SCP-482-FR
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アイテム番号: SCP-482-FR

脅威レベル:

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-482-FRの出現頻度は極めて低いため (関連する映画の0.0023%が影響を受けます) 、全世界的な監視措置は必要ありません。SCP-482-FRに関するインターネット上の言及は、定期的な検閲または偽情報活動の対象となります。その効果の性質上、SCP-482-FRを目撃した民間人が無分別な行動を取るリスクは少ないものの、例外が認められた場合は記憶処理薬投与の対象となります。SCP-482-FRの影響を受けたメディアは可能な限り押収、破棄する必要があります。

説明: SCP-482-FRは、紀元前44年3月15日に死去したローマ人将軍、ガイウス・ユリウス・カエサルの霊魂、またはその複製と推定されるメタフィクション実体です。当初は歴史上のカエサルを模した人工存在だと仮定されていましたが、近年行われたインタビューで、SCP-482-FRは確かに紀元前44年3月15日当時のカエサル本来の人格を有することが概ね確証されています。

カエサルの生涯や共和制末期の古代ローマ世界の広範な知識に加えて、SCP-482-FRは現代の学術界についても驚嘆すべき知識を示し、更に英語、フランス語、イタリア語に堪能です。これらの情報は全てテロ組織 SAPHIR が教えた、あるいは少なくとも提供したものと思われ、SCP-482-FRは“迷信・卜占・それらの危険に関する教育戦役”と称する活動を通してSAPHIRに貢献しているようです。

SCP-482-FRは不定期に映画作品、とりわけホラー、スリラー、ファンタジーのジャンルに属するものの作中に登場します。これらの作品には共通して、主人公の身に脅威が迫っていることを示す予兆が現れ、通常は無視されるという、ドラマチックな皮肉を生み出すための古典的な舞台演出が含まれています。SCP-482-FRがプロットに干渉することによって、問題の脅威は、常に同一のパターンに従って体系的に解消されます。

  • 主人公たちは、危険を示す予兆に幾度か遭遇した後、作中の脅威と初めて対面しようとしている。
  • SCP-482-FRが画面上に出現してプロットに関与し、その存在を認知され、作中の環境や登場人物と相互作用する。登場人物たちは対話する相手が古代ローマ人将軍のユリウス・カエサルであることを十分に認識しているにも拘らず、それを異常または迷惑と見做さないようである。
  • SCP-482-FRは出現時の作中展開に沿った流れで登場する。また、SCP-482-FRは科学者の会議ではトーガを着用し、アクションシーンでは鎧と武器を装備し、屋外環境では騎馬で姿を現す。
  • SCP-482-FRは登場人物たちを呼び止め、プロットに現れた予兆を反証し、作中の脅威を合理的な観点から説明する。
  • 脅威は改変前と同じシーンで登場するものの、すぐにSCP-482-FRの合理的な説明に適った存在であることが判明し、活動を停止させられる。
  • SCP-482-FRは視聴者に向き直り、迷信の危険性を警告する教育的な独白を開始する。

これらの独白は映画の内容やその時の状況によって常に変化します。しかしながら、多少の違いはあるにせよ、いずれも同じ導入から始まります。書き起こしは以下の通りです。



SCP-482-FRの介入に続いて、映画は特定のプロットや脚本上の要素が無いまま、再生時間終了まで主人公たちが日常生活を送る様子を追うものになります。その後改めて再生すると、その作品の通常通りの映像が流れますが、登場人物や脅威は全く現れません。この時点から、映画は無人の環境を延々と映す内容に制限され、元に戻すことはできなくなります。留意点として、SCP-482-FRは作品としての映画全体ではなく、個々の媒体 (VHS、DVD、Netflixアカウントなど) を改変するに留まります。従って、その映画の他のコピーはSCP-482-FRの介入に影響されません。

補遺 1: SCP-482-FRによる特筆すべき改変例。

改変された映画 介入の性質
シャイニング (1980) ジャック・トランス (ジャック・ニコルソン) がオーバールック・ホテルのバーに座り、バーテンダーを務める亡霊のロイドに飲み物を注文する。出現したSCP-482-FRはトランスの隣に腰掛けると、酒を取り上げ、アルコール依存症が彼の精神衛生に及ぼす悪影響と、彼の態度が家族の精神衛生に及ぼす悪影響について説明する。視聴者に向けたスピーチは、アルコールと薬物の危険性に関する内容である。
ブレア・ウィッチ・プロジェクト (1999) ヘザー (ヘザー・ドナヒュー) 、ジョシュ (ジョシュア・レナード) 、マイク (マイケル・ウィリアムズ) は2日前からメリーランド州のブレア森で道に迷っている。彼らがブレア・ウィッチによって木に吊るされた何十体もの木切れ人形を発見した時、SCP-482-FRが登場し、彼らが目撃した奇妙な現象は近くに野営しているローマ軍団によるものだと告げる。
吸血鬼ノスフェラトゥ (1922) トーマス・ハッター (グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム) は不動産を売るためにオルロック伯爵 (マックス・シュレック) の城を訪れ、歓待される。オルロックが切り傷から血を吸おうと試み、また首筋に2つの噛み跡がある状態で目覚めた後、ハッターはオルロックの正体が吸血鬼か否かを確認するために地下室へ降りていく。彼はSCP-482-FRに呼び止められ、信頼と死者への敬意が欠けているとして叱責される。
リング (1998) 連続怪死事件を追うジャーナリストの浅川玲子 (松嶋菜々子) は、視聴者を7日後に死に至らしめるという謎めいたビデオテープを発見する。ビデオを視聴した後、彼女はテレビ画面にビデオの中の幽霊、貞子が映り込んだのを見て驚愕する。これは実際には、トーガを着て背後に座っているSCP-482-FRの反射像である。SCP-482-FRは、呪いのビデオが都市伝説であり、最近の怪死事件は悲劇的だが自然な要因によるものだと玲子を納得させる。
ウィッカーマン (1973) ニール・ハウイー巡査 (エドワード・ウッドワード) は、虚偽の理由でサマーアイル卿 (クリストファー・リー) が統治する島の捜査に派遣され、豊作を願って異教の神々に生贄を捧げようとする島民たちの罠にはまる。ハウイー巡査が柳編みの人形の中で燃やされようとした時、SCP-482-FRはかつて“ガリア戦記”で糾弾した習俗と酷似する野蛮な島民たちに全面攻撃を仕掛ける。
ファイナル・デスティネーション (2000) パリ行きの飛行機の中で、アレックス・ブラウニング (デヴォン・サワ) は眠り込み、その後数分間にわたって、離陸した飛行機が爆発し全乗客が死亡する夢を見る。パニック状態で目覚めた彼は、機内のある座席のトレイテーブルの取っ手を引き、夢の中と同じように外れるのを見る。近くの座席で“オオカミ少年”を読んでいたSCP-482-FRが立ち上がり、ごくありふれた既視感に過ぎないと説明してアレックスを落ち着かせる。

補遺 2 : 視聴者への影響 | 潜在的な機会。

フロッグ博士による初期の実験結果は、SCP-482-FRに曝露した視聴者の迷信や不合理な恐怖心が、100%の事例で著しく減退することを示していますが、この減退が自然な反応か、それとも異常な現象かはまだ断定されていません。

曝露者は精神的負荷が多い不安定な環境、とりわけ周囲で発生する事象についての手掛かりや説明が欠如している状況に対処する能力が、最大で62%向上することが判明しました。このため、SCP-482-FRはSCP財団の職員、特に機動部隊の訓練における非常に有用な資産になり得ます。また、SCP-482-FRは被害妄想や恐怖症に苛まれる人物への極めて良好な治療効果を示すことが確認されており、財団の医療サービスにとっても資産価値があります。

この運用法の実現可能性は、オペレーション・リスク・ゼロが成功するか否かにかかっています。


補遺 3 : SCP-482-FRへの接触の試み。

オペレーション・リスク・ゼロ


我々は当初、SCP-482-FRは単なる脱走したCervantesクラス物語アノマリーであり、何百と存在するユリウス・カエサルの物語版の1人が自我を獲得して制御不能になったのだと考えていた。しかし、5年間かけて原典を探し回った末に、我々は真実と向き合わなければならなくなった — 架空のカエサルは誰一人として逃げ出していない。今振り返ってみると、彼らのように見えなかったのも確かだ。

“神秘主義終焉のための無神論者協会”の関与を示す手掛かりもまた、より複雑な起源があることを仄めかしている。彼は外因性の物語アノマリー、それも恐らくは実際のユリウス・カエサルに基づく存在だ。確かめるには彼に接触するしかない。この目標を念頭に置いて、オペレーション・リスク・ゼロは開始された。

— 空想科学部門、ピエール・メナール博士




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