アイテム番号: SCP-481-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 日本国内に存在する棒なしの固飴を製造している製菓工場で製品の重量を検査する検査具の導入を行い、検査に合格しなかった製品を財団管轄下にある企業を用いて回収してください。また、従業員による不良品の持ち帰りなどが起こらないよう定期的な指導と監視を行ってください。回収されたSCP-481-JPは必要な数のみをサイト-81██の冷蔵機能付きの保管用金庫に収容し、残りは粉砕したのちに焼却処分してください
SCP-481-JP-Aの発生が発覚した場合は直ちにSCP-481-JP-Aを個人で終了することが出来る十分な武装を施した財団職員を派遣してください。もしSCP-481-JP-Aの破裂行動が行われた場合は清掃部隊を派遣し、目撃者の記憶処理と被害に応じた適当なカバーストーリーを流布してください。
SCP-481-JP及びSCP-481-JP-Aの実験はセキュリティクリアランス3以上の研究員2名以上の許可が必要です。SCP-481-JP-Aに関する実験の際は必ずSCP-481-JP-Aを終了するための十分な武装を施した職員3名を待機させてください。
説明: SCP-481-JPは約3か月ごとに日本国内の製菓工場に存在する製造直後の飴玉の内部に出現する異常な生命体です。SCP-481-JPは変異する前は直径3ミリの透明な球状の物体のような姿をしています。SCP-481-JPが出現する飴玉は棒が付いていない固飴に限られ、内部に空洞がある飴玉には出現しません。多くの場合は球体、もしくは楕円形に近い形状の飴玉に出現しますがドロップ状の飴玉からSCP-481-JPが発見された事例もあります。
内部を観察できる飴玉であれば目視でSCP-481-JPを観察することが可能です。SCP-481-JPを含む商品は通常よりも約10g重量が増加します。現時点でSCP-481-JPが混入している商品を見分ける方法はこの重量差のみです。
SCP-481-JPの入った飴玉が摂取され唾液がSCP-481-JPに触れた場合、SCP-481-JPは瞬時に変異を行いSCP-481-JP-Aへと変化します。飴玉が舐め溶かされず噛み砕かれた場合はSCP-481-JPの変異は発生しません。
SCP-481-JP-Aは3対6本の鋭い鍵爪を持つ人間の腕と1対2本の人間の足を持つ、全身が飴細工で構成されているミツツボアリ属(Myrmecocystus)に類似した特徴を持つ実体です。変異したSCP-481-JP-Aは即座に強い光を発するとともに体長5~8mまで成長します。その結果多くの場合、飴玉を摂食していた人間はSCP-481-JP-Aの体に圧迫され死亡、もしくは重症を負うことになります。
成長が終了した後、SCP-481-JP-Aは自身が包み込まれていた飴玉を製造した製菓工場へと向かい約5km/hの速度で移動を行います。SCP-481-JP-Aが何を目的として製菓工場へ向かうのかはSCP-481-JP-Aの目的地到着が実現した例がないため確認されていません。SCP-481-JP-Aは基本的に2対の腕のみを用いて這うような形で移動を行います。使用されない2対の手足は自傷行為・周囲への攻撃・運動の停止などの行動を不規則に行います。SCP-481-JP-Aの自傷行為は極めて激しく、自身を自己終了した事例も確認されています。現在、何故そのような移動方法を行うのかは不明です。
最初期のSCP-481-JP-Aの腹部に内容物はありません。時間の経過につれ腹部内にSCP-481-JPが包まれていたものと同成分の高温な液状の飴と高濃度のギ酸で満たされていきます。現在SCP-481-JP-Aが貯蔵する内容物の上限は確認されておらず、膨張に伴いSCP-481-JP-Aの腹部の耐久性が低下していきます。
SCP-481-JP-Aの腹部が外部からの衝撃によって損傷を受けた場合、破裂音と共にSCP-481-JP-Aが消失します。その直後内容物と同様の物質が約高度1kmの地点から降り注ぎます。その範囲と時間は不明ですが腹部がおよそ直径40mまで成長したSCP-481-JP-Aが破裂した事例では約1時間にわたり半径15kmの範囲で50mm/hの内容物が降り注ぎました。SCP-481-JP-Aの破裂はSCP-481-JP-Aの腹部以外の部位を破壊し終了することによって防ぐことが可能です。
SCP-481-JP-Aが上記のような危険性や巨体を持つのにもかかわらずSCP-481-JP-Aに関する情報を得た人間はSCP-481-JP-Aの危険性を異常に過小評価します。中でも正義感・好奇心・名誉欲・金銭欲などが強い人間はSCP-481-JP-Aの殺害・捕獲・記念品の入手などを目的にSCP-481-JP-Aへと接近を試みます。また、接近を試みる人物は目的達成のための他者からの支援・援助に強い拒否反応を示します。この影響はSCP-481-JP-Aの攻撃で死亡した他者の死体を目撃した場合でも継続します。この精神影響を受けた一般人の攻撃によりSCP-481-JP-Aの破裂が誘発される可能性があります。
補遺: 複数回の実験の結果、SCP-481-JPを含む飴玉を摂取中の被験者全員が笑みを浮かべる等の不自然な動作をしていることが指摘されました。その後の調査でSCP-481-JPと思われる存在が自身を摂取中の被験者の脳内に対して、未知の方法でメッセージを送信していることが判明しました。何故その存在についての報告が行われなかったのか調査したところ、全ての被験者がメッセージの内容は戯言であり報告する価値はないと判断したと証言しました。
メッセージは飴玉の摂食者及び全人類に対する脅迫と摂食者に対して飴玉を食べることを中断するよう警告する内容が交互に送信されます。メッセージは一方的なものであり被験者の言葉に反応しているような素振りも見せません。SCP-481-JP-Aの危険性がある程度伝わる内容であるのにもかかわらず被験者が摂食を中断しないことからSCP-481-JPがSCP-481-JP-Aへと変化する以前から自身に対する脅威の認識を鈍化させる精神影響を持つものだと推測されます。
以下はD-48105が自身に送られたメッセージを書き起こした記録とD-48105のSCP-481-JP摂食記録を時系列的に並べたものです。
実験記録: 20██年█月█日
対象: D-48105
目的: SCP-481-JPを摂食した際に聞こえる、音声の内容の記録
16:00: D-48105が口内にSCP-481-JPが入った飴玉を入れ舐め始める。
16:01: 「俺は強い」
16:01: この時点でD-48105の口元が笑みで歪んでいることが確認される
16:02: 「私は強い」
16:04: 「恐れよ」
16:07: 「吐き出せ」
16:10: 「目に焼きつけろ」
16:11: 「まだ間に合う」
16:13: 「破滅は近い」
16:13: D-48105がSCP-481-JPの言葉に噴き出したかのように息を漏らす
16:15: 「助けたい」
16:16: 「残り僅かだ」
16:17: 「もう時間がない」
16:17: D-48105の「たかが飴玉に何ができるってんだよ。」という独り言が確認される。
16:18: 「俺を舐めるな」
16:18: 「私を舐めるな」
16:19: SCP-481-JP-Aの発生によりD-48105が死亡、待機していた武装職員3名の攻撃によりSCP-481-JP-Aは終了された。映像の確認によりD-48105は死亡する寸前まで笑みを浮かべていたことが判明した。