作品: お菊さん (1887年の短編小説)
あらすじ: “お菊さん”は、フランス人海兵 ピエール・ロティと日本人芸者 “お菊”の短い結婚生活を綴った半自伝的な小説です。
改変の概要: 第52章以前には最低限の変化しか及ばず、これらは主にイヴの行動に関連します。9月18日、本来の筋書きにおいてカンゴロウと刺青師たちが到着する1時間前に、ロティが一見苛立った様子のイヴに起こされる様子が記述されます。ロティが反応する前に、イヴの身体は崩れて毒グモの群れに変化し、取り乱すロティを攻撃して貪り食います。
小説の続きはロティの死を除いてほぼ変化しません。語りは一人称のままです。
作品: 蝶々夫人 (1904年のオペラ)
あらすじ: “蝶々夫人”はアメリカの短編小説“蝶々夫人”(これ自体も“お菊さん”を架空化した翻案作品)から派生したイタリアのオペラです。オペラはアメリカ人海軍士官 ピンカートン中尉と結婚する日本人の少女 “蝶々さん”を描写する内容です。ピンカートンが蝶々さんと子供を残して3年間日本を離れている間、彼女は忠実にピンカートンの帰りを待ちますが、やがてピンカートンの再婚を知って悲しみのあまり自殺します。
殆どの公演において、“蝶々夫人”は合計35場面を有する3幕構成の劇です。以下の改変された作品も同様の構成となっています。
改変の概要: 最後となる35番目の場面の後に、新しい登場人物“蜘蛛”を主題とする2つの場面が新規に追加されます。
- 第1場面は蜘蛛の登場シーンです。蜘蛛は蝶々さんの死に激怒しており、衝撃を受けているピンカートンを殺害して貪り食います。この場面はアリアです。
- 第2場面では、未だ怒りと悲しみに満ちた蜘蛛が造船所に飛び込み、“我が友”を奪ったアメリカ人への復讐を宣言する様子が描写されます。この場面はソロパートのコーラスです。
プロダクションノートによると、蜘蛛はピンカートン役の俳優を貪り食いながら歌うために、口が2つあるメゾソプラノの俳優によって演じられる必要があります。
作品: 恋の睡蓮 (1922年の映画)
あらすじ: “恋の睡蓮”はアメリカの無声映画であり、テクニカラー彩色技術が用いられた3番目の映画として知られています。映画はアメリカ人 アレン・カーヴァ―の命を救った若い中国人女性 “蓮花”の物語です。2人は結婚しますが、カーヴァ―が蓮花を故郷へ連れ帰ると約束したのに対して、カーヴァ―の友人たちは彼を説得し、蓮花とその子供を置き去りにさせます。カーヴァ―がアメリカ人の妻を連れて帰還すると、蓮花は自らの子供をカーヴァ―に託し、恐らくはその後に入水自殺します。
改変の概要: 問題の最終シーンでは、蓮花と去りゆくカーヴァーの船が両方とも映っています。蓮花が波打ち際へ踏み出そうとした時、表面的にサソリモドキに似た巨大な実体が浮上して船を丸呑みします。蓮花は立ち尽くした後、困惑した表情でその場を歩き去ります。
作品: ル・メナージュ・モダン・デュ・マダム・バタフライ (1920年の映画)
あらすじ: “ル・メナージュ・モダン・デュ・マダム・バタフライ”はフランスのポルノ映画であり、ハードコアな同性間の性行為を描写した最初の映画として注目に値します。作中において、ピンカートン中尉は[データ削除済]
改変の概要: ヒト型のクモに似た新たな登場人物が[データ削除済]。これは登場人物が死亡しなかった最初の記録事例です。
作品: ピンカートン (1996年のアルバム)
あらすじ: “ピンカートン”は、第五主義者ロックバンド“ウィーザー”の第2作スタジオアルバムです。大まかに“蝶々夫人”を題材としている“ピンカートン”は、ヴォーカルのリヴァース・クオモがバンドと同名の第1作アルバム“ウィーザー”を発表し、ハーバード大学に入学した後に感じている性的かつロマンチックな不安を歌っています。
改変の概要: アルバムの最終曲“バタフライ”が10分14秒まで拡張されます。通常のアウトロに続いて、クオモはそれまでと同じ形式の韻を踏みつつ、クモに攻撃・消費・消化されているという内容の歌を歌い始めます。この歌詞が文字通りに解釈されるべきか、クモが罪悪感の隠喩であるのかは不明確です。
作品: ピエール・ロティ・アンダー・スコープ (2011年の伝記)
あらすじ: “ピエール・ロティ・アンダー・スコープ”はジェレミア・シメリアン博士が博士号を取得するにあたって執筆した伝記です。シメリアン博士はロティの生涯を正確に描写するための試みとして、ロティの人生と彼の著作を比較検討しています。
改変の概要: ピエール・ロティの日本滞在期に関する節で、シメリアン博士は、ロティがクモの群れによってほぼ完全に消費されたという物語は誤っている可能性が高いと指摘します。シメリアン博士は更に、ロティはごく平凡なクモに運悪く咬まれて死んだだけであり、ロティが反論できなかったせいで事件の再話が誇張されたことを示唆します。
ピエール・ロティの遺体は、実際の遺体とほぼ同一の経緯を辿って扱われます。
作品: 私の心は長崎に置き去り (2016年の財団実験)
あらすじ: “私の心は長崎に置き去り”はSCP-4690の特性を試験するために収容チームが執筆した短編小説です。物語の筋書きは“蝶々夫人”と同じですが、2つの顕著な逸脱があります。
- 全てのクモ形類はWK-クラス大量絶滅イベントによって死滅しています。
- 主要登場人物のピンカーディンクル中尉は隠喩を作成/理解できない症状に苛まれています。
物語は一人称で語られます。
改変の概要: 物語の結末で、ピンカーディンクルは1人のアジア系女性から攻撃を受け、身動きできなくなります。女性はその後、強引にピンカーディンクルの血液サンプルを採取してから現場を逃走します。この登場人物の描写はPoI-GOC2735 (“スパイダー”)のそれと一致しています。
作品: 東洋趣味な船乗りのための忘れられないレシピ10選 (2016年の財団実験)
あらすじ: “東洋趣味な船乗りのための忘れられないレシピ10選”は料理部門のマクネイリー連絡員が執筆した料理本です。各レシピは“お菊さん”とその関連派生作品における特定の場面、もしくは主要テーマに基づいています。“東洋趣味な船乗りのための忘れられないレシピ10選”にはこれ以上のストーリー展開がありません。
改変の概要: “東洋趣味な船乗りのための忘れられないレシピ10選”は、対象資料と比較して不自然なほど多数の改変を被りました。
- 全てのレシピは様々な程度に改変されました。殆どの事例で、これは香辛料や野菜といった具材の除去と置き換えを伴いました。特筆すべき事に、ハス由来の具材は全て除去されています。
- 2つのレシピ、“しおれた蓮炒め”と“母子別れ丼”に先立ち、人間の体内でクモの卵を孵化させる行為の利点と称した異常に長い余談が追加されています。
- 一部の写真は大幅に改変され、大量のクモが問題の料理の上や周囲に群れている様子を写しています。
- 11番目のレシピ、“生ピンカートン”が追加されています。特筆すべき事に、このレシピでは過去に発見例の無い肉操作魔術カルノマンシーの技術が幾つか必要とされています。
作品: マダム、ミセス・蝶々“蝶々夫人”夫人、或いは“蝶々さん”から蝶のお友達へ (2017年の財団実験)
あらすじ: “マダム、ミセス・蝶々“蝶々夫人”夫人、或いは“蝶々さん”から蝶のお友達へ”は、SCP-4690空想科学部門の主要な物語の中に存在するメタフィクション的物語です。鈴木博士によって執筆されたこの作品は、先へ進むにつれて徐々に再帰的になる“蝶々夫人”の再話を主題としています。
この物語は一連の再帰的な枠物語を通して語られる形式であり、日本語で書かれた同名の架空小説のレビューから始まります — この小説は1人の青年が日系人のガールフレンドに対して、父親のルパートと彼が語った複数の物語について話している場面から始まります。
[冗長なデータを省略]
改変の概要: 最初の改変はナイト氏が想像している架空のシナリオの中に現れます。礼拝出席者は想像上のナイト氏に対し、何故クモが指を咬んでいるのに書き続けているのかと訊ねます。ナイト氏は自分がもっと精魂込めて執筆に取り組みたかったことを認め、礼拝出席者に彼が書いた物語の一部を見せます — この時、礼拝出席者はクモの群れに食べられている男性として描写されます。
ナイト氏の想像の場面が終わると、物語はナイト氏の船が岩に激突するまで筋書き通りに進行します。語り部はナイト氏が(筋書き通り)海を背にして力なく横たわる様子を描写しますが、彼の身体がMacrocheira kaempferiの一群によって捕食されている旨が追加されます。
筋書き通り、サン女史の不穏な妄想が大砲の音で遮られることによって、場面は現代に戻ります。物語は暫く筋書き通りに続きますが、やがてナイト氏は戦況がどう発展するのを望んでいるか説明しつつ、ウミサソリに生きたまま食べられたいという欲求に言及します。ナイト氏が自分の馬鹿げた発言を後悔する時、サン女史は突如として異常に巨大なサソリモドキに変身し、ナイト氏を斬首して貪り食います。
この時点でルパートの息子は物語を遮り、もっと幸せな話を聞かせてほしいと求めます。ヘルガとルパートがデートする場面になるまで、物語に変化はありません。
ルパートが“蝶々夫人”の劇を宣伝する看板を見上げる時、彼は一瞬、巨大なクモの巣がピンカートンの顔を覆っているのを意識します。後ほど、劇のカーテンコール中に、ピンカートン役の俳優はヒヨケムシの群れに貪り食われますが、この事件は観客の拍手を遮りません。
[冗長なデータを省略]
実験の終了に続いて、鈴木博士は出席していた形而上学部門の連絡員に対し、SCP-2254-ガンマ-ARCが収容違反してエージェント ピンカートンを殺害したため、会議を打ち切らなければならないと通知しました。
作品: ダークソウル (2011年のビデオゲーム)
あらすじ: “ダークソウル”はフロム・ソフトウェアが開発したアクションRPGゲームです。特筆すべき事に、この作品の内容は“お菊さん”に触発されていないようであり、SCP-4690の感染媒介物としても機能しません。
サイト-56 IT部門からの通報後、問題のソフトはエンピラ技術員から押収されました。
改変の概要: 混沌の魔女クラーグとのボス戦に先立つカットシーンの最中に、巨大なピンカートン中尉がクラーグを殺害して貪り食います。