アイテム番号: SCP-5100 | レベル5/5100 |
オブジェクトクラス: Keter | 機密分類 |

甘粛省に存在するサイト-271。SCP-5100の約4ヶ月後に撮影された写真。
特別収容プロトコル: SCP-5100に関する知識は、上級管理職員と関連区域サイトに所在する職員を除く世界中の全職員から制限されています。当該サイトの職員は他国サイトの職員とSCP-5100について議論することは禁止されており、この規定の違反に対しては厳罰が科せられます。
即時収容プロトコルはSCP-5100の結果として失われた異常実体の再収容に注力しています。この文書の執筆時点で13体の実体が回収、機動部隊によって国境国のサイトに収容され、さらに8体以上の所在が特定されており、再回収待ちの状態です。
2番目の優先事項は中国国内の財団サイトの回復であり、可及的速やかにその支援を行います。失われた職員を回復できない場合、現地組織から雇用された職員をサイトに補充します。サイトへの補充後、収容設備を修理するためにエンジニアが派遣されます。
中国の文民政府はSCP-5100を認識しましたが、彼らの支援は不要、もしくは望まれていないということが通告されました。
説明: SCP-5100は、2019年2月12日に発生した中華人民共和国の国境内における財団のあらゆる活動の完全な停止のことです。全ての精密機械は動作機能を消失し、全職員は連絡が途絶えたか、行方不明であることが確認され、国内の全201個のサイトは電力を消失しました。収容設備の故障によって、イベント直後に53体の異常実体が収容違反を起こしました。
SCP-5100の原因は現在不明です。当イベントは自発的に発生したものであり、この文書の作成時点では中国、もしくはその他の地域のあらゆる組織や要注意団体は当イベントの責任を主張していません。このような出来事を発生させるほど強力なアノマリーは、SCP-5100と関係がありません。
SCP-5100の原因に関する大規模な調査が依然として進行中です。現在、行方不明である全職員と全装備の場所は不明です。カント計測器はSCP-5100の発生前後で異常なヒューム値を計測しておらず、これは概して現実改変イベントが原因である可能性を除外しています。
発見: SCP-5100は、西安近郊でカーナヴォン計画(この計画の詳細はこのコンポーネントの最後に添付されています)の一環として行われた作業中に、南モンゴルに位置するサイト-346の研究者たちとの連絡が停止した際に発覚しました。続いて部隊への再連絡は失敗しました。その後、サイト-346は部隊の従事地点付近のサイトに連絡を取ろうとしましたが、成功しませんでした。
サイト-346は地域警報を発令し、この状況に関する情報で構成されたメッセージが北京に位置する中央財団サイトに伝達されました。しかし、何度も試行されたものの、このメッセージはサイトに到達できませんでした。
カーナヴォン計画

1960年代のアフガニスタン北部における計画発掘。
カーナヴォン計画は、1960年に財団考古学者グループがO5評議会に提案を提出した際にそのグループによって設立されました。この提案は、民間チームが潜在的なアノマリーを発見する前にアノマリーを捕縛するための、エジプト、ルクソール近郊の王家の谷内への侵入について記述したものです。1960年代以来、これは国際的事業へと拡大しています。計画の現在の目的は、アノマリーが民間チームによって発見された後における考古学的に重要な発見の奪取、そして民間人が事業を行う以前における異常人工物や異常性に関する探査です。
計画は全世界における多数の重要度の高い場所での調査の成功や、非常に重要な多数の異常人工物の回収を齎しました。これらの人工物によって、財団の研究者は過去の文明や人々の異常能力について理解し、現代の考古学的謎を解決することができました。
カーナヴォン計画の最も重要な活動の中には、トリノの聖骸布の研究、トルコ南部のギョベクリ・デペの発掘、ギリシャのアンティキラ島におけるダイビング、中国の西安における現在の計画発掘が含まれます。
注記: 2019年2月12日時点で、SCP-5100イベントはカーナヴォン計画の全作業の事実上の終了時に発生し、SCP-5100発生時には計画の装備や職員の大多数が中国、西安のサイト内に存在しました。計画は延期、構想段階に差し戻され、SCP-5100のより直接的影響が対処されるまで再開は未定です。
付記: この文書は、現在/最新のカーナヴォン計画遠征隊からの保存された記録によって自動的に更新されたものです。
[データ破損 - アーカイブ装置故障]
隊長: 見ろ。星だ。もしくは、少なくとも星に見える何かだ。
ドレナン: 真珠?それとも何かしらの宝石の原石か?
タイ: 塗料だね。手で剥がせる。潜在的異常実体かな?
隊長: 記録しておけ。主要チャンバーを探索し終えたら幾らか回収する。シャラポフ、距離はどのくらいだ?
シャラポフ: 今はそう遠くないと思います。中央チャンバー由来の異常は見受けられません。
ドレナン: フロントドアのところもそうだったし、実物見たら信じてやるよ。
タイ: あいつらがちゃんと動くスーツを着て221に戻ってることを願うよ。13年間の努力が水銀中毒で終わってほしくない。
シャラポフ: 心配するな、スーツはきっと動いてる。あいつらが今までヤバイことになったことがあったか?
タイ: 君が正しいことを願ってるよ。
4分間会話無し、足音と認識できる音声のみ聴き取れる。
隊長: 到着だ。ドレナン、明かりは?
ドレナン: 了解。
隊長: シャラポフが正しいように見えるな、異常保護の痕跡がない。とても古い縄と簡単なスライダーだけだ。
タイ: 切る必要は?
シャラポフ: ないな。向こうにそっと動かそう。
隊長: 行くぞ。
とても静かで僅かな破砕音が記録されている。
シャラポフ: よし。楽勝だ。
ゆっくりと重くきしむ音が聴こえる。
ドレナン: 到着、っと。
タイ: くっ。あー、あいつみたいな男にとっては確かに十分楽しいんだな。
ドレナン: ヒスイを全部見てみろ。もしも俺たちがこのためにいるんだったら、丸儲できたんだがなあ。あの真ん中の構造物は……。
シャラポフ: 間違いない。
隊長: ああ、じっくり見ろ。仕事に取り掛かるぞ。ドレナン、向こうに行ってその彫像たちを調査しろ。タイとシャラポフは、そこに見える何らかの硬貨の山だ、そこに行って硬貨を調べろ。
タイ: 今までに計画が異常な貨幣を見つけたのはいつですか?
隊長: 今日がその日になるだろう。調べてこい。
ドレナンのマイクが軽い破砕音を拾う。
ドレナン: 彫像には何の異常性も見つからん。しかし、こいつらが何を表現してるのか全然わかんねえな。
タイ: 僕には何かの蛇に見えるよ。こういう感じのアートはだね─
シャラポフ: 喋るな。何か聴こえる。
タイ: 何が聴こえ─
シャラポフ: 喋るなと言ったんだ。何か聴こえたんだぞ。
数分間の静寂の後、軽く叩く音が聴こえる。
ドレナン: 俺も聴こえたと思う。
シャラポフ: 向こうから来ているな。
隊長: 開けてしまおう。
タイ: いいアイディアはあるんですか?
隊長: 向こうは恐らくアノマリー1匹で、俺たちはそいつがそこら中を跳ね回って自傷するのを避けたい。4人なら蓋を開けるのには十分だ。
タイ: 最高です。では皆、角を持って……そこです。
隊長: 持つぞ、3、2、1……
岩同士が衝突して砕ける音、部隊からは奮闘するような音声が聴こえる。
ドレナン: クソ、見た目より重い。ヤベえぞ。
隊長: 急げ、地面に置くぞ。
大きな落下音が記録される。
シャラポフ: 防水シートか服に見える。ああ美しい、あの像を見て……
タイ: あれを引き抜いても?
隊長: やってくれ。
[エラー - アーカイブ装置故障]
追記1: SCP-5100イベントの約4ヶ月後、収容違反はイベントに関する他の行動を実行できる程度まで安定しました。中国の財団サイトは、機動部隊ゼータ-9("デバネズミ")で構成されたチームによって探査が行われることが決定しました。
探査映像記録書き起こし
日付: 2019年6月15日
探査チーム: 機動部隊ゼータ-9("デバネズミ")
対象: 中国、甘粛省、サイト-271
隊長: アフメドフ
隊員: ミュン、ペルサウド、ウェインライト
[記録開始]
司令部: アフメドフ、部隊に点呼を取って無線が機能しているか確認してください。
アフメドフ: 了解。各員、無線を確認しろ。
ミュン: 問題無し。
ペルサウド: 良好です。
ウェインライト: 確認中。
司令部: 記録しました。アフメドフが侵入計画を用意してくれるでしょう。
アフメドフ: 皆集まってくれ。我々は最も守りの薄い東側の貨物搬入口から侵入する。そこからフロントを通過し、主要な棟や通路に向かう。
ペルサウド: 私の記憶が正しければ、このサイトには全く生物が存在しないとブリーフィングではなっていましたよね?
アフメドフ: そうだ。物体だけで、特に危険なものはない。だが、明確に収容区域に侵入する必要がない限り、如何なるアノマリーとも接触してはならない。いいな?
部隊は頷く。
アフメドフ: よし。
ミュン: 赤外線カメラは正常に作動しています。
アフメドフ: 素晴らしい。司令部、入り口は問題ないか?
司令部: 問題ありません、無人機は付近で生体反応を検出しませんでした。
アフメドフ: 行くぞ。
部隊はサイト-271の周囲を歩き、東側貨物搬入口に集まる。ウェインライトは搬入口をノックする前に手を沿わせる。
ウェインライト: やはり、保安設備はダメになってます。中に入るのは容易なはずです。ペルサウド、道具を渡してくれ。
ウェインライトは搬入口の中に道具を滑り込ませ、搬入口を開ける。
アフメドフ: よくやった。固まって中に入るぞ。
部隊はサイト-271のフロントに前進する。
アフメドフ: ミュン、カメラは?
ミュン: 反応ありません。待って……何か違うかも。
ウェインライト: 何だって?
ミュン: 私はあらかじめ地図を確認したんだ。そこの右に扉があるはず。誰かそこをもう少し明るくできる?
明かりは部隊の前方を照らし、壁に埋め込まれた高さ約6フィートの巨大なブロンズ製の花瓶が現れる。その上に小さな破片が存在する。
ペルサウド: これはアノマリーか?
アフメドフ: 研究記録にこんなものはない。触るな、別の扉を探すぞ。司令部、これで問題ないか?
司令部: 大丈夫です。
ミュン: 次の扉はこの辺りだと思う……。
ウェインライト: 別のロックされた扉……少し待ってくれ。
ミュン: もしもあの花瓶が偶然だったら、この扉の裏に長い通路があるはず。その通路は私たちを研究棟に導いてくれるはずだ。
ウェインライトは解錠し、扉が開く。光源不足のため扉の向こうは殆ど何も見えない。
ペルサウド: 少しだけ明かりを点けましょう。
アフメドフ: 了解、ペルサウド。道を照らしてくれ。
ペルサウドは明かりを最大値にして廊下を照らす。明かりが届く範囲には、廊下の天井から巨大な布製の垂れ幕が複数垂れ下がっている。
ミュン: 以前にサイトであのようなものを見たことがありません。
アフメドフ: 中に入るぞ。あれには何か書かれている。ウェインライト、翻訳できるか?
ウェインライト: 無理です。中国語の文字か何かのようですが……古代のもののようです。私が翻訳できるものではありませんね。
部隊は廊下を更に進む。ペルサウドが突然静止し、左を指さす。
ペルサウド: 見てください。別の花瓶です。しかし、扉の中のものよりやや大きいですね。
アフメドフ: 司令部、見つけたもののサンプルは欲しいか?
司令部: いいえ、探索だけ行ってください。調査後に行います。
ミュン: 垂れ幕がたくさんあります。たった1人の人間によって飾られたはずがありません。
アフメドフ: サイトの残りを探索するまで考えないようにするぞ。
ミュン: わかりました。すぐ前に左へ曲がる道があるはずです。
部隊は角を曲がる。ペルサウドの明かりが廊下の20メートル下方に直立しているものを照らす。
ウェインライト: あれは別の花瓶じゃないな。
アフメドフ: 何もするなよ。研究者かそれに似たもののようだ。
部隊は静止し、アフメドフが像に何度も呼び掛ける。反応はない。
アフメドフ: 恐らく問題ない。近づこう。
ペルサウド: 本当ですか?
アフメドフ: こちらは武装している。大丈夫だ。
部隊が徐々に近づくも、像は未だに直立したままである。約5メートル離れたところで、完全に見えるようになる。
ミュン: テラコッタの兵士だ。どうやってここに来たんだろう?
アフメドフ: アノマリー記録にこんなものは無い。生きてたり動くもんじゃなくてただ嬉しいよ。
ウェインライト: この塗料は西安のものと同じように酸化されている。
ペルサウド: 見ろ。下だ。もう2つある。
更に2つのテラコッタの彫像が約30メートル離れた位置に、閉じた扉の両側に立って存在する。
アフメドフ: ミュン、あの扉は何処に繋がっている?
ミュン: あれは…..職員食堂に繋がっています。
アフメドフ: 入るぞ。
ウェインライト: ロックはかかってないな。
ウェインライトが扉を開ける。職員食堂の内装は完全に変化している。本来のものは全て無くなり─代わりに部屋の真ん中に巨大で黄金の王座が置かれている。テラコッタの彫像は王座の周囲に対称的に配置され、部屋全体が巨大な燃える蝋燭で照らされている。壁は深紅で色付けされており、様々な記号や文字が金色で描かれている。屋根から天井まで4本の柱が伸びており、部屋全体の非対称な地点に存在する。
ペルサウド: 一体何なんだ?
アフメドフ: 司令部、我々はサイト-271が巨大な構造体に変化していることを確認している。
ミュン: 入るべきですか?
アフメドフ: 勿論だ。司令部、ミッションの目標変更と発見物との接触の許可を。
司令部: 了承しました。
部隊が侵入する。ペルサウドとウェインライトはテラコッタの彫像の胸部に手を当てる。アフメドフが中央の王座を調査している一方で、ミュンは壁に書かれた文字の確認をしている。
ミュン: 垂れ幕と同じ……あれを見て。
ミュンは壁の巨大な怪物の絵を指さす。
ウェインライト: あれはまるで……蛇みたいだ。既存の中国文化では同定できない。
アフメドフ: ペルサウド、ウェインライト。それぞれ彫像を叩いて壊してみてくれ。
ペルサウド: 何故です?
アフメドフ: 直感だ。
ペルサウド: 隊長がいいのであれば。
ペルサウドはテラコッタの彫像を押し倒すと彫像は地面にぶつかり、割れて胴体上部が壊れて開く。アフメドフは中を見るためにかがむ。
アフメドフ: ふむ、空洞か。ウェインライトは?
ウェインライトは王座に最も近い彫像の列に向かって歩き、静止する。彫像は押されて倒れ、床に当たって割れて開く。壊れた彫像の外に何かが滑り出る。
ウェインライト: これは……これは骨だ。しかし、ここのものと同じくらい古いように見える、確実に新しいものではない。
部隊は観察するために壊れた彫像の周囲に集まる。
ミュン: ウェインライトは正しい。トルコの古いサイトの骸骨を見たことがある。これは同じ時代の物に見える。
アフメドフ: なるほど。ペルサウド、サンプルとして1つ持て、そして我々は帰還するためにフロントに戻るぞ。
ペルサウド: 了解。
ペルサウドは骨の小さなサンプルを持ち、部隊はフロントに戻る道を辿り、サイト-271から帰還する。
[記録終了]
付記: サイト-271から持ち帰られた骨のサンプルは、輸送直後に調査チームによる研究が行われた。年代測定により、サンプルは約1800年前のものであることが判明した。
追記2: 2019年8月16日、機動部隊ゼータ-9は再生活動の一環として陝西省咸陽市近郊のサイト-221に侵入しました。探査中、床へ無作為に投げられたように見える、巻かれていない竹の巻物数本(当該サイトは考古学的調査のために幾つか収容していました)が研究棟の一室に置かれていました。これらの巻物は古代の中国の文字で書かれており、可読性の高い英文章にするために翻訳AIアンチバベルに走査させました。
私の考えを書き記す機会を得たのはこれが初めてだ。
全ての儀式の欠点は常に機能するとは限らないことだ。明らかに儀式はその間中、計画されたかのように私を生かし、その翡翠の墓に眠りしものを生き長らえさせた。どのくらいの季節が過ぎたのかわからない。10かもしれないし、100万かもしれない。それは重要なことではない。
顔がガラスに隠れた奇妙な鎧を着た男たちによって起こされた。彼らは私が奪い取った広大なネットワークを支配した。明らかに機能している異なる魔法。しかし、私が言ったように全てが機能しているわけではなかった。今まで私は最も親しい助言者たちを復活させようとした。彼らは我々が目覚める新たな世界で私と共にいることに賛成してくれた。しかし、魔法は失敗した。外殻の中に残ったものは彼らの骨だけである。私は魔術士ではない。彼らを戻すことはできないんだ。
しかし、私が帰ってきた世界には魔術師がはびこっているように思う。宮廷の中だけではない。あいつらは何処にでもいる。全てがあいつらの魔法に触れられていた。私は蝋燭に照らされていると私に近づくように見える奇妙な壁で作られたこの建物にいる。建物は職人の手で行ったというには綺麗すぎる、そして正確すぎるものだ。どうにか筆記用の巻物を数本見つけた。少なくともこれは馴染みあるものだ。
私は見つけるための決断をした。全てが魔法の力のはずがない。支配者の座に戻る前に私はこの新たな世界を調べるつもりだ。
オブジェクト: 透明な水晶の球に包まれた橙色の炎。
炎はガラス底面の隆起した部分を1度触れることで点火、及び消化ができる。その輝きは素晴らしいものであり、普通の炎や蝋燭よりも遥かに長く続く。幻想かもしれない。
私は全て分解した。内部で見つけたものはより多くの水晶と金属だ。炎もなく、光もなく、水晶と金属だけ。間違いなく魔法だ。
オブジェクト: 何らかの兵器。長く、滑らかで黒い。
先端に穴があることから、ある種の小型化したクロスボウであると当初は考えていた。しかし矢はなく、小さな金属片を放出する。矢が貫けるはずがない材質を貫く。
私は街から男を連れてきて、壁を背にして並ばせ、その頭に兵器を当てた。結果は内臓だった。新たな世界の軍隊がこのような兵器で武装しているのならば、現在国家を所持しているのが誰であれ、そこから国を取り戻すのは遥かに困難であるだろう。
オブジェクト: 箱。箱の前面にはガラスの層があり、それ上に一続きの動く画像が連続して再生される。
恐らくある種の動く絵である。絵は完全に現実のものであるように見える。これは明確に魔術師の仕業だ。動く絵は我々の時代の魔術師でさえ達成することを望めなかったものだ。
絵が見せるものは変化する。最も繰り返しているものは、他の男たちに囲まれた大きな部屋の中で立っている男だ。彼らは薄く小綺麗な白黒の服装をしていて、鎧はない。男たちは皆一心不乱に正面に立つ人間の話を聞いている。壁には私の知らない模様が存在する。連なった金色の星の下に金色の建物。恐らく男は国家の指導者である。芸に秀でた者でもあるだろう。
例によって私にはわからない。
オブジェクト: オブジェクトではない。しかし、小綺麗で黒い服装をした男であり、絵の中のものとは異なっている。
私は彼と話そうとした。彼は私の言葉を理解しない。彼のことはわからない。彼は似た音の言葉を話すが、その単語を聞き分けられない。彼はより小さい型の兵器を携帯していた。自分のためにそれを取った。
私は彼を絵のところに連れて行き、それに向かってジェスチャーをした。彼は想像するに名前を言っていたのだが、言うまでもなく私には単語がわからない。この試みは最終的に役に立たなかった。彼の無意味さに気づくと、私は彼から兵器を取った。
この白い廊下は奇妙であり、孤独であり、不変だ。
オブジェクト: 私を目覚めさせた男たちが着ていたものと同じ黄色の鎧。
この鎧は役に立たない。何からも守れない。新たな世界の黒い兵器どころか、矢や剣ですらだ。大蛇の像の歯ですら羊皮紙のように引き裂く。
これは鎧のはずがない。少なくとも、真の兵器から守る鎧のはずがない。もしかすると魔術から身を守るのだろうか。この鎧のセットがこの場所の周囲に沢山ぶら下がっている。私の仮説─新たな世界の人々は自らを苦しめる可能性のある魔法から常に身を守る必要があるということ─が正しい場合、この世界は私が知っているよりも遥かに危険なのかもしれない。
オブジェクト: 本と巻物。
遂にこの奇妙な場所で私が知っているものを見つけた。廊下の先の図書館だ。書かれている文字は全く分からず、そのため言っていることは謎だ。しかし、私が理解できる画像─これは動かない─は存在する。国から遠く離れた土地を表す地図がある。境界は私が一度手にした領土が急速に拡大したことを示している。更にもっと国がある。想像できなかったほど多くの国だ。
人々もいる。動く絵のホールにいるあの男はよく現れる。明らかに皇帝である男の典型的な多くの絵だ。それからページをめくると、振り返る自分の絵を見た。そのようなものは依頼した覚えがない。少なくとも、ここに私が記憶されているのを知るのは良いことだ。
あなたが戻って来る世界がもうあなたのものではないのなら、永遠に生きるという願いは呪いだ。
オブジェクト: 街。
私が実験をした男たちの内の1人が身に着けていた新たな世界の衣服を着て、私がいる街の市民の間を歩いた。私が知っているものに似た寺や神社がある。しかし、海外の建造物も存在する。ベージュのタイルで作られた、素晴らしい、鉄製のねじれた尖塔と立方体。普通の職人が建てることができるものより高い。
私は非人間的速さで動く何かにぶつかりそうになった。金属の大きく醜い馬車。馬でもラクダでもない。1人の人間、もしくは人間の集団が中に座り、どうやら馬車を動かすのに何もしていないようだ。これは今まで見た魔術の中でも最も明確な例だ。オブジェクトは自然状態である場合、自分の力で動くことはない。
これらの建造物の頂上には素晴らしく、巨大な絵があった。偉大なる龍や父なる蛇を描いたものではなかった。代わりに、ただの人間だった。恐らく彼らは奇妙な食事をとっていたか、漂白剤の白いボトルを持っていたのだろう。皆幸せであり、皆笑顔だった。しかし、彼らの目に生気はなかった。
私はその後すぐにサイトへ戻り、玉座に座して本を研究するのに幾らか時間を費やした。助言者たちの外殻を動かすことはできないが、外殻は私を嘲笑っているようだった。
私は自分のことをこの世界の亡命者以外の何物でもないと述べざるを得ない。
私はこの白いホールから去るだろう、ここで垣間見る以外のことで理解したいと望むことはできない。そして、私は世界に戻り、この国の普通の人々と共に歩む。35年間のルール、ずっとずっと多くの眠れるもの。理解できない魔法の恩恵がある時点で、私は魔法によって与えられた人生を無駄にしないだろう。それは決して私の望みではない。
そして、私は過ぎ行く日々の中で、この世界が正常に変わったそれぞれの謎を、謎で無くなるまでじっくり解明していくつもりだ。
これらの巻物の発見後、部隊は研究棟の別の地点で2体の死体を発見しました。1人は衣服を脱いでおり、もう1人は平均的な中国の警察制服を着用していました。生きている実体は発見されませんでした。これらの遺体がサイトに侵入する原因となったのは誰なのか、何なのか、そしてその身元や場所は不明のままです。