SCP-5066
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アイテム番号: SCP-5066

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-5066の生息領域は、特殊環境研究施設という偽装の下、財団によって封鎖されています。SCP-5066に曝露する危険性があるため、この施設内の観察は遠隔操作ドローンを使用して行われます。施設に立ち入ろうと試みる民間人は保安パトロールによって追い返されます。

無許可侵入者のSCP-5066汚染が確認された場合、対象者は記憶処理され、一般社会に解放されます。適切なカバーストーリーが対象者の死後に流布されます。許可を得ている職員のSCP-5066汚染が確認された場合、その職員はSCP-5066の影響について通達され、その時点以降は重要性の低い職務にのみ配属されます。

説明: SCP-5066は、アラスカ州のトンガス国有林にある50m×50mの領域に生息する、現時点では個体数不明の、目に見えない非物理実体群の総称です。その不可視性と非実体性のために、周囲で発生する背景音の軽い歪みを除いて、SCP-5066個体の存在を認識する既知の手段は現在ありません。背景音の歪みは、聴取者がSCP-5066個体に近付くほどに激しさを増します。

SCP-5066個体の発見は本質的に困難であることから、この領域の外部にSCP-5066個体が存在しないとは証明できません。しかしながら、過去にこの領域を訪れた人々を除いて、SCP-5066の影響力を示す事件は報告されていません。

人間とSCP-5066個体が居る空間が接触すると、その個体は被害者の身体に恒久的に付着します。SCP-5066個体を被害者から分離する手段は今日まで発見されていません。SCP-5066に汚染された人物は、付着したSCP-5066個体の位置を本能的に察知できると述べています — 具体的には、SCP-5066個体は常に被害者の真後ろにいます。

SCP-5066に汚染された被害者は、直接後ろを向くか、肩越しに振り返ると、脳機能の唐突な停止によって即死します。得られている証拠は、被害者に付着していたSCP-5066個体も同様にこの過程で死亡することを示唆しています。

SCP-5066は原因を特定できない突然死が続発した後に発見されました。全ての被害者は、死亡する直前にSCP-5066が生息する領域を訪れていたと判明しています。エリザベス・スノウ博士率いる初期調査チームの大半はSCP-5066に汚染され、SCP-5066の性質が推論されるまでに数多くの隊員が死亡しました。その後、現在の収容措置が制定されました。


補遺5066-1 (関連文書)

以下は“アルバスティの動物寓意集”からの抜粋であり、SCP-5066への言及だと考えられています。

ノクス・ヴォチュリ、またの名をライブフォーク、またの名をスミスの疫病、またの名を乗客について。

この世界には、パターンの横暴さによって引き裂かれた、己の物と呼べる死を有さない存在がいる。背後に潜むことが知られるこの破片たちは幾分良性の種に属するが、それは動機という観点のみの話だ — 不運にも彼らの道を横切った者は、より殺しに飢えた同族と出くわした場合とそう変わらない末路を迎える。

これらの存在は独自の死を奪われており、本質的に不滅なので、非存在の祝福に至るためには — より良い言葉が無いのでこう表現するが — “乗せてもらう”必要がある。そこで、定命の生物が接触すると、彼らはしがみ付いて二度と離さない。

老衰でも病気でも負傷でも、あらゆる死は乗客を解放するが、彼らは何よりもまず気短である。犠牲者が振り向いて、乗客の姿を見る時、中途半端に形成された結合は完了する — そして乗客は手を伸ばし、単純に彼らを止めるだろう。

もしも貴方が乗客に付き添われていて、もう少し長く存在し続けたいと望むのならば、私はこう助言する。決して、一瞬たりとも、振り返ってはならない。

貴方の幸運を祈る。


補遺5066-2 (インタビューログ)

以下はSCP-5066初期調査チームのリーダーであり、現在唯一の生存者でもあるエリザベス・スノウ博士へのインタビューです。インタビューを受けた時点で、スノウ博士はSCP-5066に汚染されてから50年以上経過していることに留意してください。彼女は既に引退しており、また高齢でもあるため、インタビューはイギリスのマンチェスターにある彼女の自宅で実施されました。

<記録開始>

(レステイ次席研究員がカメラのスイッチを入れる。スノウ博士はベッドに横たわっており、レステイが近付くと身体を起こす。レステイはベッド横の椅子に座る。)

レステイ次席研究員: カメラをオンにしました、マム。いつでも始められます。

スノウ博士: あら、良かった。ええ、そう、素晴らしいわ。 (沈黙) あなたのお名前は?

レステイ次席研究員: 次席研究員のレステイです、マム。

(沈黙。)

スノウ博士: つまり… 先週来たのと同じ?

レステイ次席研究員: はい、マム。

スノウ博士: ええ、ええ、勿論そうよね。辛抱してちょうだい。近頃は少し記憶が曖昧なの。

レステイ次席研究員: 全く問題ありません。もし宜しければ、マム、SCP-5066についてお話ししたいのです。あなたの、えー、SCP-5066との経験について。

スノウ博士: 勿論。それ以外に話したい事がそうそうあるとは思えないわ。彼は今ベッドの中よ。

レステイ次席研究員: ベッドの? どのように?

スノウ博士: ファイルを読んでいないのかしら、お若い人? あれは恒久的に私の背後にいる非実体のオブジェクトよ — 私がベッドの上に横になっている時は、ベッドを透過して内部に入り込んでいるの。

レステイ次席研究員: はい、その通りです、失礼しました。話す前に考えるべきでした。

スノウ博士: (溜め息) この頃は酷く調子が悪いのよ。ごめんなさい、話が逸れたわね? …SCP-5066についての話。あれとの個人的経験でしょう?

レステイ次席研究員: はい。

(沈黙。)

スノウ博士: 当時の私は… 若くて馬鹿だった。自分を天才だと思っている類の馬鹿だった。成功に酔っていた — ほら、当時は例の終末時計騒動を何とかしたばかりの時期だったのよ。

レステイ次席研究員: そうでしたね。

スノウ博士: 私たちは何時間もあの森を歩いて、グレイソンは文句を言い通しだった。1分ごとにぼやいてたに違いないわ。 (含み笑い) あなた… グレイソンにはもうインタビューした?

(沈黙。)

レステイ次席研究員: いえ… いえ、まだです。

スノウ博士: そうした方が良いわよ。彼が話す物語はきっと聞く価値があるから。

(沈黙。)

スノウ博士: 私たちは森を通って… あの、音が狂った場所を発見した。雨粒は甲高く鳴く鳥のようで、草を踏みしめる音は… 壁に拳を叩き付けるように聞こえたし、声は… 声は全く良い響きではなかった。

レステイ次席研究員: 歪曲効果ですね。

スノウ博士: やがて、それは止まった — 私はそいつが自分と一緒に、自分のすぐ後ろにいるのを察した。アンブローズの双子はすぐさま振り返ったわ、可哀想な子たち、そして彼らの後にもっと沢山。勿論目を覆いたくなるような光景だったけれど、とにかくそれで振り向くのは賢い選択じゃないと理解した。だから、私と他の生存者たちは非常に慎重に文明社会へと引き換えして、何が起きたかを上司に伝えた。

(沈黙。)

スノウ博士: (静かに) 私はとても幸運だったのよ。

レステイ次席研究員: そうだとしても、何十年もSCP-5066と共に生きるのは… 簡単ではなかったでしょう。

スノウ博士: きっと驚くでしょうね。音を聞いた時、とっさに肩越しに振り向かないようにするには強い自制心が求められる。それに、方向転換する時はまるでマヌケのように見える — 前進しながらゆっくり、ゆっくり向きを変えなければならない。それでも一緒に生きていける。人間はあらゆる物と共存できるんだと思うわ。

レステイ次席研究員: それで、財団でのキャリアは?

スノウ博士: ああ、勿論死んだわ — そう言っても構わないくらい下に落ちた。二度と権威者の地位には立てなかった。理に適っているけれどね。責任者がいつ何時死んでもおかしくないプロジェクトなんて、危なっかしくてしょうがないもの。いずれにせよ、財団は私を傍に留めてくれた。感謝しているわ。

(沈黙。)

スノウ博士: それで? 他には何かあるかしら、グレイソン?

レステイ次席研究員: ええと、レステイです、マム。

スノウ博士: 大した違いじゃないわ。1つの疑問が頭の中にあるけれど、それを口に出すべきではないと感じている — あなたの顔にそう書いてある。

(沈黙。)

レステイ次席研究員: 博士は今まで… 気になったことがありますか? つまり、誘惑されたというか、その… お判りでしょう。

スノウ博士: 振り向いてあれを見たいと? ええ、勿論。アンブローズの双子の検死結果を読んだ時を覚えているわ。死ぬ直前、最後の一瞬で彼らの目は広がった — 犠牲者たちは誰しもそうだった。彼らは全員何かを見た。犠牲者には、最後の瞬間に何かが見えている。

レステイ次席研究員: それは… きっとかなりの自制心が必要でしょう。

スノウ博士: きっとそうね。でも、告白しなければならないけれど、私にはもうそこまで強い自制心は残っていない。

レステイ次席研究員: マム?

スノウ博士: 静かに、グレイソン。私はもう相当な年寄りだし、とても疲れているのよ — 私の乗客も。私よりも遥かに疲れていると思うわ。

(沈黙。)

スノウ博士: …自分であり続けようとするのがね、苛立たしくて仕方ないの。記憶や感情を素手で掴み、指の隙間から漏れていくのを見つめ、やがてはもう自分の手さえ見覚えが無いと気が付く。もうそんなのはうんざりよ。

(スノウ博士はベッドに体を横たえ、目を閉じる。)

スノウ博士: (静かに) そう遠からず、私は振り返って、大昔からの友人と出会うのでしょう。

<記録終了>

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