クレジット
タイトル: SCP-512-JP - エクストラ・クエスト
著者:
Linraw
作成年: 2015
SCP-512-JPをファミリーコンピュータに接続したときの画像。SCP-512-JP部分は編集されている。
アイテム番号: SCP-512-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-512-JPは保管サイト-8123の標準収容ロッカーに施錠保管します。SCP-512-JPをハードウェア機器に接続し起動する実験を行う際は、クリアランスレベル3以上の職員2名の許可および同伴が必要です。
SCP-512-JPによって出現した物体は同サイトの標準収容ロッカーに施錠保管します。これらの参照にはクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。
説明: SCP-512-JPは、任天堂の家庭用据置型ゲーム機であるファミリーコンピュータ(HVC-001)の規格に対応するロムカセットです。SCP-512-JPは[編集済]社から発売されたロールプレイングゲーム[編集済]のカセットおよびラベルと外見上同一です。しかし、SCP-512-JPは通常のゲーム[編集済]とは異なり、セーブ機能が存在しません。また、キャラクター"主人公"のスプライトが、通常のものとは異なり、服装や髪型の変化したスプライトに変更されています。
SCP-512-JPはハードウェア機器に接続されゲームとして起動されると、ゲームコンテンツが通常のロムカセットのものから改変された状態でゲームが開始されます。SCP-512-JPに記録されているロムデータが起動のたびに未知の手段により改変されており、生じた改変内容は次の起動時にも概ね引き継がれることが確認されています。なお、セーブ機能が欠如していることと、キャラクター"主人公"のスプライトが本来のものとは異なる特定のスプライトへ置換されていることは、最初期の起動試行から確認されている改変現象です。
また、SCP-512-JPはゲーム内に登場するオブジェクトの設定と形状が類似した実体をプレイヤー周辺に出現させる物体出現現象を生じることがあります。出現する実体には未知の組成のものも含まれます。財団の確認したところでは、この実体の出現はゲーム中でプレイヤーの操作するパーティが全滅し"ゲームオーバー"となった時点で発生します。なお、物体の形状および性質から推定される一般的な無力化手段によって、出現物体の無力化が可能であることが確認されています。
SCP-512-JPの改変現象が終末期に達すると、その後数度の起動の内に"REBOOT"現象が発生します。"REBOOT"現象が発生した場合、起動直後のゲームタイトル画面にタイトルロゴおよびあらゆる文字列が表示されず、文字列"REBOOT"のみが表示されます。"REBOOT"現象の発生後、全ての改変事象はリセットされ、ロムデータは最初期の状態へと復元されます。その後数秒で、SCP-512-JPの起動されたハードウェア機器の電源が自動的に切断されます。"REBOOT"現象が発生した場合も、セーブ機能の欠如および"主人公"のスプライトの置換は維持されたままであり、また、現実空間に出現した物体が消失することはありません。
SCP-512-JPの現象は起動のたびに変動しています。以下に、起動試行および特記すべき現象のログを記載します。
| 起動試行# |
特記すべき現象のログ |
| A |
オブジェクト回収後の初回起動である。"REBOOT"現象が発生した。起動後約5秒でハードウェア機器の電源が自動的に切断された。 |
| B |
正常にゲームが起動し、タイトル画面はゲーム[編集済]と同一であった。セーブ機能の欠如およびキャラクター"主人公"のスプライトの相違を除き、正常にプレイが進行した。ゲームは約19時間でクリアされた。エンディング終了後、電源を切断するまでエンディング後の終息画面が継続した。 |
| C |
試行Bと同様、ゲーム進行は通常と概ね一致した。ゲームは約19時間でクリアされた。 |
| D |
これまでと同様のいくつかのデータ異常が散見されたものの、ゲーム進行は概ね通常の内容と一致した。ただし、会話イベントの発生時、人物の台詞テキストの読み込みに1~2秒の遅延が散発した。ゲームは約21時間でクリアされた。 |
| E |
シナリオ中盤の戦闘イベントにおいてパーティが全滅し"ゲームオーバー"となった。直後、実験室内に、未知の種の種子2個、未知の種の果実3個、複雑な装飾の施された未知の金属製短剣1振、既知のいかなる素材とも組成が一致しない布製ローブ1着が出現した。出現物体は調査後に保管された。ゲームオーバー画面の表示後、BGMジングルの再生が終了するとハードウェア機器の電源が自動的に切断された。 |
| F |
イベント「勇者任命」において、キャラクター"王さま"が"前任の勇者"に言及した。"王さま"の発言内容から、この"前任の勇者"とこれまでの試行における"主人公"は別個の存在であることが示唆される。"主人公"の勇者任命後、キャラクター"主人公の母"の会話テキストの読み込み遅延が顕著となった。ゲームは約26時間でクリアされた。 |
| G |
戦闘システムにおいて設定されているモンスターの能力パラメータが平均1上昇した。イベント「勇者任命」における"王さま"の"前任の勇者"への言及内容が延長された。会話イベント発生時のテキスト読み込み遅延の平均が10秒を超過した。特に"主人公の母"においては数十秒単位の遅延が台詞テキスト読み込みのたびに発生した。ゲームは約30時間でクリアされた。 |
| H |
シナリオのプロットに対する改変が初めて確認された。"魔王軍"の"幹部"に該当するボスキャラクターが1体増加し、新規ダンジョンが世界マップの北北西に出現した。また、試行Gにおいて観測された敵モンスターのパラメータ上昇が本試行においても継続して観測された。この上昇傾向は以降の試行においても持続している。ゲームは約39時間でクリアされた。 |
| I |
マップ"魔王城"内の戦闘イベントにおいて"ゲームオーバー"が発生した。直後、未知の金属および銀を素材とする十字架を模した装飾が施された長剣1振と、体長2.23mの未知の人型生物の死体1体が出現した。長剣は組成分析、未知の生物は解剖調査を実施した後、それぞれ保存された。ゲームオーバー画面の表示中、ジングルBGMは再生されなかった。 |
| J |
"主人公の母"の台詞テキストから主人公のニックネームへの参照が消失した。代替して「むすこ」という呼称が使用されるようになった。また、"主人公の母"がマップ"主人公の家"内において常に主人公の方向を向くアニメーションが設定されるようになった。ゲームは約45時間でクリアされた。 |
| K |
シナリオのプロット改変が進行した。"魔王軍"の侵攻が"王国"に2度到達し、シナリオ前半においてキャラクター"王さま"および"王女"が死亡するイベント「陥落」が新たに追加された。NPC群の会話テキストが全体に不安を示唆する内容に変化した。ゲームは約49時間でクリアされた。 |
| L |
シナリオのプロット改変がより進行した。イベント「勇者任命」中の画面下部に"主人公の母"のスプライトが出現し、上方の主人公の方向を向いていた。シナリオ中盤の"魔王軍"による"王国"への侵攻の最中に、"主人公"の初期地点である村が焼失するイベント「別離」が追加された。ゲームは約55時間でクリアされた。 |
| M |
シナリオのプロット改変がさらに進行した。イベント「陥落」の規模が拡大し"王国"内部は著しく荒廃した状態で表現されているが、マップ内で"教会"の建造物のみが損傷なく描画されていた。プレイヤーはマップ"教会"へ進入することが不可能であった。ゲームは約61時間でクリアされた。エンディングのBGM再生が消失した。 |
| N |
通常パーティに仲間として加入可能な全キャラクターがシナリオから消失した。プレイヤーはソロプレイを余儀なくされた。また"主人公"がシナリオ冒頭で"王城"へ移動するイベントにおいて、"主人公の母"が主人公の背後に追従して移動し、"主人公の母"は道中で離脱して"教会"へ進入した。プレイヤーがそれを追従する操作はできなかった。ゲームは約102時間でクリアされた。エンディングシーンが消失した。 |
| O |
"主人公"のスプライトの頭部領域が黒色で塗りつぶされていた。"主人公の母"のあらゆる台詞テキストが消失した。"主人公の母"の主人公方向を向く動作が観察されなくなった。シナリオ中のあらゆる"魔王軍"の侵攻が統制を欠いたものとして表現されるようになった。シナリオ最終盤においては、キャラクター"魔王"が著しく混乱を示し、"主人公"に対し「そなたは ゆうしゃじゃあ ない! わしは いったい だれだ!」と発言した。その後、"魔王"は戦闘を行わずマップ外方向へ移動し、画面外に到達した時点で描画されなくなった。試行Oにおいて以降のイベント進行およびゲームの完遂は不可能であると判断された。 |
| P |
"主人公"のスプライトが透明化し、会話アクションおよび戦闘システムの実行が不能となった。"主人公の母"が"教会"へ進入してから約72秒後にゲームが自動的に再起動し、試行Qへ移行した。 |
| Q |
タイトル画面の読み込み中にゲームがフリーズした。以降、画面上にいかなる変化も確認されなかった。フリーズ状況が観察されたのは本試行が初の事例である。 |
| R |
アドベンチャーとしての全シナリオが消失していた。"主人公"のスプライトは透明のままであった。ゲーム内のNPC群の行動およびマップの描画状態から、平穏な情勢であることが示唆された。"主人公の家"内に"主人公の母"は存在しなかった。"主人公の家"の机グラフィック上にスプライト"手紙"が配置されていた。"手紙"にはダイアログが設定されており、プレイヤーは"手紙"の内容をテキストダイアログとして参照することが可能であった。"手紙"を"しらべる"操作により文章を表示すると、ゲームはそれ以上一切の変化およびインタラクションを示さなくなった。 |
試行Qについて、メモリ内容の解析の結果、ゲームプログラム部分からわずかな空白領域にかけてロムデータの大部分が抹消されていたことが判明しました。これが試行Qにおけるフリーズの原因であると推定されました。また、試行Rの"手紙"について、テキスト内容は分割されてロムデータのわずかな空白領域および数十バイトの未使用データ領域へ余すことなく上書きした状態で記録されていました。
以下に、試行Rで出現した"手紙"の内容を転記します。
いとしい むすこよ!
ほほえみを たたえてください
そうして どこまでも
はばたいてゆきなさい
あなたが うまれた そのひから
わたしは ずうっと みていました
あなたが あるきだした そのひを
わたしは けして わすれない
わたしは けして わすれない
かみさまは ながいてがみは
ゆるしてくださいませんでした
試行Rの後の試行Sにおいて、試行Aで発生したものと同様の"REBOOT"現象が発生し、全ての改変現象がリセットされました。現在、試行S以降の起動試行の実施は予定されていません。
SCP-512-JPは、199█年██月██日に██県在住の[編集済]氏が同氏の自宅の居間で西洋式の長剣に貫かれた状態で死亡している旨が近隣住民より警察へ通報され、これを傍受した財団エージェントが調査を行い、現場に存在していた本オブジェクトの異常性が推定され回収に至りました。関係者には強盗殺人としてカバーストーリーが適用されました。
エージェントの現場到着時、SCP-512-JPは起動中でありエンディング終息画面を維持していました。事案当時、[編集済]氏は試行Iにおいて出現した"十字架を模した装飾の施されている長剣"が同氏の腹部を貫通した状態で床面に固定されており、死因は肝損傷に起因する失血死であると推定されました。[編集済]氏のテレビ側前方の床面には、未知の種の微生物を含む微量の泥土が残留していました。これらの物体はいずれもSCP-512-JPの物体出現現象に起因したものと推定されますが、出現した長剣が同氏に致命傷を与える位置に出現した原因は判明していません。また、居間の窓は当時の季節が冬であったにもかかわらず完全に開放されていました。[編集済]氏が窓を開放した痕跡は確認されておらず、SCP-512-JPに起因する既知の現象では説明できないことから、これに関する追加調査が求められます。
SCP-512-JPの回収元である[編集済]氏は、ビデオレンタルおよび中古ゲーム等を取り扱う店舗[編集済]においてSCP-512-JPを購入していました。同店舗の販売記録にはSCP-512-JPカセットの販売ログが存在していましたが、買取りの記録は存在していませんでした。同店舗にSCP-512-JPがいつから、どのような経緯で存在していたのかは未だ不明です。