SCP-4660
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SCP-4660-1

アイテム番号: SCP-4660

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-4660-1は現地のSCP-4660-3で、タイプS異常哺乳類収容チャンバーに収容されます。チャンバーは収容違反の試みが行われていないかを毎日検査します。このチャンバーとSCP-4660-3が建造された地所は、サイト-64の職員によって管理されています。SCP-4660-1には適切な給餌スケジュールに基づいて餌を与え、毎月1回、健康状態の変化を探るために獣医による身体検査が行われます。

SCP-4660-2は承認されていない損傷が無いかを毎日検査します。SCP-4660-2を取り外す全ての試みは無期限に中止されています。

説明: SCP-4660-1は雌のFelis catus1です。SCP-4660-2はまだ未特定のアラミド繊維で作られたピンク色の首輪であり、SCP-4660-1の首周りに取り付けられています。SCP-4660-2には“バターカップ”という語句と電話番号が刻印された真鍮のタグが付随しています。SCP-4660-3はオレゴン州ポートランドの郊外にある平屋建ての家屋です。

SCP-4660-1は、死亡するか、SCP-4660-3から半径50m以上離れた場所に移動すると即座に消失し、第六生命エネルギー2の検出可能な急上昇を伴ってSCP-4660-3の居間に再出現します。この事象の前にSCP-4660-1が負ったあらゆる傷は、瘢痕組織やその他の外傷の痕跡を残さずに再生します。SCP-4660-1はSCP-4660-3の外では苦悩の兆候を見せ、屋内に再び入ろうと試みます。通常の入場手段が無い場合、SCP-4660-1は再入場を達成するために軽微な異常能力を発現させる3、または自らの死を引き起こす様子が観察されています。SCP-4660-3の屋内では、SCP-4660-1はその種の非異常個体と同じように振る舞います。

SCP-4660-1からSCP-4660-2を取り外すことは不可能であると証明されています。SCP-4660-2の除去は、SCP-4660-1が首周りにSCP-4660-2を付けた状態でSCP-4660-3の居間に再出現する事象を引き起こします。SCP-4660-2に及んだ損傷がその構造的完全性を著しく損なった、またはSCP-4660-1の首周りから外れる結果を招いた場合も同様に、SCP-4660-1が消失してSCP-4660-3内に再出現します。SCP-4660-1からSCP-4660-2を長期間にわたって取り外す実験が現在進行中です。 SCP-4660-1からSCP-4660-2を長期間にわたって取り外す実験は、倫理委員会指令によって中止されています。

SCP-4660-2のタグに記された電話番号は現在使われていません。現地の電話記録は、この番号がかつてSCP-4660-3の固定電話回線だったことを示しています。SCP-4660-3の以前の所有者に接触する試みは進行中です。本稿執筆現在まで、SCP-4660-3の最も新しい住人を除いて、過去の所有者たちはいずれも財団エージェントに発見されていません。

発見: SCP-4660は2017/09/31、SCP-4660-3近傍で第六生命エネルギーの急上昇が複数回検出された後に発見されました。機動部隊タウ-51(“アーバン・ブロウル”)の隊員による調査は、SCP-4660-1およびSCP-4660-2の特性の発見に繋がりました。

補遺: インタビューログ4660-01

回答者: ジェイデン・コールズ

質問者: エージェント ベアトリス・ロス

序: 以下のインタビューは2017/10/01、自動車に轢かれて能力を発現させたSCP-4660-1の発見後に、SCP-4660-3で行われた。機動部隊タウ-51の専属奇跡論術師として熟練していることから、エージェント ロスがインタビューに抜擢された。ジェイデン・コールズはSCP-4660-3の旧所有者である。SCP財団職員はSCP-4660-1をSCP-4660-3の場所から移動させられなかったため、SCP-4660-1がインタビューの場に存在している。

<記録開始>

ロス: こんにちは、コールズさん。エージェント ロスと申します。同僚も私もそう長くはお邪魔いたしません。ただ、お宅の猫について少しお聞きしたい事が出来たのです。

コールズ: ウチの猫じゃない。

ロス: 何です?

コールズ: バターカップはウチの猫ではない。夫も私も酷い猫アレルギーでね。どうも、こいつは何年も前からここにのさばっているらしいんだ。前の住人の殆どは甘んじて家に入れてやっていた。とても人懐こい猫だよ。しかし、ほら、酷いアレルギーだから。

コールズは肩をすくめる。

コールズ: 君らはこいつを連れて行く気かい?

ロス: 恐らくそうせざるを得ないでしょう。

コールズ: いいとも。お好きなように。

ロス: 随分あっさりと処分するのですね。

コールズ: 仕方ないだろう? こいつはいつでも我が家に入ろうとしている。何時間も外でニャーニャー喚いているのを聞かされるかと思えば、突然鳴き止み、続けてフーディーニの超能力か何かのように居間に姿を見せる。私はこいつが車の前に飛び出したり、コヨーテに引き裂かれに行ったり、ガレージのドアを噛み破って穴を空けたりするのを見せつけられる。2週間前は二階の窓ガラスを突き破って飛び込んできた。新品をだぞ。猫にあんな事ができるわけがない。正直な話、私はもうこいつが猫だとは思っていない。そうだな、ちょっと見てくれ。

コールズは部屋を横切ってSCP-4660-1を掴み、近くの壁に投げつける。SCP-4660-1が壁に命中する際に可聴域のバキッという音が聞こえ、SCP-4660-1は即座に消失してSCP-4660-3の居間の中心部に再出現する。

ロス: ちょっと! なんて事するんですかあなたは?!?

コールズ: 見ろ。ピンピンしているだろう。

SCP-4660-1は見たところ無傷である。SCP-4660-1はコールズをちらりと見つめ、部屋の隅に移動して横たわる。ロスは幾つかメモを取ってからインタビューを再開する。

ロス: それで、あれは何なのだとお考えですか?

コールズ: 知らんよ。私はただ、帰ってくるのを止めてくれないかと願うだけだ。それか、せめてあれほど人懐こくなければ良かった。それなら話はもっと簡単だったろう。私はこの6ヶ月でこいつの死に様を9回も見た…

コールズが溜息を吐く。

コールズ: なぁ、もしこれを終わりにしてくれるのなら、こいつは君らの好きにすればいい。いや、お望みならこの家を売ろうじゃないか。夫も私も、あの何かから離れたいんだ。

<記録終了>

2017/10/03、SCP-4660-3を含む地所は旧居住者から買い取られ、民間住宅の偽装を維持したまま付属サイトへと改装されました。ジェイデン・コールズと彼の家族の監視は進行中です。

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