クレジット
タイトル: SCP-5096 - チョウにはチョウのやり方があるƸ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
著者: DianaBerry
GreyPercival
オリジナル: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-5096
訳者: Koromogawa
画像: ディスカッションをご参照下さい。
本記事は、CC BY-SA 4.0ライセンスの下で提供されます。これに加えて、本記事の作成者、著者、翻訳者、または編集者が著作権を有するコンテンツは、別段の定めがない限りCC BY-SA 3.0ライセンスが付与されており、同ライセンスの下で利用することができます。
「コンテンツ」とは、文章、画像、音声、音楽、動画、ソフトウェア、コードその他の情報のことをいいます。
アイテム番号: SCP-5096
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-5096はサイト-08の改造を施したクラス-7生物用収容セルに収容されます。このセルからは全ての生命維持装置1が撤去され、代わりにSCP-5096が乗って休むための高さ5mのコンクリート製の台座が設置されます。
SCP-5096は、全ての土壌及び他の形態を取る粒子状のケイ酸塩からは最低3メートル離され、環形動物門2及び節足動物門3に属する生物からは最低50メートル離されます。
イベント・ガーデンパーティーの2週間後、SCP-5096のセルに残ったSCP-5096-2実例は除去されます。以前に文書化されていない様な特性を示すSCP-5096-2実例は、今後の研究のために保存されます。他の実例は全て標準生物収容法に則って保管されます。

収容される以前のSCP-5096。
説明: SCP-5096は1匹のヒメアカタテハ(Vanessa cardui Rhopalocera)に対する指定です。SCP-5096はジェーン・ウッズバローによる「昆虫の一生: 昆虫学の裏に隠された研究と物語」という表題の昆虫学の本(SCP-5096-1に指定)を生成する事ができます。SCP-5096は羽を羽ばたかせる事で、SCP-5096-1のページをめくる事が可能です。SCP-5096-1が開かれたとき、選ばれたページ上で描写されている環境が発現します。(例えば、一般的なミミズについてのページは土と草の生成という結果をもたらします。)
SCP-5096が土壌または他の形態を取る粒子状のケイ酸塩へ導かれた場合、SCP-5096は数体の複製(SCP-5096-2に指定)を生み出します。環形動物門または節足動物門に属する生物へ導かれた場合、SCP-5096の周囲全体は(屋内であるにも関わらず)屋外のものに変化し、SCP-5096-2実例は環形動物門または節足動物門に属する生物へと変態します(イベント・ガーデンパーティーに指定)。その影響は、例えSCP-5096へ導かれた生物が除去されたとしても存続します。イベント・ガーデンパーティーは約2週間続き、それまでSCP-5096-2実例は除去不可能です。ただし特筆すべき事に、SCP-5096-1で描写される環境に沿って発現する土壌とSCP-5096が相互作用する場合には、このイベントは発生しません。
補遺1: SCP-5096-1からの抜粋
ページの番号: 23
ページの内容: ワモンゴキブリ(periplaneta americana)の生息地・習性。
影響: SCP-5096のセルの一部分が湿ったセメントと家のガレージの様な形をした石に変化した。食べかけの食べ物が舗道に撒き散らされており、9匹のゴキブリが前述の食べ物をあさって食べている。SCP-5096はそれぞれのゴキブリへ向かって羽ばたき、食べ物を回収するのを手伝った。SCP-5096-1が閉じられるまで、SCP-5096は影響範囲内に留まっていた。
付記: 29ページの余白にある手書きのメモの転写: 「大勢の人がゴキブリを嫌うけれど、俺は純粋にこのちびっ子たちが好きだ。出来る時ならいつでも、俺はこの子たちが食べ物を取るのを手伝う。そしてこの子たちが唯一望んでいるのは、雨から逃れるためのシェルターなのだ! どうしてあなたはこの可哀想な生き物を潰すのか? 虫はあなたの思うより我々に似ている、あなただって雨の中で飢餓に陥るのは嫌いだろう」
ページの番号: 40
ページの内容: 一般的なミツバチ(Apis mellifera)の習性。
影響: 中央にある大きな空洞にミツバチの巣を有する大きな木の幹が、数個の石や小さな草地と共に発現した。SCP-5096は巣の周りを羽ばたくものの、SCP-5096-1が閉じられるまでの約2分にわたって、用心深くハチの縄張りの外で滞空していた。
付記: 40ページの余白にある手書きのメモ転写: 「俺はハチが好きだ。ハチはおとなしい。俺はおとなしいのが好きだ。多くの人はハチを危ないものだと思っているけれど、奴らはあなたを傷つけたいとは思っていない。あなたを手伝いたいのだ! あなたの庭を、なりうる限り最高の状態にしてあげたいのだ! そういう意味では俺は奴らと似ているかも知れない。俺は庭で奴らを見るのに多くの時間を割いている。あなたはハチに手伝わせてあげるべきだ」
ページの番号: 67
ページの内容: ジンサンシバンムシ(Stegobium paniceum)の生息地・習性・素性。
影響: SCP-5096のセルの一部が、乾燥したタイルと大きなドライドッグフードの袋へと変化した。食物をあさる数十匹のジンサンシバンムシが中に見られる。SCP-5096は影響範囲の下を羽ばたき、そして逃げる様に飛んでいった。
付記: 67ページの余白にある手書きメモの転写: 「ねえ、ジンサンシバンムシだってなかなか面白いだろう? 奴らに関して色んな話がある。その名前が、ドライハーブや植物といった医薬製品を好んで食べる事に由来しているって知ってたか?4 ハハ、なんかかっこいいよな! ほとんどの人が奴らを邪魔者だと思っているけれど、でも奴らってちょうど俺たちみたいだと思う。最近は以前にも増して外食を食べているけれど、まあ、良いのさ! 観察の時間とこの本のための資料を俺にくれるからね」
ページの番号: 115
ページの内容: ヒメアカタテハ(Vanessa cardui Rhopalocera)の生息地・習性・情報。
影響: SCP-5096のセル全体が、木、壁から突き出た屋根付き玄関とドア、草、花、昼間の空を含む、温帯気候で典型的に見られる様な裏庭に似た環境を再現したものへと変化した。他の虫は出現しなかった。SCP-5096は、草にかぶさっている紙の山の上に着陸するまでの約5分の間、セル全体を羽ばたいていた。SCP-5096-1の影響は、それが閉じられてから約7分後に消滅した。
付記: 115ページの余白にある手書きメモの転写: 「俺が生まれ育った場所の一部を見せてもいいかもしれないな、え? 実際には俺はただここにいるチョウについて話しているだけだ、でも俺が言いたいのは、俺は今それと繋がっている様な感じがするって事なんだ。まだ俺が何かをここに書く事が出来るのは不思議な事だよ。でも、俺はどうやってこれを共有しよう? 外には昆虫についての本がごまんとある、でも君は俺よりも虫に情熱的な人を絶対に見つける事は出来ない。これからもメッセージをまき散らしてやる、どうにかしてそこへ辿り着くんだ」
補遺-2: SCP-5096の発見から約2ヶ月後、ジェーン・ウッズバローの家が空き家になった状態で発見され、これがSCP-5096と関連していると考えられています。家の中からは、内部に複数のチョウが入った室内用のチョウ飼育ケースが発見され、またその隣には積み重なったメモがありました。
やあ! 君は虫についての本を書こうとしているんだね! Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
驚く必要は無いよ、僕はチョウさ、お化けじゃないよ! 見える? 僕はここにいるよ! Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
ごめん、君が何を言っているか分からないな。僕が取り込めるのは書かれた文章だけなんだ。でも僕は至って普通の感情を持ち合わせてるからね。 Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
あー、分かった、こんにちは?
こちらこそ、こんにちは! Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
お前はどうやって俺の事を知ったんだ? というか、これが現実か現実じゃないかなんてどうすれば分かるんだ?
現実だよ! 君からは虫に対する愛を感じるな、僕は他の人とそれを共有したいと思っているんだ。でも……僕はチョウだからさ、どうやって人間と喋ったらいいか分からないんだ…… Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
でも僕には喋れるじゃないか。
君は他の人とは違う。人間というよりはむしろ虫みたいだよ。 Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
それがどういう意味かはよく分からないけれど。でも、うーん、俺は昆虫とかそれに似た生き物についての本を書いているんだ。もしかするとお前は役に立つかも知れない。他に何か書く事が無いか、探させてくれ。
おーい、メモ用紙はまだあるな。じゃあ、もう完成したから、もう一回出版社を調べ直さないと。
大自然に出版を任せたらいいんじゃない? Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
どういう事?
母なる大自然と僕は友達さ! もし君にもう少し僕と近いものになろうという気持ちがあれば、僕たちはこの本をまた違う方法で共有できるよ。僕はこの本をとても神秘的に出来るし、沢山の読者を君の本に没頭させてあげられるよ! Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
お前ってもしかして、本当はチョウになりたかった訳じゃないのか? 俺がチョウにならなくても、本だけを神秘的にするってのは出来ない訳か?
チョウにはチョウのやり方があるのさ、ジェーン! Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
妙な話だけど、何だか俺はその中に平和を見出だせるよ。
どういう事だい? Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ
つまり、僕もまた誰からも全然気付いてもらえない様な人間なのさ。でも君みたいに生きれば、僕がやりたいと思っている事をやりやすくなるんじゃないかなと思うんだ。チョウはどこにでも行ける。俺のメッセージはついに届くんだ。
その通り! 僕たちはメッセージを一緒に届けられるのさ。まあ、少なくともそれが僕のモットーだよ。チョウは育ち、変化し、幸せを見つけるんだ、そして僕はみんなにそれを出来る様になって欲しいと思っているよ…… Ƹ̵̡Ӝ̵̨̄Ʒ