アイテム番号: SCP-5193
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-5193は1年以上実体化しておらず、Neutralized宣言がされました。従って、収容プロトコルは不要です。
説明: SCP-5193は毎週金曜日の午後5時、ワシントンD.C.に位置するベトナム戦争戦没者慰霊碑近辺に出現していた異常実体です。SCP-5193は1964年から1968年の死亡までアメリカ海兵隊に従事したジェームズ・██████氏と考えられています。ジェームズ氏は享年25歳です。
SCP-5193は実体化すると、メモリアル・ウォールに沿って1時間のみ歩行し、1時間経過するとその場で非実体化します。この時間内におけるSCP-5193に対する物理的接触は不可能です。また、声をかけた場合も反応を示さず、対話の試みは全て失敗に終わっています。
補遺: 事例報告
2019/10/26、1名の男性が午後4時57分にベトナム戦争戦没者慰霊碑を訪れました。SCP-5193が実体化すると、男性はすぐにSCP-5193へと接近しました。財団エージェントは、男性を拘留するため接近を開始しましたが、SCP-5193が彼の存在へ明らかな反応を示したため、彼とSCP-5193の相互交流の許可を決定しました。結果的に発生した事例が以下のログです。
ログ開始
男性はSCP-5193に接近する。SCP-5193は歩くのをやめると、彼の方へと体ごと振り向く。
男性: 本当に、あなたなのか?
SCP-5193は男性をじっと見つめているが、質問に答える様子はない。
男性: そうなんだな。今まで元気にしてたか?
SCP-5193は反応を示さない。
男性: この通り、俺ももう大きくなったよ。仕事にも就けたし、子どももできたし、歳もとった。あなたはその様子を見守ってくれてたと思っておくよ。
SCP-5139は俯く。男性が何も言わないまま約30秒が経過した。
男性: 知ってるとは思うが、あなたがあの場所で殺されてしまった時、俺は死という概念さえ理解できていなかった。母さんは俺に、あなたはとても勇敢で、戦争が終わってもあなたがあの場所で戦っていると話してくれていた。実のところ、あなたに何が起こったのか分かるようになったのは数年後だった。
SCP-5193は反応を示さない。
男性: あなたの不在は人生の色んな段階で実感した。高校を卒業した時、結婚した時、全ての時に。でも今あなたはここにいる。あなたのいなかった全ての瞬間なんて、もういいよ。
SCP-5193は顔を上げ、男性へと一歩踏み出した。
男性: 変な話だとは思ってるけど、俺はここで何を言うかを考えることに人生のほとんどを費やしていた。なのに、あなたと話している今、実は言葉を失っている。あなたのことが大好き、もっとそう言いたかった、本当に言いたいことはそれだけなんだと思う。
SCP-5193は微笑む。二人は抱きしめあうと、SCP-5193は非実体化した。財団エージェントは男性を確保するために男性へと接近する。
<ログ終了>
男性は後にジェームズ・██████氏の息子のロバート・██████氏と判明しました。尋問時、ロバート氏はベトナム戦争戦没者慰霊碑には墓参りに訪れ、SCP-5193が出現することについてはその状況を目撃するまで知らなかったと主張しました。ロバート氏がどのようにSCP-5193と身体的接触を可能としたのか説明することは出来ず、その他有力な情報も入手出来ませんでした。この事例以降、SCP-5193は実体化することはなく、2020/10/26にNeutralized宣言がされました。