クレジット
タイトル: SCP-4837 - カモが語るは竜の話
著者: ©︎RockTeethMothEyes / plaguebearer does not match any existing user name
翻訳者: Catwill
作成年: 2018
アイテム番号: SCP-4837
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-4837はサイト-64の鳥類観察デッキに収容されています。収容違反が発生した場合、回収担当者はSCP-4837の所在を確かめ、収容状態の回復と引き換えに取引を申し出ます。
説明: SCP-4837は超次元空間にアクセス可能なマガモ(Anas platyrhynchos)です。SCP-4837は、この空間を使用して人間の顧客と取引するオブジェクトを保管し、取り出します。
通常、希望する顧客と、古風な話し方で洗練された英語のアクセントを持つ声と表現されるテレパシーで通信することによって取引を開始します。希望のアイテムを受け取った後交換の場から離れ、予想される目撃者から身を隠し、少し後に別のアイテムと共に戻ります。このプロセスを観察しようとする試みは、SCP-4837から、観察されている間はプロセスを実行できないという主張を受けます。
SCP-4837は、スマートフォン、カメラ、テレビ、電子レンジや関連する技術に特に関心を示しています。これはSCP-4837からのオブジェクトが全て西暦600年から1100年1までの日付が付けられていることとは対照的です。74個のSCP-4837によって受け取られたアイテムが現在カタログ化されていますが、正確な貯蔵量は不明です。
インタビューログ 4837.1:
次のインタビューは、捕獲の3日後にSCP-4837に対し行われました。SCP-4837はGoogle Pixelスマートフォンと引き換えに、インタビューに同意しました。
対象: SCP-4837
実施者: リーランド・ハインツ博士
序文: ハインツ博士はインタビュー中のSCP-4837からの全ての返答を記録するよう指示されました。不適当な文法は正確性のため保存されています。
ハインツ博士: 具体的にどこで製品を作っているのか教えてください。
[SCP-4837は沈黙している。]
ハインツ博士: SCP-4837? 貴方に質問しています。どこで商品をー
SCP-4837: 私はそなたの質問を許さぬぞ!そなたはエスポデリックの怒りを知ることになろう!見よ、絶望しろ、看守よ!
ハインツ博士: (ため息)貴方がマチアス博士とインタビューを行うことに合意するという契約を結んだことは知っています。しかし、残念ながらうまく機能していないようですね。質問に答えてください、SCP-4837。
SCP-4837: そのような裏切りをするマチアスには呪いがかけられることになろう。仕方あるまい、私はコレクションを持っておる。どれも素晴らしいコレクションだよ。
ハインツ博士: 感謝します。それで、コレクションはどこに?
SCP-4837: そなたに見せるつもりなどない。私はそなたには財産を決して渡さんぞ、蛆虫め!
ハインツ博士: 見たい訳ではなく、ただ私はー
SCP-4837: 見るでないぞ!よいか⁈わかったな!
ハインツ博士: ええ、ええ、わかりました。コレクションの場所が教えられないなら、なぜコレクションを集めるのか教えてください。
SCP-4837: 何年も前、私は大きな関心を持った。鋭い剣、棍棒に冒険、そして力!だが悲しきかな、時代は変わった。もはや王の時代でもなければ、我が財の価値も長くはあるまい。ならば、全てのものは必ず移り変わるものであり、私は時代に遅れぬようにせねばならぬ。
ハインツ博士: 自分の持ち物を全て配りたいのであれば、全てのものを何処かに置いておくのはどうでしょうか?
SCP-4837: そなたは古代の束縛を知らぬのか?とても簡単なことだ。全ての学者は私のような者が古代の法に縛られていることを知っている。そのようなことをしていては、財を他人に預けることが出来ぬ。いいや、取引だけで十分だ。
ハインツ博士: おいくつですか?
SCP-4837: そなたの理解できるよりも長く生きているよ、愚か者が。
[SCP-4837はハインツ博士から離れる]
ハインツ博士: お待ちを。まだ終わっていません。
SCP-4837: もう質問に答える気は無い。放っておいてくれ。
ハインツ博士: その、もう少し質問に答えていただけるなら…
[ハインツ博士はコートのポケットからワイヤレスイヤホンを取り出す。]
SCP-4837: …そなたは取引を望むか?
ハインツ博士: Bluetoothイヤホンで会話の延長を。
SCP-4837: 1つ質問をすることを許そう。
ハインツ博士: 4つです。
SCP-4837: そなたの貪欲さは私のものに匹敵するようだ。そうだな…2つ質問をすることを許そう。
ハインツ博士: 取引成立です。
[ハインツ博士はイヤホンを地面に置く。SCP-4837はそれを嘴で拾い上げ、首に巻く。]
ハインツ博士: ご満足ですか、SCP-4837?
SCP-4837: 今のところは。そなたは2つ質問をすることができる。
ハインツ博士: 素晴らしいです。では、自分の年齢がわからないのでしたら、持つものについて話しましょう。この時期の物を集めた理由はありますか?
SCP-4837: それは冒険の時代だった!騎士も放浪者も同じように、我が計り知れぬ財を探し求め、我は彼らを皆打ちのめした!彼らの死の後、彼らの腕が我が戦利品として供される!悲しきかな、これらの戦利品はもはや私に喜びをもたらさない。恥ずかしいことだ、全く。多くの従者は死に、私は今それに退屈している。
ハインツ博士: 失礼ながら、剣を持った男がカモに負けるとは思えないのですが。
SCP-4837: おや、そなたの力を試したいのか?そなたは彼らが「カモ」よりも力があると信じているのか?
ハインツ博士: …いえ、特に。
SCP-4837: はは!そなたの愚かさに気づいたか。結局、そなたは真に学者なのかもしれないな。
ハインツ博士: さらに重要なことですが、なぜ自分の持っているものに飽きるのですか?これらの物品のいくつかは、かなりの額であると見積もられています。
SCP-4837: 私のコレクションは立派だが、その機能は衰えている。私のような人ははるかに印象的な宝を持つ。私はそれに打ち勝とうと努力する。多くの者はGoogle Pixelを見て涙を流すだろう!
ハインツ博士: カモのことですか?
[SCP-4837は暫く沈黙する]
SCP-4837: この警告を心に留めよ、学者。そなたが私を「カモ」と呼べるのも長くはないだろう。一度このような羽の生えた姿から自由になれば、一度そなたら学者が私を閉じ込めた牢獄から自由になれば、そなたもあの忌々しき魔術師も私の真の力を知るだろう。