
初期収容後のSCP-4915。
アイテム番号: SCP-4915
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-4915は標準的なヒト型生物収容室(チャンバーA)に収容し、一回り大きな収容室でそれを囲います(チャンバーB)。チャンバーBの面積は最低でもチャンバーAより45m²広くなければいけません。チャンバーA内におけるSCP-4915の存在は常時監視されます。SCP-4915がチャンバーAに居ないと判明した場合、配属された保安職員がチャンバーBに入室し、SCP-4915を発見し、失踪後1時間以内にチャンバーAへ連れ戻します。衝動性を抑えるため、SCP-4915には毎日鎮静剤が投与されます。
説明: SCP-4915は短距離テレポーテーションが可能な若い成人男性です。活性化すると、SCP-4915の能力は視覚的・聴覚的な効果を伴うことなく、SCP-4915を瞬時に望む場所(40m以内)へ転送します。能力の使用における時間制限は約1時間です — これよりも短い期間で活性化を試みると移動は失敗し、SCP-4915を著しく疲労させます。
SCP-4915はスーツケース2つを所持した状態でサイト-224の正面玄関付近に自発的に出現した後、財団に拘留されました。後ほど、スーツケースはSCP-4915の身の回り品1で満たされていると判明しました。SCP-4915は施設に入場することを強く求め、その場にいた警備員と口論を始めました。間もなく、SCP-4915は職員の追跡を逃れるために自らの異常能力を活性化させ、サイトの敷地内へと移動しました。
当該事案後、SCP-4915は捕獲され、インタビューを受けました。SCP-4915は会話中に攻撃的に振る舞い、収容にあたって警備員が武力を行使したことへの不満を訴えると共に、自らの経歴・意図・異常性に関わる情報の提供を拒絶しました。スーツケースから発見された文書類の分析に続いて、SCP-4915に関する追加情報の捜索が開始されましたが、現在まで決定的な結果は得られていません。
補遺4915.1: 事案ログ
以下は現行の収容プロトコルが実装される前に発生したSCP-4915関連事案です。
事案#: 4915-1
日付: 2018/12/18、20:20 PM。
概要: SCP-4915はサイト管理官のオフィス付近に出現して秘書に接近し、職員に命じて自らの荷物を返却させ、収容室をより快適かつ広々とした空間に変えることを要求しました。秘書はこの状況に混乱し、要求を認めませんでした。SCP-4915はその後、賄賂の提供を申し出て要求を満たそうと試みましたが、警備員に拘束されました。収容室に連れ戻される間、SCP-4915は施設のサービスの質について絶えず不満を述べました。
事案#: 4915-2
日付: 2018/12/19、8:55 AM。
概要: SCP-4915はサイトの休憩室に出現して自動販売機で飲料を購入しました。SCP-4915はソファに座り、拘束される前に近くにいる職員と会話を始めようと試みました。SCP-4915は警備員の再収容試行に攻撃的な反応を示し、繰り返し苦情の申し立てを行うと脅迫しました。
事案#: 4915-3
日付: 2018/12/20、10:11 AM。
概要: SCP-4915は収容室の外の廊下に出現してシャワー室へ向かい、警備員の制服を窃取して財団職員を装いました。SCP-4915の不在は、対象がサイトのカフェテリアに入るまで気付かれませんでした。SCP-4915は食事代を払う必要があると知って明白に驚き、これについて近くの職員に不満を述べました。カフェテリア従業員は、SCP-4915がSCPオブジェクトであることを理由に食事の提供を拒否したため、口論に発展しました。その後間もなく警備員が現場に到着し、SCP-4915は適切に再収容されました。尋問されたSCP-4915は、“テーマ付きコスプレパーティー”への参加を意図していたものの、要求した適切な衣類の提供を職員に拒否されたと主張しました。SCP-4915はまた、カフェテリアのメニューの品揃えの悪さを批判しました。
補遺4915.2: インタビューログ
回答者: SCP-4915
質問者: B・ビショップ博士
日付: 2018/12/21
序: 脱走の可能性を排除するため、SCP-4915はインタビュー直前に自らの異常能力を使用するように説得されました。
記録開始
ビショップ博士: こんにちは、SCP-4915。私はビショップ博士です。本日のあなたとのインタビューを担当させていただきます。SCP-4915: そうかい。俺はロイだ。ようやく俺と話し合ってくれるか。あんたマネージャーか何かだよな? 俺の部屋と、食事と、スタッフの態度全般に幾つか不満がある。
ビショップ博士: 実は、今日お呼びしたのは、あなたの異常能力について話すためです。
SCP-4915: 何能力だって?
ビショップ博士: あなたがある場所から別な場所へ瞬間移動する、その具体的な仕組みを知りたいのです。
SCP-4915: たったそれだけの用事で呼び付けたのかよ? そんなに興味があるなら教えるけどさ。この施設を散策するのがもう少し簡単になるようにって、旅行代理店の連中がくれたんだ。正直、あまり深く考えてなかったね。
ビショップ博士: 面白いお話です。その“旅行代理店”についてもっと聞かせてもらえますか?
SCP-4915: 旅行の手配をしてくれる普通の代理店だ、それ以上のもんじゃない。でもあそこに勤めてる奴らはクズばかりだ、俺が移動する時に“後ろ肢”で二足歩行してるのをしつこく笑いやがった。とにかく重要なのは俺がそいつらの紹介でここに来たってことで、本題に入らせてほしい。このホテルは俺が今までに泊まった中でも最低最悪だ。
ビショップ博士: お話がよく飲み込めません。
SCP-4915: あのな、ここの美意識はクールだ、それは認める。でもあんた達は“秘密結社”のテーマを追求し過ぎてるし、他の要素を全然気に掛けてないようじゃないか。まず第一に、俺に割り当てた部屋が酷すぎる。狭いし、見苦しいし、物を入れるロッカーやエアコンどころか窓も無い!
ビショップ博士: どうやら誤解してらっしゃるようですが…
SCP-4915: 最後まで言わせてくれ! 次に、サービスも酷い。俺は何時間もスタッフと話し合おうとしたが、帰って来た返事は武装したごろつきもどきからの“うるせぇ黙りやがれ”だけだ。これがVIPクライアントへの対応か? そして食べ物、こんな事いちいち言わせないでくれ。あんなもん味も食感も虚無だ。あんた達のシェフの料理ときたら俺の自炊以下で、恥じ入って然るべきなんて言葉じゃとても足りない。
ビショップ博士: SCP-4915、どうやら自分の置かれた状況を理解していないようですね。現在あなたは異常な能力を保有しているために収容下にあり、我々はその能力の詳細を知りたいと考えています。余談ですが、もし生活環境についての不満がある場合は、倫理委員会に苦情を提出することができます。
SCP-4915: ビショップさんだか何だか知らないけど、お遊びはもう止めてくれ。俺は真剣な話をしてるんだよ。今回の旅行がある種の極端な気晴らしになるのは分かってたが、ここまで極端なのは予想外だった。返金してほしい!
ビショップ博士: いいえ、SCP-4915、改めて言いますが、ここはホテルではありませんし、あなたは宿泊客ではありません。あなたがここに居る主な理由はテレポートする能力があるからです。
SCP-4915: ああ、そうだろうとも…
SCP-4915は神経質に笑った後、明らかに困惑した様子でゆっくりと周囲を見回す。
SCP-4915: え、マジで言ってる?
ビショップ博士: その通りです。
SCP-4915: つまり、この収容がどうこうってのは雰囲気作りじゃない?
ビショップ博士は頷く。
SCP-4915: で… でも見たぜ、ウェブサイトで。5つ星で、宿泊料金に施設利用費込みで、研究施設をテーマにした素晴らしい様式のホテルだって。それにあのパンフレット、あれは何だったんだよ?
ビショップ博士: 残念ですが、我々はそれらについて一切何も知りません。
SCP-4915: いやいやいや、そんな訳ない。代理店の奴らはきっとお楽しみいただけますって保証したし、この旅行のために相当な金を…
SCP-4915は1分間沈黙する。
ビショップ博士: SCP-4915? どうしました?
SCP-4915は座席から立ち上がり、拳を握りしめる。
SCP-4915: クソ野郎どもめっ!
記録終了