SCP-4846
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アイテム番号: SCP-4846

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-4846実体達は環境制御式コンテナ内に整理され、標準的な密閉容器内に纏めて保管されます。各実体は、古生物学の実地調査経験を有する1名の研究員によって専門的にメンテナンスされなければなりません。SCP-4846への接触許可は、レベル2以上のセキュリティクリアランスを有する職員により却下される場合があります。SCP-4846実体が指定された職員に対し好反応を示した場合は、継続的な接触が承認されます。

新規のSCP-4846実体の収集を監督する調査チームの稟議により、所定の資金が確保されます。任意のSCP-4846関連復元プロジェクトの遂行のため、当該資金は財団の財務指針に従って予算計上されなければなりません。SCP-4846の出現に相応しい土地の管理人ないし経営者を募集・任命する際、SCP-4846研究チームは財団の定年退職者のうち遠隔地での定住に同意できる者の名簿を管理した上で、必要に応じて該当者と連絡を取らなければなりません。

生態系の保護活動等、注目度の高い慈善事業への寄付運動は入念に監視されます。未収容のSCP-4846実体の所有者と思わしき人物は特定され、念のため調査が実施されなければなりません。

説明: SCP-4846は異常な化石コレクション(下記ログ抄録を参照)に与えられた呼称であり、各実体が固有の自律運動能力と意思疎通能力を有しています。面識のない人物と遭遇した際、SCP-4846実体は概して静止状態を保ち、非異常物であるかのように振る舞います。石中に包蔵されたSCP-4846実体は、石から出ることが可能であり、口頭で促されると石中に戻ります。

SCP-4846実体達は概して考古学的ないし歴史的に重要な史跡にて、またはその付近にて発見されており、かつその発見は当該史跡の所在地あるいは当該地域内の団体に従事する人物に対して慈善事業が行なわれた後になされます。注目すべきことに、財団により目撃されたSCP-4846実体の出現の殆どが国立公園内で発生しています。出現時、SCP-4846実体には乱雑に走り書きされた手書きのメモが添えられます。下記に見られるように、当該メモは一貫して内輪向けの形式を取ります。

化石フレンドNo.4をよく見つけたね!

このジム君は、友達と一緒にいるのが大好きなのさ!それに、█████████ ████'█も大好き!相棒と一緒に一杯やりながら寛げる素敵なところなんだよ。私だってその場所を知っていれば、イカした日々に戻るのを毎週の習慣にしてただろうになぁ。

キミの過去への探検の旅に、幸運あれ!次のフレンドは[座標が指定され、メモ毎に異なる]で見つかるかもよ!

SCP-4846は、█████博物館から大量の貯蔵済み化石標本が消失したとの報告がなされたことで初めて財団の注意を惹きました。盗難事件調査の名目で派遣された財団フィールドエージェントは、当該化石が、自らの私有コレクションを当該博物館に破格の安価で提供したエリヤ・███氏(暫定的にPoI-4846に指定)の便宜により所蔵されたものだという情報を取得しました。件の盗難疑惑は、███氏が化石の配置に関して博物館学芸員達に反対した後に発生したとの弁明がありました。特記すべきことに、化石の消失はそれらが収められていた展示用ガラスケースの内側で突如発生したようです。

財団職員は博物館の調査に派遣され、付近の考古学発掘現場へと点々と続く岩屑の跡を発見しました。当時、当該発掘場は取り壊しと都市開発が進行中でした。追加調査のため財団が現場を確保してからおよそ24時間後、それに伴い取り壊し作業が中断したため、記録上初めてSCP-4846実体が出現し、収容されました。

以降数年間、PoI-4846にとって個人的な意義を持つとされる様々な場所において多数のSCP-4846実体が新たに財団職員によって発見されました。記録されている特に注意すべき実体の部分的抄録は以下の通りです。

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█████博物館に寄付された当初の、不活性標本状態のSCP-4846-4実体。

実体番号: 4 “ジム”

発見場所: ミズーリ州セントルイス市█████████ ████'█。(上述の)手書きメモは、PoI-4846がかつて親友と毎週のように当該バーに入店していたことを示す。

実体の概要: タニストロフェウス(極めて長い首を持つ大型の陸生爬虫類)のミニチュア骨格標本。実体は体長およそ2メートルで、良く見知った人物が3名以上いる集団が実体の付近に座っている時に独立して運動する能力を有する。当該骨格標本は周囲の鼓吹に応じ、各種の酒用容器を背中に積んでバランスを取る、自身に贈られた品々でタワーを作る、テーブルの上に載せられると初歩的なタップダンスを踊るといった、単純な宴会芸を披露する。

付記: 実体は財団エージェント達が業務時間外に議論を交わしている最中、壁から出現し、当該エージェントならびに件のバーの経営者に近づいた。経営者はかねてよりバーの存続について懸念の意を顕にしていたが、財団職員がバーの営業を継続させるために当該経営者に対し多額の匿名による寄付を行なうとともに、現地での演奏意欲を持つライブ演奏家の連絡先リストを提供した。

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不活性標本状態のSCP-4846-6実体。█████博物館にて。

実体番号: 6 “シェリー”

発見場所: カリフォルニア州チャネル諸島国立公園。手書きのメモは、PoI-4846が当地で彼の伴侶とハネムーンを過ごしたことを示す。

実体の概要: 部分的に石中に包摂されたイクチオサウルス(有鰭の大型海棲爬虫類)の骨格標本。実体は自らの体躯を変化させ、体長4メートルまで大型化することも、ポケットに収まる程小さく縮小することも可能。実体は自走式の筏の様な機能を有し、2名の大人を載せて浅い水上をゆっくりと航行することが可能。

付記: 実体は、財団主導による国立公園内海岸線のゴミ・ガラクタ月例清掃運動の始動後に回収された。職員は最初の遭遇において当該骨格標本が上げ潮と共に浮上し、付近の別の清掃員の方へ浮動していったと述べている。

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不活性標本状態のSCP-4846-8実体。█████博物館にて。

実体番号: 8 “レイ”

発見場所: フロリダ州エバーグレーズの山村のキャンプ場。メモは、PoI-4846が当地で友人と年に1度キャンプ旅行に来ていたことを示す。

実体の概要: 全長1メートルのミクロラプトル(4枚の翼を持つ小型の羽毛恐竜)の化石。日没後に露出状態にあると、実体は口を開けて金色の微光を放つと同時に、「心地よい」「ほっとする」と表現される熱を発し、気温を上昇させる。

付記: 実体は当該キャンプ場近辺における野生動物保護運動を援助していた財団スタッフの付近に自然発生的に出現した。アメリカンクロコダイルの保護区域に駐留していた職員は、当該実体がテーブル上に置かれたランタンの明かりから「飛び出してきた」ように見えたと報告した。実体はその後進んで職員の後に続き、近隣の財団サイトへの移送用に確保されていたキャンプ場に戻った。

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不活性標本状態のSCP-4846-9実体。█████博物館にて。

実体番号: 9 “アレックス”

発見場所: ワイオミング州イエローストーン国立公園内のグラント・ヴィレッジ・レストラン。メモは、PoI-4846が当地で夫人にプロポーズしたことを示す。

実体の概要: ロンギスクアマ(独特の外皮構造を背部一面に有する爬虫類)の化石。背部の大きな構造体は振動して口笛の様な音色を発する。特筆すべきは、この習性は付近に少なくとも共々に歌を歌える程度に親密な関係にある人物が2名存在する時にしか観察されない点である。デュエットが情熱的な声色で歌われると、実体はより複雑な和音で伴奏を行なう。

付記: 当該実体の出現には、観測された中で最も時間を要した。SCP-4846プロジェクトに割り当てられた財団職員は、イエローストーン国立公園に対する寄付の直送、清掃運動への援助、繁忙期の交通整理の補助といった、一連の方策を立案した。最終的に公園によるペットボトルリサイクル運動が始まり、財団職員が廃棄されたペットボトルや瓶から製造される家具のデザインに寄与したことで、実体はリサイクル回収容器の付近に出没するようになった。数か月後、実体はリサイクル素材のベンチの上に座っている様子で出現した。これは、財団がグラント・ヴィレッジ・レストランに年代物のピアノをPoI-4846の夫人の名義で寄贈した直後のことだった。当該ピアノにはPoI-4846と夫人の名、及びSCP-4846実体番号6に添えられていたメモの記載通りの記念日を銘じた真鍮の小さな飾り板が添えられた。

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不活性標本状態のSCP-4846-10実体。█████博物館にて展示中。

実体番号: 10 “バディ”

発見場所: サウスカロライナ州コンガリー国立公園。「全ての始まりの地」との記載があり、PoI-4846がかつてのルームメイトと初めてのバックパック旅行で当地を訪れたことを示す。特筆すべきことに、当実体に添えられる文章は通常の座標を示さず、代わりに「今はただそれだけ。」とのみ記載されている。

実体の概要: ノトロニクス(嘴と4本趾の足を持つ草食恐竜)の骨格標本。実体はサバイバル補助に関連した振る舞いを示し、食用植物を仲間の元へ持って来たり、付近の攻撃的な野生動物の気配に対し注意を向けたりする他、道案内が必要な場合であれば、清潔な水や人間の集落やキャンプ設営に相応しい場所までのガイドの役割を果たす。

付記: 財団による追加措置の必要が無かった最初の実体。財団エージェントがコンガリー国立公園に到着した際、実体は彼等の到着を待っていたかのように、メインの道路案内掲示板の上に止まっていた。

████年██月██日、SCP-4846実体の担当候補者となる財団の定年退職者、ならびに当該アノマリー達の収容維持と観察により適した土地をリストアップした名簿の作成を開始する提案がなされました。当該提案はその翌週に承認され、予備試験対象としてプロジェクトチームのマクナマラ研究員がSCP-4846実体の初代指定管理者となりました。

程なくして、マクナマラ研究員に割り当てられたSCP-4846実体(SCP-4846-10実体“バディ”)が一切れの紙片を咥えて彼の元に運んできたとの報告がなされました。回収された当該紙片はエリヤ・███氏の遺言書及び遺書の一部であり、相当量の外貨コレクションの相続人としてマクナマラ研究員を指名するものでした。当該コレクションは███氏が旅先で収集したものと推定され、近隣の銀行の貸金庫に保管されていました。

マクナマラ研究員は当該コレクションの債権を問題なく主張しました。当該貨幣は非異常性のものであると実証され、現在は管理者の割り当て予定であるSCP-4846実体と共に保管されています。マクナマラ研究員の保護下にあるSCP-4846実体は、相続された当該コインコレクションに興味を示しており、かつて見られたのであろう状態を模倣するかのように、しばしばコインを1枚1枚取り上げてコインタワーを積み上げていると報告されています。

エリヤ・███氏による当該遺言書の断片は非異常性であることが判明しており、紙の裏面にウィンクの表情の「スマイル」の小さなアイコンがボールペンで描かれている点以外に変わった特徴はありませんでした。

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