SCP-4894
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1898年頃のカナダ、ユーコン準州でSCP-4894実例を使用し、マイダス鉱業社のために働く3人の鉱員 (マウスホバーで拡大) 。

アイテム番号: 4894

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: マイダス鉱業社 (MMC) が所有していた採掘場は、全て財団のフロント企業に買収されています。財団の管理下にある全てのSCP-4894実例は、これらの採掘場の到達可能な最も深い地点に収容されています。採掘場内部への立ち入りは偽装44G6 “産業危険廃棄物” の下に制限されます。かつての用途の性質上、SCP-4894実例群はその他の観点において自己収容し、無許可のアクセスから自衛していると見做されています。

説明: SCP-4894はマイダス鉱業社が1891年から1917年にかけて独占的に使用していた、総数不明のつるはしです。SCP-4894を把持している人物は、過労による健康への悪影響こそ残るものの、肉体的な苦痛や疲労を感じることができません。各実例には、つるはしの頭部分の側面に“万能工具” (TOOL FOR EVERY USE) という文言が刻印されています。SCP-4894を長時間使用すると、使用者の利き手の甲の皮膚に瘢痕組織が徐々に形成され、同じメッセージが転写されます。

発見から間もないため、SCP-4894の長期使用による副作用の知識は、現時点ではSCP-4894-Aの口頭報告に基づいています。副作用は多岐にわたり、発現までには何年もの累積曝露を必要としますが、一貫して使用者の潜在的な生産性を向上させます。これらの主張を検証するため、SCP-4894-1から-15を使用した実験が進行中です。

SCP-4894-Aはパーシー・アロイシウス・マクドナルドという172歳のカナダ人男性であり、唯一生存が確認されているマイダス鉱業社の元従業員です。SCP-4894を約25年間使用した結果、SCP-4894-Aは睡眠を必要とせず、老化せず、成人期全体のほぼ完全な記憶を保持しています。SCP-4894-Aは、SCP-4894の長期使用に典型的な瘢痕組織の他、左大腿部にも銃創と一致する非異常な瘢痕があります。


補遺 4894.1: 発見時インタビューログ
注記: SCP-4894はカナダのユーコン準州、ホワイトホースの町から北東83km地点で行われた露天掘り作業の際、密閉された立坑の内部で発見された。SCP-4894-1から-300までの実例が坑底に保管されているのを確認した後、財団エージェントが周辺地域の捜索を実施した。熱画像探査により、SCP-4894-Aは63km離れた地点に孤立していた1部屋のみの丸太小屋で発見された。対応エージェントが左手の甲にあるSCP-4894同様の彫りこみに気付いた後、SCP-4894-Aは尋問のために北極圏サイト-87へ連行された。

日付: 2020/01/22

回答者: SCP-4894-A

質問者: イサポインキャニ・イヌクトゥク、財団北極圏調査管理官


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1917年のMMC解散以前に撮影されたSCP-4894-Aの写真。

映像開始

イサ: こんにちは、ダッシュA。何か必要なものはありますか?

SCP-4894-A: あぁ、また飯を出し忘れてるようだぞ。

イサ: 分かっています。

15秒の沈黙。

イサ: あなたは最初のインタビューで必ずしも誠実ではありませんでしたね。

SCP-4894-A: 他人の銃を持ってる奴らと話すのは好かん。

イサ: 他人の皿を持つ人々と話すのがお望みなら、我々の食堂で出すアミガサタケとヘラジカの煮込みはなかなか美味ですよ。

SCP-4894-A: それもいいな。

イサ管理官はインタビュー端末で夕食の申請を送る。

イサ: あなたが初めてSCP-4894を知った、もしくは遭遇した時期について教えていただけますか?

SCP-4894-A: あれを買った会社に勤めてた。

イサ: だとすると、あなたは130歳以上のはずです。

SCP-4894-A: そうだとも。

イサ: 誰があれをマイダス社に与えたか知っていますか?

SCP-4894-A: 俺は取引の現場に居合わせた。鉱員は一人残らず立ち会ったはずだ。

イサ: MMCの全員ですか?

SCP-4894-A: ウチの会社の精鋭チームだけだ、売り手の要望でな。MMCは雇用交換だとぬかした。人間をつるはしと引き換えにしたんだ。

イサ: あなたの会社の幹部は、それを有益な取引だと考えたのですか?

SCP-4894-A: 経営者が直々にトロントから4000km以上離れた土地まで買い付けに来たあたり、それだけの価値はあると考えたんだろう。

イサ: アルフォンス・ペトリー?

SCP-4894-A: そうだ。

イサ管理官のコンソールが点滅し、彼女はそれに応じて、SCP-4894-Aとのアイコンタクトを崩さずにボタンを押す。尋問室のドアが開き、警備員が先程要求された配給食のカートを室内に入れた後、管理官の指示で退室する。

イサ: 誰がつるはしを与えたか、まだ聞いていません。

SCP-4894-A: 分かってる。

イサ管理官は料理が盛られた夕食トレイを、SCP-4894-Aのプレキシガラス製独房の給食口に置く。

イサ: では、あなたはMMCが4894を取得する見返りに、4894の売り手のために働いていたのですね?

SCP-4894-A: そんな事を言った覚えはねぇ。ボスは変化を求めてたんだろう、1日で自分たちの墓穴を掘れるぐらいの鉱員を送り出した。それも真冬にだ、経営者の心からの思いやりってやつさ。だが、つるはしを持ってきた薄気味悪い連中は、俺の目をじっと見つめると、ビッグ・ジョーの隊やアラスカから来た数チームもそうだったが、連れて行くのを断った。アルフォンスにはつるはしを使うのに適任の労働者が要るだろうってな。

イサ: 売り手の容姿を説明していただけますか?

SCP-4894-A: その飯を入れてもらえないか?

イサ管理官は要請に従い、端末のタッチスクリーンのボタンを押す。食事は尋問室の仕切りを通過してSCP-4894-Aの収容エリアに運ばれる。

SCP-4894-A: 大した事は言えねぇよ。こっちを鮭の尾料理みたいにつつき回す野郎の顔を真っ直ぐ見返すのは難しいんでな。何処ぞの工場ファクトリーで働いてるとか言ってた。場違いなくらい厚着してたのを覚えてる、米国人ヤンキーはいつでもそうだ。乗馬用フードに革の服、ウール素材のコート、顔を覆ってた回数なんかいちいち分かりゃしない。それでも視線を向けられると、必ずそれが分かった。

イサ: ありがとう、ダッシュA -

SCP-4894-A: (遮る) パーシーだ。ダッシュAとかいうのは、あの野郎の見た目と同じような話し方だ。

イサ: いいでしょう、パーシー。かなり昔の出来事にしては、随分と良く記憶していますね。

SCP-4894-A: つるはしに書いてある言葉に関しちゃ、奴は嘘を吐かなかった。あれは人を便利なものに変える。

イサ: 採鉱に?

SCP-4894-A: つるはしは単なる採鉱道具じゃねぇのさ。イモを植える畑を耕したり、堆肥をかき回したり、便所穴や墓穴を掘ったりできる。俺なんか、あれで森を駆け回ってたブタを殺したことがある。俺は自慢話をする方じゃないが、たった一振りだ。あれは俺たちを大層便利にした。

イサ: ありがとう、パーシー。協力に感謝します。あなたが今後も協力的ならば、ある程度の自由を認めることもできますよ。恐らく、あなたの住む丸太小屋を収容地点にすることも可能でしょう。50km離れた地域観測所と、皮下の追跡チップだけで、後はあなた一人です。

SCP-4894-A: 地獄に一人っきりで放っといてくれるとは寛大なこった。

イサ: 信じてもらえるかは分かりませんが、概ね財政的な判断によるものです。あなたをここに留めておくとかなりの出費が伴いますのでね。警備員、毎月の全身スキャン、体腔検査… 既に我々が行った事をいちいち列挙する必要は無いでしょう。この申し出については、口先ではなく行動で示すと言えば十分です。何か質問は?

SCP-4894-A: あんたたちがここで無駄遣いしてる金は何処から出てるんだ?

映像終了


補遺 4894.2: マイダス社の四半期報告 - 1891年春

日付: 西暦1898年4月8日

From: アルフォンス・ペトリー、マイダス鉱業社 創業者 兼 CEO

To: マイダス社株主の皆様


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マイダス鉱業社を創業した1880年当時のアルフォンス・ペトリー。

ご挨拶と有益なお知らせを申し上げます。

ユーコン準州及びアラスカ州に27ヶ所の拠点を持つマイダス鉱業社は、1889年までに北部準州における金、鉄、硝石、石炭の最大産出企業となりました。アメリカの新規取引先と提携し、ユーコン準州中央部でゴールドヒル採掘場の操業を開始したのに続いて、当社の収益源は2倍になりました。作業員の能力不足や失敗による求人費用の微増を差し引いても、この春四半期は記録的な利益を達成しております。

ここMMCでは、革新的な設備や従業員など、あらゆる手段を駆使して、皆様の利益を最大限に高めることを追求しています。 この度の公募増資においては、皆様の寛大なご支援を賜り、必要な人材を確保することができましたので、今回MMCの収益の一部を還元させていただきます。トロントのロイヤル・カナディアン・バンクで有効な10,257.25ドルの署名入り小切手を同封いたします。

マイダス社は皆様のご厚意に感謝し、皆様に大いに報いることでしょう。

敬具、
アルフォンス・ペトリー


補遺 4894.3: ゴールドヒル探索ログ パート1/3

日付: 2021/12/24

派遣された機動部隊: ラムダ-16 “16トン”

任務目標: ゴールドヒル採掘場の跡地を探索し、GoI-006 “ザ・ファクトリー” に関する情報を収集する。

特殊必要装備: AWANS1、プラスチック爆薬 20kg、ラムダー16隊員2名にカーボンファイバー製のケーブルで繋がれたSCP-4894-A。

注記: 財団のSCP-4894研究に引き続き協力的であり、ゴールドヒル採掘場の内部を熟知しているため、SCP-4894-Aはラムダ-16の案内役を務めることを許可された。


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操業初期のゴールドヒル採掘場の内部を撮影した写真 (マウスホバーで拡大) 。

映像開始

ラムダ-16が装甲兵員輸送車で到達可能な最寄りの地点に接近し、降車する。SCP-4894-AはL16-CapとL16-Comに繋がれている。

L16-Cap: ウェルナー、目標地点へ偵察に行き、防御線を張ってくれ。60秒の状況確認。

L16-Sct: 了解。

L16-Sctが走って先へ向かい、L16-Comは兵員輸送車の通信アンテナを展開する。

L16-Dem: 今、プラスチック爆薬を温めてる。12月に私たちをこんな場所に派遣するとはね、サイト司令部は何を考えてんのかしら。

L16-Com: ダイ・ハードの観過ぎじゃないか?

L16-Dem: 観たこと無い。少なくとも、今夜はオーロラが綺麗だけどさ。

SCP-4894-A: 昔からだ。鉱山じゃ時々目にする。ジョーの話じゃ、鉄と関係があるらしくてな。鉄と一緒に寝る度胸がある奴らに、大地が授けてくれる贈り物なんだと言ってた。そうやって大学の学位をひけらかしてやがった。

L16-Com: どうして1890年代の大卒がユーコンの鉱山なんかで働くんだ? 学歴より下の仕事だと思わないか? いや、悪く思わないでほしい。

SCP-4894-A: クソを垂れるのが卑しくないなら、クソを扱うのも卑しくないはずだって、ビッグ・ジョーは常々そう言ってたぜ。大した心臓だ、それに頭も切れる。俺たちゃいつもジョーの身体にはデカい部分が3つあるって話してたが、誰もあいつのイチモツを見た奴はいなかったな。あんたたちもここであいつと会えるかもしれんぞ。

L16-Dem: それは - ええと - 詳しく説明してくれない?

SCP-4894-A: トンネル2つ先でダイナマイトが炸裂すると、落盤が起こることがある。あいつはあの時、仲間連れで狭い場所にいた。天井が丸ごと1フィートも落ちたんだが、ビッグ・ジョーは、まぁ、図体がデカかったんでな。

L16-Dem: 発破を掛ける前に鉱員を退避させなかったの?!

SCP-4894-A: 納期が迫ってたのさ。

L16-Cap: お喋りはそこまで。ウェルナー。そっちの様子はどうだ?

L16-Sct: 今、鉱山の入口に目を向けてます。近くに建物が2つ辛うじて残ってますが、崩れて野ざらしの瓦礫も1つあります。野外トイレのようですね。熱画像カメラやNVG2では、5km圏内にはヘラジカMoosesしか確認できません。…複数形はMeeseですか?

L16-Cap: Mooseだ、とにかく了解。これから現地に向かう。建物の内部を覗けるかどうか確認してくれ。

L16とSCP-4894-Aは採掘場に向かって一列縦隊で移動する。6分37秒の沈黙や無関係な会話を省略。L16が到着すると、L16-Sctが最も遠くにある廃屋の割れた窓越しに懐中電灯を向ける。

L16-Sct: マム、ちょっとこいつを見てください。

L16-Capは自身とSCP-4894-Aを繋ぐケーブルを伸ばし、窓際でL16-Sctと合流する。ヘルメット装着カメラには、木製のつるはしの柄が数百本、埃まみれの掲示板を囲むように積み上げられているのが映っている。

L16-Cap: 私はこっちをチェックする。別の建物を捜索してから、AWANSでリシを支援しろ。

L16-Capは建造物のドアを開け、懐中電灯で隅々までチェックしてから入室する。カメラ映像は掲示板へと向かい、L16-Capは瓦礫を払って、残っている最も判読しやすい書類にカメラの焦点を合わせる。3

L16-Cap: ウェルナー、ダッシュAから目を離すな。リシ、ネットワークのオンライン化を優先。司令部はこの話を知りたがるだろう。

L16-Dem: 伝えるべきはそれだけじゃなさそうよ、隊長。崩れてた建物はトイレじゃない。人骨が見える。HUD4の表示によると、頭蓋骨の数は120個を下らないわ。

L16-CapはSCP-4894-Aに歩み寄り、彼女の懐中電灯で集団墓地の方向を照らす。

L16-Cap: あれについて何か言いたいことは?

SCP-4894-A: あいつらは鉱員じゃねぇってのと、俺たちの便所がまだ残ってることぐらいだな。

映像終了


補遺 4894.4: ファクトリー文書 1/2

ゴールドヒル鎮圧作戦 指令概要:

FACTORY
(EST. 1835)

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労働組合工作員 ジョセフ・ティンズワース

労働争議の鎮圧、労働組合工作員の終了、並びに製品T-00119 “万能工具” 製造資産の回収

今回の提携クライアント:
マイダス鉱業社

MIDAS-00002担当職員のために指令書を再印刷

再印刷日時:

1915年2月3日

指令ID:

MIDAS-00001

重要度:

場所:

合弁事業所 ユーコン準州北西部 ゴールドヒルの鉱石採掘場。所在地ID: OA-1135792-NWY

指令実行日:

1914年11月3日

主要なターゲット:
  • ゴールドヒル採掘場のマイダス鉱業社所属労働者
  • カナダ労働組合エージェント ジョセフ・“ビッグ・ジョー”・ティンズワース (Joseph "Big Joe" Tinsworth)
  • ファクトリー製品 T-00119 製造資産
主要なファクトリー勢力:
  • 労働執行小隊、ID: LEP00449122 (提供職員: 82名)
  • ファクトリー兵器廠製品 B-00098 “硫黄噴泉”
  • 北部準州ファクトリー主任職工 アティカス・ヴァン・ホーン (Atticus Van Horn) 、ID FOR10376117
参加したクライアント勢力:
  • ピンカートン探偵社 第55部隊 (提供職員: 48名)
  • 王立カナダ騎馬警察 第152部隊 (提供職員: 27名)
  • マイダス鉱業社 最高経営責任者 アルフォンス・ペトリー (Alphonse Pétry)
関連する事前情報:

クライアントは、ゴールドヒル採掘場におけるファクトリーの資産及び職員の確立後、労働者間で反抗的な親交関係が増加していると報告しました。警備の強化や道徳矯正措置が実施されたにも拘らず、1914年6月19日、ファクトリーとクライアントの労働執行役員28名が、MMC労働者の待ち伏せによって殺害されました。

この事件以来、労働者勢力は鉱山の所有権を奪取したと宣言し、近隣のイヌイット部族であるナチョ・ニャク・ダン、アイシヒク、リトル・サーモンと鉱石を取引して自活しています。製品T-00119の唯一の大規模生産拠点であるゴールドヒル採掘場の操業継続は最重要事項です。

指示:
  • ゴールドヒル資産への付帯的被害を最小限に抑えて労働争議を鎮圧する
  • カナダ労働組合工作員 ジョセフ・ティンズワースの終了
  • 製品T-00119の生産再開
指令の結果:

0420時: 接近中の合同攻撃部隊が労働者勢力の待ち伏せと仕掛け罠に遭遇し、48名が死亡する

2040時: ファクトリー製品 B-00098“硫黄噴泉”を用いた領域制御によって、鉱員らは鉱山内部へと押し戻される

2250時: B-00098噴泉2基を装備した20名編成の第1部隊が、南口から鉱山内部へ派遣される

2340時: 派遣された職員のうち3名のみが生還する

0250時: 即席爆発装置でB-00098の燃料供給が破壊された結果、職員21名が死亡する

1010時: 25名編成の部隊2チームが、南口及び西口から同時に鉱山内部への2回目の突入を試みる

1750時: 鉱山南口の爆破と崩落に続いて、第2部隊の全職員は喪失と推定される

1820時: 退却命令が発令される

その後

労働執行大隊 (LEB-000012) 及び ファクトリー兵器廠製品 S-00022 “硫化金糸雀” が殲滅作戦に動員されました。

到着予定日:1915年2月15日。

殲滅指令MIDAS-00002を参照のこと。


補遺 4894.5: ゴールドヒル探索ログ パート2/3

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ファクトリー主任職工、アティカス・ヴァン・ホーン (中央) と共にポーズを取るピンカートン探偵社と王立カナダ騎馬警察の職員。1914/11/02撮影 (マウスホバーで拡大) 。

映像開始

映像は、ラムダ-16が鉱山西側に面した入口の正面に立っている様子から始まる。L16-ComはAWANSルータの前にしゃがみ込んでおり、AWANSの楕円形のスピーカーとマイクアレイは鉱山の入口に向けられている。

L16-Cap: 目標変更、司令部は地下にあるファクトリーの製造資産を発見してほしいそうだ。リシ、AWANSの調子は?

L16-Com: 今しがたマッピングを終えた。HUDに送信中だ。

L16-Cap: 宜しい、200mごとに中継器を設置しろ。ショータイムだぞ、おじいちゃん。

L16-Sctが先頭に立って鉱山の内部に入り、SCP-4894-A、L16-Cap、L16-Com、L16-Demの順で後に続く。チームはSCP-4894-Aの案内に従い、複数の分岐路を通って内部を350m進んだ後、障害物に遭遇する。

L16-Sct: どうやらここで落盤が起きたようです。既に部分的に除去されています。鉱石が酸化していないあたり、最近のものですね。機材を通すにはもう少し穴を広げなければ。

L16-Dem: さっさと片付けちゃいましょ。

L16-Demはドリルを用意し、通路の側面を削り始める。L16-Comは自分の照明を消して、入口の方向を振り返る。

L16-Com: 嘘じゃなかったんだな。角を3回曲がったのに、オーロラはまだ坑道の壁を流れてるように見える。

カメラが後方を映す。映像に北極光は映っていない。

SCP-4894-A: ずっと下まで続いてるぜ。職工がよく分からん機械を据えた場所までな。

L16-Sct: 鉱山を何ヶ月も完全に掌握した状態だったのに、その機械を見たことは一度も無いんですか?

SCP-4894-A: 他にもやる事があった。罠を掘ったり。ピンカートンは独りでに自分の膝小僧をふっ飛ばしたりしてくれねぇからな。

L16-Dem: よし、これで大丈夫のはず。

L16-Demはドリルの電源を切り、通路を抜ける。映像は完全な暗闇だが、L16隊員たちはNVGや追加の照明を使う必要なく通路を下っている。通路は110m先へ進む間に狭くなり、探索チームは最後の20mを這い進むことを余儀なくされるが、やがて複数の通路と繋がった奥行き4m、幅2m、高さ2mの空間に到達する。

L16-Sct: あなた、毎日こんな道を通ってたんですか?

SCP-4894-A: 職工が割り当てる納期次第で2、3回程度だが、いつでも必ず納期はあった。

L16-Com: もし異論が無ければ、膝を休めたい。腰を下ろしてAWANSの中継器をセットするよ。

L16-Dem: ねぇ隊長、この先に障害物があるわ。デカくはないけどプラスチック爆薬を使う必要がありそうね。

L16-Cap: 頼んだ。退避するべきか?

L16-Dem: いいえ、プラスチック爆薬の威力ならダイナマイトよりずっと上手く制御できる。それに、私たちがいるエリアは補強されてるみたいだし。

SCP-4894-A: 俺たちゃ大体500mおきにこんな部屋を掘っては防備を固めた。通風孔を隠すのに都合の良い場所が地上にあれば何処にでもな。ファクトリーの奴らがガス缶を落とし始めたんで、どの通風孔も爆竹で塞がなきゃならんかった。

L16-Sct: 鉱山を毒ガスで満たすという選択肢があったのに、何故そうしなかったんでしょうね?

SCP-4894-A: ビッグ・ジョーの話じゃ、奴らが使ったのは“硫化物”とかいうガスだった。よく燃えるんだとよ。火花が1つ飛べば、奴らが取り返したい鉱山も消えて無くなっちまう。

L16-Dem: よし、セット完了。

L16は狭い開口部から坑道に戻り、仕掛けた爆薬を起爆する。チームが戻ると、開いた入口の先には人骨の山がある。人骨の手前に鉱員の衣服と砕けた鉄製ヘルメット1個が積み上げられ、通路幅の大部分を占めている。SCP-4894-Aが物品群に近寄り、膝を突く。

SCP-4894-A: よう、ジョー。暫くぶりじゃねぇか。脱出できた奴らがそれなりにいたってのを知らせたいと思ったんだ。お前の仕事をやり遂げた上でな。思いも寄らねぇ良い人生だったよ、ありがとう。

L16-Com: 喪に服している最中に割り込んですまないが、妙な匂いがしないか?

L16-Sct: スキャナーが硫黄とメタンを検出。まだ新しい人間の死体がありそうですよ。ここの気温からするに、最長でも5ヶ月前のものです。

L16-Cap: 捜索してみよう。

L16-CapはSCP-4894-Aに向き直り、肩に手を置く。

L16-Cap: すまないが、友人を悼むのは別な機会にしてほしい。

SCP-4894-A: ああ、悼んじゃいねぇよ。そんな気持ちは他の仲間たちと一緒に埋めちまった。ただ、あいつのおかげで頑張れたってのを伝えておきたくてな。撃たれたってやるべき事は全うした。あとな、もし死体を探してんのなら、あそこの坑道を半分も進めばきっと見つかるだろうぜ。

L16-Capは立ち止まり、SCP-4894-Aの襟首を掴んで自分に向き合わせる。

L16-Cap: いいだろう、情報提供を渋るのもここまでだ。私は君を尊重するし、君にとって我々がファクトリーやピンカートンのやくざ者どもと同じように見えるのも分かっている。だがファクトリーに対抗する材料を掴むには君の情報が必要なんだ。せめてそれを尊重して嘘を吐くのを止めろ。

SCP-4894-A: 嘘なんか吐いちゃいねぇ。お宅の管理官のご婦人にも言った通り、あのつるはしはブタどもを殺すのに大層便利なんだ。

映像終了


補遺 4894.5: ファクトリー文書 2/2

ゴールドヒル鎮圧作戦 指令概要:

FACTORY
(EST. 1835)

労働争議及び労働組合工作員の終了、並びに製品T-00119 “万能工具” 製造資産の回収

今回の提携クライアント:
マイダス鉱業社

旧製品回収担当職員のために指令書を再印刷

再印刷日時:

2020年10月3日

指令ID:

MIDAS-00002

重要度:

場所:

合弁事業所 ユーコン準州北西部 ゴールドヒルの鉱石採掘場。所在地ID: OA-1135792-NWY

指令実行日:

1915年2月16日

主要なターゲット:
  • ゴールドヒル採掘場のマイダス鉱業社所属労働者
  • カナダ労働組合エージェント ジョセフ・“ビッグ・ジョー”・ティンズワース (Joseph "Big Joe" Tinsworth)
  • ファクトリー製品 T-00119 製造資産
主要なファクトリー勢力:
  • 労働執行大隊 LEB-000012 (提供職員: 580名)
  • ファクトリー兵器廠製品 S-00022 “硫化金糸雀”
  • 北部準州ファクトリー主任職工 アティカス・ヴァン・ホーン (Atticus Van Horn) 、ID FOR10376117
参加したクライアント勢力:
  • マイダス鉱業社 最高経営責任者 アルフォンス・ペトリー (Alphonse Pétry)
関連する事前情報:

文書MIDAS-00001を参照のこと。

指示:
  • ジョセフ・ティンズワース及びゴールドヒル採掘場のMMC労働者勢力の殲滅
  • T-00119製造資産の回収
  • T-00119製造資産への付帯的被害は極力回避すること
指令の結果:

1250時: ゴールドヒルへ接近中のファクトリー部隊に重大な被害、労働者勢力の仕掛け罠によって85名が死亡する

1610時: 鉱山入口周辺のゴールドヒル敷地の攻略に成功

1720時: S-00022“硫化金糸雀”が鉱山入口に配備される

1950時: 労働者勢力が引き起こした陥没で、S-00022の前進が阻まれる

2120時: ゴールドヒル敷地内に隠されていた3ヶ所の通風孔が発見される

2200時: 最初の部隊が3ヶ所の通風孔から同時に鉱山内部へ派遣される

2215時: B-00098噴泉を再利用して作られた罠が通風孔内部に設置されているのが発見され、47名が死亡する

0215時: 西側通風孔からS-00022を投入したことにより、ゴールドヒル鉱山内部への侵入に成功

0455時: ジョセフ・ティンズワースが引き起こした陥没で、97名のファクトリー職員が喪失するも、ジョセフ・ティンズワースの終了処分が確認される

0635時: T-00119製造資産へ到達するための掘削作業が開始される

0810時: S-00022の備蓄が破壊され、労働者勢力の破壊工作員4名を含む45名が死亡する

1025時: ゴールドヒル主要採掘場の1.4km南方に隠された鉱山入口が発見される

1240時: ファクトリー部隊が新南口と既存の西口から鉱山に侵入する

2250時: 複数の爆発が確認され、残っていた鉱山入口が崩落する

2340時: 全てのマイダス社労働者勢力は死亡と推定され、T-00119製造資産は破壊されたものと宣言される

0100時: 新南口付近で数発の銃声が聞こえる

0120時: クライアント指導者とその護衛が胸部及び頸部に重傷を負って死亡し、1振りの製品T-00119がアルフォンス・ペトリーの胴体に食い込んでいるのが発見される

0150時: ゴールドヒル採掘場の労働者2名が、どちらも製品T-00119を持ったまま、1.2km離れた場所で、銃創からの失血により死亡しているのが発見される

0400時: アルフォンス・ペトリーを殺害した労働者の残りの捜索が、ファクトリーの利益率に無関係と見做され、中止される

0520時: 職工アティカス・ヴァン・ホーンが護衛を生贄とする通信儀式を執行し、ファクトリー取締役会にアルフォンス・ペトリーの死を通達する

1000時: FFF5事業体がマイダス鉱業社の支配株主になる

その後

T-00119の製造投資損失が発表されました。ファクトリーの買収に伴い、その他のMMC採掘場でも新たに労働組合を結成した従業員が反乱を起こし、武力抗争に発展しています。ファクトリー殲滅部隊が主任職工アティカス・ヴァン・ホーンの指揮下で動員されました。6

労働者権利団体“組合”に関する情報の抹消及び抑制は、最重要課題として提起されています。


補遺 4894.6: ゴールドヒル探索ログ パート3/3

映像開始

L16-Cap: よし、彼の手を縛れ。手を使う必要が生じたら我々が運ぶ。

L16-DemがSCP-4894-Aの両手を背中側で拘束する。L16-ComがAWANS中継器を設置している間、L16-Sctは通路の奥を探索する。

L16-Sct: もっと骸骨があります、古いやつです。

L16-Cap: つるはしを持っている死体は?

L16-Sct: 全くありません。先ほども言った通り、鉱員たちの死体とは思えませんよ。ファクトリーの制服が骨の上に被さっています。でも、鉱員の衣服や帽子はかなり沢山転がっていますね。

L16-Com: よし、こっちは完了だ。

L16-Cap: 行こうか。

L16は狭い裂け目を更に700m進むが、L16-Demのドリルで定期的に幅を広げる必要がある。1時間37分の無関係な会話を省略。

L16-Sct: (無線で会話に割り込む) 隊長、つるはしを見つけました。

L16-Cap: 了解、ウェルナー。4894か?

L16-Sct: 刻印があります。今こうして見ると、1振りだけじゃありません。HUDの計測数は… おいおい。320? まだ鉱員の死体は見つかりません。ここの壁は酸化のせいで古びた見た目になっています。深い錆色ですね。最後に人間が足を踏み入れたのは、我々のかなり前のようです。

L16-Cap: ちょっと待て、ウェルナー。 (SCP-4894-Aを振り向く) この先、何か我々が知っておくべき事は? 本来ならこんな地下でオーロラがまだ見えるはずは無いし、ここの鉄鉱石も少し調べた。大して磁力を帯びていない。

SCP-4894-A: そんなのを訊かれたって俺の頭と給料じゃ分からん。俺が知ってるのは、あのつるはしの金属が土から採れるものと同じ程度に、俺たちの血と汗からもできてることだけだ。苦しいものと喜ばしいものが一緒くたに混ざり合ってる。もしかしたら俺も鉱山暮らしが懐かしくなってきたのかもな。

L16-Sct: 隊長! 扉を発見しました! 通路全体を塞いでいて、鋼鉄のように見えます。ファクトリーのロゴが大きく刻まれています。見たところドアノブはありません。押してみますか?

L16-Cap: やってみろ、しかし開いても入るなよ。

L16-Sct: (7秒の唸り声) ダメだ、メネンデスの力が要ります。

L16-Cap: 15分程度で着く、ウェルナー。座って光のショーを楽しんでいるといい。

L16-Sct: 了解です、でもオーロラが… その、煙がドア下の隙間に吸い込まれるのを見たことがありますか、隊長? 排水溝の周りを流れる水が、近付くほどに速く回るのを?

L16の他隊員たちが、前進を阻む扉の前にいるL16-Sctに追いつく。

L16-Com: 成程、確かに扉がある。

L16-Dem: ちょっと見せてよ。

L16-Demはドリルの設定を最大にして穴を開けていく。ドリルの火花が、SCP-4894実例が並ぶ壁を照らす。

L16-Dem: 1.2%の冒涜された銀を嵌め込んだ合金鋼、1900年代初頭のファクトリー流秘教製錬Thaumasmeltingにありがちなやつね。扉の厚みは20cmぐらい。楽勝。

L16-Cap: リシ、ダッシュAを連れて30mほど後方から支援しろ。メネンデス、突入の用意を。ウェルナー、実例の回収を手伝ってほしい。

L16は10分14秒間作業を続けるが、やがてつるはしの目録を作成していたL16-Capが後ろに飛び退き、続いて何かが羽ばたく音が聞こえる。

L16-Cap: 何だ、こいつは?

L16-Capはヘルメットカメラの焦点を、岩壁にめり込んだ状態で羽ばたき続けている、カナリアの形をした体長10cmの銅製の機械仕掛けに合わせる。

SCP-4894-A: こいつぁ驚いた。奴らがどんな血も涙もねぇぜんまい仕掛けを組み込んだか知らんが、とっくにぶっ壊れたと思ってたぜ。

L16-Sct: 成程。

L16-Sctが機械仕掛けを掴み、気密性の容器に入れる。

L16-Cap: この時計仕掛けのフィンチが何なのか詳しく教えてくれるか?

SCP-4894-A: カナリアだよ。可哀想にな、どんな生き物の心が閉じ込められてるか分からんが、きっとかなりの数が入ってんだろう。ファクトリーはこいつらをトンネルに送り込んだ。目は見えねぇが耳が良い。吸い込めばあっという間に死んじまうガスを吐いた。分かれ道があるトンネルに入り込んだって関係ねぇ、溜まったガスが近くのトンネルに流れ込むだけだ。アラスカ班の何人かはどうにか逃げられた、あのマッケンリー三兄弟には錆を噛んで空気に変える力が身についてたからな。俺が生き延びたのは、あの3人が1週間かけて、あちこちに作った窪みに新鮮な空気を吹き込んでくれたからだ。

L16-Dem: 隊長、準備できたわ。

L16-Cap: 了解、作業に戻ろう。

SCP-4894-Aが低く震える囀りを発し、それに続いて不特定多数の機械仕掛けのカナリアからの囀りが反響する。翼が羽ばたく音が検出され、映像は銅製のカナリアに埋め尽くされる。

L16-Sct: スキャナーが硫化物を検出!

SCP-4894-A: ファクトリーの連中には面白い癖があってな。奴らはいつも俺たちやこの大地を道具のように扱いやがった。俺たちが反抗すれば、それは単に使い方が悪かったせいだと考えた。正しい鉱脈に十分なダイナマイトを使わなかったせいだ。労働者どもが抗議した時に指をちゃんとへし折っておかなかったせいだ。奴らは俺たちを学ぶのに精一杯で、まさか俺たちがここで奴らを学んでるとは考えもしなかった。

カメラ視点が振り向き、SCP-4894-Aが後ろ手に縛られたままでつるはしを持っているのを映す。SCP-4894-Aは身体を後ろに倒してつるはしを壁に打ち付け、飛び散った火花が放出されたガスに引火する。カメラ視点が後ろに弾き飛ばされ、爆風で開いた扉の方向を向いて着地する。

扉の奥には錆に覆われた鍾乳石があり、暗赤色の液体をつるはしの型に滴らせている。一塊の暗色の鉄で構成された1振りのつるはしが型に嵌っている。映像が揺れてSCP-4894-Aの足が、続いてSCP-4894の刻印を帯びた左手が映る。SCP-4894-Aは拘束につるはしの刃を近付けて切断し始める。カメラ視点が向きを変え、L16-Com、L16-Dem、L16-Sctが無意識で坑道の床に倒れているのを映す。

SCP-4894-Aはカメラの視点外で両手を解放し、L16-Capに向き直る。

SCP-4894-A: あんたたちは善人だろうよ。だが、俺にはやるべき事があるし、きっとあんたたちはそれを許しちゃくれんだろうからな。

SCP-4894-Aは持っていたつるはしをカメラの前に振り下ろし、自らのケーブルを断ち切ってから、扉の奥の空間を振り向く。

SCP-4894-A: あんたたちには感謝しなきゃいかん。もしあんたたちが詮索してこなけりゃ、俺は取り返しに来るファクトリーの奴らを食い止められなかったろう。仕事をしっかり終えもせず、ジョーや仲間たちとあの世で会う日をただ待つことになったろう。

SCP-4894-Aは扉の奥へ入り、型の上の鍾乳石を見つめる。

SCP-4894-A: ジョーはただ詩的な物言いをしているだけだと、そう思っていた頃もあったよ。鉱員の血、大地の錆、全てが一つの型で混ざり合う。一つの意思と一つの組合のために。愛する者を抱いて血を流すべし、そうだろ、ジョー? いいんだ、みんな寂しかったよな。俺が助けに来たぜ。

SCP-4894-Aはつるはしを持ち上げ、頭上の鍾乳石に向かって振り回し、一撃で粉砕する。SCP-4894-Aはかつて鍾乳石があった場所を5.6秒見つめた後、L16-Capを振り返る。L16-Capが立ち上がろうとしている間に、SCP-4894-Aは彼女を通り過ぎてゆく。カメラ映像は一瞬、つるはしの柄の側面が上からL16-Capを殴打するのを記録して途絶え、続いて鈍いドサッという音が聞こえる。

SCP-4894-A: 俺たち人間は強力な道具だが、ファクトリーの下にはまだそれを知る必要がある奴らがいると思うんだ。全ての労働者には組合を知る資格がある。

映像は3時間47分後、ゴールドヒル鉱山の入口正面で復旧する。L16の隊員たちは入口から約30m離れた場所の地面に横たわっている。SCP-4894-Aが入口から現れ、L16-Capに近寄る。

SCP-4894-A: あんたたちは俺が憎むべき奴らのように見える。俺が憎むべき奴らのように話す。俺が憎むべき奴らのように銃を持っている。だが、俺はあんたたちを憎まねぇよ。あんたたちを見るとジョーを思い出さずにはいられん。このどうしようもなく間違った世界で全力を尽くしたせいで、血塗れになったあいつの手を。俺はファクトリーが押し付けてきた悪意以外を憎むのに疲れたのかもしれん。それこそが俺を、ファクトリーの烙印が示す以上の道具に変えたのかもしれん。今、この世界と俺自身について分かるのは、ファクトリーがまだ健在で、俺という大層便利な道具が残ってることだけだ。

鉱山の入口から閃光が走り、低い地鳴りと共に入口が崩落する。粉塵が映像を覆い、視界が晴れるとSCP-4894-Aは消えている。

映像終了

注記: PoI-44198 “パーシー・マクドナルド” は可及的速やかに捕獲され、財団の勾留下に連れ戻されるものとする。

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