アイテム番号: SCP-496
オブジェクトクラス: Keter

SCP-496感染の症状を示すアンティルマナティー。
特別収容プロトコル: 機動部隊ガンマ-6 (“大食らい”) は、機動部隊ベータ-7 (“マズ帽子店”) を補佐し、SCP-496の監視と研究にあたります。現在のSCP-496周辺の境界線は、公的には海洋野生生物保護区に指定されます。境界線の内部にいる全ての職員は、全身を覆う防水性保護装備を着用し、水との皮膚接触を避けなければいけません。SCP-496を調査する職員は、SCP-496の拡散を遅らせる、あるいは阻止する手段の発見に主眼を置く研究を進めるものとします。
説明: SCP-496は、インドネシアのジャカルタから84km沖合の海底35km2を覆っている、炭酸カルシウムを主成分とする物質です1。SCP-496は水系伝染病の性質を有し、皮膚接触を介して生物に感染することが可能です。SCP-496が有機物に接触すると、対象の全ての有機物をSCP-496に変換するプロセスが始まります。
SCP-496感染の兆候や症状には以下が含まれます。
SCP-496感染が脳に達すると、感染者は次のような症状を示す場合があります。
- 妄想。
- 支離滅裂な思考。
- 著しく無秩序な、または異常な運動挙動。
- 幻覚。5
SCP-496感染が全身に広がると、以下の症状が発生します。6
- あらゆる有機組織がSCP-496に変換される。7
補遺 496-1: SCP-496は、海上を漂流している放棄された漁船についての通報を調査していた財団調査船によって発見されました。この船の魚倉を確認したところ、感染した魚が近くに放置されていたため、SCP-496の巨大な塊が形成されていました。
漁船には現地の財団調査船から職員が乗り込みました。失踪した乗組員たちの捜索は成功しなかったものの、貨物倉の施錠された部屋からSCP-496の感染者1名が発見されました。室内には激しい闘争の形跡が見られました。
補遺 496-2: SCP-496の感染性に関する理解不足のため、エージェント ヴィヴァは感染者の検査中にSCP-496に曝露しました。財団職員が感染を認識した直後に、エージェント ヴィヴァは調査船の標準収容室に隔離されました。エージェント ヴィヴァは隔離中も協力的な姿勢を保つことに同意しました — 観察期間中の映像記録の一部が当ファイルに追加されています。
映像記録
エージェント ヴィヴァは船倉の収容室に監禁されている。ウィルソン博士が感染症の進行を観察できるように、室内にはカメラが設置されている。この記録の時点で、対象の身体の約50%がSCP-496に変換されている。
[[記録開始]]
ウィルソン博士: エージェント、まだ会話は可能ですか?
エージェント ヴィヴァ: はい… 難しいですが…
対象が室内を見回し始め、SCP-496の小片が首から剥がれ落ちる。
エージェント ヴィヴァ: ふ — 風景が見えます。現実ではない。
ウィルソン博士: エージェント、何が見えていますか?
対象は12秒沈黙する。
ウィルソン博士: エージェント ヴィヴ—
エージェント ヴィヴァ: い — 石造りの都市… それが — 水中にあります。大勢の人がいますが、溺れてはいません… 彼らは幸せそうです。寺院があって… 色とりどりのサンゴで装飾されています。
ウィルソン博士: 自分が今いる部屋は見えますか?
エージェント ヴィヴァ: はい、ですが人々の姿も見えます… 寺院に向かい… 祈っています。彼らの顔はサンゴで飾られていて、美しい。
対象は収容室のドアへ歩み寄り、脱出しようとする。
エージェント ヴィヴァ: 戻らなければ… 下の方が良い。出してください。
ウィルソン博士: エージェント ヴィヴァ、自分が見ている風景に集中してください。ドアから離れて—
エージェント ヴィヴァ: 水が私たちを作ったのです、そして私たちの帰還を望んでいます…
対象は解放を訴えながらドアを叩き始める。エージェント ヴィヴァの喉が腫脹によって完全に閉塞されると、発声は停止する。その後、エージェント ヴィヴァは窒息死する。
[[記録終了]]
注記: 伝染病の報告を受けて、MTF β-7 (“マズ帽子店”) と MTF γ-6 (“大食らい”) が派遣され、海底でSCP-496の痕跡の調査を開始しました。SCP-496の影響を研究するため、Dクラス職員に対する制御試験が承認されています。
補遺 496-3: 更なる海底調査の結果、エージェント ヴィヴァの証言に似通った構造物群が、厚さ3mのSCP-496の層の下に埋没していることが判明しました8。本稿執筆現在、SCP-496に感染した1,312体のヒト型実体がこれらの構造物の内部で発見されています。SCP-496の現在の境界線は、補遺執筆時点で35kmに及び、1年あたり4.7mの割合で拡大しています。