インシデントレポート4823-40: 2020/3/6、SCP-4823の皮が自発的に剥けて中から日記が排出されました。表紙には「ヴァレリーの日記」と手書きで記されていました。以下は日記の一部のページをフランス語から翻訳したデジタル版です。
2019/12/18 日記さん、今日はもうヘトヘトだからこのペンを持つのもやっとだよ。それはともかく、今日はたくさん楽しいことがあったから幸せ。まずは朝、お母さんが、ポルトガルからラトゥンダンおばさんが休みではるばるやって来るって教えてくれた。おばさんはミツイブクロの群れの世話で忙しいから、もう何年も会ってない。それから学校で、またウィリアムズの隣に座れた。ウィリアムズの肌は信じられないほど完璧。授業に全然集中できなかったよ、LMSO。それから、放課後私とエレエレはストライダーの厩舎に行って、また私の可愛いファルジュに乗ったんだ。
そうだ!それから新しい保健の先生が来たんだ。前の先生は数週間前に菌核病で亡くなっちゃったから。その病気になると指を失っちゃうみたい、本当に怖いね。とにかく、遂に代わりの人が来た。名前はジャワで、北アジア出身だって。男子の中には失礼な呼び方をするのもいたけど、あの青い肌は本当にきれい。
あとは、学校近くのオフィスビルの前にいる警備員さん二人にちょっとしたプレゼントで手作りのミトンをあげた。登下校の時毎日ビルの前を通るんだけど、あの人たちはどんな天気の日にもいつもあそこに立ってる。それにこの時期は一年でも寒い!だからあったかくできるものをあげようって決めたんだ。とっても喜んでいるようで、すぐにミトンを着けた。二人をいい一日に出来たんじゃないかな :)
2019/12/19 日記さん、今日はごくごく普通の一日だったから、一日中刺激的なことを期待してたりしてないといいんだけど。アワク先生が新しい課題を出した。こんなクリスマス前に出すなんて非常識だしうっとうしいけど、まあしかたない。私はそれを始めるために放課後はまっすぐ家に帰った。進化についてエッセイを書くことになってたんだけど、私たちの古代の祖先は巨大な花から育った奇妙な三日月形の果物だってことがわかった。進化って奇妙だね。ただ、大事なことが一つあった。ビル前の二人の警備員さんが今日はいなかった。いつもあそこにいるのに!あの人たちは例のビルでとっても大事なことをしてると思うから、なんで門を無人のまま放置しているのかはさっぱりわからない。
ああ、危うく忘れるとこだった!パーティーに招かれもしたんだった!フェイの親は週末はいないから、盛大なパーティーを開く予定だって。ウィリアムズも来るって聞いた。きっととっても楽しいはず!
2019/12/20 何を書いたらいいかわからない。何を考えたらいいかわからない、本当に。今は無意味だと思うんだけど、それでもなぜかまだこうしたい。たぶん習慣かな。
ウィリアムズが死んだ。今日の朝早く、体調があまり良くないって彼が友達に愚痴ってるのを聞いた。それなのに私は、彼がパーティーに来ることを望んでたんだ。信じられない。そして実際来てくれた時、私はとても嬉しかった。私は彼がひとりでいるのを捕まえて、おしゃべりを始めて楽しんでたんだけど…… その時、彼の目が外れて、例の小さくて白い生き物が目の穴から滑り出てきた。彼は何か言おうとしたけど、そのまま倒れてしまった。彼は死んだ、わかってる、彼は無表情でその…… 目は大きく見開いて、でもけいれんを続けてた。ああ神様、けいれん、ブンブンって音、彼から出てきた黒い雲のようなもの。走ってただ走って悲鳴が聞こえたけどそれでもただ走ってどこも見ずに1時間経ってやっと間違った方向に進んでるって気づいて電車に乗って帰らなきゃならなかったああ神様。親には言わなかった、ただ部屋に閉じこもった。[鉛筆で何度も打消し線が引かれ判読不能。ページは僅かに破れている。]あれは何だったの?
2019/12/21 ニュースは例の生き物について言ってた。誰もあれが何なのか、どこから来たのかは知らないみたいだけど、とにかく広がってる。第9区があれに奪われたから、避難所に向かう準備をしてる。一日中ヘリコプターが家の上空を飛んでる。こんなの…… こんなの現実じゃない。
2019/12/22 私は避難所でこれを書いてる。たぶんここには数十人がいる。食料と水は6か月分あるはずで、天井のソーラーランプは永久的に使えるらしいから、できる限り光合成に頼れば必要なら一年まで伸ばせるはず。
ここにはテレビがある。あの「切削家」と呼ばれ始めた生き物を軍が駆除しようとしてるのを観てる。あまり成功しているようには見えないけど……
少なくとも両親とエレエレはここに一緒にいる、あとあの新しい保健の先生も。私たちは一緒にこれを乗り越える、きっとそうだって知ってる。
2019/12/30 私たちはもう避難所にはいない。私たちは放棄された喫茶店にいる。「私たち」っていうのは私、エレエレ、ジャワのこと。他はみんな死んだ、両親でさえ。切削家がどこからともなく襲ってきて。たぶん換気口から入ってきたんだろう。ジャワは誰よりも早く気づいて、私とエレエレが他のみんなみたいに生きたまま食べられる前に逃げるのを手伝ってくれた。でも私たちも無事に出られたわけじゃなかった。切削家の一匹がエレエレの腕に種を植えつけた。ジャワは店のナイフを使って肘から下を丸ごと切り落とさなきゃならなかった。今は彼女は痛みを抑えるのを手伝って、私はこれを書いてる。理由はわからないけど、落ち着く気がする。
何もかも死んでしまった。空は数えきれない切削家で暗くなって、通りにはあの卑劣な生き物の子供たちで埋め尽くされたけいれんする死体が散らばってる。こいつらはただ広がって、食って、また広がって、それを遅らせる方法はない。軍のほとんどは撤退した。遠くにはパリへの蔓延を防ごうとしてるヘリコプターもいるけど、あいつらがそれを突破してフランス全体、もしかしたら世界中を食い尽くすのは時間の問題だろう。
2020/01/07 とうとう別の生存者グループを見つけた。30人かそこら。最初は私たちを迎え入れるのはためらってたけど、負傷者が数人いて、ジャワは看護師。私たちが生きていられるのは本当に彼女のおかげ。ここの人たちはとても堅物だったり、皮肉屋だったり、バカ真面目だったりするけど、数人は良さそうな人たちもいる。
エレエレは親が亡くなって片腕を失ってからとても落ち込んでる。こんな様子を見るのは心が痛む。前はとっても幸せそうで陽気だったのに。なんでこんなことが起きてるの?私たちが何をしたの?
日記さん、あなたのために日付を残し続けようとしてたんだけど、残念だけど見失っちゃった。ともあれ、もはやそんなことは大事じゃないと思う。私たちの数は減っていってる。今日は3人失った。というのも、元誰かの家をあさってるとき、あのバカ、マイソールが死体のある部屋に入っていった。その死体の中には切削家どもがいて、当然新鮮な肉がやってきたことに興奮して今度は私たちの方に向かってきた。私たちはマイソール、ポメ、シルクを置いてドアをロックしなきゃならなかった。そうしないと私たちも食べられてたと思う。
……まだ悲鳴とドアを叩く音が聞こえる。
エレエレが自殺した。今朝、彼女が見当たらなくてしばらく探した後、下の歩道に大の字になった彼女を見つけた。エレエレは夜中に私たちのいたアパートの窓から身を投げた。
一緒にやりたいことがたくさんあった…… ロシアの化石の森からオーストラリアのビーチまで、世界旅行の大きな計画があった。エレエレの一番の夢の一つは、南の海に棲んでる藻海獣と一緒に泳ぐことだった。クルーが、エレエレが障害のせいで単なるお荷物になってると言ったとき、私はもうちょっとであいつを殺すところだった。
他のニュースとしては、モンマルトルに戻ってきた。故郷だ、やったね。
私がミトンをあげたあの警備員さんたちはまだどこかで生きてるのかな。可能性は低いと思う。とにかく、私たちはあの人たちが警備してたオフィスビルをあさってる。どこもかしこも死体だらけ。それも、これまで見た中で一番多い。この人たちは逃げようともしなかったみたい。多くの人は銃も持ってた…… この人たちはこの建物で何をしてたんだろう。
ここに気味の悪さを感じ始めてる。一晩泊まったんだけど、もう出口が見つからなくなってしまった。まるで一晩で廊下と部屋の場所が入れ替わっちゃったみたい!でもそんなことありえない。でも、変な書類を見つけた。それは何かの研究室のような場所にあって、SF映画からそのまま出てきたようなものについて説明してた。
彼らは 私は クソ 私は独りだ。どこからともなく切削家どもが現れた。まるで突然出現したみたいに。グループのちょうど真ん中に。私たちは寝る準備をしてて、私は他のみんなから少し離れたところにいた時、突然悲鳴が聞こえてきた。私は何とかドアから出て、あいつらが完全に追いつく前に背中でそれを閉じた。私は臆病者みたいに、彼らを放置して死なせた。でもそれは問題じゃない、だって私ももうこの世に長くいられないだろうから。少なくとも一匹の切削家が私に種を植えたことは間違いない。
クソ クソ クソ [ページの残りは判読不能]
お前らが何をしたか知っている。お前ら全員が。エレエレ、私の両親、ジャワ、ウィリアムズ、そして他の何百万の人たちはお前らのせいで死んだ。そうだ。私は "SCP-4823" あるいは呼び方はどうあれそれについての、そして何が起きたか全部説明した文書を見つけた。どうやってお前らがこれを通してここに来て、私たちにこの疫病を持ってきたかを。
私はもうすぐ死ぬ、他のみんなみたいに。既に種が発芽して切削家の子供が私の肉を掘っているのを感じる。そういうわけで私はこれを乗り越えない、もう私に希望はないから。その代わりにこの日記を送る。そうすればお前らが私たちに何をしたかよくわかるだろう。
付記: 日記はサイト-77非異常保管棟の物品ロッカー7128に保管されています。