アイテム番号: SCP-510-KO
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-510-KOは標準的なSafeクラスオブジェクト隔離セルに収容するか、隔離セル内部は対象収容している間常時真空状態を維持しなければなりません。収容時には外部からの衝撃でオブジェクトが動き、意図せず電源が入らないように支柱を設置し、対象を固定します。オブジェクトの「範囲設定」は、実験時に限り、常時「5m」と合わされなければなりません。オブジェクトの隔離セルから半径5m以内には、いかなる音響機器と音響機器が備えられているデジタル機器も持ち込むことは禁止されます。オブジェクトが追加で確保された際にも、これらと同様の方法で保管します。SCP-510-KOのアーカイブされたサイトの職員には、すべての標準聴覚阻害防御装備を装着し、備数が不足する場合は、「サイト管理者と司令部の職員、サイト警備員、Bクラス以上のシニアスタッフ、一般職員、補助員」の順位にて支給されます。
SCP-510-KOを使った実験は、クリアランスレベル3以上での許可が必要であり、別途用意された財団私有地で行われます。事前に航空機を含んだすべての交通網に対して規制を行う必要があり、実験に参加する職員は被験者を除き、すべての聴覚阻害防御装備を着用したまま実験します。実験の際には、必ず文書510-KO-Eを所持したまま文書に記述された「連鎖増幅」が起こる条件を避けた上で実験を行うようにします。
オブジェクトには、発信機能を備えた感知センサーを取り付け、許可なしにオブジェクトが隔離セルから抜け出てきたか、実験地を脱走した場合のサイト全体、あるいは周辺地域に対し「コード・イエロー」を発動し、すべての職員が聴覚阻害防御装備を装着後、対応班が出動しSCP-510-KOを所持した者を制圧、拘禁してSCP-510-KOを回収するようにします。 「コード・イエロー」に備えた訓練は、4週間に1回、定期的に実施されます。もし「連鎖増幅」が発生した場合、「コード・イエロー」を「コード・レッド」に再指定し、その事態をXK-クラス: 世界終焉シナリオを誘発させる存在であると考慮し、利用可能なすべての武力をもってSCP-510-KOの動作を中断させます。最悪の場合、EMPを使用したオブジェクトの無力化が実行されます。
説明: SCP-510-KOは、一般的に市販の入手可能な無線マイクと類似した形態をしています。オブジェクトは、いかなる電力供給がなくても動作可能であり、側部には「範囲設定」と書かれたダイヤルが存在します。ダイヤルは5段階あり、各段階ごとに半径5m、50m、500m、5km、50kmと書かれています。ボタンの形となっているSCP-510-KOの電源スイッチを上げ、マイクに音声を入力した場合、「範囲設定」の範囲内にあるすべての動作可能な音響装置と、音響装置が含まれているデジタル機器からマイクに入力された音声が増幅されて出力されます。
SCP-510-KOの異常性は、オブジェクトに歌や、あるいは音楽を入力する場合に発生します。人間、あるいは人間と同じ形態を取った人型オブジェクトがSCP-510-KOで入力され、音響装置を介して出力された歌や音楽を聴いた際、即座にその時点までに行っていたすべての動作を中断し、音楽を鑑賞します。この際、音楽のジャンルに応じて鑑賞するときの行動が変化し、クラシックやバラード系の音楽では座ってじっくり音楽を鑑賞しながら、ロック系の音楽の場合には、歓声を上げたり、音楽に合わせて体を激しく振るなどといった行動を取ります。しかし、どんなジャンルでも、音楽を鑑賞する過程で周囲に被害を及ぼす事はありませんでした。歌が終了した場合、その曲を鑑賞していた人物は、その歌について絶賛します。これは対象個人の音楽の趣向とは関係なく発生します。対象の音楽的知識等が深いほど、曲について評価する際に、より文学的な表現を使用します。歌を歌ったり、音楽を演奏した人員の音楽に建設的な助言をしている場合も確認されています。歌や音楽がいくら良い技術を持ったものでなかったとしても、対象がこれらに対して否定的な反応を見せることはありません。これらの際に、発展できる点や補強すべき点について言及し、努力すればすばらしい歌や音楽になると評価します。また、SCP-510-KOを介して歌を聞いた対象は、その後音楽素養を深め、音楽に対しての関心が高まります。
SCP-510-KOは歌を歌った人物にも影響を与えるため、一度SCP-510-KOを介して歌を歌ったり、音楽を演奏し始めると、外的に強制してその人物の演奏を中断させるまで、周囲で何が発生しても演奏を中断しません。また、歌や音楽の雰囲気に応じて、感情の状態が変わります。歌を歌ったり、音楽を聴い人物もSCP-510-KOを使用した後に音楽の素養を深められ、歌を歌ったり、楽器を演奏する実力がその前より向上します。SCP-510-KOの影響は、音楽や歌を演奏する者も、聞く者もすべて聴覚阻害防御装備を装着することで防ぐことが可能です。
音響機器を介して出力された歌や音楽がSCP-510-KOを介して再入力されても、ハウリングが超音波領域で発生するため、これによる騒音被害は発生しませんが、このような音楽の再入力が発生した場合は表記される「範囲設定」よりもさらに広い範囲で影響を及ぼし、歌や音楽をより劇的に熱狂させることとなります。この現象は、出力デバイスに出力された音楽や歌が再びSCP-510-KOで入力されるたびに増幅されます。 「範囲設定」5mを基準に、音声が出力される機器の正面を基準に両側に45度の中で、60dB以上の音楽や歌が入力された場合、これらの「連鎖増幅」現象が無限に繰り返されます。 「範囲の設定」がこれより高い段階になるほど、これらの連鎖増幅の速度がさらに加速されます。連鎖増幅は、SCP-510-KOの特性上、演奏が終わり、または使用している人物に物理的な制止を行使するまで中断されないため、演奏中は無限に範囲が拡大されていきます。したがって、最悪の事態となった場合、XK-クラス: 世界終焉シナリオを引き起こすことが可能です。 「範囲設定」による連鎖増幅の発動条件は、文書510-KO- Eで確認することができ、現在進行されているSCP-510-KOに関連する研究プロジェクトのメンバー、あるいはクリアランスレベル3以上の許可を得た者だけが閲覧することができます。
対象がどのような基準で、一般的な音声と音楽、または歌とを区別するのかについてはまだ研究段階です。明確な事としては、対象が音楽や歌であればジャンルに関係せず、どのようなコーラスや伴奏もなしに単純なメロディーだけで反応し、さらにドラムなどの打楽器を使用して作成されたリズムだけでも反応することが明らかとなりました。具体的な研究の結果は、財団学術論文検索サービスにて「SCP-510-KO」を検索して閲覧することが可能です。
SCP-510-KOは20██年8月12日、真昼の樫の木さすらい楽団が[編集済]市の公園で開催した「市民と一緒に野外音楽コンサート」の公演現場で発見されました。当時休暇中だったジュソ研究員が開催団体を確認し、現場へエージェントを呼び出しており、以降のエージェントが到着する前にSCP-510-KOの特性のために連鎖衝突事故が発生しました。その事故は現場にいた研究員と、遅れて到着したエージェントによって回収されており、市民はクラスB記憶処理を受けた後に日常生活へ開放されました。楽団関係者は、事故について「音楽に集中するという機能自体は意図したが、その効果があまりにも強く、意図せずに発生した事故だ」と答えており、「どうせ不良品なのだから財団の皆さんが担当しておられる方が安全だろう」として財団職員へオブジェクトを譲渡しました。以来、外務省を通じて、その事件について公式に質問された際も同様の回答をしており、オブジェクトの「改良品を製作中である」ということを明らかにしました。
補遺: 事件記録510-04
20██年█月██日、サイト-27で発生したカオス・インサージェンシーによるSCPオブジェクト収容違反未遂事件の際に、SCP-510-KOの隔離施設の近辺に所在していたジュソ研究員がSCP-510-KOを収容施設から搬出し、故意に 「コード・イエロー」を発生させ、「範囲の設定」を半径50mにした上で歌をサイト全体に放送しました。聴覚阻害防御装備を持たなかったカオス・インサージェンシーのエージェントはSCP-510-KOの影響により全員が音楽を鑑賞していたため、聴覚阻害防御装備を装着していた機動部隊によって即座に鎮圧されました。許可なくSCP-510-KOの収容状態を解除したジュソ研究員は、簡単な質問後、何の悪意がなかった事が確認された後に一週間謹慎処分が下されました。
有事の際にSCP-510-KOを要注意団体の攻撃や人型のオブジェクトの収容違反時の制圧用途に使用できるよう、手続きを改正することを要求します。このオブジェクトを使用して収容違反や要注意団体の攻撃時に、より効果的に敵を制圧して作戦時の死傷者を減らすことが可能だと判断します。 - ジュソ研究員
要求は保留します。「連鎖増幅」の危険性の観点から見た時、まだ当該オブジェクトを使用するには時期尚早と判断されます。しかし、計画自体は検討しましょう。 - サイト-27管理者