SCP-4730
評価: +15+x
blank.png
640px-Old_Circus_World_Clown_Car.jpg

SCP-4730実例のレプリカ。

アイテム番号. 4730

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-4730は無作為な場所に出現する傾向があるため、完全収容は現時点では不可能です。SCP-4730実例が発見された場合、機動部隊ニュー-2 (“クラウンを救え!”) が派遣され、当該実例を解体します。

SCP-4730-A個体群は追跡、警護されます。権限無き職員がSCP-4730-A個体群を発見した場合、適切な記憶処理が施されます。

説明: SCP-4730は人口密度の低い地域に現れるクラウンカー1を指します。SCP-4730はcorydon2 (SCP-4730-Aと指定) が豊富に生息しているエリアの周辺に出現します。また、SCP-4730は再利用されたものらしく、通常のクラウンカーには見られない部品が多数存在します。

SCP-4730はSCP-4730-Aの生息域に出現し、SCP-4730-Aは車両を調べることでこれに反応します。SCP-4730は多数のSCP-4730-A個体が乗車するまで待機した後、施錠してSCP-4730-A個体群を内部に閉じ込め、逃走を阻止します。

その後、2体の正体不明の実体(SCP-4730-1及び-2)が到着し、SCP-4730を領域内から運び出して、共に消失します。

PoI-90958からの情報によると、SCP-4730の元となる非異常性のクラウンカーは、家畜化されたSCP-4730-A個体群が好む玩具です。SCP-4730-A個体群は車内に入り込む行為を楽しんでいるらしく、SCP-4730の異常性に気付かずに車内が満員になるまで乗車し続けます。捕獲されたSCP-4730-A個体群が何処に輸送されるのかは不明です。

補遺 4730.58

回答者: [PoI-90958 “バンブーシオ・スタースウィンガー”]

質問者: [コスモ・アストン次席研究員]

序: [以下は、SCP-4730についての更なる情報を得るべく、PoI-90958に行ったインタビューである。PoI-90958はSCP-4730-1及び-2に対する軽蔑の念を明らかにした上で、財団との協力に合意した。]

<記録開始>

アストン: こんにちは、PoI-90958。ご協力に感謝いたします。

PoI-90958: スタースウィンガーと呼びな。まぁ何だ、忌々しい密猟者どもを貴重な野生のクラウンたちから遠ざけられるなら、何でもするよ。

アストン: ええと、詳しく説明していただけますか?

PoI-90958: 俺のブログを読まなかったのか? 野生のクラウンが違法に狩られてるって-

アストン: それです。そのクラウンというのは、つまり道化師の格好をした人間なのか、それとも… もう一度説明してもらえますか?

PoI-90958: 何? 違う! そんな事をする人間がいるか? クラウンの仮装なんかする奴がいたらそれは変態だろ。あのアレみたいな… 何だっけな。名前が出てこない…

PoI-90958が指を弾く。

PoI-90958: ケモナー! 10代の子が投稿の1つにそうコメントしてた。意味はよく分からなかったが。とにかく、野生のクラウンが違法な密猟者に攫われて、あちらこちらの闇市場で売り飛ばされているんだ。

アストン: 興味深いお話です。例の車や密猟者が出現する手段については何かご存知ですか?

PoI-90958: 誰もが使ういつもの手口、タイム・クラウンだ。あの品種の搾取されっぷりを思うと思わず虫唾が走るね。きっとまともな世話さえ受けてないはずだ。密猟者どもはタイム・クラウンと、多分他にも時間関係のクラウン品種を幾つか利用して、この次元に出入りするためのポータルを作る。それも至る所でな。

PoI-90958が深い溜め息を吐く。

PoI-90958: タイム・クラウン。俺の人生を阻む厄介者。

アストン: これでは意味の通る単語を連ねただけで、全く論理立った説明になっていませんよ。つまり、密猟者がその… “タイム・クラウン”を使って、捕獲した個体を別な場所へ移送するという意味ですか?

PoI-90958: 野生のクラウンが適切に保護されてないと言っているんだ! 別種の動物のための法律はあるのに、クラウンには無いのに気付かないと思ってるのか、え? クラウンはあなたたちの“サイ”や“ゾウ”と同じくらい大切な生き物なのに、野生クラウンの群れを守るパトロールは行われないし、密猟を禁止する法律も無い! 一般社会が多分クラウンについて知らないのは分かるとも、それでも事情を知る人々にはクラウンが必要だ。世界は狭い。いいか、これこそまさに俺がこの仕事をやってる理由なんだ。と言うのも-

[無関係なデータは除去済]

アストン: 素敵なお話でした、スタースウィンガーさん。捕獲されたクラウンが何処に連れていかれるのか、心当たりはありますか?

PoI-90958: 勿論ある。サーカスか牧場だろう。どちらに送られても悲惨な運命が待っている。

アストン: 分かりました… 本日は以上になります。どうもありがとうございました、スタースウィンガーさん。

PoI-90958: どういたしまして。それと、是非ともあの外道どもを捕まえてくれ。

アストン: 力を尽くします。

<記録終了>

結: 行方不明のSCP-4730-A個体群が収容された疑いがある住所が、密猟者を何らかの形で罰するという条件の下、PoI-90958から提供された。PoI-90958のブログは引き続き“クラウン畜産”コミュニティの既知構成員たちに公開されているが、家畜化されたクラウンの存在が非異常社会に知られていないことを踏まえて、一般大衆からは秘匿される。

補遺 4730.59

機動部隊ニュー-2が、提供された疑わしいエリアの座標の1つに派遣されました。

到着時、問題の施設は放棄された食肉加工工場であると判明しました。捜査において、明確に常軌を逸した物や異常物は発見されませんでした。しかしながら、回収された物品には以下が含まれています。

  • 多彩色の毛髪の塊。
  • 内部にゼラチン状の物質が詰まった赤い球体。
  • クラウニング・アバウト・ランチズ”という企業のプロモーションビデオが記録されたテープ。
  • 未特定生物の小さな肉片。分析結果はニワトリとの若干の類似性を示す。
  • 様々な売買記録が記されている破れた書類。

また、工場の裏手には幾つかの部屋が連結されていた形跡があり、工場のドアの1つは屋外へと開かれていました。

補遺 4730.60

回答者: [PoI-90958 “バンブーシオ・スタースウィンガー”]

質問者: [コスモ・アストン次席研究員]

序: [以下は、PoI-90958から提供された座標の1つを探索した後に行われたインタビューである。]

<記録終了>

アストン: これらの物品に見覚えはありますか?

PoI-90958: 嗚呼、なんてことだ、どうして俺にわざわざこんな物を見せる?!

アストン: ではこれらが何なのか分かるのですね?

PoI-90958: クラウンの部位だ。あなたは死んだクラウンの欠片を俺に見せつけている。

アストン: 実に残念です。機動部隊が現地に到着した時には、後ろの野原に残された部屋の跡を除いて、最近活動した形跡はありませんでした。恐らくこれも、あなたが何かにつけて言い訳に使う“タイム・クラウン”の仕業なのでしょうね?

PoI-90958: 牧場が関わってるらしいな。卑劣な奴らめ。ただ、財団に嗅ぎ付けられるとまでは疑っていなかったはずだ。あそこの経営者はそこまで慎重じゃない。

アストン: この動画を発見できたのは、我々にとって幸いでしたよ。我々がほぼ何も知らなかった“クラウン”について色々と教えてくれました。まぁ私は既に知っていましたけれどね。

PoI-90958: クラウンを前から知っていたのか?

アストン: …いえ! 事前にテープを視聴したという意味です。私にも私なりの理論はありましたが…

アストン: 残されていた物品の量から見て、密猟者が徹底的に後始末をしているとは思えません。本当の掘り出し物は書類です。

PoI-90958: 何故だ?

アストン: その、一例を挙げるなら、あなたの名前が載っています。“バンブーシオ・スタースウィンガー、ピエロ種2匹”。

PoI-90958: 何だと? そんな馬鹿な話があるか。あの子たちは有名な正規のブリーダーから買ったんだ、嘘を吐くな!

アストン: しかし、ほら、ここに書いてあるでしょう? きっとあなたが思っているほどまともなブリーダーではありませんよ。

PoI-90958: 畜生。流通システムが丸ごと腐ってるんじゃねぇか…

PoI-90958が手で頭を抱え込む様子が映る。

PoI-90958: しかし、どうしてクラウニング・アバウト・ランチズは、あなたたちが駆け付ける前に姿をくらますことができたのか、それが腑に落ちない。

アストン: 財団に提供された情報は全て機密扱いです。漏洩があったとは思えません。

PoI-90958: その通りだ。あなたたちの中にはクラウンが潜んでいるに違いない。

アストン: はい? ネズミのことですか?

PoI-90958: いいや、クラウンさ。

PoI-90958がアストン研究員の手首を掴み、手の側面を素早くこする様子が映る。PoI-90958は手を放し、指に付着した白いドーランの残渣をアストン研究員に見せつける。

PoI-90958: 俺の目をごまかせると思ってたのか?

アストン: …以上です、ありがとう。

<記録終了>

結: この直後、PoI-90958は強制的に退室させられた。混乱の最中に、コスモ・アストン次席研究員が鮮やかな体色の未詳実体と共に敷地外へ出てゆく様子が目撃されており、その後、捕縛前に2名とも消失したと思われる。コスモ・アストンの消息は依然として不明である。
「正直なところ、やけに顔色の悪い男だとしか思ってなかったよ」 - エージェント ドリアン

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。