SCP-520
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アイテム番号: SCP-520

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-520-1と-2は無生物収容ロッカー内に、通常の積極的防衛措置を伴って安置されます。各オブジェクトのハンドルはその基部に対して垂直に保たれなければなりません。ハンドルや接点は絶縁体製の頑丈な金物で固定されなければなりません。

PoI-520-AとPoI-520-Bは財団収容室内に留置せねばなりませんが、彼女達が飽くまで自発的に居留する限り、コミュニケーション手段の無い状況下で寛げるよう便宜を図ります。各要注意人物のスウィートルーム内の全ての電子機器は、故障や改造が無いかどうか毎週チェックされます。PoI-AとPoI-Bが万一面会を希望した場合、対面もしくはビデオ通話による会談が1週間に付き1時間まで許可されます。

SCP-520-2の実験は、効果範囲を最小値に設定した状態で実施されます。SCP-520-1とSCP-520-2は双方とも、処分予定の財団資産に効果を与える場合にのみ実験許可が下ります。 実験は現在凍結されています。インシデント記録520-16を参照してください。

説明: SCP-520-1とSCP-520-2は木・セラミック・銅で構成される大型の4線式ナイフスイッチです。SCP-520-2の基部には単一で未標識のダイヤルが据え付けられており、さらに48文字LEDディスプレイが絶縁性のワニ口クリップで接点入力装置と繋がれています。

電子回路に接続されるとき、SCP-520-1は接続された回路を開いたり完結させたりする通常の機能を果たしません。代わりに、SCP-520-1は即座にかつ自動的に、10メートル以内に存在する電子機器をランダムに一つ選び、その主要な電源回路と結合します。ハンドルをONからOFFに転換すると電力回路が開き、OFFからONに転換すると回路が閉じます。これは、他のいかなるスイッチや電流断続器の切替にかかわらずに起こります。回路の遮断および完結は永続的です。導線は物理的に切れ、ヒューズは飛び、スイッチはショートします。SCP-520-1によって形成あるいは破壊された金属接合部の表面は、しばしば化学的に不可能なほどに極度の酸化の痕跡を帯びます。

SCP-520-2はSCP-520-1と同様の働きを有していますが、SCP-520-2の効果対象は、SCP-520-2の効果範囲内にあり、かつ現行の選択クラスに相応する電子機器の中からのみ、ランダムで選ばれます。効果範囲の半径はLEDディスプレイの左端に表示されます。効果範囲はオブジェクトの基部にあるダイヤルを回すことで、5メートルから2500キロメートルの間でどんな値にもセットできるようです。

選択クラスとは簡潔な英語のフレーズで明示される電子機器群です(具体例として補遺520-6を参照してください)。適用中の選択クラスはSCP-520-2のLEDディスプレイの中央に表示され、その右に残りの起動回数を示すカウンターが付いています。1つのクラスの適用下で10回起動する毎に、新たな選択クラスがランダムで設定されます。効果範囲内に選択クラスの適用物が存在しない場合、適当な機器が被影響下に置かれるまで、カウンターは減少しません。

総計680ページを超える各種のハードコピー文書がSCP-520と共に回収されました。その中には異常電子工学をトピックとする8つの技術論文が含まれます。SCP-520-1の図面一式が2つ(その一方にはSCP-520-2との大まかな差異を示す手書きの注釈が加えられています)、SCP-520-1の複製を製造するための段階を踏んだ詳細な指南書一式(二人称で書かれ、個人・文化的な参照が含まれます)、SCP-520実例を製造・改造するプロセスについて広範に記された手書きのメモ、がその内訳です。

回収されたメモはプログラム可能なターゲットタイプの特異性を追加する意図で、デバッグの過程で不意に途切れています。押収された手書き文書の大半はPoI-520-Bの著作であり、一部にPoI-520-Aの筆跡が散見されます。メモの多くは当時進行中だった電話や電子メールによる通信を参照していますが、それらの記録は未回収です。

補遺520-1B: SCP-520の注目すべき要注意人物達

PoI-520-Aはシルヴィア・リンという名の、かつてニューヨーク州シラキュース在住だった23歳女性です。彼女は近ごろ電子工学分野で学位を取得し、未知の技術をも含む電気機械の製造に堪能であると主張しています。彼女はSCP-520-2をPoI-520-Bの助力を得て製造したと主張しており、PoI-520-Bとの浅からぬ関係について友人であり指導者だと明言しました。彼女は財団の要求に対して概ね協力的ですが、依然として異常な機器の新規製造に対しては消極的です。

PoI-520-Bはエステル・ポチャツカという名の、チェコ共和国プラハ生まれ、ニューヨーク州ユーティカ元在住で77歳の老年女性です。彼女は異常な電子機器を製作してきた確固たる経歴を持つ退職電子技術エンジニアです。彼女は自身がSCP-520-1を設計し、当オブジェクトと共に回収されたマニュアル類と図解を作成し、PoI-520-Aとの息の長い師弟関係の一環として彼女に設計図と書類を提供したと主張しています。収容以後、彼女はPoI-520-Aとコンタクトを取りたいという願望を一切表明していません。

財団に収容される直前、PoI-520-Bはペースメーカーの故障により軽度の脳虚血を起こし、部分的な逆行健忘症に陥りました。収容以後、自身やPoI-520-Aが残したメモを再読することで、彼女は自身の電子工学技術を大幅に取り戻しました。しかし、彼女はSCP-520の書類のうち異常性を著した部分に対して困惑を顕わにしました。それには彼女自身が書いたものも含まれており、彼女はそこに述べられている基本原理に対してはっきりと懐疑を示しています。

補遺520-6: 選択クラスのサンプル

以下の機器選択クラスは、逆年代順に整理してあります。これらはSCP-520が財団収容室に入ってから観察されてきたものです。

  • FLUORESCENT CEILING LIGHT(天井用蛍光灯)
  • DOORBELL (ドアベル)
  • HONDA ACCORD POWER STEERING(ホンダ・アコード パワーステアリング)
  • LIBRARY FIRE ALARM(図書館用火災報知器)
  • NEONATAL VENTILATOR(新生児用人工呼吸装置)
  • SYNCHROTRON(シンクロトロン)
  • SAFETY CONTROL ROD ACTIVATION MECHANISM(安全制御棒駆動機構)
  • PACEMAKER(ペースメーカー)

インシデント520-16:

2016年5月14日、定期実験を指揮していた研究員達はSCP-520-2を11回起動しました。10回目の起動までは財団所有の蛍光ランプに影響を与えるというもので、支障はありませんでしたが、この10回目の起動時に選択クラスが「ボーイング747 補助翼駆動装置」に切り替わりました。効果半径内に飛行機は居合わせていなかったため、研究員たちは適当なターゲットが不在中のSCP-520-2の機能をテストするため、この機会を利用しました。

しかし、スイッチが11回目に起動した時、研究員達はハンドル内に微弱な物理的抵抗が発生していることに気付きました。後の検査により、SCP-520-2のハンドルを動かす為に加えられたその力は、そのうちの一定量が初めに効果半径選択ダイヤルを回す力に転換され、効果範囲が拡大したのだと明らかになりました。

それと同時に、カンタス航空[編集済]便が全乗客および全乗組員計532名と共にパースの付近に墜落しました。1墜落事故調査隊に潜伏した財団諜報員は、当該飛行機の油圧制御装置とSCP-520によって不能にさせられた4つ全ての補助翼駆動装置を成功裏に回収しました。

SCP-520を用いた全ての実験は、選択クラスを変更するための代替手法が発展するまで凍結されています。

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