クレジット
タイトル: SCP-4633 - Rock, Paper Yog-Sothoth
著者: Mortos
Yes, the USA Rock Paper Scissors League was a real thing.
Yes, they had commentary.
Yes, it was almost exactly like this.
アイテム番号: SCP-4633
アノマリークラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-4633の影響を受けた人物は可能な限り矯正手術を受けさせてください。もし、不可能だった場合にはそれらの人物は適切な解決法が解明されるまで低危険度人型実体収容セルに収容してください。
可能であればSCP-4633の記録は標準的データ検閲プロトコルを介して公的な情報源から削除されます。不可能であった場合はカバーストーリー「コンピューター生成の画像」を適用します。SCP-4633の目撃者にはAクラス記憶処理が施されます。
説明: SCP-4633は一般的に「ジャンケン」と呼ばれるゲームへの異常なルール変更です。SCP-4633を特徴としたジャンケンにおいて、プレイヤーはさらなる異常な手を使うことができます。 それらの異常な手はプレイヤーの参加したゲームによって異なりますが、変更の性質上これらを追跡するのは困難です。
SCP-4633を特徴とするジャンケンが始まるならば、ゲームの既存のルールに加えて異常な手を使うことが、プレイヤーには可能になります。使われるとき、プレイヤーの手は急速で極端な形態的変化を被ります。そして、プレイヤーが正しく最終的なジェスチャーを行うことが可能となります。結果として生じる形は、海洋生物で見つかるそれらを思い出させます。
一旦、完全に変化したならば、これらの変化は永続します。しかし、そのことでプレイヤーが苦悩などをする行動は現在報告されていません。 稀に矯正手術で変化した手を治療することが可能ですが、完全に治療する場合には切断することでのみ生存の可能性があります。
SCP-4633はもともと「ジャンケンで勝つためのプロのヒント[原文ママ]」という件名の電子メールで発見されました。 電子メールには男性が6本の腕を使用し、グー、チョキ、パーのほかに明らかに操作された3つの不明な手を使用する画像が含まれていました。 そして、ジャンケンがいかに人間の文化にかかわっているか、何としてでも勝たなくてはいけない、という一貫性のない説明が書かれていました。
これらの電子メールの発信源はSCP-3299の発信源と一致しました。
観測されたSCP-4633の手
以下は、いくつかのゲームで確認された異常な手の例です。
名称1 | 改変 | 守られたルール |
---|---|---|
Rah-kesh-et | 親指が掌に入りもう一方の親指の爪から出ているように見られる。 | グーとパーに勝ち、チョキと1つの未知の手に負けた。 |
Sha-nak-nar | 手が裏返しになった。 | そのゲームにおける勝ちと負けを反転した。 |
Az-rah-vok | 先の尖った歯が並ぶ20箇所以上の漏斗型の開口部が手と上腕に現れた。 | チョキに負けた。また、それぞれの開口部は残りのゲームのために相手方のプレイヤーに牙を突き出した。相手は最終的には勝ったが、失血のため入院した。 |
Cha-tek | 手と上腕が8分割され、皮膚細胞で出来た、接続に適する触手になる。 | 追加された触手により、様々な手を使用することができた。相手は平等な状態を維持するために同じ手を使用することを余儀なくされた。ゲームは3時間続き、その間に37の異なる手が行使された。 |
不明 | 各指がチョウチンアンコウの誘引突起のような器官に変化した。 | 相手に催眠効果を引き起こした。それにより相手は手を出す前、次に自分の出す手を言った。相手が'Ill-arl-teth'を使用したとき、プレイヤーは最終的に敗北した。 |
Ill-arl-teth | 手が形状を維持したままサンゴに変質した。 | プレイヤーは変質した手で気絶した相手をたたき始めました。これがゲームの一部だったかどうかは不明です。 |
不明 | 手の甲と腕から長い脊柱が生えた。 また、脊柱が生えた腕の反対側と掌に何十もの細い巻きひげが生えた。 | 不明。グーに勝つことが確認された。 |
インシデント-4633-1
2011年3月4日、2010年アメリカで開催されたジャンケン大会の決勝戦中に発生したと思われるSCP-4633の映像が回収されました。この大会の優勝の記録は現在確認されていません。最後に確認された大会は2009年でした。以下はビデオ映像の転写です。
注釈: 開会式と選手の入場は重要度が低いため省略されました。また、全ての人物名は識別子に置き換えられています。
レフェリー: このゲームでは "Fth-fa-tog-ryn"2 ルールを適用しています。
プレイヤー1とプレイヤー2が頷く。
コメンテーター1: OK、試合開始です!
コメンテーター2: レディースアンドジェントルメン!世界が待ちに待った試合が今、始まろうとしています!
コメンテーター1: おおっとプレイヤー2、無意識にチョキを出そうとしています。
レフェリー: ラウンド1、始め!
プレイヤー1とプレイヤー2が動作を始める。
コメンテーター2: 果たしてプレイヤー1は気づくのか?
プレイヤー1がパーを出し、プレイヤー2はグーを出す。
コメンテーター1: しかしプレイヤー1、それに乗らず、プレイヤー2を逆に乗せた!プレイヤー2はここで大きなハンデを背負うことになってしまいました。
コメンテーター2: プレイヤー2はこの大会のほとんどを相手の出す手を無意識に操作する彼自身の能力に頼ってきましたからね…彼がどのようにこの試合で対抗していくか、見ものですね。
コメンテーター1: あと、プレイヤー2はプレイヤー1よりはるかに長く試合を続けているので、限界が近づいてきているのかもしれませんね。
レフェリー: ラウンド2、始め!
プレイヤー1とプレイヤー2が動作を始める。
コメンテーター2: ここでの結果がどのように影響するのか──おお、引き分けです!
プレイヤー1とプレイヤー2は両方ともグーを出す。
コメンテーター1: 両者ともに無難な選択ですね。グーという基本的な手を出していきます。
コメンテーター2: そうですね、プレイヤー2が本当に疲れていることが彼の表情からうかがえます。彼、明らかに緊張してますね。
レフェリー: ラウンド3、始め!
コメンテーター2: ここらでプレイヤー2は名誉挽回したいですね、それとも、このままプレイヤー1がこの最初の試合の制するのでしょうか?!
プレイヤー1はチョキを出したが、プレイヤー2は異常な手を使用した。プレイヤー2の手が巨大なカニのハサミへと変形した。
コメンテーター1: やりました!彼は"shuh-gar-gan"を出しました!この手はグー、チョキ、パー、に勝ちます!
コメンテーター2: プレイヤー2、ラウンドを重ねるにつれて大胆な行動が目立つようになってきました!プレイヤー1も予想外の展開であることが表情からありありと伝わってきます!
コメンテーター1: これだからこれはやめられないんですよ!もうこれから先はどんな試合になるか想像もできませんね。もちろんプレイヤー2は片手が変形してしまったのでこれから出せる手は限られてます。
コメンテーター2: わかってるじゃないですか、コメンテーター1!
レフェリー: ラウンド4、始め!
コメンテーター2: もしかしたらこれで最後のラウンドになるかもしれませんよ。
プレイヤー2が"shuh-gar-gan"と同一のものとみられる未知の手を使用した。プレイヤー1はプレイヤー2と異なる手を使用する。プレイヤー2の手は長い棘のある触手へと変形した。
コメンテーター1: レディースアンドジェントルメン!出ました!プレイヤー1が"ght-fer tur-dht"を使用しました!これは唯一"shuh-gar-gan"に勝つことのできる手です!そして試合終了です!
コメンテーター2: すごく興奮する試合でしたね…とても良い!この二人のRPSの巨人に引けを取らないであろう第2戦目をお楽しみに!しかしその前にスポンサーからのメッセージがいくつか届いています!
広告が約4分間表示された。
コメンテーター1: 戻りました!そして、次の試合の準備もできているようです!
コメンテーター2: そして観客席のほうも準備は万端のようです!プレイヤー2はここからどのように巻き返していくのか、楽しみで仕方ないようです。
レフェリー: ラウンド1、始め!
両方のプレイヤーは先ほど変形・変質した方の手を使い未知の手を使用した。
コメンテーター1: 私が心配していたことがついに起きてしまいました。先ほどの試合でプレイヤー2は早めに"shuh-gar-gan"を使ってしまったために非常に不利な戦いを強いられることとなってしまいました。そして、彼はもうその大きな蟹の爪をふるうことしかできません!
コメンテーター2: そうですね。そしてプレイヤー1は"ght-fer tur-dht"を出すことにより毎回プレイヤー2に勝つことができますね。プレイヤー2は奇跡でも起きない限り勝つことはできないでしょう。
観客が"ooo-lee-oth"と繰り返し大声で唱え始めた。
レフェリー: ラウンド2、始め!
プレイヤー1は、前の手と同一のものと思われる手を使用した。プレイヤー2は蟹の爪では構造上不可能なジェスチャーを実行した。また、それに伴い観客の唱和が激化する。
コメンテーター2: 何が起こっているんだ?!
プレイヤー2の体が膨張し、ひねられ、分裂する。数秒後、プレイヤー2の体が大きく変化、 中央に1つの大きな卵型の目とその部位から7つの異なる付属物が放射状に広がり、天井で広くて平らな足で吊り下げられているような外見へと変形した。その付属物のうちの1つはまだ大きな蟹の爪であるように見える。また、体の中心部が僅かに折り重なり、各付属物が固定位置に移動し、未知の手を形成した。
コメンテーター1: なんてこった!信じられん!プレイヤー2、やり遂げました!観客も熱狂の嵐です!
コメンテーター2: 選手の意地ってやつですね。プレイヤー2がタオルを投げ込むのは簡単なことでしたが、しかし彼は観客のエネルギーを使い、自分自身を1つの巨大な手へと変化させることを選びました!もう彼がを出した"ooo-lee-oth"に勝つことは人間の届く域ではありません!
コメンテーター1: 確かにその通りです。しかし、彼が人間の域を超えるたった1つの選択肢を選べばまだ試合は続くでしょうが…果たして彼はその壁を越えられるのでしょうか?
観客の歓声が激化する。
レフェリー: ラウンド3、始め!
プレイヤー2が体を歪ませて未知の手を使用する。
プレイヤー1は自身の変化した手で一連のジェスチャーを実行し、プレイヤー2と酷似した形状に変形した。また、プレイヤー1は体を歪ませて未知の手を使用した。
コメンテーター1: 超えました!彼は人間の壁を越えました!これは歴史に刻まれる一戦となるでしょう、コメンテーター2!
コメンテーター2: そうだとも!そして試合はまだ終わっていません──この勝負、まだどちらに軍配が上がるかわかりませんよ!
観客の歓声が続く。試合はさらに5ラウンド行われ、決着がつかず、その時点でコメンテーターが広告を挟むことを伝えて映像が終了する。
映像の調査により、会場を特定、また映像内のプレイヤー1とプレイヤー2と思われるものを発見し、収容しました。彼らはもはや食事や水分補給を必要としているような動作は見えず、収容が開始されてから約30秒ごとに互いにジェスチャーを取り続けていました。
これ以降、この大会は開催されていません。