SCP-4608
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最終収容プロトコル以前のSCP-4608。

アーカイブ済み予備収容プロトコル: SCP-4608の周辺領域は有毒化学物質流出のカバーストーリーの下に封鎖されます。無力化後、特殊除草剤PQ4608を使用して、敷地内を植物が生育できない環境にする必要があります。

SCP-4608の回収時の状況のため、更なる収容プロトコルは発案されませんでした。

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芸術家によるジョン・チャップマンの描写、1860年作成。

説明: SCP-4608はインディアナ州ミランの郊外にあった、22,000本の樹木を擁する面積60エーカーのリンゴ園でした。SCP-4608の敷地内の樹木の約75%には、北欧のオカルト宗教に関連する奇跡論的な印章とシンボルが彫り込まれていました。

記録によると、SCP-4608はジョン・チャップマン1によって1826年に播種され、彼は1845年に死亡するまでこのリンゴ園を管理していました。ジョン・チャップマンの追悼記事は、彼がアレン郡イズン教会2の唯一の司祭だったことを示しますが、礼拝所や信徒が存在した記録はありません。

発見当時の状況の都合上、SCP-4608-1とSCP-4608-2についてはごく僅かしか分かっていません。全ての情報は機動排撃部隊エージェントたちの目撃証言と対応ログの転写から得られたものです。

SCP-4608-1は未特定種の植物のような筋肉構造と、一般的な広葉樹の樹皮に似た外皮で構成された生命体でした。SCP-4608-1個体の身長は5cmから3mの範囲で異なり、移動することができました。SCP-4608-1個体は非常に攻撃的で、縄張り行動と捕食習性を示していました。

SCP-4608-2は樹皮に13人分の人間の顔が埋め込まれた巨大なリンゴの樹でした。これらの顔面は発声可能でしたが、使用された言語は現在も特定されていません。SCP-4608-2はSCP-4608の中心部で発見された敵対的存在であり、自らの根を攻撃に使用しました。

発見: 地元の伐採業者がSCP-4608が位置する土地を購入していました。SCP-4608へ最初の伐採に赴いた際、1人の作業員が安全装置の不具合によって死亡しました。その後間もなく、残り全ての作業員が死亡または行方不明になりました。捜索隊もまた失踪したと推定されます。1947年10月14日、SCP-4608-1個体の写真を伴う警察の報告書から、財団はSCP-4608を取り巻く事件について知りました。1週間後、サイト-81は3名編成の調査チームを派遣しました。連絡無しで4日間が経過した後、エージェント3名全員が死亡と推定されました。

調査チームとの連絡途絶に続き、サイト-81は高リスク対応チームである機動排撃部隊ブラボー-7(“ホームタウン・ヒーローズ”)を状況処理に派遣しました。

対応ログ転写

日付: 1947/10/15

対応チーム: MSF ブラボー-7

対象: SCP-4608(インディアナ州ミラン)に対応したMSF ブラボー-7の3分隊。


アルファ分隊:


分隊長: アルファ-1 “キャップ”
分隊員: アルファ-4 “スクエア”、アルファ-5 “ファイブズ”、アルファ-7 “セヴ”


[記録開始]

[カメラ視点が動き、最近伐採された木々がある小さな空き地を映す。]

アルファ-1: 良し。ベータ分隊、君たちは東に向かってくれ。ガンマ分隊、君たちは西だ。何も見つからなかったら、30分後に私まで無線連絡を頼む。

ベータ-1: 了解した、キャップ。チャンネルを切り替える。

ガンマ-1: 了解。行くぞお前ら、話は聞こえただろ。チャンネルを-

アルファ-1: アルファ分隊、集合。我々は事件現場を調査し — それから南に向かう。

アルファ-4: 機材はすぐ近くに設置されています。多分取り掛かるのはあそこが良いでしょう、キャップ。

アルファ-1: そうだな、無駄にする時間はない。手早く済ませよう。

アルファ-7: ああ。ここにいると身の毛がよだつ。

[アルファ分隊は伐採用具に近づく。幾つかの死体が見える。]

アルファ-5: おいおい、奴らは後始末もしなかったのか。

アルファ-4: キャップ、これを見てください。

[アルファ-1は、切断された人間の死体の前に屈んでいるアルファ-4に近づく。死体の胸腔がこじ開けられ、リンゴが詰め込まれている。]

アルファ-4: こいつは一体何—

[大きな金切り声が全ての無線に響く。カメラ視点が動いて樹木限界線を映す。]

アルファ-1: 応答せよ、分隊長。

ベータ-1: 我々の近くではない、キャップ、しかしこちらも聞こえたぞ。

ガンマ-1: 声は南西からだな。今は移動中。間違いなくここにいるのは俺たちだけじゃない。

ベータ-1: 確かに。正体が何であれ、恥ずかしがり屋のようだ。一瞬だけ垣間見えたが… 素早い。

アルファ-1: 15分後にまた連絡する。

[アルファ-1は伐採器具から遠ざかり、樹木限界線に向かって歩いていく。]

アルファ-1: 我々は死体の横で棒立ちになるために来たんじゃない。行くぞ。

アルファ-7: 何だかよく分からねぇが、このヤマは嫌な予感がするぜ。

アルファ-4: あなたオンタリオでも同じ事言ってましたよね、セヴ。

[アルファ-4とアルファ-5が笑う。]

アルファ-5: 大目に見てやれよ — あのカメはマジでデカかったからな。

アルファ-7: 聞いてくれよ、ありゃ-

アルファ-1: お喋りはそこまでだ。

[アルファ分隊が樹木限界線に入る。]

アルファ-5: この樹を見ろ。

[カメラがリンゴの樹を映す。印章が樹皮に刻まれている。]

アルファ-1: 私に意味が分かればいいんだがな。

アルファ-7: こっちにも幾つかあるぞ、キャップ。

アルファ-4: そこら中に刻まれているようです。

[再び、大きな金切り声が聞こえる。数秒後、複数の金切り声が反対方向から聞こえる。]

ベータ-1: キャップ、2番目の声はこっちの方角から聞こえた。

アルファ-1: レジス、何が現れてもいいように準備しろ。我々が見つけた死体には… 君はこんな惨い末路を迎えたくはないだろうとだけ言っておく。

ベータ-1: 了解、キャップ。我々は道らしきものを見つけたので、そこを辿る。気を付けて。

アルファ-1: 左右を警戒しろ、諸君。

[アルファ分隊は10.5分間、西に歩き続ける。無関係な会話を除去。]

アルファ-4: 動きあり、2時の方角 — 3時 — 5時。クソ、素早い。

[カメラがアルファ-4を映す。ぼやけた動きが彼の背後に見える。]

アルファ-1: 整列!

[数発の銃声が無線から聞こえる。大きな金切り声が聞こえた後、より低い金切り声が全方位から響く。]

ベータ-1: 1体撃ち倒した、キャップ。この怪物どもは簡単には死なないぞ。

アルファ-1: 死亡を確認したか?

ベータ-1: いいや。弾丸はろくに効かなかった。[無線から銃声が聞こえる]から目を離すな。木々[銃声]遠ざけろ。奴らは植物のように見える。

アルファ-7: 畜生。ファイブズは何処にいる?

アルファ-1: ファイブズ! ファイブズ! スクエア、ファイブズを見なかったか? スクエア? おい-

アルファ-7: クソが。キャップ、ファイブズはあそこです。

アルファ-1: ファイブズ、どうしてお前は-

[カメラがアルファ-7に向き合う。彼の背後に、両断されたアルファ-5の死体が木々から腸で吊り下げられているのが見える。]

アルファ-1: 先に進もう。

[アルファ分隊は速いペースで西に移動し始める。大きな金切り声が聞こえ、続いてアルファ分隊のすぐ後ろから別の金切り声がする。]

アルファ-7: キャップ、危ない!

[カメラ映像がぼやけた後、アルファ-1から1m離れた位置に立つSCP-4608-1個体を映し出す。]

[記録終了]


ベータ分隊:


分隊長: ベータ-1 “レジス”
分隊員: ベータ-6 “シクシーズ”、ベータ-8 “エイト”、ベータ-9 “ニノ”


[記録開始]

[ベータ分隊は未舗装路を急ぎ足で移動している。]

ベータ-1: シクシーズ、その傷にはしっかり圧力を掛け続けろよ。

ベータ-9: 何なんだ畜生! あの化け物ども、何処からともなく現れやがった。これからどうする気だ、レジス?

ベータ-1: 分からん、ニノ。とにかく絶対リンゴの樹には近寄るな。

ベータ-6: [堅苦しい笑い。] そりゃいいや、レグ。だが俺としては-

[ベータ-6が地面に倒れる。]

ベータ-1: ニノ、彼を起こせ。私が見張っておく。

ベータ-1: キャップ、こちらの状況は思わしくない。KIAが1名、負傷者が1名。少し助けが要る。キャップ? キャップ?

ガンマ-1: [銃声] 独力で乗り切るしかなさそうだぜ、レジス。威力の高い弾丸か [銃声] 榴弾に切り替えろ。このクソどもはそこまで頑丈じゃない。

ベータ-1: 君の居場所は? 我々には援助が必要だ。

[ベータ-9は現在ベータ-6を肩に担いでいる。ベータ分隊は道を進み続ける。]

ガンマ-1: [銃声] 俺たちはここでピクニックしてるんじゃねぇんだぞ。 [銃声] 最初の叫び声の後は警戒しろ。あれは掛け合いみたいなもんだ [銃声]

ベータ-9: レジス! あれを見てくれ!

[カメラが小さなレンガ造りの礼拝堂を映す。大きな金切り声が聞こえる。応答の金切り声が全方位から響く。]

ベータ-1: シクシーズをあそこに避難させる! ゴー、ゴー、ゴー!

[カメラ視点がぶれて、ベータ分隊の背後に迫る3体のSCP-4608-1個体を映す。ベータ分隊は礼拝堂に入ってドアを勢いよく閉める。]

ベータ-1: そこに寝かせて、この信徒席を動かすのに手を貸せ。

[ベータ-9はベータ-6の身体を壁に寄りかからせた後、ベータ-1がドアを封鎖するのを手伝う。SCP-4608-1個体がドアを叩く音が聞こえる。]

ベータ-1: これで暫くの間は-

ベータ-9: マジかよ。

[カメラ視点が移動し、人間の頭蓋骨で構成された壁の前に立つベータ-9を映す。]

ベータ-1: おい! さっさと目を覚ませ。放心している余裕は無い。シクシーズを起こすんだ。必要なら傷口に指を突っ込んでも構わん。

ベータ-9: すまない。了解した。

[ベータ-1は棚に置かれた様々な巻物や本を引っ掻き回し、全て床に払い落とし始める。]

ベータ-1: 畜生、どれもとんでもない悪筆だ。さっぱり読めやしない。

[金切り声の掛け合いが再び聞こえる。ドアを叩く音がより激しく、頻繁になる。]

ベータ-6: 何が起きて-

ベータ-9: シクシーズが起きたぞ、レジス。だがひとまずこの傷を見てくれ。

[ベータ-1は歩み寄り、ベータ-6の足の負傷をライトで照らす。傷の周辺に進行した壊死の兆候が見られる。幾つかのリンゴの種が傷口の中や周囲に埋め込まれているのが見える。]

ベータ-6: どういう意味— ああっ!

ベータ-1: [ベータ-9に小型医療キットを手渡す] このクソ忌々しい種をえぐり取って消毒してやれ。移動しなきゃならない。

ベータ-9: 了解。シクシーズ、痛むだろうが我慢しろよ。

[ベータ-1は礼拝堂の反対側に引き返す。シクシーズのくぐもった呻き声が背後で聞こえる。金切り声の掛け合いは頻度を増している。]

ベータ-1: [静かに無線に話しかける] ジョーンズ、聞こえるか? 閉じ込められてしまった。どうすべきか分からん。

ガンマ-1: 近付いてる、もうすぐ- もうすぐ原点に着く。静かになってきてる。

[アルファ-1の無線チャンネルから空電音が聞こえる。]

ベータ-1: キャップ! 良かった、いったい何処に-

アルファ-7: だ- 誰か聞いてるか? 頼むよ、誰かこの声が聞こえるか?

ベータ-1: セヴ、お前か? 何がどうなってる? キャップは何処だ?

アルファ-7: 死んだ、みん- みんな死んだ。俺は西に向かってるはずだ。今の段階じゃはっきりとは言えないが- 近付いてると思う。

ベータ-1: 何に近付いて- [ベータ-1の声はベータ-9の絶叫に遮られる]

[カメラ視点がぶれて、床の上でもがくベータ-9の姿を映し出す。25体のSCP-4608-1個体がベータ-9から肉の塊を引き剥がしている様子が伺える。更に多くのSCP-4608-1個体がベータ-6の口、目、足の傷から出現するのが見える。]

ベータ-1: クソクソクソッ!

[ベータ-1が発砲し始め、SCP-4608-1個体群が彼に向かって押し寄せる様子が映る。]

アルファ-7: レジス? レジス? …誰かいないのか?

[記録終了]


ガンマ分隊:


分隊長: ガンマ-1 “ジョーンズ”
分隊員: ガンマ-10 “テナー”ガンマ-11 “エルヴ”ガンマ-12 “ドズ”


[記録開始]

[ガンマ-1はリンゴ園の空き地に向かってゆっくり歩いている。幾つかの非人間的な声が未特定の言語で話しているのが聞こえる。]

ガンマ-1: ここで降ろすぞ、テナー。敵さんが待ち受けてるらしい。

[ガンマ-1は前屈みになり、背中からガンマ-10を降ろす。]

ガンマ-1: テナー? 畜生め。

[カメラ視点がぶれて、内臓の露出したガンマ-10が地面に横たわっているのを映す。ガンマ-1はガンマ-10のポケットを漁り、1発の手榴弾を取り出す。]

ガンマ-1: 冗談じゃねぇや、ジョン、お前みてぇな良い奴がこんな目に遭うなんて。 [不明瞭な呟き]

アルファ-7: —ここがチャンネルのはずだ。ガンマ分隊、聞こえるか? ガンマ分隊、聞こ-

ガンマ-1: [静かに話しかける] セヴ、畜生、どうしたって-

アルファ-7: みんな死んじまった。ベータ分隊もそうだと思う。お前たちは無事か?

[カメラ視点がガンマ-10の死体に戻る。]

ガンマ-1: もう俺だけさ。

[非人間的な声が途絶え、律動的な金切り声が始まる。これらの金切り声は93秒間続く。]

アルファ-7: ああ、そんな — 木を見ろ。

[カメラが動き、ガンマ-1を囲む木々から浮き上がった人間の顔を映す。顔はすすり泣いており、空の眼窩から血液が流れだしている。]

ガンマ-1: 知るかよ。

[ガンマ-1は立ち上がり、空き地に入る。SCP-4608-2が中心部に見える。13ヶ所全ての顔が金切り声で叫ぶのを止め、半狂乱で未知の言語を発声し始める。]

ガンマ-1: こりゃ凄ぇ。

[ガンマ-1は発声し続けるSCP-4608-2を数発撃つ。]

アルファ-7: 待ってろよジョーンズ、もうすぐ着く-

ガンマ-1: さっさとここを出ろ、脱出して応援を呼ぶんだ- [呻き声]

[カメラ視点が急に下がり、太い根がガンマ-1に巻き付いている様子を映す。数本の骨が折れる音が聞こえる。]

ガンマ-1: 心配- すんな、何処にも逃げ- 逃げやしねぇからよ。 [ガンマ-1は水音の混じった声で笑い、SCP-4608-2に手榴弾を投げる。]

[大きなバキッという音が聞こえ、ガンマ-1の身体が弛緩する。SCP-4608-2が炎に包みこまれ、倒れ始める。カメラとガンマ-1の死体が地面に落ちる。カメラは周囲の木々が叫んでいる様子を映す — 木々の枝は自然発火している。数体のSCP-4608-1個体が炎上しながら木々の間を縫うように歩いているのが見える。]

アルファ-7 なんてこった、クソ、クソッ、ジョーンズ、俺は- すまねぇ、俺には- 俺はもう [咳込む] 行かなきゃならない。

[記録終了]



結: 1947年10月16日、アルファ-7はアレン郡消防隊によって救助されたが、無意識であり、疲労と煙吸入傷害に苛まれていた。サイト-81隠蔽チームが状況統制を行い、有毒化学物質のカバーストーリーを用いてエリアを封鎖した。
聞き取り調査と心理評価の後、アルファ-7は記憶処理を施され、低リスク回収任務に再配属された。MSF ブラボー-7の隊員たちは、SCP-4608の無力化における功績のため、死後に財団星章を授与された。

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