アイテム番号: SCP-512
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-512はサイト-77のSafeオブジェクト倉庫内に保管されています。対象は常に閉じた状態に置くべきであり、悪天候時の実験は禁止されています。あらゆる屋外実験の提案はアンダーソン警備主任による審査を受けなければなりません。
説明: SCP-512はステンレス鋼製の黒い傘で、ナイロン製の傘布と磨かれた漆黒の持ち手を有しています。開いた際の最大半径は0.7メートルで、製造者や製造会社は不明です。傘布にはテープ止めされた箇所が確認できます。
傘を開き先端を上に向けた際、SCP-512はその直上の断面積約1.77m2のおおよそドーム型の空間に対し、地球重力と逆方向の上向きの力を発生させます。雨や他のオブジェクトは跳ね除けられ、効果範囲内に浮かびます。SCP-512を閉じている時や水平方向に向けている時には作用は発現しません。
通常の降水に対するSCP-512の有効性にもかかわらず、悪天候時にはこのオブジェクトを使用することは勧められません。未知の過程によって、アイテムの異常作用は上空の大気を極度に電離させています。また、この相互作用はアイテムとの直接接触時に流れる電流を大幅に増大させます。当初の所有者やD-512-33の死によって実証されるように、これはSCP-512を保持する個人が直撃雷を受ける危険性を非常に高いものとしています。
加えて、電流はSCP-512の表面を伝って流れるためアイテムの構造にはほぼ被害を与えません。
SCP-512はフロリダ州[編集済]の公園から回収されました。異常な落雷の報告を受けて区域からの避難のために地域の緊急サービスが出動したところ、完全に開いた状態で街灯に引っ掛かるSCP-512が発見され、近くには複数の落雷の痕跡がありました。SCP-512の持ち手が灰で覆われていたことは注目に値します。財団職員は地域の新聞がSCP-512の異常特性を報道し始めた時点で介入しました。
補遺: 実験の要約
回収されたSCP-512は標準的な実験の対象となり、これを通してその特性が判明しました。SCP-512の4メートル上空から様々な物品を落とし、その後に機械装置によってSCP-512を開く実験が行われました。
実験された物品には次が含まれます。
- 精製水1リットル、標準的なバケツから投下
- 濃縮還元オレンジジュース1リットル
- 束ねていない羽毛およそ1キログラム
- 1キログラムの氷塊
- レンフィールド次席研究員の弁当の内容物
- 標準的なランニングシューズ片方
- 標準的なスイカ
- SCP-1108
- 5.4キログラムのボーリング球
- 40キログラムの鋼鉄製収容枠
実験対象の落下速度はSCP-512を開いた約0.5秒後に減速し、大型物体や液体物も含めSCP-512の表面から約0.35メートルの位置で空中に静止しました。片側に滑り落とさせて自由落下を再開させない限り、全ての物体は浮遊したままとなります。固体物はSCP-512の角度を微調整することで位置を維持することが可能ですが、液体や粒子状物質は作用の中心から遠ざかる方向に弱い力を受けます。
補遺: 実験D-512-33
実験アイテム: Dクラス職員
実験手順: 垂直方向の反重力作用に関して実験するため、オブジェクトはサイト-77の屋外実験フィールドに持ち込まれた。
実験中に予期せず激しい嵐が発生し、SCP-512の雨を弾く性質は極度の低気圧と相まって、オブジェクト直上の領域に吸引作用を発生させた。SCP-512はそれを掴むDクラス (D-512-33) と共に空中に吸い上げられ、卓越風に乗って漂い始めた。SCP-512は急速に高度を上げたが、D-512-33は掴まり続けることが可能だった。D-512-33はサイト-17の境界を越え周辺地域に向けて滑空を始めた。D-512-33は反重力作用の角度を調整して部分的に制御された飛行を行う能力を急速に身につけたことが観察された。ヘリコプターによりオブジェクトとD-512-33の追跡が行われた。オブジェクトは落雷の後に再捕獲されたが、D-512-33の死体は回収されなかった。