SCP-4771-JP
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警告: サイト-81██外に勤務する者による本報告書の閲覧を固く禁じます。

ミーム拡散防止措置: RAISAからの通達に基づき、SCP-4771-JPに関する全ての情報をサイト-81██外に漏洩することを禁止します。漏洩が確認された場合、直ちに機動部隊し-4("連帯責任")が出動し、漏洩者およびSCP-4771-JPの終了措置を実行します。

——サイト-81██管理官

 
 
 

アイテム番号: SCP-4771-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別終了プロトコル: SCP-4771-JPはサイト-81██にて雇用されています。
 
SCP-4771-JPは、その業務の必要性に関わらず、致死的な業務に積極的に従事させることが奨励されます。その際、SCP-4771-JPが異常な行動を示した場合、もしくは示さなかった場合には、適切な武器を使用してSCP-4771-JPを終了してください。SCP-4771-JPに対する不用意な接触は一切禁止されていませんが、殺害しやすいよう武器を携行した上での接触が推奨されます。
 
業務時間終了時には、SCP-4771-JPを一度終了したうえで、極めて危険性の高いDクラス職員の専用雑居房か、自発的に行動を行う致死的なオブジェクトの収容室に投入し施錠してください。

説明: SCP-4771-JPはD-56418が割り当てられたDクラス職員(35歳男性)です。
 
SCP-4771-JPは以下の異常性を有しています。

  • 死亡後、あらゆる身体的・精神的損傷から回復して蘇生する。
  • SCP-4771-JPについて認識した全ての実体はSCP-4771-JPを殺傷するよう行動する。
  • 周辺の実体はSCP-4771-JPの蘇生に疑念を抱かない。

これらの性質に従い、SCP-4771-JPはその存在を認知している他者により殺害されます。この殺害は既存の法令や規則を超越する形で実行され、実行者自身は罪に問われません。また、この性質を認識している人物も、自らの行動がSCP-4771-JPの性質に由来すると理解した上で、SCP-4771-JPの殺害を実行もしくは幇助します。
 
発見経緯: 20██/04/25、元死刑囚かつ現役死刑囚であった藤崎正和がD-56418として財団に雇用されました。雇用時のオリエンテーションにて財団やアノマリーについての説明を行ったところ、D-56418は財団に対し、自身をアノマリーであると主張し、調査と収容を希望する旨を財団に申し出ました。
 
調査の結果、D-56418は警官により射殺された後、無罪の疑いで刑事訴追されており、第一審での死刑判決後に即日処刑され、第二審での死刑判決後にも即日処刑され、第三審での死刑判決確定後にも処刑され、その後も処刑され続けていたことが判明しました。これらの事実および、D-56418自身による指摘までこれらに疑念を持つ法曹関係者、マスメディア、財団職員が一切存在しなかった事実から、D-56418はSCP-4771-JPに指定されました。
 
補遺1: 異常性が発覚し、収容開始直前にインタビューが行われました。以下はその記録です。

インタビュー記録001 - 日付20██/04/25

対象: SCP-4771-JP

インタビュアー: エージェント・石田

付記: 念のため、エージェント・石田は拳銃を携行しています。

<録音開始>

インタビュアー: お疲れ様です、D-56418。あなたは先ほどSCPオブジェクトに指定され、SCP-4771-JPと呼ばれることになりました。

SCP-4771-JP: SCP-4771-JP、ですか。新しい名前に慣れるのに時間がかかりそうですが、アノマリー扱いしてくださりありがとうございます。確か、この財団はアノマリーを保護するんでしたよね。

インタビュアー: そうです。我々SCP財団はあなたのようなアノマリーを確保・収容・保護し、性質を解明し、人類を守ることを目的として活動しております。その性質上自由な行動は制限させていただきますが、よろしくお願いします。

SCP-4771-JP: 元々自由なんてなかったですし、これまで酷い目に遭いっぱなしだったので、保護して頂けるだけでとてもありがたいです。こちらこそよろしくお願いします。

インタビュアー: あなたが異常性を自覚した時期から今までの出来事について教えていただけますか。

SCP-4771-JP: そうですね、丁度1年前の4月のことでした。夜道を歩いていたら、走っていた自動車全てが突然私の方に方向転換し、突っ込んできたんです。トラックに撥ねられた後プリウスに撥ねられ、その先でまた別のトラックに撥ねられました。全身の激しい痛みに耐えながら必死で119番通報した所、駆けつけた救急車にも轢かれ、一時的に意識を失いました。

インタビュアー: それがあなたの1回目の死でしょうか。

SCP-4771-JP: おそらくそうだと思います。気付くと服を含めて傷一つない状態で立っていました。周りを見ると、事故の現場検証に来たと思われる警官がいました。その警官は私を見るや、突然私に対し後ろ手に手錠をかけ「両手を挙げろ」と言いました。後ろ手に手錠をされているので挙げようもなく、警官の指示に従わなかったという理由で、ピストルで射殺されました。再び目覚めた時にはパトカーの中におり、そこでようやく、何かがおかしいと悟りました。

インタビュアー: 殺される時には、何らかの殺す口実を作ってから殺されることが多かったのでしょうか?

SCP-4771-JP: そうですね。拘置所でも何かと口実を付けて「不審な行動をした」と言われて殺され、行動に気を付けたら今度は「不審な行動を全くしないのも不審だ」と言われて殺されましたし。殺すことだけは決まっているものの、理由なく殺すのは少し抵抗があるのかもしれません。

インタビュアー: 参考になります。

SCP-4771-JP: 参考……?

インタビュアー: いえ、こちらの話ですので、お気になさらず。お話を続けてください。

SCP-4771-JP: 続けます。私は拘置所に入れられました。友達や仕事の同僚たちが差し入れをたくさん送ってくれました。とはいっても係官による内容物チェックがあるので、危険物以外差し入れが許可されず、爆発物と毒物と刃物が私の部屋に大量に溜まっていきました。ここまではまだ耐えられたんですが、勾留7日目、田舎で農業を営む母から、パラコート1を差し入れられたことで、完全に心が折れてしまいまして……

私は絶望し、叫びながら母の差し入れを飲み、山積みになった凶器で何度も自殺を図りました。死ねないと分かっていたのにです。疲れ果てて床に寝転がりながら、友達も同僚も、母さんまで敵になってしまった事実を噛み締め、とてつもない孤独感を感じていました。

インタビュアー: お気持ちお察しします。裁判とその後についてもお聞かせください。

SCP-4771-JP: 裁判も散々でした。検察からは死刑を求刑され、弁護人からも死刑を求刑された結果、案の定死刑判決が出て執行されました。直後、弁護人が控訴し、弁護人を含めた満場一致により再度死刑判決が出され執行されました。その後、即座に弁護人が上告しました。結果は言うまでもありません。刑が確定した後も、弁護人が毎日再審請求をし、略式再審で死刑判決が出され、毎日処刑され続ける日々が始まりました。こんな生活が半年以上も続きました。

そんなある日、定例処刑を終えた後、私を処刑した刑務官から声をかけられました。財団のDクラス職員としてのスカウトでした。そこで財団やアノマリーについて知った私は、こう思ったんです。私が毎日十数回殺されるのは、私がアノマリーだからに違いない、ここでDクラス職員として雇われ、財団に保護して貰おう、と。

そして、今に至ります。先ほどのオリエンテーションにて、「財団は特別な理由がない限り、アノマリーを破壊したり、殺害しない」と聞き、私の判断は正しかったと確信しました。本当にありがとうございます。これでようやく、平穏な日々を過ごすことができます……

インタビュアー: こちらこそ、オブジェクトの方から収容されに来てくださりとても助かっています。他に何か言っておきたいこと等はありますか。

SCP-4771-JP: 差し出がましいお願いかもしれないんですが、他のDクラス職員の皆さんとは隔離して頂けるとありがたいです。皆さんのような専門家と異なり、重犯罪を犯した一般人なので仕方ないとは思いますが、オリエンテーション前に3回、オリエンテーション中に7回殺されましたので……。

インタビュアー: 検討いたします。

SCP-4771-JP: ありがとうございます。

インタビュアー: それではこれにて、インタビューとあなたを終了します。お疲れ様でした。

SCP-4771-JP: え?

[銃声。]

<録音終了>

終了報告書: インタビュー後、エージェント・石田に対して調査が行われたところ、SCP-4771-JPと至近距離に居たため、SCP-4771-JPの異常性に強く影響され、様々な方法でSCP-4771-JPを殺傷、処分および終了しようと計画していたことが判明しました。

審議の結果、特段問題はないと判断され、引き続きエージェント・石田がSCP-4771-JP殺傷業務を担当することが決定しました。
 
また、SCP-4771-JP実体の意向を踏まえた慎重な検討の結果、SCP-4771-JPを、人を5名以上殺害した極めて凶悪なDクラス職員と同室2で管理することも決定しました。

 
補遺2: 20██年6月5日、「サイト-81██にて、無実にも関わらず処刑されDクラス職員として雇用されたヒト型実体が、重要性の低い致死的業務に何度も割当てられ、何度も終了されている」という情報を元に、本部の財団倫理委員会による抜打ち監査が行われました。
 
監査の結果、SCP-4771-JPのDクラス職員としての雇用および殺傷は深刻な人権侵害であると認定され、一刻も早いSCP-4771-JPの終了、SCP-4771-JPの不必要な殺傷実験のよりハイペースな履行が勧告されました。これを受け、更なるSCP-4771-JP殺傷のための実験が行われました。

実験記録097 - 日付20██/06/06

対象: SCP-4771-JP

実施方法: SCP-4771-JPを拘束後、以下の方法で殺傷し、どれが直接の死因であったかを調査しました。

  • 脳及び心臓を拳銃にて狙撃する。
  • 10,000Vの高電圧を加える。
  • 致死量の10倍の神経剤を注射する。
  • 500Svの放射線を照射する。
  • ロープを用いて絞首する。
  • ギロチンを用いて斬首する。
  • チェーンソーを用いて斬首する。
  • 斧を用いて斬首する。

結果: SCP-4771-JPは死亡しました。死因調査のため解剖を行ったところ、死因は解剖による失血死であったことが判明しました。

付記: 実験後、SCP-4771-JPは暴れられないよう拘束した上で火葬され、遺骨はサイト-81██Dクラス共同墓地に生き埋めとなりました。

 
翌日、SCP-4771-JPに対してインタビューが行われました。
 
インタビュー記録098 - 日付20██/06/07

対象: SCP-4771-JP

インタビュアー: エージェント・石田

付記: 念のため、エージェント・石田は拳銃を携行しています。

<録音開始>

インタビュアー: コーヒーをお持ちしました。よろしければ飲みながらお話ししましょう。

SCP-4771-JP: これ、毒とか入ってたりしませんよね。

インタビュアー: ご冗談を。入ってないわけないでしょう。

SCP-4771-JP: ……そうですよね。

インタビュアー: さて、昨日行われた実験なんですが、我々としては非常に無意義なデータが得られたと思っています。ありがとうございます。そこでこの実験について質問いたします。どの処置に最も苦痛を感じましたか。

SCP-4771-JP: 解剖です。

インタビュアー: ありがとうございます。次点で苦痛を感じた処置はどれでしたか。

SCP-4771-JP: それより先に、私から質問いいですか。

インタビュアー: 構いませんが、手短にお願いしますよ。

SCP-4771-JP: 財団の理念は確保・収容・保護ですよね? 何故アノマリーである私を人型実体収容セルに収容せず、引き続きDクラスとして雇用継続した上、危険なオブジェクトに殺させたり、日例終了とか言って毎日射殺するんでしょうか? オリエンテーションで伺った話と違うんですが……

インタビュアー: 別に矛盾はしていません。「特別な理由がない限り」殺さないだけで、特別な理由があれば壊したり殺したりする場合もありえます。例えば財団の手に負えない異常性を持ち、人に危害を加えるオブジェクトは破壊することもありますよ。

SCP-4771-JP: いやいや、私は収容違反も起こしていないし、誰かに危害を加えてもいません! 人に危害を加える、手に負えないほど異常な存在なのはあなた方のほうでしょう!?

[SCP-4771-JPが机を叩いて立ち上がる。]

インタビュアー: 落ち着いてください。今のはあくまで例示です。あなたが殺され続けるのは別の理由です。

SCP-4771-JP: どういう理由があるんですか。まさか、財団の皆さんまで私の異常性に狂わされておかしくなっているとかじゃ……

インタビュアー: はい、その通りです。私たちはあなたの異常性に狂わされ、おかしくなっています。だからあなたを殺し続けます。

SCP-4771-JP: な、何を開き直ってるんですか……それを分かっているなら対策してくださいよ。

インタビュアー: それが、どうしてもできないのです。私のような収容スペシャリストは認識強化薬を服用していますので、我々が異常に侵されていることには気付くことができます。しかし、あなたの認識災害は非常に強力で、異常性を知った上でなお逆らうことができず、そもそも逆らおうとする気すら起きなくなってしまっているんです。

SCP-4771-JP: そんな馬鹿な。どうにかならないんですか? 監査が入ったということは、外部の方は問題視しているということでしょう?

インタビュアー: それについてなんですが、監査が入ったら余計に事態が悪化したためか、今後、サイト-81██外の人間はSCP-4771-JPの扱いについて一切干渉せず、議論も行わないという通達が来ました。あなたについて考えると殺すという結論に行き着いてしまいますが、考えなければ影響は軽微ですからね。

[12秒間の沈黙。SCP-4771-JPが椅子に座る。]

SCP-4771-JP: ……無茶苦茶だ。財団なら私の異常性を解明して、保護してくれると思って、必死の思いでアノマリー扱いを希望したのに。これじゃ何も意味なかったじゃないですか。誰か、誰か助けてくれる方はいないんでしょうか……

インタビュアー: いません。仮にあなたが財団以外の超常組織に行ったとしても同じ結果だったでしょう。拘置所にいたから知らないかもしれませんが、あなたが死刑になる度にテレビや新聞があなたについて取り上げていました。しかし、誰一人として死刑に異を唱えませんでした。死刑反対の団体を含めてです。
 
あなたが財団に来た時点で既に手遅れだったんです。あなたの親も、友人も、弁護士も、そして我々財団も含めて、地球上にあなたの味方はもう1人もいません。あなたはもう、毒が入っていない食べ物や飲み物を出されることは二度とないし、あなたより足が速い人と何事もなくすれ違えることも永久にありません。

[SCP-4771-JPが項垂れ、沈黙する。]

インタビュアー: まあ、財団は異常性を帯びてしまった人型オブジェクトのシェルターではありませんから。どちらかというと監獄です。看守が囚人を理不尽にいびったり、囚人同士で喧嘩が発生するのはよくあることです。そう思って、諦めて殺され続けてはどうでしょうか。

SCP-4771-JP: ……そうします。

インタビュアー: ご理解いただけたようですね。

SCP-4771-JP: ご理解はしてないですが、諦めはつきましたよ。あ、前の実験で、解剖の次に苦しかったのは火葬でした。この質問になんの意味があるのか知りませんが、これで十分でしょうか。インタビューが終わりでしたら、さっさとその銃で私を撃って終わりにしてください。

インタビュアー: そうですね。この辺で終わりにしましょう。[銃を構えて]しかし、あなた本人から撃ってくれと言われるのは初めてですね。協力的になってくださって良かったです。

SCP-4771-JP: ええ。死んでいる時だけは、この耐えがたい現実から逃れられるので。

[銃声。]

<録音終了>

 
補遺3: 20██年11月25日、通常通り担当者がSCP-4771-JPを終了しようとした際、自殺したSCP-4771-JPが発見されました。死体は即座に財団医療チームに引き渡され、8時間に及ぶ激しい「治療」の末に、SCP-4771-JPは19回死亡したのち一命を取り留めました。SCP-4771-JPの自殺の動機が不明であったため、急遽インタビューが行われました。

インタビュー記録513 - 日付20██/11/25

対象: SCP-4771-JP

インタビュアー: エージェント・石田

付記: 念のため、エージェント・石田はアサルトライフルを携行しています。

<録音開始>

インタビュアー: 久々ですね。あなたが自殺するなんて。そんなことをしたところで、蘇生するんだから何の意味もないでしょう。

SCP-4771-JP: ええ、拘置所にいる時から収容初期まではよく自殺してましたね。現実に耐えきれなくて、無理と分かっていても逃げたかった。でも今回は違います。自分が許せなかったんです。

インタビュアー: なるほど。自分の異常性によって何万回と殺されたら、さぞ自分が憎いでしょうね。

SCP-4771-JP: それも憎いことは間違いないですが、私がいま一番許せないのはそのことではありません。

インタビュアー: と、言いますと。

SCP-4771-JP: 先週から今週にかけて、Dクラス職員の心臓を除去し、代わりに私からえぐり取った心臓を移植する実験がありましたよね。

インタビュアー: ええ、4回やりましたね。明日もやりますよ。

SCP-4771-JP: 私の心臓を移植されたDクラス職員たちはどうなったんですか。

インタビュアー: あなたが知る必要はありません。

SCP-4771-JP: 自分の身体のことですから、大体察しています。大方、私が蘇生した瞬間にその心臓が私の体にテレポートしたため、心臓を失って息絶えたんでしょう。

インタビュアー: ……仮にそうだとして、何の問題があるんです? Dクラスの生殺与奪は我々が握っています。オリエンテーションで聞いたでしょう。

SCP-4771-JP: いえ、オリエンテーションで教わったのは、「アノマリーから人類を守るため、確保・収容・保護する。そのために必要であればDクラス職員を使う」そういう内容でした。結果が分かりきっているのに、私の心臓を他のDクラス職員に移植し、無駄に人員を消費することが、確保・収容・保護にどう役立つって言うんです?

インタビュアー: 何の役にも立ちませんよ。単にあなたを殺す口実でしかありません。サイト-81██はただあなたを殺し続けるだけの集団と化しました。逆らう方法はなく、ただ殺害業務を遂行し続けます。

SCP-4771-JP: 本当に逆らう方法はないんですか? きちんと調べましたか?

インタビュアー: これも前に申し上げたはずですが、逆らう方法を模索する気にすらなれないので。

[SCP-4771-JPが少し考えるそぶりを見せる。]

SCP-4771-JP: ……今月初め、私はD-56487という職員と知り合いました。彼は親から虐待を受けて育ち、およそ教育らしい教育も受けませんでした。その結果、自分以外は全て敵であり、味方は1人もいないという、歪んだ考えを持つようになりました。彼はそのまま非行に走り、ある巨大犯罪組織の幹部となり、組織内外の人間を息をするように殺し、果ては無差別テロ事件まで引き起こしたそうです。
 
ですが彼は獄中で本を読み、様々な人と出会ったことで、少しずつ態度を軟化させていきました。そして去年の4月、ついに自分の罪の重さを自覚し、人を殺したことを深く後悔するようになったそうで、自分が殺した被害者たちと社会に償いをしたい、1人でも多くの人の命を救いたい、と言っていました。

インタビュアー: 恩赦を得たいがために、形だけそういう反省の弁を述べるDクラス職員はよくいますよ。

SCP-4771-JP: 最後まで聞いてください。彼も死刑囚だったので、私と同じように、Dクラス職員の勧誘を受けました。彼はその話を聞いて、こう思ったそうです。アノマリーによって苦しむ人々を、自分が命をかけることで救えるのなら、それが償いになると。そうして彼はDクラス職員となり、私と同じ雑居房にやってきました。
 
私と彼は時々話すようになりました。この雑居房はDクラスの中でも、特に残忍な殺人を犯した人ばかりが集まっています。そこに入れられた以上、1ヶ月後の釈放より前に何らかのオブジェクトに割当てられ、殺されるであろうことを察していました。

それでも彼は希望を抱いていました。収容のため生贄が必要なオブジェクトに自分を捧げて1秒でも暴走を遅らせられるなら、あるいは人を殺すオブジェクトと接触し、自分が殺されて性質の解明が進み、特別収容プロトコルの一部になれるなら、こんな嬉しいことはない、と言っていたのを覚えています。

[SCP-4771-JPの声が震え始める。]

SCP-4771-JP: 3日前の心臓移植実験のことでした。私が手術室に入る時、心臓を移植されるもう1人のDクラス職員が隣の部屋に連れて行かれました。その時、そのDクラスの顔がちらっと見えたんです。D-56487でした。
 
彼も私に気付き、少し笑ったように見えました。私は蘇生した後、彼が居そうな場所を探しました。すれ違う人全員に殺されながら探したので2日かかりましたが、彼はどこを探しても見つかりませんでした。
 
私は、人に危害を加えるオブジェクトでした。私の異常性による、なんの必要性もない行為のために、彼は死んだんです……。石田さん、私を殺すのはもう最悪いいですから、他の人を巻き込むのはやめてください。お願いします。

インタビュアー: なるほど、仰りたいことは理解しました。最後についてですが、結論から申し上げるとそれは不可能です。

収容から月日が経つごとに、あなたの異常性はますます強さを増しているようです。あなたを殺すためなら、そしてその口実を作るためなら、もはや誰も手段を選ばなくなりました。Dクラス職員の消費など躊躇するはずもありません。

これはもうお願いでどうこうなる話ではないんです。自分の異常性を呪いながら、諦めて殺されてください。

SCP-4771-JP: 期待はしてませんでしたが、やっぱり駄目でしたか……

インタビュアー: あなたが何故そこまであのテロリストの肩を持つのかは知りません。個人的には本当に改心していたかも疑わしいですが、もう確かめようもないことですし、好きに想像すればいいと思います。

ただ、あなた以外のDクラス職員は一度死んだら生き返らない消耗品ですから、下手に親しくなっても辛いだけですよ。忘れた方がいいでしょう。あなたの場合、蘇生したら記憶処理もリセットされるみたいなので、私たちからできることはありません。今日受けた治療の内容とか、明日殺される痛みとか、そういう苦しいことを考えて紛らわせてください。

SCP-4771-JP ……はい。

インタビュアー: 話は終わりですかね。明日の心臓移植実験の準備があるのでそろそろ締めますね。

[エージェント・石田がライフルを構える。]

インタビュアー: 死んだ後に言い残すことはありますか?

[銃声。53秒の静寂。SCP-4771-JPが蘇生する。]

SCP-4771-JP: 彼は……彼は私を、一度も殺しませんでした。

<録音終了>

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