アイテム番号: SCP-4972
オブジェクトクラス: Unknown
特別収容プロトコル: SCP-4972が存在すると考えられる適応収容チャンバー(ACC)は、最初に発見されたサイト-22の区画に維持されるようになっています。このACCは、常に10人以上の人員で構成される収容チームによって保護されています。すでに合意された試験プロトコルの範囲外では、ACCの内部を観察したりアクセスしたりする試みは行われません。
承認済の試験を通じてACC内部に入ろうとする試みは、次の手順に従って行われます。
- すべての試験は、Dクラス職員1名が実施します。
- 試験の経過を監視する記録装置はありません。
- 全てのセキュリティ担当者は入室時にACCから目を背ける必要があり、ACCが再び閉じられるまで防音ヘッドギアを作動させます。
- 活動しているDクラスがACCに留まる時間は、事前に指定する必要があります。Dクラスはこの時間に達するまでは解放されません。Dクラスがこの時間になっても出ていこうとしない場合は、ACCは封じ込められたままです。
- ACCから出た後、Dクラスは除染され、身体異常がないか遠隔スキャンされてから、カレ博士のインタビューを受けます。インタビューは非公開の面接室で行われ、インタビュアーと被験者は別々の区画に分けられます。
- インタビューが終了し、問題のDクラスが危険にさらされていないことが確認されるまで、いかなる個人も直接接触してはいけません。
- 検査が終了し、関連するすべての情報が記録されたならば、DクラスにはクラスA記憶処理が施され、実験の記憶は除去されます。
Dクラスの試験から得られたすべての情報は、カレ博士のみ利用できます。彼が死亡する、あるいは他の方法で職務を遂行することが出来なくなった場合、利用権限は彼の次に最高位の研究員である職員に移ります。
説明: SCP-4972は、サイト-22にある適応収容チャンバー内に存在すると推定される物体、実体または現象です。
発見: SCP-4972の存在が最初に発見されたのは、サイト-22の定期的なシステムスキャン中でした。以前のチェックが行われてから、未使用の区域がサイトの発電所から大量の電力を消費していることが発見されました。調査の結果、ACCが問題の区域で発見され、その側面には、SCP-4972を収容していたことを表す記号が示されていました。ACCは、脅威レベル赤の異常物を安全に格納するために設計された実験的収容チャンバーです。SCP-4972が見つかった時点で、ACCのプロトタイプはまだ完成していなかったことに注意してください。
サイト-22に配置された各人は、ACCがどのようにサイト-22に輸送されたのかを説明できず、多数の職員の記憶復元がACC到着の記憶が存在しないことを証明しました。加えて、ACCが発見されたサイト-22の区域が、なぜこれほど長い間使用されていなかったのかについて誰も説明できませんでした。
その後の財団アーカイブ上のSCP-4972指定に関する調査では、次のメッセージのみが見つかりました。
適応収容チャンバーの封鎖を解かないでください。チャンバーに入ったり、何かを取り出そうとしたりしないでください。チャンバー内を観察しようとしないでください。内容を推測しないでください。内容について考えないでください。
それ以上の情報は公表できません。すみません。
O5-6(コマンドコード ████-████-████-████)
サイト-22の職員と同様、O5-6の記憶復元は、SCP-4972またはACCの出現に関する記憶を持たず、いかなる時点においてもそれらが存在しないことを見出しました。さらに、メッセージに付属されたコマンドコードは、数年前には使用されなくなったものでした。
SCP-4972の性質を確認するために、最初の文書に有った指示の大部分に従って、カレ博士によって現在の試験手順が作成され、O5-6によって承認されました。
テストログ4972-1:
被験者: D-29102
ACC内での時間: 120秒
被験者は試験手順に従ってACCに入り、120秒後に出てきました。検査では彼女の体に異常はありませんでした。インタビューは、被験者がACCを出てから5分後に行われました。
<ログ開始>
カレ博士: こんばんは。気分はどうですか?
D-29102: ええ、いいと思う。とにかく、なぜ私をそこに入れたの?あんたは私に何もさせていないじゃない。
カレ博士: ごく普通の検査です。そこで何を見たのか正確に教えてもらえますか?
D-29102: えっと、ただの部屋、だったけど?
(沈黙。)
カレ博士: もう少し具体的にお願いします。
D-29102: ああ、そうね。まあ、おおよそ四角い部屋のようで、天井のこういう1つの明かりで照らされていた。壁はこんな感じのようなもので覆われていて、ええと、どう説明したらいいのかよくわかんない。プチプチかな?
カレ博士: それは適応膜ですね、はい。それは図式にぴったりです。他には何か?
D-29102: 特にないわ。私はただ2分間立ち止まって、それからあんたが言ったようにドアをノックした。ひどい朝食の騒音のようなものがあったと思うけど、それだけよ。
(沈黙。)
カレ博士: え、何ですって?
D-29102: ひどい朝食の騒音。何故?
カレ博士: ああ、すみません。あなたが他の事を言ったと思っていました。
D-29102: 他に何かある?(笑い)言わせてもらえば、これは大した試験じゃない。あんたたちは私のためにそれをちょっと誇張したんじゃないの?
カレ博士: あなたが気付いている事がそれだけなら、他に質問はありません。全て正常であることを確認するために、さらに検査を受けていただきます。そうすれば、合意通りに釈放されます。
D-29102: いいね。
(カレ博士が立ち上がって、面接室のドアから出ていく。D-29102が立ち上がり、奥の壁から出ていく。)
<ログ終了>
テストログ4972-2:
被験者: D-39112
ACC内での時間: 5分
ACCに入る前に、被験者は通常の人間の能力を超えた現象の知覚を可能にするため、数回の認知療法を受けました。被験者は試験手順に従ってACCに入り、5分後に出てきました。検査では彼の身体に異常はありませんでした。被験者がACCを出てから5分後にインタビューが行われました。
<ログ開始>
カレ博士: こんにちは、D-39112。気分はどうですか?
D-39112: その数字覚えるのは難しくないか?スティーブか何かって呼んでくれない?
カレ博士: よろしい。スティーブはどうですか?
D-39112: やばいね。
カレ博士: 具合が悪いですか?
D-39112: いや、いや、いい意味でのやばいってことね。やばい。
(沈黙。)
カレ博士: そうですか、それは良かったです。ACCで見たことについて教えてください。
D-39112: それ何?
カレ博士: (ため息)スティーブンさんを入れたばかりの部屋ですよ。
D-39112: そうそうそう。で、あんたが言ったようにそこへ行って、周りを見渡したんだ、そんで、子供の頃、俺はよくバーナード・ザ・バウンシング・バニーっていうテレビ番組を見てたんだ。その番組を見たことあるかい?
(カレ博士は10秒間メモを取る。)
カレ博士: いえ、ありません。
D-39112: この番組の大体はあんたもご存じの通り、元気ウサギのバーナードっていうキャラクターを中心に動いてるんだ。こいつは両耳に同じ斑点がある遊び好きなウサギだ。こいつは犬警察のパーシーだけでなく、今日まで制作者が名前を明かしていない巨大なクモなんかに、いろんな種類のいたずらをよくやってるんだ。
(カレ博士は1分間メモを取る。)
カレ博士: なるほど。続けてください。
D-39112: 俺が子供の頃、この番組を見てただろ?テレビで見てたんだよ。空中がアイスクリームみたいに空気からそれを掬い上げていたんだ、まるで夢のような気分だったよ。テレビを持ってるか?
(カレ博士は7分間メモを取る。)
カレ博士: 持っています。どうして聞くのですか?
D-39112: ちょっと気になったんだ。俺のテレビには、時々遊び好きなウサギが出てくるんだ。買い物に行っても、ガラスの破片の中に両耳に同じ斑点のあいつがいるのが見える。あいつは俺のお気に入りのテレビの人物だぜ。
(カレ博士は5時間メモを取る。)
カレ博士: すみません。ウサギの名前はなんでしたか?
D-39112: バーナードだ。
(カレ博士は634年間メモを取る。)
カレ博士: 情報ありがとうございます。とても助かりました。
D-39112: 問題ないぜ。
(カレ博士が立ち上がり、面接室の彼の側のドアから面接室を出る。D-39112は、面接室の彼の側で同じようにする。)
<ログ終了>
テストログ4972-3:
被験者: カレ博士
ACC内での時間: 6時間。
サイト-22での収容違反の際、SCP-4972に割り当てられた警備員は、当該違反を止めて施設を確保するための取り組みを支援するために再配置されました。カレ博士は、この時点でSCP-4972の無許可試験を実施するためにACCに入ったと考えられています。彼は6時間後に警備員が戻った時に解放されました。検査では彼の体に異常はありませんでした。インタビューは、カレ博士がACCを出てから5分後にレスティ博士によって行われました。
<ログ開始>
レスティ博士: ジョン、どうしてそんなことをしたのですか?と言うか、どうしたのですか。
カレ博士: 知らなければなりませんでした。何かおかしかった。
レスティ博士: 何かおかしかったとはどういう意味ですか?お願いですから、あなたが何を考えていたのか、本当のことを説明してほしい。あなたは自分で実験手順を作成したのですよ!
カレ博士: 私はどちらですか?
レスティ博士: 何ですか?
カレ博士: 私ですか、それともあなたですか?できない…話すのが難しい。(笑い)助けてくれませんか?
(沈黙。)
レスティ博士: ジョン、大丈夫ですか?
カレ博士: はい。いや。いや、もちろん大丈夫じゃない。私はしなければ…私はそれが起こる前にあなたに知らせなければならない。
レスティ博士: 何が起こる前に?
カレ博士: 分からない。何か。何かが起こる、私には何かわからない。私はしなければ – 私はあなたに何か話さなければ、いいですか?
レスティ博士: 分かりました。次に進みましょう。
カレ博士: 開けるべきではなかった。開けてはいけません、ノア。私は…あれを見ました。言葉を持ってない、多すぎる。私たちは少し削らなければ、必要なのは10個ぐらいだ。私は何を言っているんだ?泡風呂のような感じです。
レスティ博士: 泡風呂?
カレ博士: 拡散、拡散、ええと、希釈、そうだ、それが言葉だ。それがそうだ – これを書いては駄目だ、これを書いては駄目だ!近づきすぎる!
レスティ博士: ジョン、どういう意味ですか?記録のインタビューを受ける必要があります。今後の試験に役立ちますよ。
(カレ博士は目に見えて過呼吸になる)
カレ博士: なにかおかしい。なにかがおかしい。考えては駄目だ、解決しようとしないで、近づきすぎています。何も言うべきではなかった。何も言ってはいけない、すまない。
(カレ博士は手を見下ろして叫び始める。レスティ博士が立ち上がる。)
レスティ博士: 何ですか?どうしたのですか、ジョン?
カレ博士: 私に何をした!?私の手!私の手を見て!ここは何だ!?ここは何処だ!?ここは何処!?
(2人目のカレ博士が観察窓に近づき、前かがみになって大きく笑った。人差し指でガラスをリズミカルに叩き、7秒後に床に沈む。)
(レスティ博士は向きを変え、面接室の横のドアから出る。カレ博士はそうしない。)
<ログ終了>