SCP-5036
評価: +9+x

アイテム番号: SCP-5036

オブジェクトクラス: Safe (当初はNeutralizedと推定された)

特別収容プロトコル: SCP-5036の8枚の破片はそれぞれ別の容器に収められ、他の破片から少なくとも6m離れた場所に保管されます。収容違反によって破片が1ヶ所に集まった場合、Nμ-イベントに続く1週間のうちに分離する必要があります — この期間のSCP-5036は不活性であり、安全に破片を取り扱うことができます。

説明:

Pieces-of-Eight.jpg

SCP-5036

SCP-5036はキャンベル元型誘因トークン1であり、17世紀後半にヌエバ・エスパーニャ副王領で鋳造されたレアル・デ・ア・オチョ銀貨の形を取っています。トークンは放射状に分割されて、ほぼ同じ大きさの破片8枚になっており、それぞれSCP-5036-1からSCP-5036-8と指定されています。

5個未満の破片を集めても異常な効果は発現しません。

半径15mの球形の空間内に5枚以上の破片が持ち込まれると、元型的物語事象 (Nμ-イベント) が発生して、その場にいる、もしくは後から効果範囲に入った人物らに影響を及ぼします。イベントの規模は、効果範囲に導入される破片の数に応じて増大します。

Nμ-イベントの影響者の多くは、以下のような特定の行動・態度を取らなければならないという心理的な強迫衝動を経験します。

  • 18世紀初頭のブリストル、イングランド、ウェスト・カントリーで一般的だったものと類似する訛りや言葉遣いを取り入れる。
  • 海事への異常なほど強い関心 (航海用語を使って海事以外の事柄を説明するなど) 。
  • アルコール飲料の過剰摂取。
  • 衣服装飾用の模造宝石、ホイルグリッターやスパンコール、小銭などのごく僅かな価値しかない物も含めて、光沢のある金属製または結晶質の物体を入手することへの執着。
  • 大袈裟な虚勢。2

また、一部の影響者は履物を脱ぐ、健康な片目を眼帯で覆う、バトン状の物体を振り回す、四肢や手足の欠落を補う義肢の装着を真似るなどして、肉体的な外見や服装を変えようとします。

その他の影響者は、上記のような振舞いを示さないまでも、やはり行動を変化させて物語の脇役のペルソナを取り入れようとする場合があります。

補遺 #1:

MTF 事後報告書 5036-C-1

関与したSCP: SCP-5036
関与したMTF: MTF タウ-10
日付: 1995年9月19日
場所: アメリカ合衆国、イリノイ州、シカゴ

背景: シカゴ交通局 (CTA) の公共バス内において、異常現象と推定される不審な言動が見られるとの報告を司令部が受ける。MTF タウ-10が現地に派遣され、バスを監視しつつ指示を待つように命じられる。

08:22、道路作業員及び消防士に扮したMTF タウ-10が現場に到着する。運転手と乗客を乗せたCTAバスが、公道のバス専用レーンに停車しているのが確認される。運転手と乗客らを暫定的にCV-01からCV-47と指定。司令部の指示に従ってバスから50m以上の距離を取りつつ、MTFは民間人が脅威に晒される危険性を抑えるために、“通行止め”標識と障壁の設置を開始する。バスの窓には太陽光が反射し、車内を観察することができない。バスのエンジンは作動しているが、乗降ドアは閉まっている。

08:28、MTF隊員らは特殊光学機器と長距離偵察マイクを設置する。司令部はMTFに対し、引き続きバスから距離を置くように指示する。

バスの車内から録音された音声の注釈付き文字起こし。

CV-01: (ビジネススーツを着た中年の白人男性) 「危ねぇ砂州だぜ、こいつぁ。せいぜい二尋しかありゃしねぇ。」

CV-02: (若いアフリカ系アメリカ人) 「座礁しちまったんかい? このままじゃ間違いなくくたばっちまうぞ。王立海軍は俺たちみてぇなならず者にゃ容赦しねぇからな。」

CV-03: (ホテルメイドの制服を着た中年のアフリカ系アメリカ人女性) 「止めるんだ、ボンクラども。右舷のオールを出しな。皆でこの砂州から船を押し出す。」

(様々な乗客が傘、杖、またある一例では買い物袋から取り出したフランスパンなどを、バスの右側の窓から突き出して何かを押す、またはオールを漕ぐ動作を真似る。)

CV-03: 「漕げ! 漕ぐんだ、この壊血病の犬ども!」

CV-04: (高齢のアジア系アメリカ人女性、バスの左側の通りの向こうにMTF隊員を発見したと思われる) 「船長! 帆です! 左舷に3ポイント! スペイン旗!」

CV-03: 「漕ぐの止め! 総員左舷砲座へ! あのスペイン野郎をモノにするか、さもなきゃ悪魔の手に転がり込むかだよ。片舷砲、用意、発射!」

(様々な乗客が傘、杖、フランスパン、花束などの様々な物体を、バスの左側の窓から突き出し、艦砲射撃を真似ながら“バーン”と叫ぶ。司令部はMTF隊員らに対し、バスから更に20m後退して伏せの姿勢を取るように指示する。)

CV-05: (バス運転手の制服を着た中年のアフリカ系アメリカ人男性) 「ハハッ! 甲板が綺麗さっぱり一掃されたぜ! 奴らそろそろ旗を降ろすかな?」

CV-03: 「直に乗船だ。豪勢なお宝が待ってるよ、野郎ども。西インド諸島のありとあらゆる富と、アラビアの真珠さ。」

この時点で、影響者らの自傷リスクや民間人への被害を防ぐため、MTFは麻酔ガス手榴弾を投入し、バス車内の全人物を成功裏に無力化する。司令部の指示に従って、MTFは引き続きバスから距離を置きつつも、小型飛行ドローンを開いた窓から侵入させ、詳細な調査を行う。SCP-5036の破片4枚 (後ほどSCP-5036-1からSCP-5036-4と指定) がバスの床に散乱しているのが発見され、異常物の可能性ありと判断され、収容及び今後の研究のためにドローンに回収される。バスの民間人らは特に問題なく回収される。

ドローンが回収したSCP-5036の構成要素4枚は、予備解析の結果、当初は異常性無しと判断され、SCP-5036はNeutralizedに指定された。その後、廃棄処分に向けて目録化が行われた際に、ムグベデ次席研究員は破片の形状から、まだ発見されていない構成要素がバス車内や乗客の所持品に残っている可能性があると推測した。この提案が司令部に伝えられた後、2回目の捜索が実施され、残りのSCP-5036構成要素と丸められたメモ (証拠物件5036-C-1-Aを参照) が、CV-03の小銭入れから発見された。解析は再開され、SCP-5036はSafeに再分類された。バスに乗車していた民間人らは健康診断を受け、記憶処理後に解放された。

補遺 #2:

補遺 #3:

ウィルバー・ムグベデ博士に授与された殊勲賞からの引用

サイト-146管理官は、財団を代表して、Nμ元型誘因体プロジェクトの副主任であるウィルバー・ムグベデ博士に、その職責を超え、生命を賭して示した目覚ましい創意工夫と果敢な活躍に鑑みて、殊勲賞を授与できることを喜ばしく思う。

2003年6月28日、サイト-146においてセキュリティ侵害が発生した。本件は、敵対する要注意団体の工作員がサイトに侵入し、財団保安部隊との交戦に発展したものである。この混乱によって、複数の敵対的な知性体が財団の収容下から脱走して、施設内を自由に徘徊し、更なる死傷者を出すこととなった。

サイト-146の西棟及び南棟の喪失が差し迫っていることを知らされたムグベデ博士は、他の職員と共に保安壕146-Eへ撤退することを断念し、代わりに財団保安部隊のチェ・トゥクォン大佐に連絡を取って、新たな防衛戦略を提言し、その実行を志願した。チェ大佐の計画承認後、ムグベデ博士は勇猛果敢にも、分離されたSCP-5036格納容器から単独で破片4枚を回収し、その過程で足に1発の銃撃を受け、また脱走したSCP実体による咬傷で左腕を喪失した。これに続いて、ムグベデ博士は重傷を顧みず、意図的に複数の敵対工作員と未収容SCP実体の周囲を引き付けて、自らを追跡させ、他のSCP-5036破片が一時的に保管されていた自らの研究室へと速やかに誘導した。ムグベデ博士と70名の敵対者が研究室に入り、チェ大佐が保安システムを介して戦闘行為の停止を確認すると3、保安部隊は侵入者らを武装解除・無力化し、SCP実体らを再収容した。

ムグベデ博士の迅速な判断と大胆な行動力は、彼自身、Nμ元型誘因体プロジェクトチーム、そして財団にとっての多大なる名誉である。

補遺 #4:

元型誘因体プロジェクト - 2009年4月8日付 状況覚書 (抜粋)

To: モーティマー・ホール博士 (応用超心理学部門長)
From: ウィルバー・ムグベデ博士 (Nμプロジェクト主任)
Re: リバースエンジニアリング・イニシアチブの現況について

プロジェクトチームの前四半期の結果を報告します。

昨年受けた指示に従い、当チームではSCP-5036に備わるキャンベル元型誘因機能のリバースエンジニアリングに向けた調査を進めています。この取り組みの成果は実りあるものでした。任意に選択したキャンベル元型の誘因トークンを設計・製造するための包括的なモデルは未だ確立されていませんが、どうやらSCP-5036の典型的な元型誘引効果を有するトークンの再現・複製に成功したようです。

我々は現在、異なる構成でトークンを設計・製造する工程のテストプログラムを試行錯誤で進めています。このプログラムでは“相棒”、“王侯の寡婦”、“巧妙な詐欺師”、“選ばれし者の選び手”、“妖婦”といった元型的役割の誘因体を開発できる可能性など、数多くの有望な手掛かりが得られています。

これらの元型に基づく役割は、いずれもそれ自体興味深いものではありませんが、私はこれまでの進展こそが、この方向性での更なる探究にリソースを割くのが有意義であるという見解を支持していると考えます。専門的な訓練を施すのが不経済である場合や、特定の役職に自発的に人材を充てるのが困難な場合などは特にそうですが、財団の運営に必要な役割を埋められる適切な元型誘因能力を開発することの有用性は明らかでしょう。

謹んで、

ムグベデ博士

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