SCP-5114
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記録・情報保安管理局より通達

以下のファイルの内容は、O5評議会により、意図的に公式財団文書としての登録を却下されています。しかしながら、このファイルはSCP-5114に関する完全に正確かつ最新の情報を含んでおり、記載されている異常存在を収容するための参考資料として活用されるべきものです。

ご不便をお詫び申し上げます。
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回収以前のSCP-5114。

特別収容プロトコル: SCP-5114は標準的な収容チャンバーに保管されます。レベル5職員2名から明示的許可を得た場合を除き、職員はSCP-5114と物理的に接触してはいけません。

ある人物がイシドール・イベントの対象となった際には、法的拘束力を持たない文書の調査や目撃者の証言を基に、対象者の以前の法的地位を確認します。財団はフロント企業を介して、イシドール・イベントの対象民間人への法的支援を提供し、情報公開を抑止します。SCP-5114に影響された法的拘束力を持つ文書は、対象者の以前の法的地位を回復するために秘密裏に編集され、イシドール・イベントの対象となった/結果を目撃した全ての非財団職員は記憶処理されます。

更新 2012/03/09: 事案-5114-1に続いて、SCP-5114は暫定的に屋外収容エリアへ移送されました。SCP-5114を再移送する必要が生じた場合に備えて、サイト-132には個人記録と公式文書を追跡可能なDクラス職員2名が常時維持されます。

SCP-5114からの意思疎通を受信する目的で、SCP-5114の記述を含んだ法的拘束力を持つ文書1枚が維持されます。改竄を防止するため、SCP-5114関連の情報を含む他全てのファイルは非公式かつ法的拘束力を持たない文書にしなければいけません。

説明: SCP-5114は高さ2.3mのコンクリート彫刻です。SCP-5114は知性体ですが、移動と発声は不可能です。SCP-5114はこれまでのところ、自己保存以外の動機を全く示していません。SCP-5114は物理的に接触されない限りは不活性ですが、移送や破損を試みると不安定な官僚災害を引き起こします。以下、この異常特性の活性化を“イシドール・イベント”と呼称します。

イシドール・イベントの標的となった人物の法的拘束力を持つ文書1や人口統計学的情報は — 通常、対象者の激情を煽り、金銭的損失をもたらす形式で — 恣意的に改変されます。イシドール・イベントの間に発生した改変は全ての公式文書間で一貫性を保ちます。これらの変化には以下が含まれますが、それらだけに限られません。

  • 合法的な改名
  • 合法的な住所変更
  • 合法的な職業変更
  • 市民権の喪失
  • 婚姻関係の取り消し
  • 性別、性的嗜好、年齢、それらのパラメータに関わる現地の法律と無関係な、任意の個人との婚姻関係の登録
  • 1人以上の子供の親権の喪失
  • 性犯罪者としての登録
  • 大量の泡沫訴訟の発生
  • 多額の債務の発生
  • 指名手配犯としての登録
  • 1つ以上の著名な犯罪組織の構成員であるという情報の発生
  • 法律上の死亡者としての登録

また、SCP-5114はあらゆる法的拘束力を持つ/公式な文書の内容を閲覧できると仮定されています。しかしながら、これは実験を通して確証されていません。SCP-5114が閲覧できる情報の範囲は不明です。

SCP-5114は前述した種類の文書にのみ影響を及ぼすため、イシドール・イベントの結果は、対象者の法的文書を秘密裏かつ徹底的に回収・編集すれば緩和できます。しかしながら、イシドール・イベントは往々にして対象者への深刻な社会的・経済的打撃をもたらします。このため、多くの場合はセラピー、悲嘆カウンセリング、法的支援が必要とされます。

回収: SCP-5114は2010/11/25から2010/11/26にかけての夜間に、カリフォルニア州ラグナ・ビーチの海水浴場、メイン・ラグナ・ビーチに出現し、その後回収されました。SCP-5114は当初、民間人から地元のポップアップアートの展示だと誤解されました。SCP-5114と様々な法律文書毀損行為の接点が判明した後、財団はその存在を認知しました。

SCP-5114は何事も無く撤去され、最終的には近隣のサイト-132に空輸されました。その後、SCP-5114の移設に直接携わった財団職員5名全員2がイシドール・イベントの対象となりました。

注目すべき変化は以下の通りです。

  • エージェント カールリーの名前は10,000字以上のフルブロック3から成る文字列に合法的に変更され、名前が記載されていた全ての文書が判読不可能になりました。
  • エージェント イビザは月面・静かの海からの不法移民として登録されました。出生年は紀元前10年に変更され、オランダ王ウィレム=アレクサンダーとの婚姻関係を結んでいる旨が登録されました。加えて、エージェント イビザはUNESCO世界遺産として受理されたことも判明しました。
  • エージェント フロハイクの名前は“ジョン・フロハイク '); DROP TABLE 住民;--”に変更され、複数のデータベースの破損を招きました。居住地はウズベキスタンのサマルカンドに変更され、テロ組織“ウズベキスタン・イスラム運動”の事実上の現指導者という肩書きが付加されました。
  • 収容スペシャリスト ハーヴェンスタインは正式にローマ司教に任命されました。彼は法的な死亡宣告を受け、“遺産”は破産申請されました。
  • 収容スペシャリスト ウルリッヒの名前は“デブ・ノ・ラッパー”Phatt tha Rappahに、出生日は“お前の母ちゃん”に、人種は“ブス”にそれぞれ正式に変更され、彼女自身は実践派の空飛ぶスパゲッティ・モンスター教徒として記載されました。
  • 加えて、上述した職員全員の間で200件以上の訴訟が発生したことになり、彼らの名前で数ヶ所から高金利のローンが組まれました。

民間人と財団職員の双方に関わる文書の修復が実施され、曝露した全ての民間人は記憶処理されました。SCP-5114の実験は過度に煩雑であり、情報セキュリティ上の危険性もあるために優先度は低いと判断されました。2012年1月時点で、SCP-5114の異常性質は回収時にのみ確認されています。

補遺5114-Alpha: 事案5114-1

2012年3月4日、標準スクリーニング検査によって、SCP-5114のファイルが改竄されたことが判明しました。収容担当職員はこの時まで、SCP-5114がそれ自身と物理的に接触しており、従って自らの公式な収容ファイルにイシドール・イベントを引き起こせる可能性を見落としていました4

以下は事案5114-1の間に発生したSCP-5114文書の改訂リストです。書式と綴りは全てそのまま書き起こされています。


改訂01 - 2012年3月4日:

やぁ。

外に出してくれないかい? 新鮮な空気が吸いたくてたまらないよ。

これは、財団職員に対して更なるイシドール・イベントを起こすための策略か、もしくは収容違反の試みだと解釈されました。

SCP-5114はそれまで意思疎通を試みていなかったため、知性がある可能性は考慮されていませんでした。SCP-5114収容担当職員のアールリー博士は当初、双方向通信の知識が収容を複雑化することを懸念し、SCP-5114に返答するべきではないと判断しました。


改訂02 - 2012年3月5日:

ごめん、切り出し方がまずかったね。僕はただ安全な場所に居たいだけだよ? この部屋は最高だし、本当に感謝してるけど、ここには居られない。僕を他所に動かしてくれ。


改訂03 - 2012年3月7日:

本当に、本当にごめん。本気で。確かに笑えたけど、僕だって好きであの人たちのファイルをぐちゃぐちゃにしたんじゃなくてね、あの時は怖くてストレスが溜まってたんだ、ね?、怯えるとそういう事ってあるよね - 馬鹿な事をやる。後になって後悔するような事を。

外に出してくれ、僕の中の砂粒の1つ1つに懸けて何も弄らないって誓うからさ。


改訂04 - 2012年3月8日、08:21:

オーケイ分かった、譲らないつもりだね。いいだろう。

僕は君たちの役に立てると思う。あのカオス・インサージェンシーの奴らなんてどうかな? 名前と住所が知りたい? なら僕が教えられる。取引をしよう… 12人分の連絡先情報と引き換えに僕を外に出してほしい。どう? 嘘をついてない証拠に1つ前払いだ。

SCP-5114は、後にカオス・インサージェンシー工作員と特定されたPOI-14017の名前と、当時の住所のリストを提供しました。適切なクリアランスを有する職員は文書5114-アルファで詳細を閲覧可能です。


改訂05 - 2012年3月8日、14:49:

分かった分かった、もう隠さない。僕はこれまで完全に正直じゃなかったけれど、どうか話を聞いてほしい。

色々調べてみたんだけど、あと数日で地震が起こるのは確かだと思う。この建物の設計から見て、耐震構造じゃないのも間違いないと思う。つまり僕はここから出なきゃならない。そして当全 [原文ママ] だけど自力では不可能だ。

ちょっとでも振動を感じるたびに無力感を感じる。僕の2つ上の階に削岩機を使ってる奴がいて、頭がおかしくなりそうだ5。どうか頼むよ。報酬を増やしてもいい、それならどう? カオス・インサージェンシー12人と… アナーティスト10人! しかもこいつらの多くは南カリフォルニアに住んでるから、州境を越える必要すら無いよ。

お願あぁぁぁぁぁぁい [原文ママ]

この時、財団の諜報活動によって、POI-14017は提供された住所に住む実在人物で、恐らくカオス・インサージェンシーの関係者でもあることが確証されていました。SCP-5114の屋外収容の要請は真剣に検討され始めました。

SCP-5114が述べたサイト-132の構造安定性に関する懸念には根拠が無いと見做されました。サイト-132はサンアンドレアス断層に近接しているため、2007年に広範な同調質量ダンパー6の設置工事が実施されていました。

SCP-5114にこの事実を通知するべきではないと判断されました。


改訂06 - 2012年3月8日、20:06:

分かったよ!

これが最後の申し出だ、最後ったら最後だ、もう既に僕は前震を感じられる。

100人のインサージェンシー、25人のアナーティスト、第五会 [原文ママ] の青少年キャンプ場に偽装した児童売買作戦の拠点。その他に、6人の謎めいた要注意人物の情報も引き渡そう。みんあ [原文ママ] 優先度keneqかそれ以上だ、保証する!

お願いだよぉぉぉぉぉ! [原文ママ] こんな所で死にたくない! 庭先に放り出されて鳥のフンまみれになっても構わない、どうでもいいから早く外に出して!

財団の地震学者はこの時点で前震を検知していませんでしたが、地震が起こる可能性は否定できませんでした。加えて、貴重な戦略情報を入手できる見込みが高まったため、SCP-5114を屋外収容区画へ移送する準備が早急に行われました。

改訂06から2時間半以内に、情報解析部門は、SCP-5114の移設に利用されるDクラス職員2名の法的文書を全て確保できました。これらの安全対策を受けて、サイト-132管理官は、アメリカ西海岸地域管理官と共に、SCP-5114の移設を承認しました。

改訂07 - 2012年3月8日、22:30:537:

ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう
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ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう
ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう
ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう

[40行分の同じ文章を省略]

SCP-5114はサイト-132の中庭に運ばれ、家禽飼育用ネットで構築された即席のドームの内部に移設されました。移設に携わった職員はいずれもイシドール・イベントの影響を受けませんでした。

3月9日の02:05、サイト-132はマグニチュード3.2の地震に見舞われました。事前の予想通り、サイトの構造に被害は及びませんでした。更なる調査の結果、既に退職した財団職員の横領によって、2007年の同調質量ダンパー設置はアメリカ国内での法的承認を得ていなかったことが発覚しました。これがSCP-5114による耐震工事関連文書の閲覧を妨げたと仮定されます。


最終改訂 - 2012年3月9日、06:23:

オーケイ、えーと、

昨日1つ2つ約束した事があったと思う。言い訳になるかもだけど、僕はあの時パニックを起こしていて、有利に立つために少し話を盛ってしまった。

実は僕、君たちに約束したほど沢山の名前や住所は知らないんだ。確かに教えたあの情報はまぐれ当たりだった。どうも異常な犯罪者は普段から紙の証拠を残さないみたいだね。第五教会のサマーキャンプ場は本物だけど、特にそこで子供をどうこうしてはいない気がする。

改めて、ごめん。

文書には6名の人物のリストが付記され、その全員が提供された情報を基に捕縛されました。4名がカオス・インサージェンシー工作員、他1名がAre We Cool Yet?構成員、最後の1名は離反した元財団職員だと特定されました。ミシガン州にある第五教会のマネーロンダリング作戦拠点の所在地も記載されましたが、非異常な活動であったため、財団は干渉しないことを選択しました。

更なる移送の試みがイシドール・イベントを引き起こす可能性に鑑みて、SCP-5114を暫定的に屋外収容環境に留めることが決定されました。

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