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Info
翻訳責任者: Tetsu1
翻訳年: 2023
著作権者: AlanDaris(アカウント削除済)
原題: 👉🐑💥
作成年: 2020
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-4629
SCP-4629 — ちょっとしたイースターエッグ
ジャムコンテスト2020の1つ目のテーマ、「爆発」のエントリー。
私のこのコンテストの他の記事: SCP-5058~~ もっとAlanの作品を見る ~~
アイテム番号: SCP-4629
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団運営botのI/O-BARAMYOUは、現実でSCP-4629に関する言及がないかウェブ上を監視します。配属された職員はbotによって纏められた報告書を調査するとともに、SCP-4629の発生が確認された場合には目撃者に記憶処理を施し、イベントに関する言及を削除する任務を負っています。
様々な形式のメディア、特にビデオゲーム業界におけるSCP-4629への言及は、機密違反を引き起こす可能性は低いと考えられており、追加の偽情報キャンペーンとして利用されています。
説明: SCP-4629は Ovis aries(ヒツジ)の体内で圧力が自発的に上昇し、結果として激しく爆発する現象です。SCP-4629は、それぞれの種の個体(以下SCP-4629-1)が人間個人によって三分間以内に少なくとも百回接触された場合に発生します。この行動は人間の手のどちらか一方で実行する必要があり、繰り返す前に物理的接触を完全に断つ必要があります。
この過程でSCP-4629-1の身体に生物学的変化は確認されませんが、感情的苦痛が増大している兆候が観察されました。最初のSCP-4629イベントは2003年11月に観測され、その後実験以外で十年間に二回発生しています。
2004年に実施された初期調査で、SCP-4629が多数のビデオゲームで実行可能な隠しアクションと酷似していることが判明しました。SCP-4629と類似したプロセスを描写したゲームの中で当時の最新作はリアルタイムストラテジーゲームの "Warcraft III: Reign of Chaos" でした。ゲームでは、プレイヤーが中立の動物ユニットを数十回高速でクリックすると、ユニットは急速に爆発しました。現象はWarcraft IIIがリリースされてから六か月後に開始したと推測されました。ゲームのメインプログラマーであるマイク・オブライエン(以下PoI-1008)は財団に拘留され、インタビューを受けました。
補遺4629: インタビュー記録
インタビュー対象: PoI-1008
インタビュアー: B. ビショップ博士
日付: 2003/08/15
記録開始 ビショップ博士: こんにちは、オブライエンさん。あなたの最新作についていくつか質問したいことがあって来ました。
PoI-1008: どうも。俺は、その… おだてられてんのかな? 相当沢山の人がゲームに興味を持ってくれたのは嬉しいけど、こんなのは予想してなかった、ああ。こんな場所で話すことになるとは。
ビショップ博士: 安心してください、そうお時間は取らせません。ただ特定のアクションについてだけ知りたいのです。動物をクリックすると爆発するあれです。
PoI-1008: あぁ、爆発羊のイースターエッグ1ね? そうだ、面白いやつ。
ビショップ博士: 私たちはこの「イースターエッグ」について何か変わったことがあるか知りたいのです。どのようにこれを思いついたか覚えていますか?
PoI-1008: そうだな、何回もつつかれたヒツジが爆発するのを見たことがあって、それがインスピレーションになったんじゃないかな。
ビショップ博士: …そうなのですか? それはあなたがゲームを開発し始めた後のことですか?
PoI-1008: いや、かなり昔のことだ。夏、俺が10歳ぐらいだった時だ。俺と両親は、友人の、あー、多分誕生日を祝うためにそいつの農場に行った。その近くには芝生の野原があって、十数頭の羊が草を食ってた。
(PoI-1008は沈黙する)
PoI-1008: 思い出せる限りだと、俺たちがその野原で馬鹿なことしながらぶらぶらしてたとき、羊が触ると反応することに気づいた。つつけば「メエー」とか「ベエー」とか鳴く。誰のアイデアだったかは覚えていないが、一頭の羊を何回もつついたら楽しいだろうということになった。それもとても速く。俺たちは賢いガキじゃなかった。
(PoI-1008は一瞬笑う)
PoI-1008: それで俺たちの一人、多分フレッドが、しばらくそうしてたらドカーンだ。ヒツジはバラバラで、可哀想なあいつは頭から足の先まで血まみれで立ってた。他の奴らは叫んで逃げてったけど、個人的には全部めちゃくちゃ面白いと思った。ブラックな笑いってやつだな、だろ?
ビショップ博士: あー、ですかね?
PoI-1008: (短く笑う)当然両親は信じなかった。それからしばらくして、俺もあれを本当に見たのか疑わしく思えてきた。このことをどうして何年も経ってから思い出したのかはわからないが、Warcraftを作っているときにちょうど思いついて、スタジオの他の人たちに自分のアイデアを提案したんだ。皆んなそれを入れたら面白いだろうって合意した。それ以来、正直これについてあんま考えたことはなかったよ。
ビショップ博士: 当時十歳だったということは、その出来事は1983年にはもう起きていたということですね?
PoI-1008: (肩をすくめる)多分。他に知りたいことは?
ビショップ博士: いえ、以上で終わりです。ご協力ありがとうございました。
記録終了
後記: PoI-1008はSCP-4629の原因でないと判断されたため、クラスA記憶処理を施されて解放されました。SCP-4629の真の性質を隠蔽するため、その後彼やその関係者には1983年の夏に発生した出来事に関して偽情報が伝えられました。
現象の起源についての追加調査が実施され、その間に配属された職員は様々な印刷媒体、文書、民間伝承を検査しました。合計十二件のSCP-4629に関する言及がテキストや都市伝説などの口頭情報源から発見され、様々な国と年代で収集されており、最も古い言及は16世紀まで遡ります。この現象は主に、未知の病気、魔術、または超常現象によるものと考えられていました。確認された情報源はいずれも、一般大衆にとって知名度や信頼性に欠けていたため、広く注目を集めることはありませんでした。
現在、SCP-4629は少なくとも五世紀にわたり存在していると考えられていますが、その発生条件が複雑かつ極めて愚鈍なものであるため未だ民間人には存在を知られていません。