SCP-5042
評価: +7+x
limb.jpg

アイダホ州ボイシにあるウェストヘッド・メディアの搾取工場跡地から回収されたSCP-5042-B-23。DNA鑑定の結果は決定的ではない。印章は映っていない。

アイテム番号: SCP-5042

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: ウェブクローラS29F87 ("JUMBLE")はSCP-5042-Aの関連キーワードを1時間に2回オンライン検索し、全ての結果をサイト-28に送信します。検証後、機動部隊ミュー-50(“私じゃない”)が即座に派遣され、SCP-5042-A漫画を回収し、局地的に記憶処理薬を散布します。SCP-5042-A漫画はサイト-28に帰還した時点で物理的・デジタル的にアーカイブされ、アメリカ国内の全サイトにコピーが配布されます。

機動部隊ユプシロン-27(“ゴー・ウェスト”)1のE分隊がミュー-50と並行して派遣され、SCP-5042-Cが存在する形跡を捜索し、発見された全てのSCP-5042-B実例を回収します。回収されたSCP-5042-B実例はサイト-28の低セキュリティ生物棟の冷凍保管庫に収容されます。全てのSCP-5042-C地点は立入禁止プロトコルに従って公共アクセスから隔離します。

説明: SCP-5042は3種類の相互に関連する現象を指します。

SCP-5042-Aは印刷前のアメリカ合衆国の新聞に異常な手段で挿入され、無作為な掲載予定の漫画と入れ替わる異常な連載漫画の総称です。この現象が発生する経緯は現在不明であり、インタビューを受けた新聞社はSCP-5042-Aの掲載に関する事前知識を持たないことが証明されています。

SCP-5042-Aは既に執筆されなくなった連載漫画2の新作として出現します。SCP-5042-A漫画そのものは異常性を帯びていませんが、その内容は模倣する原作からの大幅な逸脱を示します。最も一般的な逸脱は以下の通りです。

  • 原作にそのような描写があるか否かに関わらず、ユーモアを殆どないし全く含まないドラマチックな展開の急増。
  • 各コマ間ですら安定しない画風やレタリング。
  • ある登場人物が1本以上の体肢を負傷または喪失するモチーフ。
  • 繰り返し描写される、割れる卵および/または空のひび割れの象徴。

中断されない場合、SCP-5042-Aの連載は最初に出現してから約20日間、週7日を通して継続します。それ以降は新しい漫画が挿入されなくなり、通常の流通が再開します。本稿執筆現在、財団はこの現象が発見前後に最低でも█回発生したと見積もっています。

SCP-5042-BはSwietenia macrophylla3の木材とヒトの肉を組み合わせて作られた腕を指します。SCP-5042-B実例はSCP-5042-Aの執筆に使用されています。各実例の掌に焼き印でウェストヘッド・メディアのシンボルと特異な印章が残されていることから、SCP-5042-Bは部分的にゴーレム様の性質を帯びていると仮定されています。SCP-5042-C地点から除去されたSCP-5042-B実例が無生物化する事実もこれを裏付けています。

SCP-5042-Cはウェストヘッド・メディアがSCP-5042-A生産のために確保した場所です。SCP-5042-Cは例外なく、最寄りの新聞社の本社から██マイル圏内の賃貸スペースに位置します。全てのSCP-5042-C地点は労働搾取工場の条件を満たしており、栄養失調と睡眠不足の兆候を示す少数の人間従業員4が発見されています。一度に存在するSCP-5042-Cは1ヶ所のみです。連載が(自発的か否かに依らず)終了すると、SCP-5042-Cは24時間以内に放棄され、残存証拠を可能な限り破壊するための放火が行われます。

最初に回収されたSCP-5042-B実例群と、SCP-5042-Aの存在及びSCP-5042-C地点への放火の接点は、事案5042-20まで完全には確立されませんでした。詳細は補遺5042-2を参照してください。

発見: 財団が記録した最初のSCP-5042-A連載の発生は、当初は超常現象に分類されました。当時の記録のコピーは以下の通りです。

しかし、1ヶ月後、2回目の事象が“シカゴ・トリビューン”紙で発生しました。この事象は隠密機動部隊ファイ-45(“デューイ、トルーマンを破る”)のエージェントに発見され、速やかに抑制されました。その後間もなくSCP分類要請が承認され、EE-60CHには遡及的にSCP-5042-A-1の指定名称が割り当てられました。

補遺5042-1: SCP-5042-A漫画の要約リスト:

SCP-5042-A-#
連載漫画
影響された新聞
発行日
概要/注記
SCP-5042-A-01
カルビンとホッブス
オックスフォード・ヒルズ”、メイン州オックスフォード郡
2000年10月2日~21日
カルビンとホッブスはワゴンで丘を下るが、ワゴンは岩に激突して森の中に転がり込む。翌日の漫画で意識を取り戻したカルビンは、ワゴンが壊れており、ホッブスが左腕を失ったのに気付く。特筆すべき事に、ホッブスはぬいぐるみ状態のままであり(通常はカルビン以外の登場人物が周囲にいる時のみ)、この時点から連載が終了するまで定期的に詰め物を失っていく。目に見えて震えながら、カルビンはホッブスを抱き上げて鬱蒼とした森の中を歩き始める。対話はカルビンが両親を呼ぶ声、ホッブスへの辛抱するようにという訴え、そして長い沈黙を交互に繰り返す。各漫画の間の時刻は徐々に夕方から夜に移行し、間もなく満月が唯一の光源になる。最後の漫画で、ホッブスはもはやカルビンの腕に抱かれておらず、ただの詰め物の塊になってカルビンの周囲に散らばっている。カルビンは空を見つめながら、ギザギザのレタリング文字で「空が割れていく」と発言している。
SCP-5042-A-02
ピーナッツ5
シカゴ・トリビューン”、イリノイ州シカゴ都市圏
2000年11月11日~12日 (財団の介入により連載差し止め)
ライナス・ヴァン・ペルトは姉のルーシーにスクランブルエッグを作るのを拒否した結果、彼女に安心毛布を木の上から投げ捨てられ、木から落ちて右腕を脱臼する。パニックに陥ったルーシーは毛布と近くの棒で即席の添え木を作ろうとするが、この試みが成功したか否かは不明。背景では、雲一つ無い空に浮かぶ太陽の中心にひびが入っている。
SCP-5042-A-14
ブルーム・カウンティ6
ウィノナ日報”、ミネソタ州ウィノナ郡
2007年4月30日~5月6日 (以降の連載は打ち切り)
ブルーム郡の弁護士であるスティーブ・ダラスは、依頼人 — 自作を他者の搾取から保護したいと望む芸術家(名前は無く、作中に姿を見せない) — を弁護して法廷で論争する。翌日の漫画は裁判が休廷となる場面から始まり、駐車場を自分の車に向かって歩いていたスティーブは、スーツを着用した実体に呼び止められる。他数名の“ブルーム・カウンティ”登場人物の特徴を融合させた顔立ちをしているこの実体は、スティーブが弁護を続けるのを思い留まらせようと試み、弁護を止めるのが「お前の依頼人にとっても俺にとっても最善」であると主張する。困惑したスティーブが冷笑的に返答した後、実体はあからさまな敵意を示し、スティーブの身体を「そう苦労せんでも叩き割れる薄っぺらな卵の殻」に例えたうえで、既に警告は与えたと宣言する。日曜版の漫画で、実体は鉛のパイプを取り出し、骨折音が聞こえるまで大半のコマを通してスティーブの両足を殴打する。最後のコマで、血まみれのパイプを握った実体は読者のいる方角を凝視し、「自分が何したか分かってる野郎ども」に向かって「夜を閉ざし続けようとするとこういう結果が待ってるぜ」と脅している。

注記: 漫画の内容が猟奇的かつ不穏であるという読者の苦情に続いて、この連載はウィノナ日報により中断された。ウィノナ日報は編集者の謝罪、今後の連載漫画セクションの一時的差し止め、既に流通した新聞の回収で対応した。財団の活動は現存する新聞の押収と記憶処理薬の散布に限られた。
SCP-5042-A-20
キャシー7
アイダホ・ステーツマン”、アイダホ州ボイシ
2011年10月5日~10月6日
補遺5042-2を参照。

補遺5042-2: 事案5042-A-20: 2011年10月6日、ウェブクローラ“JUMBLE”は、Twitterユーザー@██████によってアップロードされた前日のSCP-5042-A-20漫画をフラグ付けしました。作中には、キャシーの夫であるアーヴィング・ヒルマンが両手足を脱臼して壁にもたれかかり、その背後で半狂乱のキャシーが電話をかける様子が描かれていました。コマ4枚分に及ぶアーヴィングの台詞は、一連の座標から成っていました。

漫画は速やかなコピーの後にTwitterから削除され、クラスI記憶処理薬が新聞発行地域に展開され、機動部隊ウプシロン-27-Eが即座に提示された座標へと派遣されました。これによって、“アイダホ・ステーツマン”本社から10マイル離れた場所の小さな賃貸オフィスが発見されました。探査の結果、数本のSCP-5042-B実例が様々な程度に散らかったにわか作りの作業机の前から回収され、ウェストヘッド・メディア従業員であるカート・ジェームストンの死体が発見されました — 2本のSCP-5042-B実例がジェームストンの折れた首を固く掴んでいました。ジェームストンはコンピュータ・ワークステーションの前で椅子に座り、ウプシロン-27-Eが派遣される1時間前に送信されたメールをMicrosoft Outlookで開いていました。メールの内容は以下の通りです。

大将、

お前の粘り強さには感心するよ。だがお前だって俺と同じぐらい、今回の軽い仕掛け技がお前にとってもお前んとこの手下にとってもろくな結果にならねぇのは分かってるはずだ。

俺にも分かるさ、本当だ。ウチの業界じゃ、お前らが“共感”と呼ぶ例の汚ねぇ寄生虫を抑え込むのが難しいことも時々ある。だがそれは必要なんだ。そうでもなけりゃ、自分は賢いと思い込んでるお前みてぇな奴らが押し寄せて、ウチの客だけでなく俺たちウェストヘッドの皆のために作り上げたもんをぶち壊そうとしやがる。日進月歩で目標に近付いてる最中に、そんな事させてたまるかってんだ。

ちょっと聞かせてくれ。今まで芸術家の夢を味わった経験はあるか? そいつらの心に手を伸ばし、フライパンの上の卵みてぇに割ったことがあるか?

いいや、大将、お前にゃ無理だろうよ。それでも、退職金を受け取るまでに考えとくべき事だぜ。

ウェストヘッド
[ミームトリガー削除済]

その後間もなくSCP-5042-BとSCP-5042-Cは双方ともに指定名称を割り当てられ、それに従って現在の収容プロトコルへと更新されました。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。