SCP-4892
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アイテム番号: SCP-4892

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-4892はサイト-██の安全保管チャンバーに収容され、警備員2名の監視下に常時置かれます。SCP-4892に携わる人物は全員、任務開始前に精神抵抗セラピーを受け、精神への悪影響が発生しないようにしてください。

GoI-1999 ("腐れし神の教団") とその構成員の追跡は、財団の諜報機関が担当します。

説明: SCP-4892は腐敗が進んだ牛の死骸であり、極めて長距離にわたって重大な精神影響を及ぼす能力を持った無形の異次元実体を宿しています。

SCP-4892の精神影響の潜在的範囲は現状不明ですが、最低でも地球全体を包み込むほどはあると考えられています。精神へのSCP-4892の干渉は非常に鮮明かつ不穏な夢として現れ、被影響者はこの夢を長期間 (判明している限りでは1週間から6か月) にわたって経験します。

不穏な夢であるにもかかわらず、SCP-4892の精神影響を受けた人物は必ず、この実体を慈悲深い者と見なすようになり、往々にして現在の物理的な宿主を破壊してこの異次元実体を解放しなければならないと考えるようになります。被影響者は、この解放によって前述の異次元実体が物質界をより理想的な状態に再創造すると信じ込みます。一方で財団分析者の見解では、この解放はXK-クラス 世界終焉シナリオの切っ掛けになり得るとされています。

SCP-4892の影響下に入った人物の大多数は "腐れし神の教団" という名の宗教団体を組織しており、自身の信仰する神を探し出すために財団を始めとする異常団体への攻撃を頻繁に仕掛けています。


補遺4892-1 (回収された音声ログ):

以下の音声ログは、ニューヨークの放棄された "腐れし神の教団" 徴募所から2020/03/17に回収されました。このログはGoI-1999の指導者であるカーソン・マッケンジーと、地元のオカルト愛好家であるダニエル・ブーンと特定された新メンバーとの会話から成ります。

<ログ開始>

カーソン・マッケンジー: うむ。重ねて礼を申し上げるよ、ダニー君。今日はよく私に会いに来てくれた。我が組織の評判を考えれば、相当勇気のいることだったろう。

ダニエル・ブーン: えー、はい、ありがとうございます、サー。私はただ —

カーソン・マッケンジー: おいおい、神経質になる必要は無いよ。 (笑い) 私も君の同志なんだ。怖がらなくていい。私のことはカーソンと呼んでくれ。それか少しでも気が楽になるなら、マッケンジーさんとでも。

(沈黙。)

ダニエル・ブーン: はい。ありがとうございます、マッケンジーさん。

カーソン・マッケンジー: ほらね。そんなに悪い気分じゃなかったろう? 今日君がここにいる理由を当ててみようか、ダニー君。 (含み笑い) 夢を見たからだね?

ダニエル・ブーン: ええ、はい、その通りです。その夢を私の陰謀論仲間に話したところ、その仲間があなた様を紹介しました。その夢を、確か2週間前から毎晩見るのです。とても悪い夢を。

(沈黙。)

カーソン・マッケンジー: ああ、そうだね、分かるよ…… 快適なベッドで目を閉じ、目を開けたら屠殺場にいる。そうだろう?

(沈黙。)

カーソン・マッケンジー: ダニー君、君はその屠殺場を覚えているね?

ダニエル・ブーン: え…… ええ、その通りです。

カーソン・マッケンジー: どういう見た目だったか覚えているか?

(沈黙。)

カーソン・マッケンジー: 説明してほしい。

ダニエル・ブーン: えっと、あそこは — あそこはひどい所です。壁一面にあらゆる動物の血と臓物が張り付いている。

カーソン・マッケンジー: 人間のものも。

ダニエル・ブーン: ええ、人間のものも。本当に…… ひたすらにおぞましい。

カーソン・マッケンジー: そしてそこには牛もいる。

ダニエル・ブーン: えっ…… 牛ですか?

カーソン・マッケンジー: 畜殺場の中央に1頭。しばらくの間腐敗が進み、頭蓋骨が完全に曝け出されている。覚えているね?

(沈黙。)

ダニエル・ブーン: ……当たり前でしょう。あんなもの忘れられるわけがない。ただただ酷い。

カーソン・マッケンジー: うむ、初めて見た時は皆そう思うさ。でもその後はよく見えるようになる。そして、それは実際には自分を見守っているのだと分かるんだ。こういう言葉があるだろう、ほら — "慈悲深い" ってやつさ。例えるなら大きくてフワフワしたコートを着せられているような感じだ。

ダニエル・ブーン: (笑い) ええ。気持ちいいと感じました。

カーソン・マッケンジー: 私もそれが自分の身に起こった時に全く同じことを感じたよ、ダニー君。我が組織の者も皆そうだ。君はこう感じただろう。もしあの腐った古い死体に囚われていなければ、この牛は世界をもっとより良くできる、と。違うかい?

ダニエル・ブーン: おっしゃる通りです。見た瞬間にそう思いました。

カーソン・マッケンジー: だがそれは遠く離れている。閉じ込められているんだ。

(沈黙。)

ダニエル・ブーン: 現実の話で?

カーソン・マッケンジー: もちろん現実の話さ、ダニー君。人の頭脳ではこんなことをでっち上げたりできんよ。

ダニエル・ブーン: あなたは…… それがどこにあるのかご存知なのですか? そこから出してあげないと! 手伝いましょうか、マッケンジーさん? どうでしょう?

(沈黙。)

カーソン・マッケンジー: そうだね…… 我々なら君の活用法を必ず見出せるはずだよ、ダニー君。

<ログ終了>

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