランドのプラスチック製カップを支えているバスケットに落ちます。>

SCP-4576: よく聞け!これは非常に重要なことだ。誰か赤い金属製の馬車を見た人はいないか?

<スターバックスの客は無言でSCP-4576をじっと見つめています。一人の客が飲み物を落とします。>

SCP-4576: お願いだ。知る必要があるんだ。俺にとって大切な人が誘拐されたんだ。

客: これはリアルなアニマトロニクスだな。

SCP-4576: アニマル何だって? <SCP-4576はうめき声を上げてからレジの方に移動します。> バーテン、赤い金属製の馬車が通り過ぎたのを見たと言ってくれ。

レジ係: バ-バー-バーテン?<レジ係は自分を指差します。> あなたは…私に…話しているの?

SCP-4576: <SCP-4576がカウンターの上に飛び乗って土を撒き散らします。> 俺はお前を見てるよな?

レジ係:<レジ係は身構えるように手を上げます。> ごめんなさい、ごめんなさい、はい…。

SCP-4576: <SCP-4576はカウンターから飛び降ります。> おやおやお嬢さん、すみません。赤い金属製の馬車を見たかどうかだけでも教えてください。

レジ係: 何のことかさっぱり分かりません。

SCP-4576: 赤い金属製の馬車?4つの車輪があって、馬は必要なくて大きな音がするやつだよね?

レジ係: 車のことですか?

SCP-4576: そう呼ばれているのか?

レジ係: そうです。車って呼ばれています。そして、まあ、私は毎日のように赤い車をたくさん見ていて、そして-

SCP-4576: 必要なら全部調べてみるよ。正しい方向を教えてくれ。

レジ係: あっちで見ましたが-

SCP-4576: 親切にありがとう。

<レジ係が言い終わる前に、SCP-4576はダッシュでドアにぶつかります。>

SCP-4576: どうやって開けるんだ?

<SCP-4576は驚いている客がガラス扉を開けるまで繰り返し叩きつけています。>

SCP-4576: どうもありがとう。

<SCP-4576はスターバックスを後にしました。>

客: あれは…誰かのものなのか?


[ログ終了]

SCP-4576がスターバックスを出た後ホリスター警察署内の有能な財団職員は監視カメラの映像が確認されたときに警告を受け、収容するために配備されました。SCP-4576は財団のエージェントが捜索していることに気付き、約1時間の間確保を逃れました。

以下の動画ログはウォルマートの防犯カメラからのものです。

下記に動画ログ:

動画ログ


日付: 4/20/2018


[ログ開始]

<SCP-4576はウォルマートの園芸売り場の高さ3mの柵を飛び越え、多肉植物売り場で異常性のないサボテンの隣に身を置き、財団のエージェントからの確保を逃れようとしています。客が現れSCP-4576を購入しようとしましたが、おそらく疑われるのを避けるために動かずにいました。客は鉢の土に埋め込まれたSCP-4576-1に気付き、しかめっ面をして手を伸ばし土から引き抜きます。>

SCP-4576: 嬢ちゃん、やめろ!

<SCP-4576は客の手からそれを引き抜き、誤って引き金を引いてしまい園芸売り場の半分を破壊する爆発を起こしてしまいました。SCP-4576は柵を超えて多肉植物売り場から飛び出し、外の私道に着地しました。近くでSCP-4576-1も着地します。その周囲には群衆があります。>

SCP-4576: ちくしょう…こんなことになってほしいわけじゃないのに…

傍観者: 話してる…

<財団職員はSCP-4576に気付き、すぐにそれに向かって移動します。>

SCP-4576: <SCP-4576は職員に気付き、SCP-4576-1を掴んで彼らを狙います。> お前たちは誰で俺に何をしたいんだ?

<SCP-4576の周りには多くの群衆が集まり始め、全員がSCP-4576を指差しながら呟き、何人かは写真や動画を撮っています。>

フィールドエージェント: <フィールドエージェントが民間人に近づきます。> もういい。携帯をよこせ。今すぐに。

<SCP-4576は接近してきた別のフィールドエージェントから数歩後退しています。>

SCP-4576:<SCP-4576が立ち止まります。> お前…

<SCP-4576はフードを被った傍観者をSCP-4576-1で狙い、後にラナ・リングルを誘拐した犯人だと解明した人物に向かって爆発性のない弾を発射しました。傍観者は悲鳴を上げて散り散りになり、犯人は現場から逃走してSCP-4576は追跡を試みました。更に数台の財団車両が到着し、逃走を止めます。>

SCP-4576: くそっ…

<SCP-4576は逃げ道を探しながら急速に回転しています。SCP-4576-1で近くのマンホールの蓋に向けて引き金を引き、道路で爆発を起こします。下水道に飛び込んで脱出します。>


[ログ終了]

備考: この事件の直後から住民は飲料水が変な味がすると苦情を訴え始めました。ウォルマートの駐車場にいた目撃者は全員所在を突き止められて記憶処理を施され、携帯電話やカメラからSCP-4576の映像や写真が削除されました。インターネット上に流出した動画や写真は速やかに削除され、偽情報を蔓延させるキャンペーンが実施されました。

補遺-4576-2 :

SCP-4576は職員から逃れた後、すぐにスクランクル・セールス・バーンに逃げ込みました。

以下に動画の書き起こしを追加しました。

動画ログ


日付: 4/21/2018

備考: 従業員のグレン・ブリッグスが馬に餌やりをしているところでSCP-4576と遭遇します。


[ログ開始]

<地面が揺れます。近くの道路のマンホールカバーが吹き飛び、約5mの高さまで上昇した後落下して車に着地します。>

グレン: マジかよ!

<SCP-4576はマンホールから飛び出し、グレンに向かってダッシュします。>

グレン: おいおい、お前は一体何者なんだ?

SCP-4576: 今すぐ馬が必要なんだ!

グレン: 勝手に馬を渡すことはできねーし-

<SCP-4576はグレンに駆け寄り彼のシャツの前襟を掴んでいるように見えますが、物理的な接触はしていません。>

SCP-4576: 男が愛する者を守るためにどれだけの長さを厭わないか知ってるか? 今すぐ馬をよこせ!

グレン: 分った、分かった、お願いだから傷つけないでくれ!

<SCP-4576はグレンを放すまでの間動きません。>

SCP-4576: 悪かったな。俺-

<SCP-4576は後ずさりします。>

SCP-4576: 今は本当に助けが必要なんだ。怒るつもりはなかった。お前は叱られるのに値しない。

グレン: <グレンはゆっくりと立ち上がります。> お前は何者なんだ?

SCP-4576: 俺はプリザースだ。

グレン: お前はサボテンだろ。

SCP-4576: それでお前は人間だ。それがどうした?

グレン: まあ、それは、俺が話すサボテンに-

SCP-4576: 会ったことがない?

グレン: 会ったことがあるとは言えないな。お前みたいなやつが他にもいるのか?

SCP-4576: それは分からない。

<数台の財団車両が納屋の横の道路を走行しており、職員はSCP-4576に気付いていません。>

SCP-4576: もう行かないと。終わったら馬を返すよ。約束する。<SCP-4576が馬に向かって移動します。>

グレン: 待て、最後に1つだけ。

SCP-4576: <SCP-4576は立ち止まり、グレンと向き合います。> 早くしてくれ。

グレン: 昨夜どれだけ吸ったか分からないからお前が本物かどうかは分からないけど、もし本物なら頑張れよ。

SCP-4576: …良い一日を。

<SCP-4576は柵を飛び越えて馬を盗みます。>


[ログ終了]

職員はスクランクル・セールス・バーンとその周辺でSCP-4576の痕跡を探しました。監視カメラの映像は没収され、民間人の目撃者は記憶処理を施されました。そして彼らはSCP-4576の痕跡を辿りました。

補遺-4576-3:

SCP-4576は馬に乗って南に行き、ラナ・リングルとフードを被った人物をテキサス州ローレン通りの別荘で発見しました。

以下に動画の書き起こしを追加しました。

動画ログ


日付: 4/22/2018

備考: 動画はリングル家に設置された内側と外側の2つの防犯カメラで撮影されています。


[ログ開始]

<SCP-4576は馬をリードで木に繋いで飛び降り、別荘に向かってダッシュします。>

<家の中のカメラには爆発破壊され、内側に陥没している壁が映っています。>

フードを被った人物: マジかよ!

ラナ: プリザース?!

<煙の中からSCP-4576が出てきて、SCP-4576-1でフードを被った人物を狙っています。>

SCP-4576: 今すぐここで彼女に付いている縄を解け!

ラナ: プリザース、違うの。やめて。聞いて。これは誤解なの。彼は話せば理解してくれる。正すことができる。

フードを被った人物: <フードを被った人物はすぐにラナの後ろに隠れます。> さあ、撃つんだ! 彼女はそれに値する!

SCP-4576: 臆病者め!

<SCP-4576はSCP-4576-1を土の中に入れ、フードを被った人物目掛けてダッシュします。>

SCP-4576: お前の内臓で壁を塗ってやる!

ラナ: プリザース、待って!お願い!

<フードを被った人物はポケットナイフを取り出しラナの喉に押し付けます。SCP-4576は止まります。>

フードを被った人物: 彼女は死んで当然だ。彼女はどうせいつかお前を捨ててただろう。早めに絆創膏を剥がすことでお前に恩恵を施してやったんだ。

SCP-4576: お前は俺のラナを知らない。俺よりラナについて知ってるやつはいない。

フードを被った人物: 前は彼女のことを知ってたよ。お前より先に知っていた。

ラナ: やめて!

SCP-4576: それは真っ赤な嘘だね。お前が誰だかは知らないが、今すぐ俺のラナから手をどけろ!

ラナ: プリザース、嫌、やめて! あなたは自分が何をしているのか理解してないわ!

SCP-4576: ラナ、自分が何をしているのかよく理解しているよ。

<SCP-4576は素早くSCP-4576-1を引き抜いてフードを被った人物を撃ちました。フードを被った人物は衝撃で後ろによろめきポケットナイフを落としましたが負傷しているようには見えません。>

SCP-4576: マジかよ! 何で出血してねぇんだ!

<人物は頭からフードを外し、カカシの顔を露わにしました。カカシはSCP-4576に駆け寄りますが、SCP-4576は爆発性のない弾を撃って報復します。カカシは砲撃を無視してSCP-4576を掴み、地面に倒れて格闘を繰り広げます。>

ラナ: やめて! 両方ともやめて!

<格闘中、カカシはキッチンカウンターから大きなナイフを掴み、SCP-4576の腕を後ろの壁に突き刺して固定します。>

SCP-4576: 殺してやる! お前の残骸を馬に食わせてやる!

<SCP-4576はSCP-4576-1を引き抜き、カカシの至近距離から狙いを定めます。カカシはそれを掴んで上にねじり上げます。爆発性のある弾を発射して破片を撒き散らし、そのうちの1つがSCP-4576に着地してもう片方の腕を引きちぎりました。>

SCP-4576: クソがっ!

<カカシはSCP-4576-1を横に放り投げてから居間のずっとついていたテレビの方に歩いていきます。現在は幼少期のラナと思われる少女がかかしの人形と遊んでいる映像が流れています。>

カカシ: 昔のことを覚えているか?! <カカシはラナに歩み寄り、椅子を蹴り倒して地面に突き落とします。> 俺をどれだけ愛していたか覚えているか? 何が君を変えてしまったんだ?! 何が君を変えてしまったんだ?!

ラナ: これはただの誤解なの!

カカシ: 誤解だと?! そんなことが信じられると思ってるのか?! <カカシはラナの足に踵を振り下ろして骨折させました。>

<ラナは痛みで悲鳴を上げます。カカシは近くのガソリン容器を掴み、ラナに注ぎ始めます。>

SCP-4576: お前の魂を地獄に送ってやる、俺は-<SCP-4576は壁に突き刺された状態から解放されようと奮闘します。>

<動画には人形を胸にしっかりと抱きしめながら、葉っぱに覆われた裏庭を駆け抜ける幼いラナが映っています。>

カカシ: <カカシはガソリンを注ぎ続けます。> 懐かしいよ、ラナ。目が覚めた時、俺は独りだった。なぜだラナ? なぜ俺に飽きた? 子供は皆そうなのか? おもちゃを処分するのか?

<動画は突然泣いている幼いラナに切り替わります。>

カカシ: <カカシはガソリンを注ぐのを止めます。> なんだこれは…?

動画内の男性の声: どうしたんだい、ラナ?

幼いラナ: おもちゃを失くしちゃったの。<泣いています。>

男性の声: えーと、どうやって失くしたの?

幼いラナ: 分からないの。

男性の声: 新しいのを買ってあげるから。さあ行こう。<男性は彼女を持ち上げようとします。>

幼いラナ: <離れます。> 同じじゃないの。前のやつが欲しいの。ドリーが欲しいの!

男性の声: 彼がどこにいるのか分からないんだ。俺には見つけられない。誰にも見つけられない。

<ラナは更に大きな声で泣きます。>

<カカシは動画を一時停止してリモコンを落とします。>

ラナ: <ラナは息が荒く、痛みに呻いています。> ドリー?

カカシ: <カカシは黙っています。>

SCP-4576: うわー。

ラナ: ドリー?

<カカシはテーブルからマッチの箱を掴み、もう片方の手にはガソリン容器を持って外に出て画面外を歩いています。>

ラナ: ドリー。やめて。聞いて。私たちは正すことができるから。お願い。<ラナは痛みに呻きながら、カカシに向かって這い上がろうとします。>

SCP-4576: これはヤバい…これはヤバい…<SCP-4576はナイフを外そうと試みます。>

ラナ: ドリー! 聞いて! <ラナは縄から解放されカカシに追いつこうとしますが、転んでしまいます。>

<玄関の外から閃光が見えます。>

ラナ: ドリー!


[ログ終了]

財団職員はSCP-4576を追跡して別荘まで行き、そこでSCP-4576を確保し収容しました。ラナ・リングルは医療処置を受けた後、記憶処理を施されました。

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