SCP-4900-JP
評価: +107+x
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消滅対抗部門より通達
Notice from the Anti Annihilation Department

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当該報告書は現在発生している事態の参考資料として、財団に所属する全職員に閲覧権限が付与されています。

地球上に存在するほぼ全ての異常存在および財団含む異常関連組織は2026年を以て基底現実上から消失します。これを回避する方法は現時点で確立していません。

閲覧者にはSCP-4900-JPへの提言を報告する権利が与えられます。

提言は消滅対抗部門まで、1名以上の非職員を介して行ってください。

これは財団の職務に就く者への事前通告であり、警告であり、答えを得る為の抵抗と覚悟の証です。

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SCP-4900-JP-1、2025/04/23撮影

アイテム番号: SCP-4900-JP

オブジェクトクラス: Gevurah

特別指定: Gevurahクラスは財団の二次的な目的の達成を妨害するアノマリーに付与されます。

撹乱クラス: 5/Amida

リスククラス: 4/Danger

特別収容プロトコル: SCP-4900-JPの発生の予防のため、SCP財団支部間連携協定第4条に基づくSCP-4900-JP影響軽減に関する条約(通称: ルクス条約)第三条(後述)に基づいてあらゆる財団施設はアノマリーの収容に制限がかけられます。

詳細はルクス条約全文(後述)、並びにルクス条約に基づく各財団施設の収容規定を参照してください。

消滅対抗部門はSCP-4900-JPの無力化についての研究、並びに発生した場合の影響の軽減を主軸に運営されます。同部門はSCP-4900-JPの影響を最小限に抑えるため、世界184箇所に存在する独立拠点をベースに研究や情報共有を行います。

発生箇所付近に無力化すべきでないとされるアノマリーやパラテック技術が存在する場合、SCP-4900-JPから可能な限りの隔離が試みられます。SCP-4900-JPによる影響の確認、並びに状況の回復は機動部隊よ-12("グッドナイト")が担当します。

SCP-4900-JPを記録した媒体は押収され、目撃者にはクラスA記憶処理が試行されます。SCP登録以前のSCP-4900-JPに関する記録は発見次第削除され、目撃者にはCクラス記憶処理が施されます。

特別収容プロトコル(追加): 他職員との接触は拠点でのみ使用可能な閉域網映像通信システム「Parasol」を介して行われます。緊急時やツールが使用できる環境でない場合、1名以上の財団に所属していない人物を経由させた伝言または筆記による情報伝達が必要となります。

説明: SCP-4900-JPは特定の条件下で発生する空間異常と、それにより発生する未知の光(SCP-4900-JP-Aに指定、後述)の照射現象です。

SCP-4900-JPは後述の条件が満たされた地点の直上14000〜19000mの空中に亀裂として発生し、時間経過と共に地表と平行に放射状に広がり、最終的には真円形に展開します。亀裂からは発生とほぼ同時にSCP-4900-JP-Aに指定される光(光子)が地上へ照射されます。空間異常の範囲は対象となる異常存在の規模·密度·距離などに応じて変化し、2026年4月時点で財団の観測では直径5.4kmに達したものが最大事例として報告されています。この展開範囲に限界が存在するかは不明です。発生から消滅までの時間はこの直径に依存していますが、これまで30分以上継続した例は確認されていません。

当報告書執筆時点で財団が認知しているSCP-4900-JPの発生条件は以下の通りです。

  • 太陽が直接視認できない天候·時間帯である。
  • 直下に高リスククラスに指定されるアノマリーが存在する。または短期間にアノマリーが密集·増殖した空間が構築される アノマリーの密集した空間が存在する。

SCP-4900-JP-Aに曝露した異常な事物·生物·霊的実体·概念·現象等はその一切が消滅します。消滅はアノマリーに一部でも曝露した瞬間から発生し、「空間に溶け消える」あるいは「透けていく」と表現される過程を経て行われます。アノマリーの規模や密度によって消滅までの時間は多少変化しますが、全ての例において5.0秒以上継続した例は確認されていません。

SCP-4900-JP-Aの照射は通常の日光·光子と比べて、物質内を通過する際におけるエネルギーの減衰の様子が異なり、2.2×10-4秒間、SCP-4900-JPからの進行距離にして約20km間はエネルギーが一切減衰せず1、あらゆる物質を貫通します。これはSCP-4900-JP-Aがその効果範囲内において物理的な障壁が意味を成さない事を示しています。また銀やアルミニウム、誘電体多層膜ミラー等の高い反射率を有する素材にも影響を受けることはなく、現在の財団が有する非異常性のあらゆる科学技術を用いてもSCP-4900-JP-Aの反射は不可能という結論に達しました。

アノマリーが消滅すると同時にSCP-4900-JPは終了し、空間異常とSCP-4900-JP-Aは霧散します。

SCP-4900-JPがどのような原理で発生し、如何なる要因で基底世界に発生したのか、また、何故異常のみに反応するのかについては完全に不明であり、現在も調査が進められています。

発見経緯: 2025/04/23、SCP-030-JPの大規模な群れ(推定2000~3000匹)が東京都八王子市の市街地にて発見されました。該当する群れは深夜帯に排水溝より多数出現したため、財団の発見が遅れ、一般市民に群れが露呈する危機が迫っていました。しかし、日昇時に太陽とは異なる光源による照射現象が該当地区に発生、暴露したSCP-030-JPの大多数がその場で消滅しました。これにより、財団による後処理開始時まで一般市民による目撃者はいませんでした。

当初、当該現象はEE-4900-JPとして登録されていました。しかし、以降同様の現象が2025年内に計6件発生したことから、3回目の発生時(2025/10/19)にSCP-4900-JPとして再登録されました。この際、SCP-4900-JPによるパラテック技術の消失によるアノマリー収容の妨害、並びにアノマリー保護の妨害の観点から、オブジェクトクラスはGevurahに分類されました。

以下は今までに発生したSCP-4900-JPの記録の抜粋です。

出現記録4900-JP抜粋

番号: SCP-4900-JP-1

発生日時: 2025/04/23

発生場所: 東京都八王子市上空

詳細: 上述参照。

番号: SCP-4900-JP-2

発生日時: 2025/06/07

発生場所: サイト-81██上空

詳細: 発生当時、サイト-81██は建設が完了したばかりであり、オブジェクトの搬入途中であった。無力化したオブジェクトの種類数は12。

番号: SCP-4900-JP-4

発生日時: 2025/09/19

発生場所: サイト-77

詳細: 日本国外において初めてSCP-4900-JPが確認された例。無力化したオブジェクトの種類数は50。当該サイトの再興は2026/02/02に宣言された。

番号: SCP-4900-JP-6

発生日時: 2025/12/21

発生場所: GoI-012("マーシャル·カーター&ダーク")の秘匿されたクラブハウス上空

詳細: 財団以外の超常組織の施設が対象となった初の事例。SCP-4900-JP-6の発生を元に当該施設に襲撃を仕掛けた結果、GoI-012構成員3人とオークション参加者20人の確保に成功した。確保時、当該人物らは突然のアノマリーの無力化によって小規模な口論を展開していた。アノマリー自体の喪失数は推定87。

番号: SCP-4900-JP-19

発生日時: 2026/03/06

発生場所: 収容エリア-179 SCP-2317収容区画直上

詳細: SCP-2317(SCP-2317-K)は将来的にXK-クラス世界終焉シナリオを引き起こすとされていたアノマリーとして当時は優先度レベル: BETAの脅威に認定されていた。当該オブジェクト消失時、監視カメラは内部のSCP-2317-Kの消失も確認している。SCP-4900-JP-19によりSCP-2317(SCP-2317-K)は消滅、痕跡は確認されていない。

番号: SCP-4900-JP-24

発生日時: 2026/03/31

発生場所: SCP-1857-JP

詳細: SCP-1857-JPは将来的にXK-クラス世界終焉シナリオ、加えて2026年内にLV-Zero: "捲くられたヴェール"シナリオを引き起こすとされていた、Apollyonクラスのアノマリーとして当時は優先度レベル: ALPHAの脅威に認定されていた。SCP-4900-JP-19により該当アノマリーは消滅、痕跡は確認されていない。

上述を含む、SCP-4900-JPによって無力化されたアノマリーの特徴から、当該現象の出現条件の大まかな傾向が判明、特別収容プロトコルが制定されました。結果、プロトコルの施行に伴い、財団の大半の施設におけるアノマリーの異動、並びに多数の財団施設の建設需要が高まりました。このアノマリー収容の大規模な体制変更を考慮し、SCP-4900-JPの性質研究の強化、並びに無力化方法の探索も併せて目的とした消滅対抗部門が2026/04/02に設立されました。以後、消滅対抗部門はSCP-4900-JPに関連する事案の指揮を取ります。

財団の新たな収容体制に関する協議は2026/05/01に施行予定です。補遺4900-JP.1参照

補遺4900-JP.1: 2026/04/10、過去のSCP-4900-JP発生地全箇所において、観測可能な過去改変現象が各地で発生しました。具体的には財団施設や職員、要注意団体施設といった、異常存在に関連する物品、人物が消失し、建築物等は財団と無関係のものに変化しました。この事案を受けて更なる人員喪失を危惧し、協議は2026/04/17に変更されました。

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SCP-4900-JP-2影響対象だったサイト-81██の現在の所在地。財団と無関係な駐車場に変化している。

消失した財団職員の人事データも、当該事案の発生と共に財団データベースから同様に消失しましたが、過去改変痕から一部がサルベージされています。残存データから照会した結果、消失確認済の職員や要注意人物(計█████人)の内90%以上が財団や異常存在とは無関係の一般人として生活していたことが判明しました。インタビューの結果、いずれの人員も財団や異常存在に関する記憶を保持しておらず、改変後の記憶を元にした言動を取ります。当該人物群と深い関わりを持つ周辺人物も同様に証言しています。

SCP-4900-JPの性質について再調査し整理した結果、以下のような結果となりました。

  • SCP-4900-JPの効果対象範囲はアノマリーに連なる(関連する、或いは周辺にある)ものにも波及するようになった。また、アノマリーが周囲の現実や物体、生物の状態に影響を有していた場合、変質された現実や事物も同様に消滅する。
  • SCP-4900-JPの効力は異常が関連する組織や宗教、それらに関連する人物·生物·物品·建造物·思想にも伝播する。財団含む異常に連なる組織はこれに該当し、当該現象による消滅の被害を今なお被っている。
  • アノマリー本体とは異なり、消滅には若干の時間差が生ずる。この時間差は減少傾向にあり、いずれ0になると予想される。
  • 異常性を有しておらず財団等の異常関連組織に所属しない一般的な人物や生物に対しては、SCP-4900-JPは一切の効力を発揮しない。

これらの異常性の変質を受け、消滅対抗部門は財団職員間のSCP-4900-JPの異常性伝搬を防ぐ目的で閉域網映像通信システム「Parasol」を開発しました。以降、消滅対抗部門は同システムを用いた意思疎通を行っています。以下は「Parasol」会話ログからの抜粋記録です。

消滅対抗部門 閉域網映像通信システム「Parasol」会話ログより抜粋

大野雄一室長: 財団日本支部SCP-4900-JP担当職員

ペストシコー·セルゲイ研究員: 財団ロシア支部技術部門メディア解析担当職員

レボ·ンゴエペ施設長: 財団南アフリカ支部直轄施設「サン記録保管庫」最高責任者


大野室長: 問題はSCP-4900-JPが何を座標としているか。だが、これはほぼ判明したと言っていいだろう。添付した資料は届いているかね。

セルゲイ研究員: 過去改変痕からサルベージされた映像ですね。レボ施設長。ご協力に感謝します。

レボ施設長: 構わん。仕事だからな。

大野室長: 出現記録4900-JP-2を例にしよう。ログによれば現地時間21時56分8秒、サイト-81██にSCP-████-JPがサイト内に移送された。移送時のリスクを考慮してか、SCP-████-JPも含め危険性が高いとされたアノマリーを優先して収容下に置いたようだ。この時点でサイト内の収容下にあるアノマリーは12種、個体数は23体だった。

レボ施設長: そして光は差した。狙い澄ましたようなタイミングだな。

大野室長: この時点でSCP-4900-JPの存在や異常性はほぼ未発見に近かった。突然光が施設や職員を消滅させていく様を見た者の心境は察するに余りある。これを受け機動部隊れ-9「煙る柱」が派遣された。知っての通り、そのような機動部隊が存在した事実は現在どこにも存在しないが。

レボ施設長: (溜息)無能め。徒に被害を拡大しおって。

セルゲイ研究員: 異常性把握の一助に繋がったんです。無駄とは言えませんよ。

大野室長: その通りだとも。ともかく、この一件のきっかけは間違いなくアノマリーの移送にあるだろう。その地域は元々空き地だったそうだ。それ以前のことは不明だが、出現記録のタイミングで、その地区一帯は歴史上最悪の異常過密に陥ったのだ。

レボ施設長: つまり、異常が一か所に集まりすぎたと?それならばサイト-19はどうなる。あの一帯は比較にならんほどの異常過密地帯だろうに。

セルゲイ研究員: この場合は数もあるでしょうが、短期間に一か所へ集められたことがトリガーになったのでしょう。

大野室長: だが、レボ施設長のご指摘も尤もだ。そのあたりの指標は未解明の事象が多すぎて今は不明と言わざるを得ないが、短期間に高危険度のアノマリーの顕現やアノマリーの増殖などは他事例にも共通している。

レボ施設長: SCP-2317の件だな。破滅的災害を起こし得る悪魔の処遇に困りあぐねているところを別の悪魔に解決されてしまうなど、我らの存在を嘲笑っているとしか思えん。

セルゲイ研究員: 映像は過去に類を見ないほどの光線で溢れていました。財団が正面から対峙すればどうなっていたか。

レボ施設長: おい、その先は慎めよ若造。……つまりだ。危険度の高いものが活性化するか、総数が極端に増加することがトリガーとなり得るということだな。

大野室長: それがうちの部門、ひいては日本支部の結論だ。

セルゲイ研究員: SCP-4900-JPは財団が確認して間もなく、被った被害も結果としてプラスに働いているとはいえ、財団にいつ牙を剥くか……。

大野室長: だからこそ、わが部門は行動を起こす。財団のアノマリー管理方式について意見書を提出する。こちらは私と部門職員で手一杯でな。そちらにも協力していただきたいのだ。

セルゲイ研究員: ……待って下さい。まさか世界の収容施設すべてに規制をかけると?

レボ施設長: そうとしか聞こえんだろう。こちらは、まあ当てはある。掛け合ってみよう。

大野室長: 感謝する。

セルゲイ研究員: 可能なのか。そんなことが……。

レボ施設長: 財団の理念を忘れたか。保護のため、我々は存在する。

セルゲイ研究員: 猶予は、ないですね。

大野室長: 頼む。

レボ施設長: それとオオノ、後で伝えておきたい事がある。チャットを用意しておけ。

大野室長: 承知した。

補遺4900-JP.2: 2026/04/17、消滅対抗部門主導によるSCP-4900-JPについての支部間協議が行われました。これにより、SCP財団支部間連携協定第4条に基づくSCP-4900-JP影響軽減に関する条約(通称: ルクス条約)が締結され、条約に基づいた世界規模かつ詳細なアノマリー移送計画が構築されました。

以下はルクス条約の全文になります。

また、条約締結に伴い、財団全施設の一斉アノマリー移送計画が発足しました。大まかな期間と内容を以下に記載します。

期間 フェーズ
2026/04/17~2026/04/24 移動期間に伴う全収容アノマリーの特別収容プロトコルの見直し·再構成
2026/04/24~2026/05/08 既存施設間のアノマリー移送の開始
2026/04/24~2026/05/30 財団施設用簡易パーツ作成開始
2026/05/01~2026/05/24 新規財団施設建設開始
2026/05/15~2026/05/30 新規·既存施設間のアノマリー移送の開始
2026/06/01~2026/07/01 アノマリー収容状態再評価期間

補遺4900-JP.3: 2026/05/05~11(UTC)の間に、GoI-003("カオス·インサージェンシー")やGoI-019("蛇の手")といった計9つの要注意団体が、財団施設やアノマリーを移送中の財団職員への襲撃を世界規模で発生させました。各要注意団体は攻撃開始時刻が大幅に遅れており、かつ連携や協力の様子は見られなかったことから、財団を襲撃する機会を伺った結果の偶然であると見られています。当該インシデント4900-JP-ALPHAの詳細はこちらを参照してください。

このインシデントによって要注意団体の構成員や移送中のアノマリー、並びにパラテック技術を使用した物品といった、異常存在や関連物が世界規模で各地に密集しました。結果、2026/05/13 20時(UTC)頃、各所で推定1000以上のSCP-4900-JPが発生しました。この際、SCP-4900-JPは「積極的」と評されるような動作で要注意団体や異常存在にSCP-4900-JP-Aを照射していました。

この時に発生したSCP-4900-JPの1実例に対し、当該アノマリー内部への侵入が試みられました。以下がその記録です。

通信ログ4900-JPイベント-22

発生日時: 2026/05/14 05:31:11~05:45:07(日本標準時)

発生場所: 岐阜県高山市某所

補足: 当該事例はサイト-81MOの直上で発生し、結果としてサイト-81MOに指定された建造物2は収容済みのアノマリー252種、職員532名と共に消滅しました。この際、サイト-81MOの発令した緊急コード4900-JPを受け、財団は潜伏していたエージェントを介して航空自衛隊小松基地から自衛隊員1名に航空写真を携帯させ、該当地域で所属不明機が確認されたことによるスクランブル発進の名目でイベント発生地点に向かわせました。無人機による監視も提案されましたが、高度の問題と財団の技術を用いた機器が消滅する点から却下されました。

これはSCP-4900-JPの異常性によるアノマリー消滅の影響が甚大であることから、SCP-4900-JPへ攻撃指令が下された初の事例です。上記の異常性から財団による技術は4000ーJPによって消滅する可能性を考慮し、作戦にはF-15Jが使用されました。以下は同様に緊急コードを受け取り、自衛隊員の指揮を執ったサイト-8129の大野雄一室長(SCP-4900-JP担当職員)との映像通信の一部を抜粋したものです。なお大野室長はこの時、小松基地の管制官として通信に対応していました。


[不要な会話を省略]

大野室長: 間もなく該当地域に入る。状況を報告しろ、ズールー1。

自衛隊員: こちらズールー1、間も無く現着。……何だこれは。

大野室長: ズールー1。状況を報告せよ。

自衛隊員: 目標地点……上空に謎の発光体を確認。地上を照らしている。詳細は不明。目標は所属不明機で間違いないか。

大野室長: 照射された地点について報告せよ。

自衛隊員: ……光、光は現在も地上に向かって照射されている。地上に何かが見える。いやちょっと待て……何だこれは。非常に巨大な穴が見える。建造物のようなものが見えるが。

(SCP-4900-JPによりサイト-81MOの地下施設の一部が表出している。)

自衛隊員: 同地点に存在した施設が消失!状況不明。

大野室長: (通信用マイクを取り外し)理事、よろしいですか。

(通信により財団日本支部理事 獅子へ確認を行う。獅子は許可を示すコードを提示。)

大野室長: ズールー1、発煙弾の使用を許可する。光の照射を阻止せよ。

自衛隊員: 確認する。射撃と指示したか。

大野室長: 発煙弾の使用を許可する。目標、不明発光体。射撃用意。

自衛隊員: 了解。射撃開始。

(SCP-4900-JPの亀裂に対し、F-15Jが発煙弾を射撃。)

自衛隊員: 射撃終了。

大野室長: 光の照射に変化は見られるか。

自衛隊員: 状況を確認する。……煙幕効果なし。光量に変化は認められない。

大野室長: 次、通常弾の使用を許可する。

自衛隊員: 管制塔、指示を再度確認する。通常弾の使用許可で間違いないか。

大野室長: 再度報告する。ズールー1、通常弾の使用を許可する。目標、不明発光体。

自衛隊員: ……射撃開始。

(通常弾による射撃。しばらく射撃音が続く)

自衛隊員: 射撃終了。目標、なおも健在。射撃が目標をすり抜けた。

大野室長: (通信マイクを外し時計を見やる)発生から13分が経過。サイト-81MOの規模によれば間もなく当イベントは終了する。

(不要な会話を省略)

大野室長: ズールー1、不明発光体に接近を命じる。

自衛隊員: 管制塔、当初報告にあった所属不明機とは発光体で間違いないのか。

大野室長: 間違いはない。作戦を続行せよズールー1。

自衛隊員: ……了解。接近する。

(SCP-4900-JPに接近する)

自衛隊員: 目標まで、距離1000……500……200……現在、不明発光体直上を飛行中。目標表面には大規模な亀裂が走っており、上部は非常に扁平な印象を受ける。

(SCP-4900-JP上部の様子が映像内に映し出される。)

大野室長: そのまま高度を下げつつ、発光体を通過せよ。

自衛隊員: 何?

大野室長: 発光体を通過せよ。

自衛隊員: それが命令ですか。

大野室長: 命令だ。

自衛隊員: ……了解。

(F-15Jの加速する音)

大野室長: 健闘を祈る。ズールー1。

(F-15Jの加速する音)

自衛隊員: アタック。

(SCP-4900-JP空間へ突入する。中心部に向かうにつれ機体が激しく揺れる。)

(映像は光だけが映し出されている。)

(通信が一時ロスト)

大野室長: ……どうだ。

(通信が回復。高速移動による激しい振動と轟音)

大野室長: ズールー1、状況を報告しろ。

(映像·音声共にノイズが見られる。映像には突貫前と同一の気象条件の空が映し出されているがSCP-4900-JPの関連事象は確認できない。)

自衛隊員: ……通信が混線している。小松基地、応答せよ。

大野室長: ズールー1、こちら管制塔。周辺空域について報告しろ。

自衛隊員: 報告?何を言っている。

大野室長: 周辺地域の報告をしろ。命令だズールー1。

自衛隊員: 現在岐阜県北部山岳地帯を飛行中。所属不明機は発見できず。これより帰投する。

大野室長: 何?

自衛隊員: ……何かおかしいな。お前、所属と階級を答えろ。

大野室長: 管制塔の大野だ。

自衛隊員: 大野?松田はどうした。先程まで通信していたのは松田の筈だ。

大野室長: ズールー1、何かあったのか。

(時間経過とともにノイズが強くなる)

自衛隊員: この通信は報告させてもらうぞ。小松基地、これより帰投する。

大野室長: 待て、最後に報告しろ。そこは何だ!

(映像に一瞬地上の様子が映し出される。通信ロスト。)

大野室長: (沈黙)

[通信終了]


付記: 搭乗していたF-15Jも含め、通信していた自衛隊員は現在も行方不明となっています。記録映像の解析の結果、通信終了間際に確認された地上の地理的条件はSCP-4900-JP発生地点の高山市山中と酷似していることが判明しました。

イベント終了後、発生地点に派遣されたエージェントは一般的な日本家屋が点在する村落を認め、一般社会における同地域への認知は「19世紀に養蚕と織物の生産地として栄え、戦後に若者が都市部へ流入したことにより過疎化を迎えている村」という内容で一貫していたことを報告し、インターネット上に存在するサイト-81MO隠蔽のためのカバーストーリーは先の情報に改変された影響で霧散していました。また村落に在住していた住民は年齢に変化が見られる事を除き、戸籍や風体などが消滅した職員と共通することが発覚しました。

上記イベントより、アノマリーによって構築または接続された空間への侵入者はSCP-4900-JP-Aの照射によって基底現実から完全に断絶され、それらと基底現実とのあらゆる通信は不可能となることが判明しました。また、空間は基底現実と類似した世界であると推測されています。

加えて、以下はインシデント4900-JP-ALPHAにおけるSCP-4900-JP内部調査を受けて交わされた、閉域網映像通信システム「Parasol」上の記録です。

消滅対抗部門 閉域網映像通信システム「Parasol」会話ログより抜粋

ヘレナ·アンダーソン長官: 財団北米本部サイト-19特別門外顧問

大野室長: 財団日本支部SCP-4900-JP担当職員

シモン部隊長: 財団フランス支部所属機動部隊オミクロン-21「焼け跡のカラス」隊長


シモン部隊長: ご覧ください。これが現在のサイト-81██が存在したとされる地区の映像です。そしてこれが遠方から撮影した出現記録。映像上のSCP-4900-JPの軌跡はほぼ一直線にサイトに向かっていますが、時折揺らぎが見て取れます。恐らく光がアノマリーを感知し移動する方向へ追従するために起こっているのでしょうな。

大野室長: ホーミング性能まで有しているとしたら脅威だな。ともかく、日本支部出張の折に突然の招集に対応いただけたことを感謝するよ。

アンダーソン長官: えぇ、あなた方がいなければ、事態の把握はもっと遅れていたでしょう。何より、光に直接当たりさえしなければ、光についての記憶だけは改変されないということも知ることができたのですから。

シモン部隊長: よして下さい。ガラじゃないんですから。……とはいっても事態は深刻ですよ。この施設。アノマリーの危険度も規定値、収容違反によるアノマリーの増殖も確認されなかったんでしょう?

大野室長: 収容個体数の膨大さから条約に違反していたため、近日中の大規模移送を計画していた。恐れていた事態が起こってしまったな。

アンダーソン長官: サイト-81██はXACTSやSRAが標準採用され、対異常に特化していたと記録にはありますが、その堅牢さを以てしても食い止められなかったのですね。救難要請が必要なほどに……。

大野室長: ヒューム自体が異常な概念。予測出来てはいたとはいえ……あっけなさすぎる。

シモン部隊長: 知り合いも大分やられたそうです。記憶にはありませんがね。しかし分かったこともある。アレに攻撃はほぼ無意味です。言われた通り非異常性の極超音速ミサイルやレールガンなんかも試しましたが、ほぼ全てが空間を素通り。一部は中に消えましたが亀裂に変化はありませんでした。

アンダーソン長官: 改変後の地域に弾痕は?

シモン部隊長: 存在しません。空間を抜ける前に消えたか、空間の狭間に落ちたか、突き抜けた先で空中で爆発したか。

大野室長: 改変された地域に金属片等は確認されていない。可能性が高いのは空間内での何某だろうな。……ちなみに君は、戦術核を用いた空間の爆縮は可能だと思うかね。

(シモン部隊長は少し俯く)

シモン部隊長: 空間は世界各地で生まれ消えています。空間を消滅させられる可能性もあるでしょうが、上手くいった場合の話ですな。その後の発生を抑止できるかは分かりません。第一亀裂に入れられる保証も、空間内で上手く爆発するかどうかも、その後の影響も分からないようでは……。

アンダーソン長官: 最悪、私たちの世界も壊滅的な影響を受けて終わりということも考えられますね。

大野室長: 分かった。……ともかく、前例ができてしまった以上、評議会に報告せねば。アンダーソン長官、データを送付しましたので早急にご報告いただけますか。

アンダーソン長官: 承りました。

大野室長: シモン君。フランス支部は潜在的リスククラスの再定義研究に明るい部署があったな。取り次げるか。

シモン部隊長: 今回の発生原因に見落としがあるかもしれませんからね。確認してみましょう。

アンダーソン長官: 事は一刻を争います。他の方にも急いで連携を促して下さい。

当該インシデントにより、SCP-4900-JPの性質に変化があったと見られています。

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