SCP-5156へ続くドア。画像に写る家具類のほとんどは収容されたのちに財団職員により設置されたものであり、最初の発見時には存在しなかった。
アイテム番号: SCP-5156
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-5156を有する家屋は、政府による歴史的建造物の保護を装い仮設サイト-289に移されます。一般市民はこの偽装のもとであれば、SCP-5156を見物し写真を撮ることが許可されています。
説明: SCP-5156は異空間であり、イングランドのストラットフォード・アポン・エイボンに建つ廃屋の地下室にあるドアから通じています。そのドアは壁に埋め込まれており、地質学的分析によると、ドアの向こうにある空間は完全に土に埋まっているはずの場所に位置しています。
ドアの先にあるのは一辺400メートルのキューブ状の空間であり、その壁と天井と床は同じ煉瓦で造られています。この煉瓦は異常な変化によるものか、あるいは異常な起源から生み出されたものであり、既知のあらゆる方法をもってしてもこれを破壊することはできません。
SCP-5156はちょうど10,000匹の同種のアカゲザル1によって占められており、それらはSCP-5156-1と総称されます。それらはすべて生物学的に不死であり、あらゆる養分の接種を必要としません。SCP-5156-1実例は各々の机に座ってタイプライターに向かい、無作為にキーを叩き続けます。SCP-5156-1実例が席から離れるのは人間やその他の実体が実例に危害を加えようとしたり動かそうとしたりした場合のみであり、その際には、すべての実例は直ちにその相手に対し殺傷力の伴う攻撃を行います。このような場合でない限り、すべての実例は受動的であり続け、人間やほかの生物に関心を向けません。
SCP-5156-1実例が使うタイプライターにはインクが無制限に補充されています。タイプライターの用紙は書き終わるたびにSCP-5156-1実例によって脇に置かれ、そしてまた新しい用紙が現われてタイプライターにセットされます。これらの用紙は移動されたあと一瞬で消滅します。
大半の文書はまったく意味を為さないものですが、偶に意味のある単語や熟語がタイプされることがあります。SCP-5156の収容が確立されて以降は、1ページのみ、全体を完全に理解できる文書が作成されており2、それはイタリア語で書かれたものでした。
上記の文書は、生成されたのちにSCP-5156の中央にある木製のかごに出現し、すでにあった2枚の文書の上に置かれました。3枚の文書の内容はそれぞれの間で緊密なつながりのあるものでした。これらの文書の転写は申請があれば閲覧することが可能です。
補遺5156.1(発見): SCP-5156に通じるドアがある地下室はもともと立ち入りができないように隠されており、その存在は数日前に家屋を調査していた歴史家のグループによってのみ知られていました。そのグループは調査結果を公表しようとしていましたが、それは財団職員によって事前に阻止されました。歴史家グループのメンバーにはクラスC記憶処理が施されました。また、その家屋に関する記憶やデータについては、彼らの調査にまつわる好奇心や疑惑を解消するために、異常性の無い事柄に限りそのまま残されました。
家屋は財団による監視下に置かれており、SCP-5156は収容が成立しています。家屋の調査では寝室の1つで発見された1通の手紙を除き、以前の家主に関する情報はほとんど明らかになりませんでした。
我が親愛なる友よ、怖れを克服しこの手紙を君に送る
私たちは未来のことやこれから成し遂げることについて多くを語り合ってきた。君の才能や能力にはこれ以上ない信頼を置いているが、対する私は、君の持つような創造性にはいつも欠けていた。しかし、先日私はこれを完全に覆してしまうものを見つけたのだ。
私はある壮大な構想に直面し、そのなかで摩訶不思議に生じた大量の原稿を見つけたのだ。近々、私はこれを発表するつもりだ。この素晴らしい仕組みがどれだけの間機能してきたのか私にはわからないが、しかしこれだけ大量の作品やコンセプトを作り出すのに十分な時間はあったようだ。それを私は、自分の作品として発表しようとしているのだ。なんとも恐ろしい発見だから、これ以上のことを敢えて明かそうとは思わないが、しかしこれは神の御加護によるものだ。
我が親愛なるいとこよ、この比類なき奇跡のすべてを君に委ねる。そしてこれが私の家に幸運をもたらすことを切に願っている 。
ー あなたの心の友、ウィリアム・シェイクスピア






