SCP-4599-JP
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SCP-4599-JP-1。大量のSCP-4599-JP-2が存在する。

アイテム番号: SCP-4599-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel Sold

特別収容プロトコル: SCP-4599-JPは世界オカルト連合(GOC)に売却されました。

説明: SCP-4599-JPは宮城県仙台市に存在する直径3.4mのポータルです。SCP-4599-JPは後述するSCP-4599-JP-1に接続されており、SCP-4599-JP-1内部の対応するポータルを用いて同様に帰還することが可能です。

SCP-4599-JP-1は商業施設の形態を取る面積不明の異常空間です。SCP-4599-JP-1の端は現時点で観測されておらず、この空間は無限である可能性が指摘されています。SCP-4599-JP-1内部では主に貴金属やブランド品を扱う店舗、飲食店等が散見されます。これらの店舗はSCP-4599-JP-2によって管理・運営されており、またSCP-4599-JP-2自身もこれらの施設を利用する様子が見られます。

SCP-4599-JP-2は、SCP-4599-JP内部に存在するTartareanクラス悪魔実体の総称です。SCP-4599-JP-2は総じて人間に近い身体構造をしていますが、赤い肌と角状の突起、赤色の強膜などが確認できます。SCP-4599-JP-2はおおむね人間と同程度の知能を有し、SCP-4599-JP-1を訪れた人間に合わせた複数の言語の発話が可能です。SCP-4599-JP-2は人間に対して何かしらの対価と金品を、もしくはその逆を取引する形の契約を頻繁に行っており、現在のSCP-4599-JP-1内部の経済はこれらの契約によって成り立っているものとみられます。


補遺1: 2024/03/23、SCP-4599-JP-1内部空間の調査が実施されました。調査はスマートフォンを所持したエージェント・佐々木が、指令は担当職員である杉田研究員が行いました。以下は調査時に記録された映像です。

[記録開始]


[大きな物音。カメラは数秒間天井を映し、その後エージェント・佐々木がスマホを拾い上げる。周囲は天井が異様に高い屋内であり、遠方にはネオン看板や看板文字が多数確認できる。]

杉田研究員: 入れた?

エージェント・佐々木: 入れた。見た感じめっちゃ普通のショッピングモールだけど。

[佐々木が歩行を開始。左右には宝石店と思しき店舗、高級衣料品店、金属素材を陳列した露店状の店舗などが確認できる。値札には複数の通貨体系が併記されている。]

エージェント・佐々木: 値札、ドルと……んー、なんだこれ。知らん記号。別文化の通貨系かな。

杉田研究員: ここ独自の通貨とかじゃない?

エージェント・佐々木: あり得るな。となると、ここはだいぶ文化が進んでるのかな?

杉田研究員: おい、ブレてるブレてる。

エージェント・佐々木: 悪い悪い。スマホで撮ってるから慣れねえんだ。

杉田研究員: カメラ、経費で落ちなかったの?

エージェント・佐々木: 落とすほどの金がないの、お前も知ってるだろ。

杉田研究員: それもそうだったな……あー、商品に触るなよ、高そうだから。

エージェント・佐々木: 当たり前だろ。自分の月収より高そうなモン、ベタベタ触りたいか?

杉田研究員: 余計なこと言わなくていい。

[人型実体が佐々木の進行方向から接近する。外見は人間に酷似しているが、赤い肌と角状の突起、赤色の強膜が確認でき、黒いスーツを着用している。以後、実体1と呼称。]

実体1: おや、新規のお客さまかな? ずいぶん軽装だね。

エージェント・佐々木: あ、どうも。

実体1: 今日が初めてかい?

エージェント・佐々木: そうですね。今日はちょっと調査というか、見学に来てて。

実体1: 見学も歓迎だよ、買う気がなくてもね。冷やかしだけでも価値はある。

エージェント・佐々木: ここってショッピングモールですか?

実体1: まあ、そんな感じだ。ここは大量の金が動くような場所でね。いわば、ここの店は小さな国のようなものだ。店一つ一つが、それぞれの才能を生かして周りとは一味違う商売をしようとしている。大金で動く筐体、まさにユートピアさ! 客の欲が店の未来を操作する。どうだ、いい場所だろ?

エージェント・佐々木: なるほど、中々悪くないですね。

実体1: だろう?この辺は物が多い場所でね。でも、本当に価値のある商品は、もう少し奥だ。

エージェント・佐々木: 価値のある商品?

実体1: 君も持ってるだろう。生まれつきの癖とか、得意なこととか。まあついてきたまえ、案内は私がしよう。

杉田研究員: [小声で]佐々木、ついてけ。なんか金のにおいがする。

エージェント・佐々木: へいへい、元からそういうつもりでしたっと。

[エージェント・佐々木が実体1の後ろを歩く。約5分ほどで広大な市場のような場所に行きつく。実体1が足を止める。]

実体1: ここだ。ここがこの世界の一番"おいしい所"だよ。

エージェント・佐々木: おいしい所?

実体1: 申し遅れたが、私はこの商業施設"デモンズ"の営業部長のマルクスだ。以後お見知りおきを。

エージェント・佐々木: はあ、よろしく。

[市場区画は天井がさらに高く、等間隔に設置されたカウンター状の店舗が円環状に並んでいる。各カウンターにはガラスケースが設置されており、内部には発光する結晶体や、文字列が浮遊する板状物体などが確認できる。]

エージェント・佐々木: ……急に雰囲気変わったな。宝石売り場より緊張感ある。

実体1: 当然だ、ここは「嗜好品コーナー」なんかじゃない。「個人の資産」を扱う場所だからね。

杉田研究員: 資産?

実体1: 才能、能力、資質、呼び方はいくらでもある。生まれつきのものもあれば、後天的に積み上げたものもある。君たちの世界で言うところの"才能"だ。ここではヒトの才能を取引している。

エージェント・佐々木: 才能だって? そんなの、どうやって。

実体1: おいおい、私の角が見えないのか? 私たちは悪魔だぞ、あ、く、ま。あー、ほら、あんたらがよく見てる、アニメ?だかでなんかよく聞かないか? 「悪魔と契約してとてつもない力を手にして~」とか。

エージェント・佐々木: 悪い、多忙のせいでそんなの見る余裕がない。給料も安いしな。

実体1: [唸る]お前、本当に金がないのか……しかし、デモンズに来るからには金がないと何もできんぞ。

エージェント・佐々木: 少しくらい持ってくるべきだったか。

実体1: [閃いたように]そうだ、お前、名前は。

エージェント・佐々木: えっ、佐々木ですけど。

実体1: よし、ついてこい、佐々木。金に困ってるなら、いい手段がある。

エージェント・佐々木: ……行っていい?

杉田研究員: 調査のためだぞ。危なくなったらマジで帰って来い。グッドラック。

エージェント・佐々木: 無責任な……

[実体1が近くの店に入る。そこには一人の女性が立っており、外観は実体1と似ているが、複数の女性的特徴を有する。以後、実体2と呼称。]

実体2: あら、マルクスじゃない。どうかしたの?

実体1: デモンズの新しいお客さんに、デモンズのことを知ってもらいたくてね。

実体2: 珍しいねえ、マルクスが直に案内するなんて。わかったわ、私もデモンズのいいスポット、教えるわね。

実体1: それがコイツ、デモンズに来たってのに金持ってないんだとよ。

実体2: [驚愕した様子で]金がないの!? 金の楽園で金がないは通用しないわよ……。

実体1: だから、こいつの売れねえかなって。

実体2: あー、才能はすぐ売れるけど、値段は人次第だよ?

エージェント・佐々木: え、売るの?

実体1: 金ないんだろ?売っちゃえよ、いらない才能なんか。

エージェント・佐々木: ……それ、ホントに安全だろうな? やっても死なない? 痛くないだろうね?

実体1: 安全だよ、少なくとも致命的ではない。

エージェント・佐々木: [唸る]金が手に入るなら、まあ少しくらいなら…

杉田研究員: おい佐々木! やめろよ、上への報告がめんどくさくなる。

エージェント・佐々木: それで、マルクスさん。俺ってどんな才能があるのさ?

杉田研究員: おい無視すんな!

実体1: じゃ、ちょっと失礼。

[実体1と実体2が佐々木を凝視する。2人の目が少し赤みを増す。]

実体1: うーむ、どう思う?

実体2: なんというか、全体的に平均的だねえ。あ、でも。

エージェント・佐々木: でも?

実体1: 音楽だな。

杉田研究員: あー。

エージェント・佐々木: どうした杉田?

杉田研究員: そういやお前、学生時代バンドやってたとか言ってたか?

エージェント・佐々木: おい、俺の黒歴史。

実体1: 音楽が平均よりも上だな。リズム感、音感、作曲、どれもちょっと上だ。

エージェント・佐々木: あー、趣味で3年くらいギターやってたのもあるのか?

実体2: で、売るの?

エージェント・佐々木: まあ、今更ギターで食ってくこともないだろうし、売るかな。

杉田研究員: おい! 上にどうやって報告すんだよ!

実体2: あいよ、じゃあ……[電卓を操作して]4380ドルね。

エージェント・佐々木: えっ、そんなに。

実体1: 趣味系の才能は需要が多いからな。それに、単純にお前が音楽に長けてたってのもある。

エージェント・佐々木: [絶叫]音楽で食ってけばよかった!

実体1: 今言うなよ、売るって言ったらもう契約するって決まったようなものだ。

実体2: じゃあ、ちょっと奥に来て。ちょっと儀式やるから。

[実体2が店の奥へと続く半透明のカーテンをめくる。内部は簡素な個室であり、床面には円形の紋様が描かれている。]

エージェント・佐々木: ここでやるのか?

実体2: ええ、そうよ。あなたは何もしなくていいわ。ただその円の中に立ってて。

エージェント・佐々木: こう?

[佐々木が円の中に立つ。実体2はそれを確認すると、目を閉じ、両手を佐々木の方に向ける。]

実体2: [判読不能]!!!

エージェント・佐々木: うわっ

[佐々木の身体が強烈な光を発したと思うと、佐々木の方から引き剥がすように光が移動する。やがてその光が実体2の胸の部分に集まり、収束する。]

実体2: はい、終わり。

エージェント・佐々木: えっ、もう?

杉田研究員: 佐々木、何か変わった点とか無いか?

エージェント・佐々木: うーん、特にはないが……

杉田研究員: [唸る]佐々木。ちょっと歌ってみてくれねえか?

エージェント・佐々木: え? あー。 

[佐々木が小声で歌唱する。]

杉田研究員: やっぱりそうか。

エージェント・佐々木: どうした、杉田?

杉田研究員: オンチになってる。

[佐々木が顔をしかめる。実体2が大量の100ドル札を持って現れる。]

実体2: じゃあ、約束の4380ドルね。これでデモンズで楽しみなさい。

エージェント・佐々木: えっ。[驚愕した様子で]こんなに。

杉田研究員: まっすぐ帰って来いよお前。金に目がくらんで、いろいろ買われたら困る。

エージェント・佐々木: わかってるって。

[記録終了]


終了報告書: 実体1は悪魔を自称していますが、その真偽は明らかではありません。また、帰還したエージェント・佐々木には歌唱能力・演奏能力に著しい低下がみられています。エージェント・佐々木の持ち帰った100ドル札はサイト-8181のエアコンの復旧に利用されました。






補遺2: SCP-4599-JPは担当職員である杉田研究員により有用かつ再現性が高いと判断され、プロジェクト・リセールが制定されました。


プロジェクト・リセール



プロジェクト・リセールはDクラス職員とSCP-4599-JPを用いた才能の交渉によって財団の資金調達の手段を手に入れるのを目的としています。危険度の高い職務に派遣される消耗品としてのDクラス職員を利用するために制定されました。


Dクラス職員をSCP-4599-JP取引対象とする場合、以下の条件を満たす必要がある。

  • 申告可能な技能・才能を有すること
  • 被験者の職務が長期的でなく、終了する可能性があること

取引手順

  1. 選定されたDクラス職員はSCP-4599-JP-1へ移送される。1
  2. SCP-4599-JP-2の要求に応じ、被験者は技能内容を口頭で申告する。
  3. 実体による儀式が完了するまで、外部からの干渉は禁止。
  4. 手に入れた資金は財団の資金として多方面に利用される。

君たちがご存じの通り、現在財団は深刻な資金難に陥っている。その点、このプロジェクトはそこに飛び込んできた黄金の光だと言えるだろう。もっとも、このプロジェクトの起点となるDクラスには感謝しなければならないが。

率直に言えば、本アノマリーは「奇跡的に帳簿と相性が良い」。
倫理的な議論、形而上学的な解釈、あるいは悪魔実体を名乗る存在の真偽といった問題は、重要ではあるが差し迫ったものではない。少なくとも、老朽化した設備が停止し、予算不足で研究が滞る現状に比べれば優先順位は明確だ。

Dクラス職員に生じる影響については、現時点では限定的かつ非致死的である。能力低下という代償は確認されているが、これは再現性が高く、管理可能な範囲に収まっている。加えて、影響の内容が財団運営に直接的な支障をもたらす可能性は低い。歌唱能力の低下が、世界の終わりを招くことはない。少なくとも、我々の知る限りでは。

最後に付け加えておく。
このプロジェクトが「正しい」かどうかは、いずれ誰かが議論するだろう。だが我々の仕事は、正しさを決めることではない。
世界を維持するために、今日も電気を通し、空調を動かし、収容室の扉を閉めることだ。

そのための4380ドルであるならば、安いものだ。

シェルドン・カッツカツ
プロジェクト・リセール担当職員

現在、プロジェクト・リセールにより年間30人程のDクラス職員を利用、100万ドル超の利益を出しており、現在SCP-4599-JP-1における才能売買において、一大の供給源となっています。

また、SCP-4599-JP-1への資金提供も行い、SCP-4599-JPと同様のポータルを世界中に配置し、現在才能売買の利用客が増加の一途を辿っています。
SCP-4599-JPは財団の資金源として非常に高い有用性があると判断され、当プロジェクト制定から1年後、正式にThaumielに再分類されました。






補遺3: 映像記録

[記録開始]


[D-8190と監視役のエージェント・佐々木がSCP-4599-JPに侵入する。]

エージェント・佐々木: よし、じゃあついて来……

[2人をSCP-4599-JP-2実体たちが取り囲む。その最前列には実体1の姿がある。]

D-8190: [絶叫]なんだこいつら!

エージェント・佐々木: 一旦黙って。[実体1に向かって]一体何の用だよ、マルクス?

実体1: あー、今日はお前ら…財団だったか?に伝えたいことがあってな。

エージェント・佐々木: 伝えたいこと? 俺らが100万人目の客ってコトか? それとも、うん周年の感謝か?

実体1: ああ、そうであればよかったんだが……単刀直入に言うと、お前らは出禁になってな。

[沈黙]

エージェント・佐々木: は? ‌今なんと?

実体1: 出禁。

エージェント・佐々木: 何でだよ? 財団は大量に才能を供給して、デモンズがそれを使い供給に応える。Win-Winの関係だったろ。

実体1: あーそうだ、その通りだよ。お前らの大量供給にはいろいろと助けられてるさ。今や財団の助けによってそっちの世界にたくさんのポータルを作り、利用者を増やしていっている。増え続ける需要に応えるにはお前ら財団の供給がないとやっていけないってこともわかってるさ。

エージェント・佐々木: なら出禁ってどういうことだよ。

実体1: [溜息]質だよ、質。

エージェント・佐々木: 質?

実体1: お前ら、もしかして重犯罪者の才能を売ってないだろうな?

エージェント・佐々木: ……いや

実体1: 図星だろ! お前らがいらないと言って余分な才能を大量に売ったせいで、犯罪の才能がデモンズの裏社会で取引されてるんだよ! そのせいでここの犯罪率がダダ上がりだ! 暴行、窃盗、先週は殺人だって起きたさ。奴らはみんなお前らが供給源の犯罪の才能を買ってた、これは誰のせいだ?

エージェント・佐々木: ……重犯罪者のせい?

実体1: お前らのせいだよ! 何で売った俺らは関係ねえみたいな面してんだよ! いや重犯罪者も悪いけどよ!

エージェント・佐々木: ちょ、ちょっと待て、俺達も悪いとして、犯罪の才能を引き取った市場側も悪いんじゃねえのか?

実体1: ああ、それについてだが……

実体2: 離して!!!

[カメラが佐々木の背後を映す。拘束された実体2と、他複数の実体が確認できる。実体2は警備員の服装をした実体群に拘束され、ポータル方向へ連行される。]

実体2: 悪かったわよ! 金に目がくらんで、つい犯罪の才能まで買っちゃっただけなの! だから許して!

エージェント・佐々木: あれって……

実体1: 金に釣られたみじめな悪徳業者だな。あいつらはデモンズから永久追放だ。

実体2: 待って! 追い出さないで!

実体1: 安心しろ! 商売は向こうの世界でもできる!

実体2: [絶叫]

[実体2がポータル内部へ投げ込まれる。]

実体1: さて、次はお前ら財団の番だが……

エージェント・佐々木: す、すまなかった。次からは売る審査を厳しく――

実体1: ダメだ! 上がもう出禁と決めてんだ、[実体群に向けて]おいお前ら、こいつら追い出すぞ。

[実体たちが佐々木とD-8190を拘束し、ポータルに放り投げる。]

実体1: 二度と来るんじゃねえ。


[記録終了]

直後、エージェント・佐々木とD-8190はポータルから排出され、これ以降SCP-4599-JPが機能しなくなりました。現在、財団はSCP-4599-JPの売却先を探しています。

































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