アイテム番号: SCP-4863
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 財団諜報員は世界各国の宇宙機関内部で、水星より内側の太陽周回軌道における有人ミッションの立案を阻止するための活動を行います。
説明: SCP-4863は太陽の半径0.31 AU1圏内に位置する人間が体感する知覚現象です。使用されている技術の性質が超常的か否かを問わず、あらゆる記録装置はこれを観測できていません。曝露者はSCP-4863を「第二の太陽」であると形容し、太陽系から不明な距離だけ離れた太陽周回軌道を24 時間で1周する速度で周回していると説明します。アノマリーは空中において、地球の表面から太陽を視認した際のものと同等の広さのスペースを占めています。
上記の観測上の問題に反し、曝露者は付近にある機材がアノマリーに関するデータを記録しているように知覚します。この認識によれば、SCP-4863はA型(白色)主系列星のスペクトルを有し、標準的な太陽放射に匹敵する光度を有しているとされています。距離に関する詳細は「私たちよりも遠くにある」と形容されるのみです。その他の情報の確認については、データが「明るすぎて見えない」と曝露者が主張することから不可能です。
半径0.31 AU圏内を離れると、全ての知覚現象は終結します。
補遺 I:
2024/12/06、太陽系外活動部門は直近にラング歪曲ドライブ2を取り付けられた宇宙船を利用した実験を行いました。この宇宙船、半自律探査船メシエ-002はSCP-4863の視認に必要な範囲内に配備され、アノマリーの方向を指す角度を向きました。船は超光速に加速し、太陽系を脱出しました。
ドライブは2時間の超光速航海の後に無効化されました。メシエ-002の船員は自身らが巨大な天体(以下SCP-4863-Aに指定)を周回する軌道についていることを報告しました。
SCP-4863-Aは半径1,436 R☉3のA型白色超巨星です。オブジェクトを周回する軌道からの視点では、太陽系は14.5 ly4だけ離れた位置で恒星を公転する軌道を描いており、自転軸の周りを24 時間で1周自転している様子が確認できます。公転1周に要する時間は数百万年単位であると推定されています。オブジェクトに影響を与える既知の知覚現象は存在しません。
どのようにしてSCP-4863が存在しているのかは明らかになっていません。SCP-4863-Aは知られている中で最大の恒星の1つであり、現在までに発見されているあらゆるA型主系列星と比較しても極めて大型です。SCP-4863-Aが自然的あるいは半自然的な過程を辿って成長したものと仮定した上で、構造がこのような天体に適さないにもかかわらずSCP-4863-Aが安定状態を維持できている原因は恒星進化論におけるどのような先進的モデルによっても解明されていません。SCP-4863-Aが太陽系との繋がりを維持している時空間的メカニズムも同様に不明瞭です。
SCP-4863-A周辺の空間に対する入念な天文学的研究を通して、同アノマリーは観測可能な宇宙5の範囲外にあると考えられています。恒星、銀河、およびより大きな宇宙構造の密度はかなり低い上にこれらは広範囲に拡散しており、超銀河団や超空洞(ボイド)はほぼ形成されていません。異常粒子(タキオン、Ψ波等)の放出量の測定値も同様に小さい数値となっています。さらなる研究が行えるようになるまでは、SCP-4863-Aが宇宙のこの領域で最大の唯一の天体であると推定されています。
太陽系を除いて、この恒星を周回する軌道にある他の天体は存在しません。
補遺 II:
SCP-4863-Aの表面挙動の研究を6光年離れた位置から行っていた研究者らが、異常現象が急速に出現した旨を知らせる警告を部門の前哨基地に対して発信しました。現象の性質は視覚的なものであり、恒星から目を背けると観測され、また非常に高い光度を有しているという報告がなされました。測定の結果、これはB型(青白色)主系列星であると判定されました。
さらなる証言では、この現象は「第三の太陽」と形容されました。