SCP-4820
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アイテム番号: SCP-4820

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-4820はサイト-17の標準的なヒト型生物収容モジュールに収容されます。24時間に1回、最大30ガロンの血液をSCP-4820から採取することが可能です。より多量の血液や内臓をSCP-4820から採取するには、最低1名のレベル4職員による承認が必要です。

SCP-4820は食料供給を必要とせず、また提供された食品を拒絶しています。 SCP-4820は調理器具、様々な香辛料、数種類のソースの利用を要請しています。これらの要請には仮承認が下りていますが、必要に応じて懲戒処分として撤回される場合があります。

説明: SCP-4820は約40~50歳のインドネシア人男性です。SCP-4820は損傷した/破壊された身体組織を迅速に再生することができます。この能力には既知の制限がありません — SCP-4820は切断された体肢を再成長させることさえも可能です1。再生に要する時間は、問題の負傷の深刻度に応じて長くなります。軽い切開創傷はほぼ瞬時に治癒しますが、内臓摘出は回復まで数時間かかります。SCP-4820は苦痛を感じないらしく、自らの負傷に気付かないことがしばしばあります。

SCP-4820の急速再生能力のエネルギー源は現在不明です。SCP-4820は一般的な人間より多くの食料や水を必要としません。

補遺4820-1: 以下はSCP-4820に対して行われた一部実験のサンプルです。

与えられた負傷 結果 注記
小さな切開創傷(長さ約3cm)を右腕に作る。 傷はほぼ瞬時に治癒した。
左手の人差し指を第一関節で切除する。 指は切断面から再成長した。皮膚、骨、結合組織、筋肉、神経の順序で、単純な身体組織から再生。新しい指には初めのうち爪が無かったが、後日、人間の一般的な速度で成長した。 切除された指の細胞は正常に死に、予想通りに腐敗した。
左手の薬指を第一関節で切除する。SCP-4820は切除された指の再結合を試みるように指示された。 SCP-4820は切除された指を切断面に当てて再結合を試みた。再結合は発生しなかった。新しい身体組織は既に発達し始めており、切除された指を同化しなかった。
左手の中指を切除し、傷を焼灼する。 焼灼された肉は損傷していない状態に急速に戻り、通常どおりに指を再生し始めた。
左手の小指を切除し、縫い合わせる。 指は再結合されなかった。新しい身体組織は縫い付けられた指の後ろで発達し、成長するにつれて古い指の縫い目を強制的に引き裂いた。
標準的な静脈注射用装置で30ガロンの血液を抽出する。 実験中のどの時点でも、SCP-4820は血圧低下やその他の失血の症状を示さなかった。 Dクラス被験者への輸血を含む広範な検査で、採取された血液に異常性の残存は認められなかった。複数のサイトの血液バンクにおけるSCP-4820血液の大量・長期保管が承認されているが、職員は緊急時にのみこれらの血液を使用することが推奨される。
右の腎臓を切除する。 予想通り、SCP-4820は代替となる腎臓を4時間以内に再生した。 切除された腎臓は無事にDクラス被験者に移植された。広範な検査で、この被験者に異常性の残存は認められなかった。SCP-4820を緊急時の臓器提供者として利用する案が承認されている。
右の腎臓を切除し、再生が完了する前に、適合性があるDクラス被験者の腎臓を移植する。 SCP-4820の身体は移植を受け付けなかった。Dクラス被験者の腎臓はSCP-4820の免疫システムによって15時間で完全に破壊され、その後に前回の実験同様の流れで新しい腎臓が再生した。
ステンレス鋼の釘(直径5cm)を左掌に打ち込み、放置する。 この傷は釘が除去されるまで治癒しなかった。 SCP-4820はこの結果に動揺を示した。
ステンレス鋼の釘(直径1cm)を心臓に打ち込み、放置する。 心臓は鼓動を停止し、釘が刺さっている間は治癒しなかった。SCP-4820の細胞は低酸素症で死に始めたが、即座に再生された。脳細胞でもこのプロセスが発生したため、SCP-4820は釘が除去されるまで制御不能に痙攣していた。 SCP-4820は脳損傷の兆候を示しておらず、脳細胞が死と再生を繰り返したにも拘らず完全な記憶を保っている。SCP-4820の要請により、SCP-4820が血液を提供し、必要に応じて臓器提供者の役割を果たすという形式で協力姿勢を維持することを条件に、これ以上の再生能力の実験は中止された。

はい、彼を縛り上げて好き勝手に実験することも可能でしょう。しかし、真面目な話、我々は既に何種類もの自己再生能力を見知っています。彼を価値ある存在としているのは血液・臓器のドナーとしての有用性であり、そのような状況が出来する場合に備えて、彼を協力的なままに保ちたいのです。 - V█████博士

補遺4820-2: 収容後間もなく行われた、V█████博士とSCP-4820のインタビューの転写。SCP-4820の第一言語であるインドネシア語から翻訳されています。

<記録開始>

V█████博士: こんばんは、SCP-4820.

SCP-4820: 今じゃ私はそんな風に呼ばれるんですか?

V█████博士: はい。慣習の都合です、悪く思わないでください。

SCP-4820: 当分、外に出しちゃもらえないんでしょう?

V█████博士: 残念ながら。

SCP-4820: 仕方ない。少なくともここなら話し相手がいます。[データ削除済]とは違う。

V█████博士: あなたが漂着した島ですね?

SCP-4820: あの岩屑の寄せ集めを島と呼べるのならね。

V█████博士: 確かに過酷な環境でした。しかし、あなたはそれでも約12年間そこで生き延びた。どのように過ごしていたのか、説明していただけますか?

SCP-4820: そうですね、まず脱出手段を求めて神に祈りました。正気の人間が難破したら誰だってそうです。最初のうち、心底求めていたのはそれだけでした。私は水を蒸留する方法を知っていましたし、日差しから身を隠せる小さな洞窟もありました。

V█████博士: 何かが変わったのですか?

SCP-4820: 腹が減ったんです! [SCP-4820は笑う] その後、脱出の優先度はぐっと下がりました。

V█████博士: それで、あなたはどうしました?

SCP-4820: 魚を捕まえようとしましたが、手元にあるのはナイフと岩と1揃いの服だけでした。イチかバチか泳ぐことも考えましたが、大海原をはるばる泳いで帰ろうとするよりかは、洞窟で飢え死にした方がまだマシだと思い直しました。だから、あの小さな洞窟のずっと奥の、居心地が良くて暗くて涼しい場所まで這い進んで、何か食べ物が手に入るようにと祈りました。

V█████博士: それから異常性が発現したのですね?

SCP-4820: ええ。私はそこで気絶したんです - 何しろ疲れていましたから - 目を覚ますと、切り傷やあざが全部消えているのに気付きました。船が沈んだ時にかなり酷い怪我をしたんですが、全て治っていました。それだけじゃありません、昔の傷跡もです。指のたこさえ消えていました。

V█████博士: それに気付いてから、どうしました?

SCP-4820: 太陽の下に長く居すぎて、頭をやられたんだと思いました。何か鋭い物で切り傷を作ればはっきりすると考えましたが、ナイフは洞窟の外に置きっぱなしだったので、手に噛み付きました。すぐさま回復するのを見ました。

V█████博士: それから、どうしたんですか?

[SCP-4820は微笑む]

SCP-4820: 食料源が1つしかない荒れた島に漂着した船乗りなら、誰でもするような事を。

<記録終了>

補遺4820-3: [データ削除済]島からSCP-4820と共に回収された物資のリスト。

  • 金属のサバイバルナイフ 1本。刃は著しく錆びて鈍り、使用できなくなっている。
  • 人間の脛骨から作られたナイフ 2本。
  • シャツとズボン 2枚ずつ。人間の皮膚を腱と毛髪で縫い合わせたもの。
  • 未特定の人間の骨から彫られた針 1本。
  • チェスの駒 1セット。“白”の駒は様々な手指の骨から、“黒”の駒は足指の骨から彫られている。
  • 人間の皮膚と1本の大きな流木で構築された粗雑なシェルター 1つ。
  • 洞窟の入口に綺麗に積まれた人間の歯 約4,000本。

補遺4820-4: 回収翌日に実施されたSCP-4820の2回目のインタビュー。

<記録開始>

V█████博士: おはようございます、SCP-4820。

SCP-4820: どうも、先生。何かありましたか?

V█████博士: [データ削除済]島で過ごした時期について、幾つか質問しに来ました。

SCP-4820: いいですよ。

V█████博士: あなたが、ええと、作った物品を回収しました。あれらをどうやって作りました?

SCP-4820: ごく単純です。私はナイフを最初から持っていたので、物を削ることができたんです。まず新しいナイフを骨から作りました。あんな感じで塩水に囲まれていると金属は普通長持ちしません。

V█████博士: ですね。

SCP-4820: それから、もう少しバラエティのある食事が取れるかもしれないと期待をかけて、網を作りました。

V█████博士: 網は島から見つかっていません。

SCP-4820: そりゃそうです。どうにか実用に足るのを作った後も、魚は全く獲れませんでしたからね。それまで気付きませんでしたが、動物は全てあの島を疫病か何かのように避けていました。鳥が上を飛ぶことさえありませんでした。

V█████博士: 何故ですか?

SCP-4820: 私が思うに、動物たちは何か妙だと感じていたんです。何かが… 間違っていると。私も時々そう感じました。多分、私にこの力を恵んでくれた頭のおかしい魔神か何かのせいです。あの洞窟に住んでいる何か。

V█████博士: 洞窟には何らかの実体が居たのですか?

SCP-4820: 実体じゃないかもしれませんが、少なくとも存在を感じました。とても年老いたもの。あなたや私とは大きく違うもの。深く考えすぎると身の毛がよだちましたが、あの夜に私の命を救ってくれた相手に文句は言えませんよ。でも、それから洞窟の中で寝ることはなくなりました。

V█████博士: しかし、あなたは洞窟の外に歯を積んでいました。

SCP-4820: どうにかして日を数えなきゃいけないでしょう? 私は昔から歯がとても抜けやすかった。遺伝か何かでしょう、さもなければとっくに根付いているはずです2。筆記用具は何も無いので、私は歯を抜いて日々を数えることにしました。毎日夜明けに1本ずつ抜きました。

V█████博士: しかし、何故それを洞窟の外に積み上げたのですか?

[SCP-4820は困惑しているように見える]

SCP-4820: よく分かりません。少しぐらい供物を捧げても良いと思ったんでしょう。 [SCP-4820は気まずそうに笑う]

<記録終了>

補遺4820-5: [データ削除済]島の探索結果。ジャワ島の北東およそ██kmに位置する[データ削除済]島は、干潮時の陸地面積が1km2をやや下回り、満潮時に水面上に留まるのは数百m2です。島に動物は生息しておらず、植物(全て非食用)もごく僅かで、地表の大部分は岩石です。島の唯一特筆に値する特徴は、高さ約1m、幅1.5mの不均整な洞窟の入口であり、島の最も高い位置で南向きに開けています。この入口を通過すると楕円形の空洞に入ります — 洞窟の幅は最も広い地点で約2m、高さは最も高い地点で2.3m、奥行きは3mです。洞窟を徹底的に検査しても異常な特性は確認されませんでしたが、職員は“気味が悪い”と報告しました。

補遺4820-6: 収容から█週間後に実施されたSCP-4820の3回目のインタビュー。

<記録終了>

V█████博士: またお会いしましたね、SCP-4820。

SCP-4820: どうも、先生。あの、皆さんはサンバル3をお持ちでありませんか?

V█████博士: もし何か要望があれば記録しておきます。

SCP-4820: お願いしますよ。私は味付けした方が美味いんです。

V█████博士: はい、その、実は私が今日来たのもそれが理由です。配給食をあなたが拒否している件について話し合おうと思いましてね。

SCP-4820: どういう事です?

V█████博士: つまり、我々はあなたが、あー、もう少しバラエティのある食事を摂りたがっているとばかり思っていました。

SCP-4820: だからこそサンバルが要るんです。

V█████博士: しかし、どうして未だに、えー、自分自身を食べることにこだわるのですか?

SCP-4820: 先生、あなた今まで独りきりで12年過ごしたことがありますか? 答えなくて結構、無いのは分かってます。人がそれだけ長く孤独に生きているとね、完全にイカレてしまわないように、錨というか、何か確たる物事にしがみ付く必要があるんです。本を書く人もいれば、チェスをする人もいます。私には、これがありました。 [SCP-4820は右手の人差し指を折り、それが治癒するのを見る] 無限の治癒。でも不死身じゃない。私にはまだ食べる必要がありました。私の肉は必ず元通りに成長しますが、食べなければ餓死してしまう。だからたった一つの食料を、私自身を食べました。いったい何度自分を食べ、栄養をリサイクルして肉に変え、またそれを食べたでしょう。それは円環でした。完璧な円環でした。私は食物連鎖全体になっていたんです。私は全てになりました。だから私はそれに固執しました。その円環に。それは私にとって神聖なものになりました。崇拝すべきもの。あの島を去ってからもそれは変わりません。ある意味で、私はあそこで神になったのだと思います。神になるとはどういう事かを感じ、永遠に食べては食べられ、万物の始まりと終わりになる。それが、心地良かったんです。

<記録終了>

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