SCP-4866
rating: +6+x
アイテム番号: 4866
レベル2
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
danger


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アメリカ外科学会の症例検討会議でステージに上がり、ヒトの生物学的脆弱性に関する無許可のプレゼンテーションを試みている逮捕、拘留前のSCP-4866個体。

特別収容プロトコル: アメリカ合衆国内の法執行機関の監視を任務とする財団情報資産は、合衆国西部で注目を集めている殺人事件、とりわけ容疑者の外見がSCP-4866の一般的な容姿と一致する事件の報告について厳重な警戒態勢を維持します。民間組織に拘留されて非活性化した全てのSCP-4866個体は押収し、事件捜査は偽情報イニシアチブ4866-HANNIBALに則った記憶処理とメディア改竄の組み合わせで打ち切らせます。

財団金融観測ネットワークMIDASは、如何なる形態のレジストリやデータベース上においても、“オプティマーク工業(株)”へのあらゆる言及を即時調査のためフラグ付けするように指示されています。

説明: SCP-4866は、一般の消費者が販売/購入する商業製品として明示的に宣伝されている、殺人能力を帯びた人造ヒト型構造物群の総称です。

SCP-4866個体の肉体的外見は様々ですが、常にサングラスとビジネススーツを着用した太り気味の人間として出現します。今日まで、SCP-4866出現事象はデンバー、ラスベガス、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど、アメリカ合衆国西部の人口密度が高い大都市圏でしか発生していません。SCP-4866の具体的な起源はまだ不明ですが、行動パターンは概して予測可能です。

SCP-4866個体はまず、その存在を悟られたり、その他の手段による妨害を受けることなく人口密集地に到着します。不明な場所で2~14日間の休眠期間を過ごした後、SCP-4866は1ヶ月あたり1~2人の割合で民間人を殺害し始めます。当初、SCP-4866はこれらの殺人を巧妙に実行し、法執行機関が最終的な捜査に利用できる証拠の量を最小限に抑えることを目的として策定された戦略や技術を行使します。

SCP-4866の手口は極度に激しい暴力を伴う傾向があります。被害者は通常、SCP-4866が肉体のみで頭部または胴体に加えた圧倒的な鈍力外傷で終了され、武器やその他の器具が使用された事例はごく少数です。最初の4~5人の被害者は比較的辺鄙な地域で殺害されますが、SCP-4866は次第により多くの人がいる所で標的を選択し始め、最終的には被害者の切断死体を動かして公の場に晒そうと試みます。SCP-4866の戦術は法執行機関に逮捕されるまで大胆にエスカレートし続け、時には人通りの多い地域で白昼堂々と殺人を開始するに至ります。この結果、SCP-4866の殺人行為は複数回にわたって監視カメラに記録されています。以下の転写はその注目すべき一例です。

日付: 2017年11月27日、12:14 AM
映像元: シアトルのガソリンスタンドに隣接したコンビニエンスストアの監視カメラ映像。施設の裏路地を映している。


(フード付きスウェットシャツを着た若い男性1がガソリンスタンドの壁に寄りかかってタバコを吸っている。SCP-4866が角を回り込んで現れ、バーンズから 約40m離れたゴミ収集箱の隣に立つ。SCP-4866は肥満した男性の外見をしており、スラックス、ワイシャツ、ネクタイ、サングラスを着用している。バーンズは数分間、携帯電話から顔を上げようとせず、SCP-4866の存在に気付かない — この間、SCP-4866は身動きせずに笑顔で立ち尽くしており、当時の気温が13°Cにも拘らず大量の汗をかいている。バーンズは傍に立っているSCP-4866を見てたじろぎ、一瞬跳び上がりそうになる。)

バーンズ: ジーザス・クライスト、何だお前、超ビビったじゃねぇか。

(SCP-4866はサングラスを外し、その下に一回り小さな第二のサングラスがあるのを明らかにする。SCP-4866は外したサングラスを2つにへし折り、肩越しに破片を投げ捨ててからバーンズを指差す。)

SCP-4866: よう、そこの兄ちゃん。アンタの見た目からは、自分が眺めてる品の価値が分かるタイプの奴って感じがする。アンタは眼識ある生物特有の靱帯を持ってる。路地裏で自ら厄介事を探し求めるクールな猫ちゃんってわけだ。カッケェぜ。実はな、俺は今からアンタの侵害受容器を一つ残らず、何がそいつらを切り捌いたかも分からなくなるほどにどちゃクソ感動させるもんを披露しようと思うんだ。

バーンズ: …あー、遠慮しとく、特に今んところ買いたい物とか無い。

SCP-4866: (笑い) そうかい。いいだろう、勝手にしな。ヒトは誰でも自然にそういう感じに振る舞っていられるって雰囲気を出してやがる。いや、まぁいい。俺はアンタが気に入ったよ、ランディ。アンタは思索家だ。穀物に歯向かうパンみたいなもんだ。俺はそういうのを尊重できる。

(バーンズは壁から体を離し、路地の中心に立つ。)

バーンズ: いったい何の話がしたいんだ? 特に中身の無い話なら、下がれ。俺はくだらない雑音なんか興味ない。

(SCP-4866は指を弾く。)

SCP-4866: アンタが何に興味を持つかは知ってるとも、妥協を知らないカッコ良さが完璧に渦巻いてる兄ちゃん。デモンストレーションなんかどうだ? アンタは納得しないだろうが、俺もアンタと同じように、神経伝達物質は放っといても自然に変性しないって分かってるんだ。俺の絢爛豪華な男らしさを目の当たりにする準備しな。

(SCP-4866はズボンのポケットから財布を取り出して開き、片刃の鋸型狩猟ナイフを引き出す。取り出されたナイフは財布の全長よりも5インチほど長い。SCP-4866は財布を見もせずに投げ捨てる。財布は街灯に当たって跳ね返り、近くのゴミ収集箱の中に落ちる。ナイフを見たバーンズはスウェットシャツのポケットに片手を入れ、恐らくは自身の武器を握ろうとしている。)

バーンズ: 馬鹿な真似は止せ、キチガイ。俺は何も買わないって言った、テメェの言いなりになる気は無い。本気で喧嘩を売ろうってのか? そんな間違いを犯す覚悟があんのかよ?

(SCP-4866はナイフを掲げ、自らの口を開き、刃の部分に噛み付いて約3インチの金属をむしり取る。SCP-4866は金属片を短時間噛んだ後、歩道に吐き出す。金属片は銃器のそれとさほど変わらない発射音を伴い、アスファルトから火花を散らすのに十分な速度でSCP-4866の口中から飛び出す。)

SCP-4866: 今のはキャンディじゃねぇよ、アンタ。これまで他人の喉頭蓋を見つめながらそいつを殺したことはあるかい、ビリー? アンタは二度と同じように喉の内側を見られなくなる。間違いない。

(SCP-4866はナイフの残りを自らの足元に垂直に投げ捨て、刃先が歩道に数インチめり込む。バーンズはスウェットシャツから拳銃を抜き、目を見開いて一歩後ろに下がる。)

バーンズ: …お、お前、何だ?

(SCP-4866は腰に手を当てて短く笑う。)

SCP-4866: 俺は完璧な生体電気工学の吐き気がするような奇跡だ、ジム。この世に生を受けた最高のケダモノだ。アメリカの観客たちの色んな腺を至る所で緩めるためにやってきたセクシーで悍ましい畜生だ。その通り! 俺は…

(SCP-4866は振り向き、監視カメラのレンズを直視する。)

SCP-4866: ヒトゴロシ™2、オプティマーク合成人材ソリューションズ3の聡明な奴らが作った破格の新製品! 自分なりの殺り方が平凡に感じるか? 殺戮にちょっとしたスペクタクルを添えたいか? 殺しの格を少し上げたいか? 仕事に相応しい奴が見つからないか? さぁ、紳士淑女の皆々さん、もうこれ以上探すこたぁない。ヒトゴロシ™製造ラインの最新型には、アンタの次回の残虐な連続処刑を飛びっきり特別にすること保証付きの臓器、化学物質、オペラント条件付けがぎっしり詰まってるぜ。

(バーンズは背を向けて路地から走り出ようとする。SCP-4866はカメラからバーンズに目線を移し、膝を曲げて飛び上がり、1回のジャンプで18mの差を詰めてバーンズの背後に着地する。パニックを起こしたバーンズは、地面に倒れながら銃器を発砲する。SCP-4866は片手をバーンズの肩甲骨の間に置き、膝で脚を押さえ付けてバーンズを確保する。バーンズは助けを求めて叫び始める。SCP-4866は空いた片手をバーンズの後頭部に当てる。)

SCP-4866: (叫びながら) もうアンタの眼球の内側の味がしてくるぜ、グレッグ! 美味しい家庭料理のお時間ですよってなぁ! ヒイィィィィィィハァー!

(SCP-4866の頭部が180度回転して再びカメラに向き合い、微笑み、バーンズの金切声を凌ぐ大声で話し続ける。)

SCP-4866: 見ての通り、ヒトゴロシ™には思わず頭がクルクル回っちまいそうなほど沢山の手段で生物学的プロセスを終了する技術が完璧に備わってんだよ! バカ高い特殊効果やこういう汚ぇ裏路地での闇取引とはもうおさらばだ! オプティマーク合成人材ソリューションズ4に1本電話すりゃ、アンタの次の映画、テレビ番組、メディアイベントはビックリ過ぎて顎が落ちるどころの騒ぎじゃねぇぞ! 視聴者はそう簡単に忘れられねぇショーに釘付けさ!

(SCP-4866は片手でバーンズの頭蓋を圧迫し、破裂させる。バーンズは一切の動きと発声を停止する。SCP-4866は立ち上がり、バーンズの死体の襟首を掴んで地面から持ち上げ、それを片腕でカメラの中央フレームに掲げながら話し続ける。)

SCP-4866: これぞ精神破壊ってやつだよな? ヒトゴロシ™は効率的でセンセーショナルなだけじゃなく、費用対効果も高い! 高価な兵器や殺人用器具はもう必要ねぇ — 俺の手はまさしく戦争犯罪に匹敵する! オプティマークで番組の制作コストを最小化、最適化だ!

(中央カメラに歩み寄ったSCP-4866はバーンズの死体を頭上に持ち上げ、脊椎を二つ折りにして身体を裂き、血液と内臓にまみれる。しかしながら、未知の理由により、サングラスには全く汚れが付着していない。SCP-4866はバーンズの下半身を落とし、会釈して微笑む。)

SCP-4866: どうして自分の手を汚すんだ? 999.99ドルのたった9回払いで、アンタのためにオプティマークが人命破壊の面倒事を一切引き受けて、しかもその間にアンタをスタイリッシュに見せてくれるぜ! 視聴者を驚かせて、ガッポリ儲けて、すぐにでもヒトゴロシ™を買おう! オプティマークで最適オプティマルになろう!

(SCP-4866は背を向け、バーンズの死体の上半身を推定時速400kmで路地の壁に投げ付ける。バーンズの死体は即座に破壊され、内臓と骨片を全方位に撒き散らす。SCP-4866はその後、徐々に高さを増す3回転後方宙返りを繰り返しながら路地を退出する。)

SCP-4866個体はこれまで法執行機関にも捕縛されていますが、いずれの事例でも最低5件の殺人事件が発生するまでは逮捕できていません。SCP-4866の活動が捜査網に掛かるほど露骨になるまでには、平均して9人が殺害されます。SCP-4866個体は法執行機関や財団資産に逮捕されると間もなく“非活性化”し、活動停止とともに異常性の大半を喪失するため、確立された法制度や刑事司法制度でSCP-4866を裁く試みは例外無く失敗しています。新しいSCP-4866個体は、直近の個体が活動を停止した約1~3ヶ月後に出現します。

現在までに財団が収集した11体の非活性SCP-4866個体の検死解剖と医学的分析によって、SCP-4866の性質と機能について重要な知見が得られたものの、その肉体的構成や特性に関する幾つかの側面は未だに解明されていません。

SCP-4866個体には指紋、法的身分、従来の生化学で認識できる形態の遺伝物質がありません。SCP-4866の内部および外部構造の大半は完全に合成素材です — 皮膚、毛髪、“骨”は全て、高い強度、靭性、耐久性を保持しつつも軽量かつ柔軟な未知のプラスチック金属化合物で作られています。SCP-4866の“神経”は異常性の無い絶縁銅線と光ファイバーで構成されています。筋肉や内臓の代わりに、SCP-4866は電気刺激に反応して収縮/拡張する半有機的導電性ゲル状ポリマーを有します。この未知の物質の化学的・機械的機能は一般的なヒトの筋組織とそれほど変わりませんが、短距離で遥かに強い力を発揮できます。

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検診時に撮影されたSCP-4866の“タトゥー”。

この合成生体の“脳”の役割を果たすコンピュータは、高性能な反面、機能するうえで異常性を拠り所としていないようです。財団の技術者たちは現在、SCP-4866のプログラムされた挙動への理解を深めるために、またその先進的な計算ハード/ソフトウェアを財団独自に運用することを目標として、当該構造のリバースエンジニアリングを試みています5

現在まで回収された全てのSCP-4866個体には、左ふくらはぎの後ろ側に“タトゥー”があります。このロゴはSCP-4866の内部ソフトウェアに含まれる複数のデータファイルにも表示されています。初期調査の結果、“オプティマーク工業(株)”という名称で運営している企業が幾つかの金融レジストリに存在すると判明しましたが、これらのレジストリは財団データマイニングBotからアクセスされる度に難読化/暗号処理を自らに施しているらしく、オプティマーク工業の具体的性質、動機、法律上の実在性に関する決定的データの入手を困難にしています。調査は現在も進行中です。

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