推定されるSCP-4664の影響領域(右)
アイテム番号: SCP-4664
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-4664影響領域の境界線は、機動部隊アルファ-15(“吸盤野郎”)が操縦する武装財団船によって厳重に警備されます。以前これらの島々に駐留していた科学的調査班は、SCP-4664-1を経験した後に移転され、記憶処理を施されています。SCP-4664に接近する船舶は傍受され、SCP-4664から遠ざけられます。サウスサンドウィッチ諸島に上陸する全ての試みはカバーストーリー067(絶滅危惧種)の下に拒絶されます。周辺環境への過度の被害を避けるため、SCP-4664が関与する全ての実験はレスコフ島にある収容サイト-3T1で実施されます。
説明: SCP-4664はサウスサンドウィッチ諸島の水域に出現する、物理的にダイオウイカに似た、触手を有する巨大生物です。SCP-4664は類似する他種のイカよりも顕著に大きく、体長およそ25mです。SCP-4664は異常なほど大量の付属肢を持ち、その推定値は5,000～20,000本です。SCP-4664の全ての付属肢には、先端にサウスサンドウィッチ諸島固有の様々な海洋生物の似姿が付いています。これらの似姿は布のような素材で構成され、外見はハンドパペットのそれに類似します。記録されている先端部の形状にはシャチ、オットセイ、イカ、オウサマペンギンなどが含まれます。SCP-4664は発話が可能であり、話し相手にとって最も馴染み深い言語で話します。
SCP-4664は人間がサウスサンドウィッチ諸島周辺の水域を通過した時のみ出現します。この領域を通過した人物は、続く4ヶ月以内に特定の夢(SCP-4664-1と指定)を経験します。この夢の中で、対象者は悪天候下を航行する巨大な木造船に乗っています。SCP-4664-1を通して、対象者は恐怖心を報告し、1体または複数体の巨大なヘビ様の姿が水中で動いているのが垣間見えると主張します。SCP-4664-1は必ず船体が未知の手段で破壊される結末となり、対象者は着水する前に目を覚まします。
対象者がSCP-4664-1から覚醒すると、SCP-4664が対象者に最も近い大規模水域に出現します。出現したSCP-4664はSCP-4664-1を経験した対象者に向かって移動します。SCP-4664はこの過程で自身と対象者を隔てる任意の構造物を破壊します。対象者の下に到達すると、SCP-4664は対象者に気を緩めるように指示し、付属肢で寸劇を披露します。SCP-4664は付属肢を演者として使用し、人形劇と同じやり方で動かします。これらの出来事の間、SCP-4664の声は軽度の聴覚ハザードを伴うことが判明しています — 声を聞いた全ての人間は落ち着きを感じると報告します。
SCP-4664が出現中に語る物語は、SCP-4664-1中の事件に基づいていると考えられています。この物語において、SCP-4664の付属肢が表す生物たちは船を攻撃する実体を無力化し、船上の乗客を救出します。劇は常に、対象者が動物たちによって救助され、安全な場所へ運ばれて終わります。劇の終了後、SCP-4664は対象者が再びSCP-4664-1を経験することは無いだろうと容易に納得させ、改めて眠るように促します。対象者が再び眠ると、SCP-4664は半透明の外見を呈し、徐々に不明瞭になって、やがては完全に非実体化します。
SCP-4664は89/4/12、島に駐留していた研究者がSCP-4664-1を経験した際に発見されました。その後出現したSCP-4664は当時の島に設置されていた研究施設を破壊し、財団職員は研究チームのエージェントから報告を受けました。更なる実験でSCP-4664の影響と推定出現領域が発見され、カバーストーリーとしてサウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島海洋保護区域が確立されました。
以下はあるSCP-4664出現事象の転写です。
研究者: ツヴィーバック博士
対象者: D-0849
手順: 対象者はSCP-4664影響領域内で小型のモーター漁船を約3時間操縦するように指示された。逃走の試みを防ぐために、武装財団船がSCP-4664領域の外部に駐留した。対象者は問題なく指示を遵守した。対象者は後ほど、ツインサイズのベッドを備えた即席の研究用テントに配置された。対象者はこのベッドで眠るように指示され、監視された。監視はSCP-4664が出現するまで2週間続けられた。
対象者が眠りに落ちる。
(約2時間、特筆すべき事は起こらない)
対象者は唐突にベッドの中で飛び起きる。大量の汗をかいている。
対象者: なん- 何だったんだアレは？
ツヴィーバック博士: リラックスしなさいD-0849、ただの夢ですよ。あなたは今目覚めたところです。あなたには、我々のためにもう少しやっていただく事があります。
対象者: と- とんでもねぇ、アレは夢じゃなかった。リアルで… すごく… 夢にしてはいくらなんでもリアルすぎる。
トンプソン次席研究員が、SCP-4664の出現をツヴィーバック博士に通知する。
ツヴィーバック博士: D-0849、落ち着いてください。実験はまだ終わっていません。
対象者: もしまた眠れってんなら絶対お断りだ。お- 俺はもう当分の間眠れるとは思え-
SCP-4664が荒々しく研究テントを地面から引き剥がし、その過程で数本の支柱をへし折る。
SCP-4664: やぁそこの君！ 水の中にいる年寄りのえげつない怪物が怖いんだって？ あいつはホントに酷い苛めっ子なんだよね。
対象者は明らかなショックと困惑を以てSCP-4664を見つめている。
対象者: 今度は何だよ？
SCP-4664: いい考えがあるんだ。君がまた眠るのを僕が手助けするのはどうだい？ 気分良くしてあげるよ！
対象者: お- おう、そいつは、まぁ、良い事だな。
対象者はベッドの毛布の上で胡坐を組む。
SCP-4664は正面に2本の付属肢を出す。付属肢の先端はオットセイとセイウチに似ている。SCP-4664はこれらの付属肢を左右に回転させ、動物たちが戯れている様子を真似る。
SCP-4664: (甲高い声で) ヤッホー！ ハハハ！ ヒューウ！
SCP-4664はより多くの付属肢を場面に追加する。イッカク、ガンギエイ、カレイに似た3本の付属肢が当初の2本に仲間入りする。木造船に似た別の付属肢が、他付属肢の左手上方から右手上方に向かってゆっくりと動かされる。
SCP-4664: (甲高い声で) イェイ！ ハハハ！ ヤッホー！
SCP-4664: うわぁ、見て！ もっとお友達が遊びに来た！
SCP-4664は全ての付属肢の顔を船型の付属肢に向ける。
注記: この演技を通して、対象者は“おぉぉぉ”、“あぁぁぁ”、“ワオ”など子供のそれに似た声を上げる様子が観察されている。
SCP-4664はその後、触手のような構造が数本突出した円形の灰色の塊が付いている付属肢を動かす。SCP-4664は衝突音を出しながら、船型の付属肢を灰色の付属肢に叩き付け始める。
SCP-4664: (甲高い声で) 大変だ！ あの意地悪な奴が新しい友達をいじめてる！
対象者が衝撃を受けた反応を見せる。
SCP-4664: 助けなくちゃ！ 早く！
SCP-4664は船型の付属肢と灰色の付属肢を、他の付属肢の方へと動かす。SCP-4664は付属肢を互いに打ち付けながら、格闘時の物音を真似る。
SCP-4664: バン！ ガシャーン！ スパーン！ ボカッ！
対象者は熱心に声援を送り始める。
SCP-4664は灰色の付属肢を地面に叩き付けるが、同時に船型の付属肢を下方にゆっくり動かし始める。
SCP-4664: (甲高い声で) いけない！ 僕たちの新しい友達を救うんだ！
SCP-4664は単純なヒト型の輪郭が付いた付属肢を出す。SCP-4664はこの新しい付属肢を他の付属肢の上に乗せ、ヒト型の姿が他の動物たちに乗っているかのように見せる。
SCP-4664: イェーイ！ 嫌な奴はいなくなった！ これからもっと楽しい事が出来るね！
SCP-4664は付属肢の回転を継続する。今回はヒト型の付属肢もそこに加わっている。
SCP-4664: ね？ いい話だっただろ？
対象者が熱心に頷く。
SCP-4664: さて、お休みの時間を過ぎちゃったみたいだ。とぉぉぉっても素敵な明日に備えて、たっぷり休まなきゃ。
対象者が再び頷く。
SCP-4664: じゃあベッドに入ろうか。お休みなさい。
対象者がベッドに戻る。SCP-4664が非実体化し始める。
SCP-4664: 良い夢を。
SCP-4664が完全に非実体化する。
SCP-4664近辺で発見された難破船の一部
補遺: 08/10/2、過去に発見されていなかった難破船の破片がレスコフ島の海岸で見つかりました。船の一部が財団の専門家によって回収され、SCP-4664との関連性を検査されました。問題の船舶は明確なシンボルマークや起源を示す要素を持たないようです。船体は複数回にわたって破砕され、竜骨が丸ごと引き剥がされているように思われます。残骸の化学分析の結果、ごく微量の腐食性黒色物質が船体の破損部から発見されました。当該船舶とSCP-4664の関係性についての更なる調査が現在進行中です。