副次クラス:
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撹乱クラス:
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特別収容プロトコル: SCP-5095は1947年██月██日を以て、無力化されたと考えられています。
説明: SCP-5095は、テニア科に属する他の円葉目条虫に類似した異常な寄生生物です。SCP-5095はヒト科動物、典型的にはヒトの頭蓋腔にのみ生息しており、そこでヒトの脳内の灰白質に付着し、異常なプロセスを経て栄養化合物に変換された合理的思考力を消費することで成長します。
SCP-5095の成長は類似種に比べて著しく遅い速度で進行します。幼虫は30年を超えて成長する可能性があり、その間にSCP-5095の摂餌行為は宿主の認知機能を実行する能力を徐々に損なわせ、最終的には脳死を引き起こします。生きている宿主からSCP-5095を摘出する試みは、これまでのところ成功していません。
1960年██月██日から1967年██月██日の間に、既知の全SCP-5095実例が成熟し、続いて死亡しました。さらなる実例は確認されていないため、SCP-5095は無力化されたと推定されています。
補遺5095-1: 発見
SCP-5095は、1938年にアメリカ合衆国東部で発生した一連のアウトブレイクの後、メアリー・エリオット博士によって最初に発見されました。合計で██人の民間人が各SCP-5095実例に感染し、その後隔離されました。プロトコルに従って、SCP-5095の公衆への露見を防ぐために標準的なメディアの削除が行われました。
補遺5095-2: 感染実例
SCP-5095の正確な効果には個人差があります。以下に、初期アウトブレイクの結果として生じた、著しく性質の異なる症状を呈した3つの症例を挙げています。罹患者の完全なリストについては、5095症例UNAを参照してください。
アーノルド・ウィッツ
推定感染日付: 1938年8月
感染進行状況: 感染が疑われてから2年後に症状を発症。罹患者の症状は32年の間に悪化し、1961年4月10日に終了しました。症状には以下が含まれます:
• 健忘症
• 認知障害
• 幻覚
• 偏執症
アーノルドは、SCP-5095に感染していることが最初に確認された感染者でした。実は彼は以前財団に勤務しており、当時の私の同僚の一人でした。彼が物忘れをするようになった頃から、私は何かがおかしいと疑い始めました。それ以降、彼の状態は悪化していくばかりでした。以前、彼は世界でも有数の超生物学者でしたが、10年も経たないうちに、彼は細胞構造を理解することすらできなくなりました。 — メアリー・エリオット博士
シェリー・コーネル
推定感染日付: 1938年12月
感染進行状況: 罹患者は5年以上感染していましたが、終了する1週間前まで症状を示しませんでした。症状には以下が含まれます:
• 攻撃性
• 認知症
• 強迫神経症
• 感情麻痺
シェリー氏は身近な人たちから、優しくて愛情深い母親、情熱的で忠実な友人と評されていました。彼女から何かが"失われて"いたことには疑いの余地がありませんが、彼女は亡くなる数日前まで倒れることがありませんでした。— メアリー・エリオット博士
リチャード・ウィリアムズ
推定感染日付: 1938年4月
感染進行状況: 罹患者は、初感染から11年後、終了する3ヶ月前まで症状を示しませんでした。症状には以下が含まれます:
• 健忘症
• 認知症
• 高揚状態
• 興奮性
リックは、私たちが連れてきたとき、まだ7歳でした。彼は人生の最後の数週間まではほとんど正常であったにもかかわらず、恋に落ちたり、子供を育てたり、年をとって平穏に過ごしたりできるようになる前に、普通の生活を奪われてしまいました。私は彼が監禁されながらも成長していく姿を見ていました。彼は私にとって第一子のような存在でした。 — メアリー・エリオット博士
補遺5095-3: インタビュー
インタビュー記録
日付: 1949年5月29日
インタビュアー: メアリー・エリオット博士
インタビュー対象: リチャード・ウィリアムズ
[ログ開始]
エリオット博士: こんにちは、リック。
ウィリアムズ: めありーはかせ!
(ウィリアムズは満面の笑みを浮かべる。)
エリオット博士: 会えて嬉しいですよ。
(エリオット博士が座る。)
エリオット博士: 最近体調がすぐれないと言っていたそうですね。そうなんですか?
(リックはエリオット博士をぼんやりと見つめる。)
エリオット博士: リック?
ウィリアムズ: めありーはかせ!
(ウィリアムズは満面の笑みを浮かべる。)
エリオット博士: そうですか。
(エリオット博士は悲しそうに微笑み、メモを見直す。)
エリオット博士: リック、気分はどうですか?
ウィリアムズ: わかんない。ぼくしあわせ!
エリオット博士: それでは、物事を考えることについてはどうですか?
(ウィリアムズは一瞬眉をひそめる。)
ウィリアムズ: かんがえることをかんがえるのはむずかしいよ、めありーはかせ。
(エリオット博士はノートにいくつかの観察結果を記録している。)
エリオット博士: じゃあ、こうしましょう、リック。あなたがもう一度はっきりと考えることが出来るようにするのを手助けしてみます。
ウィリアムズ: おーけー!
エリオット博士: あなたの脳には — そう、虫がいるのですよね、リック。
ウィリアムズ: あのこのなまえはめありー、あなたとおなじみたいで、ぼくのあたまのなかにすんでるんだ。ここにね!
(ウィリアムズは膨らみが頭蓋骨から突き出ているのが辛うじて判別できる後頭部を軽く叩いた。)
エリオット博士: 私たちはあなたの頭からその虫を取り除こうとしているのですよ、リック 。わかりますか?
ウィリアムズ: そのことばのいみってなんだっけ?
エリオット博士: どの言葉ですか?
ウィリアムズ: "むし"。きいたことがないとおもうんだ。
(エリオット博士はウィリアムの手にそっと自身の手を重ねる。)
エリオット博士: あなたにはたくさんお礼を言わないといけませんね、リック。
(ウィリアムズはぼんやりとエリオット博士を見つめ、満面の笑みを浮かべている。)
エリオット博士: まだあなたが私の言っていることを理解できるかどうか分かりませんが、私、来週昇進するんです。あなたとお別れをしなければいけません。
(エリオット博士はため息をつく。)
エリオット博士: 行く前に自分が手助けできることをしているのです。そして、あなたを長い間こんなところに閉じ込めてしまったことを申し訳なく思います。
(エリオット博士が休止する。)
エリオット博士: でも、私は先に進まないといけないんです、リック。私にはもう娘がいるんです。あなたのママみたいに、ルーシーって名付けました。あの娘はあなたと同じようにとっても頭がいいんですよ。
(ウィリアムズの手を強く握りしめながら、エリオット博士は目から涙を拭う。)
ウィリアムズ: えりおっとはかせ?
エリオット博士: どうしました、リック?
ウィリアムズ: る-しーとともだちになってもいい?
(エリオット博士は公然と泣きながら、優しく笑う。)
エリオット博士: あなたはもうすぐここから出られますよ、リック。そうしたら普通の世界であの娘と友達になれます。
ウィリアムズ: またあえるかな?
(エリオット博士はため息をつく。)
エリオット博士: 頑張ってみます。
ウィリアムズ: やくそくだよ?
エリオット博士: また会うことを約束します。いつかこの人生で、それとも別の人生でかもしれませんが。
[ログ終了]
補遺5095-4: SCP-5095の除去
1949年5月30日、メアリー・エリオット博士は、生存している罹患者リチャード・ウィリアムズよりSCP-5095実例を除去しようとしました。手術中にリチャード・ウィリアムズが終了し、エリオット博士は[データ削除済]。
このデータを削除済みにしておくべきではないことは分かっているが、古いファイルが壊れていて、完全なクリアランスファイルを復元できないんだ。— O5-12
私はO5-3に目立った症状が進行していることから、感染してからある程度経過していると推測している。もしO5-3が現在のペースで仕事を続ければ、彼女は認知機能を完全に制御できなくなるだろう。